神式葬儀（神葬祭）とは？仏式との違いと基本マナー
神式の葬儀（神葬祭）は、日本に古くから伝わる「神道」に基づく弔いの形です。
仏式葬儀に比べると情報が少ないため、参列時に戸惑う方も多くいます。
しかし、神式葬儀の流れや参列作法には、難しい特別なルールはありません。
基本を理解しておけば、初めてでも安心して故人をお見送りできます。
本記事では、「神式 葬儀」「神葬祭 とは」「仏式 違い」「神式 マナー」「参列 作法」をわかりやすく整理し、完全ガイドとしてまとめました。
神式葬儀（神葬祭）とは？
神式葬儀とは、仏式ではなく「神道」の考えにもとづいて行われる葬儀のことです。
神道では、死は「穢れ」ではなく「気を慎むべき時期」とされ、故人は守護してくれる祖霊（みたま）となると考えられています。
神式葬儀は、故人を祖霊として丁寧に祀り、家族を見守る存在としてお迎えする儀式です。
神葬祭の歴史
日本では明治以前、神式の葬儀が一般的だった地域も多くありました。
明治時代以降は仏式葬儀が全国に普及しましたが、現在も神道を信仰する家庭を中心に神葬祭は続けられています。
神式葬儀は「仏教の供養」ではなく、先祖への敬意と感謝を大切にする儀式であり、心静かに故人を祀るのが特徴です。
神式葬儀と仏式の違い
両者は似ている部分もありますが、儀式内容・用語・作法などにいくつか違いがあります。
初めて参列する方は、事前に違いを知っておくと安心です。
① 呼び名の違い
神式と仏式では、同じ内容でも呼び名が異なることがあります。
例えば、
- 葬儀 → 葬場祭（そうじょうさい）
- 通夜 → 通夜祭（つやさい）
- 位牌 → 霊璽（れいじ）
- 香典 → 玉串料（たまぐしりょう）
- お焼香 → 玉串拝礼
呼び名が違うだけで、意味は大きく変わりません。参列者がとくに構えすぎる必要はありません。
② 祭壇の違い
仏式では白木祭壇に位牌や遺影、供花を供えますが、
神式では「八足台（はっそくだい）」と呼ばれる祭壇に、奉献物としてお酒・塩・水・米・野菜・果物などが並びます。
仏式のようにお線香は焚かず、自然の恵みを奉る点が神道らしい特徴です。
③ 祈り方の違い（玉串拝礼）
仏式では焼香で祈りを捧げますが、神式では「玉串（榊に紙垂を付けたもの）」を祭壇に捧げます。
この動作を「玉串拝礼」と呼びます。
玉串拝礼は後半で詳しく解説します。
④ 日程の違い
仏式では四十九日が重要ですが、神式では五十日祭が節目となります。
神式葬儀の流れ（神葬祭の次第）
神式葬儀は「通夜祭」「遷霊祭」「葬場祭」「火葬祭」「帰家祭」など、いくつかの儀式で構成されています。
ここでは参列者が理解しやすいように、順番に流れを解説します。
1. 通夜祭（つやさい）
仏式の通夜にあたる儀式です。遺族・親族が集まり、神職によって祭詞奏上（さいしそうじょう）が行われます。
通夜祭の意味は、故人の霊を慰め、静かに見守る時間を持つこと。焼香はしませんが、玉串拝礼によって祈りを捧げます。
2. 遷霊祭（せんれいさい）
通夜祭のあとに続けて行われることが多い儀式で、故人の霊を霊璽（仏式でいう位牌）に移す儀式です。
会場の明かりを落とし、厳かな雰囲気の中で行われます。
遷霊祭は、故人が「祖霊となるための第一歩」のような意味を持ちます。
3. 葬場祭（そうじょうさい）
仏式の葬儀・告別式にあたります。
神葬祭の中心となる儀式で、最も多くの参列者が集まる場です。
式中では祭詞奏上、玉串拝礼、献饌（けんせん）などが行われ、故人の御霊を丁寧に慰めます。
4. 火葬祭（かそうさい）
火葬場に到着してから行う儀式です。仏式での「炉前読経」にあたります。
神職が祭詞を奏上し、故人の霊に最後のお祈りを捧げます。
