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遺骨,食べる

ご遺骨は「食べる」より「手元供養」を!心理・健康・法律面まで解説

「遺骨を食べて大切な人と一つになりたい」

最愛の人を失ったショックから、そのように思うことはおかしいことではありません。実際に、料理愛好家の平野レミさんは、亡き父の骨を食べたとテレビ番組で話されました。

また、戦前は「骨噛み」と呼ばれた、死者の骨をかみ、飲み込むことで追悼の意を表すという風習があったように、特別に変だということではありません。

とはいえ、衛生面などからも遺骨は食べずに「手元供養」する方が望ましいでしょう。

※「手元供養」とは遺骨をお墓に納骨せずに自宅で供養することを指します。

なぜなら遺骨には火葬の際に発生する「六価クロム」という有害物質が付着している可能性がある為、注意が必要だからです。

この「六価クロム」は、人の体に触れると皮膚の炎症を起こしたり、発がん性物質であるとも言われています。

本記事をお読みいただくことで、「遺骨を食べたい」という衝動が起きた時に、様々な方面からの見方を知ることで、最終的にどうするかを冷静に決められるのではないでしょうか。

過去に遺骨を食べた方達のお話からわかる心理状態や、健康上のリスク、法律に関する内容が含まれており、遺骨を食べることに対する周りの見方も知ることができます。

また、食べる以外に故人をいつも身近に感じられる遺骨の適切な供養方法について検討することができるでしょう。ぜひ、参考にされてください。

遺骨は食べずに「手元供養」する方が望ましい

テレビや雑誌などで遺骨を食べたことを告白した芸能人はいますが、六価クロムなどの有害な物質が付着している可能性があることと、法的には問題ないが理解されないことも多いため、食べずに「供養」する方が良いでしょう。

「故人とずっと一緒にいたい」「遺骨と離れたくない」というご遺族の気持ちから、遺骨をお墓に納骨せずに自宅で供養できる「手元供養」を選択する方も増えています。

自宅で遺骨を保管しながら、「遺骨を食べたい」という思いに駆られることは、故人への想いが強いほど大きくなる傾向にあるようです。

とは言え、後述する「六価クロム」などの有害な物質が付着している可能性があるため、食べるより「供養」する方が望ましいでしょう。

遺骨を食べない方が良い2つの理由を重要度順にご紹介します。

1.有害な「六価クロム」が付着している可能性がある

2.遺骨を「食べる」ことは法的には問題ないが理解されないことも多い

これらを踏まえて、遺骨を食べることを再度検討されると良いと思います。

有害な「六価クロム」が付着している可能性がある


画像引用先:六価クロムウィキペディア

遺骨には「六価クロム」という有害物質が付着している可能性がある為、注意が必要です。

六価クロムとは、非常に強い酸化作用があり、人の体に触れると皮膚の炎症を起こしたり、高発がん物質と指定されており、国際がん研究機関(IARC)でも「発がん性がある」として分類しています。

六価クロムは強い毒性を持ち、国際がん研究機関(IARC)はグループ1(人に対して発がん性がある)に分類しています。溶液に触れたり、非常に細かい粒子を吸い込むことによって、皮膚や粘膜に炎症が生じることが知られています。

情報引用先:六価クロムって一体なに?

致死量がたったの0.5g、また水に溶けやすい性質があるため、無害化処理が必要です。六価クロムの無害化処理をしないまま海洋散骨した場合、魚介類など多くの海洋生物を生命の危機に追いやる危険性があります。

とはいえ、遺骨に六価クロムが含まれていたとしても、常温で気化することはないため、遺骨を自宅に置いておく場合には何ら問題はありません。

遺骨ジュエリーやアクセサリーにして身につけていたとしても、そこから有害物質が浸出してくることもないでしょう。

実際、遺骨を食べた方から、健康上なんらかの問題があったという事例はまだありませんが、どんな影響があるのか分からない分、万が一のリスクを伴うということを覚えておきましょう。

ちなみに骨にはカルシウムがあると考えられがちですが、火葬された遺骨には栄養も残っていないので「食べたから骨が強くなる」といったことも期待できないでしょう。

六価クロムは火葬時に付着する

火葬時の台がステンレス製である場合や、クロムメッキがされている場合に、長時間高温で熱することで六価クロムが生じることがあります。これが遺骨に六価クロムが付着する可能性があると言われる所以です。

火葬時の台が耐火レンガや耐火セラミックなどの場合は、六価クロムが発生しませんが、その時の素材については分からない方がほとんどでしょう。

六価クロム含有の検査と無害化を行う業者もいる

海洋散骨業者や粉骨業者のホームページには、遺骨をパウダー状に粉骨にする際、骨に含まれている「六価クロムを無害化しなければならない」ということが記載されています。

検査は、遺骨の一部を水に浸し、その水に六価クロムが溶出しているかどうかをテスターを用いて調べるものです。

参考:業者別の相場

業者 六価クロム検査料金 六価クロム無害化処理料金
海洋散骨・粉骨のカノン 3,000円 13,000円
遺骨供養ウーナ 要問合せ 要問合せ

六価クロムが検出された場合は、十分に乾燥させた後に六価クロム無害化処理がされます。

六価クロム中和処理材を用いて無害化処理をするのは、環境省が出す環境基準:0.05mg/1以下となるようにするためです。

遺骨全体に処理剤が十分に浸透するように、一度水に浸してから処理剤を添加し、遺骨の量に応じて24〜48時間の長時間感想を行い、十分に遺骨を乾燥させます。

もし遺骨を自宅で供養されたい方で、有害物質が気になる方は、六価クロム無害化処理を検討ください。

遺骨を「食べる」ことは法的には問題ないが理解されないことも多い

結論から申し上げると、遺骨を食べることは法的に問題はありません。ただし、上記でもご説明したように、衛生面でも食べるより別の方法で供養し身近に感じる方が良いでしょう。

埋葬しなくても法に触れることはない

遺骨の取り扱いについては、「墓地、埋葬等に関する法律」に定められています。遺骨を必ずしも墓地に埋葬しなければならないという決まりはないものの、お墓がなかったり、宗教的な理由で埋葬しない、また自宅で供養したいという方もいらっしゃいます。

法律上は「埋葬する場合は認可された場所のみ」と決められているだけですので、家の中で仏壇などに安置して供養する自宅供養などは問題にはなりません。

また、散骨は遺骨を埋めるという行為ではありませんが、法律によって禁止されておらず、埋葬方法の一つとなっています

家族や親族から非難される可能性がある

「遺骨を食べる」という行為自体は法的に罰せられなくても、親族や関係者に理解され難く、非難される可能性があります。

また、遺骨を自宅で保管し、手元供養する方が増えてはいるものの、未だ一般的な供養方法ではないため理解されない方が多いです。

手元供養の場合、所有者に万一のことがあると遺骨は無縁仏となり処分される可能性があります。こういったことから、遺骨を自宅で供養することだけでも遺族から反対される場合があるので、それを食べるという行為はさらに理解を困難にする可能性があることは否めません。

全ての骨を手元供養するのではなく、遺骨の一部を納骨し、一部を手元で供養する「分骨」という方法もあります。

故人の供養がよくできるよう、他の方法も検討してみましょう。

遺骨を安全かつ快適に自宅で保管するには、遺骨を置く場所、置き方、置きやすくするポイントを抑えるとスムーズです。詳しくは「遺骨の自宅への置き方【イラスト図解】知るべき重要課題と6つの注意」の記事を参考にされてください。

「遺骨を食べたい」と思うことは、おかしなことではない

遺骨を食べたいと思うことは、おかしなことではありません。大切な人を失ったという悲しみはとても大きく、心の中にぽっかりと開いた穴が塞がらず、思わず骨壷を開けて遺骨を食べてしまうという方も多いからです。

下記に、実際に「遺骨を食べる」ことへの体験談と日本の風習についてを順番にご紹介致します。

1)遺骨を食べた芸能人の心境(平野レミ、佐伯チズ)

2) 「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」著者の回想録

3)「骨噛み(ほねかみ)」という風習があった

遺骨を食べた芸能人の心境(平野レミ、佐伯チズ)


画像引用元:美肌革命ーお金をかけずにきれいになる¥1,283(Amazon)

料理愛好家の平野レミさんは、実母が亡くなった時に、火葬した骨が骨壷に入りきらず、残った骨を持ち帰って、そっと口に入れたと話しています。そのとき「これでお父さんと一心同体になる」と思ったそうです。

また、美肌のカリスマと言われている美容家の佐伯チズさんは、ご主人ががんで亡くなられた際「主人と一緒になりたくて主人の遺骨を食べてしまいました。辛くて悲しくて、人生ドン底でした。本当に優しくて、最高の夫でした。」と著書で述べています。