5. 帰家祭（きかさい）
葬儀が終わって自宅に戻ったときに行う儀式です。
故人の霊を自宅に迎え入れ、これからの平穏を祈る意味があります。
地域によっては「直会（なおらい）」と呼ばれる会食が行われることがあり、遺族・親族で故人を偲びます。
神式葬儀の服装マナー
神式だからといって特別な服装が必要なわけではありません。基本は仏式と同じ「喪服」が正解です。
ただし、神式は“静謐（せいひつ）さ”を重んじるため、より控えめで落ち着いた装いが望ましいという特徴があります。
男性の服装
- ブラックフォーマル（礼服）
- 白シャツ（無地・ボタンダウン不可）
- 黒ネクタイ（光沢なし）
- 黒の革靴（ストレートチップ）
- 黒の靴下
神式では金属光沢を避けるため、ネクタイピンや派手な腕時計は控えましょう。
女性の服装
- 黒のワンピース or アンサンブル
- 黒のストッキング
- 黒のフォーマルバッグ
- シンプルな黒パンプス
アクセサリーは控えめに。真珠は着けても構いませんが、二連のネックレスは避けましょう。
子どもの服装
学校の制服があればそれで問題ありません。制服がない場合は、白シャツ＋黒・紺の服装でOKです。
玉串拝礼（たまぐしはいれい）の作法
神式葬儀で最も戸惑いやすいのが「玉串拝礼」です。しかし、一度覚えればとても簡単で、美しい祈りの所作となります。
玉串拝礼の手順
- 神職から玉串を受け取る（右手：根元、左手：枝先）
- 胸の高さで持ちながら祭壇に進む
- 祭壇の前で軽く一礼
- 玉串の枝先を時計回りに回し、根元を祭壇側へ向けて捧げる
- 玉串を置く
- 二礼（二回深く礼）
- 二拍手（しのび手＝音を立てない拍手）
- 一礼（一回深く礼）
玉串拝礼は「二礼・二拍手・一礼」が基本と覚えるとスムーズです。
神式葬儀での参列マナー
参列の心得
神式は仏式よりも“静けさ”を重視します。動作はゆっくり、控えめを意識すると好印象です。
香典ではなく「玉串料」
神式葬儀では香典とは呼ばず、「玉串料（たまぐしりょう）」としてお渡しします。
玉串料の表書き
- 「御玉串料」
- 「玉串料」
- 「御神前（ごしんぜん）」
いずれも正しい表記で、どれを選んでも問題ありません。
袋の書き方
中袋には “金額” と “住所・氏名” を記載します。
- 金額は漢数字（例：金壱万円）
- 縦書き
- ボールペンより筆ペンが望ましい
神式葬儀のよくある質問
Q. 数珠は必要ですか？
神式では数珠は使いません。持参しても構いませんが使用しません。
Q. 焼香の代わりは何をしますか？
玉串拝礼を行います。焼香台はありません。
Q. 献花はしてはいけない？
献花を行う地域もありますが、多くは玉串拝礼のみです。案内に従いましょう。
Q. 五十日祭とは？
仏式の四十九日に相当する神式の法要で、忌明けを意味します。
神式葬儀（神葬祭）のまとめ
神式葬儀は難しそうに感じるかもしれませんが、流れや作法を知るととても“静かで温かい”儀式です。ポイントは以下の通りです。
・神式葬儀は「神道」に基づく弔い
・通夜祭・遷霊祭・葬場祭が中心の儀式
・焼香の代わりに「玉串拝礼」を行う
・香典ではなく「玉串料」
・服装は仏式と同じ喪服でOK
・しのび手（二拍手）は音を立てない
・五十日祭が忌明け
初めての神式でも、この記事で基本を理解していれば問題ありません。
静かに手を合わせ、故人と遺族の心に寄り添うこと——それが何よりも大切です。
神式葬儀の不安や疑問は、『やさしいお葬式』へ。24時間365日、無料で相談できます。
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