他にも俳優の勝新太郎さんが、「実父の遺骨を食べた」ということも報道されました。

会見前の納骨式にも驚いた。規制線から勝さんら遺族までの距離は100メートルほど。撮影カメラの望遠レンズをのぞくと、妻の中村玉緒が墓前で白い歯を見せながら苦笑し、「やめなさいよ」とばかりに勝さんの背中を叩いている。勝さんが突然、遺骨を食べ始めたのだ。この時、「これで父ちゃんはオレの中に入った」と心の中でつぶやいていたという。

記事引用元:勝新太郎さん もう一つの“伝説の会見” 父の法要後の囲みで…

「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」著者の回想録


画像引用元:母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版)¥585 (Amazon)

漫画家 宮川サトシ氏は、「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」 (新潮社刊)の中で、こう語っています。

火葬場で骨壷に入らない母の小さな骨を火葬場の方が片付けるのを見て、「え!もう下げるの?それ、どうするの!もったいない。だったら、食べたい」という感じでした。

引用元:母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(新装版)¥585 (Amazon)より抜粋

悲しみや寂しさが思い出に変わるまで2〜3年かかったとも言われるように、大切な人を亡くした方にとっては普通に湧いてくる感情のようです。

この作品は、2019年2月22日に映画、公開されました。https://www.youtube.com/watch?v=KOsGqSjfvIs

『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った』の予告編をご覧ください。

「骨噛み(ほねかみ)」という風習があった

日本では一部の地域で「骨噛み」と呼ばれる風習がありました。

「骨噛み」という風習を主題として描かれた作品があります。この作品の作者の父親の葬儀での体験による実話をもとに制作されたもので、骨噛みと言う風習と人間心理がとてもよく描写されています。

また、1975年に封切られた、深作欣二監督・渡哲也さん主役の東映ヤクザ映画「神器の墓場」の中には「骨を噛む」シーンがあります。そこでは、タブーであることが前提とされつつも、骨を噛まずにはいられないほど、深い喪失感が表現されています。


画像引用元:仁義の墓場 [DVD]¥1,434(Amazon)

このようなことから、骨を食べることは風習としてあったため、故人を悼む気持ちから湧き上がる思いとしては普通なのかもしれません

遺骨を加工して身につけて供養できる

遺骨を自宅で供養される方が増えており、故人をより身近に感じられるように、アクセサリーやジュエリーに加工される方も年々増えています。

着飾るための宝石ではなく、供養の拠り所として、故人を輝かせてあげたいなどのご遺族の意向に添い、さまざまな形で遺骨を宝石として作ることができるのも大きな特徴です。

デザインも豊富で、一見普通のアクセサリーに見えるので、大切な人と一緒にいながら供養したいという方にとても人気があります。

遺骨で宝石を製作する前に、メリット・デメリットを知っておきましょう。

メリット デメリット
1.アクセサリーとして身につけて供養ができる

2.ほぼ半永久的に輝きを保つことができる

3.世界で一つだけの宝石になる

1.宝石に加工したら元には戻せない

2.親族とトラブルになる可能性がある

3.遺骨宝石を制作できない場合もある

とはいえ、従来とは違う供養方法なので、親族の中には受け入れられない方がいる可能性もあります。この点については、親族間で十分に話し合いが必要です。

大切なのは、故人に最も近いご遺族が納得され、最善の供養の方法を選ぶことです。納得いくものを製作していただくためにも、内容については事前に業者と確認されることをオススメします。

アクセサリー


画像引用元:TOMONi

遺骨アクセサリーとは、故人の遺骨や遺灰の一部を納め、身につけることができる手元供養のためのものです。

リング(指輪)のほか、ペンダントなど、遺骨や遺灰の収納場所も相談しながら決められるため、ご希望に沿った形でアクセサリーを製作してもらえるのも人気の一つです。

以前からの仏式の供養方法を希望される方が多いこともあり、「遺骨ペンダントはよくない」と言われることが多く、遺骨ペンダントでの供養に躊躇する方がたくさんいます。

そのような誤解がある理由と、遺骨ペンダントを作るまでの工程をまとめたのが遺骨ペンダントが良くないと誤解される理由!正しい手元供養を解説!です。この記事で不安や疑問を解決できると思いますので、ぜひお読みください。

遺骨ジュエリー(遺骨宝石)


画像引用元:アルゴダンザ社

近年は手元供養の一つとして認知されつつあります。遺骨宝石の相場は、作る宝石やその後のアクセサリーへの加工によって変わってきます。一例で申し上げると、遺骨から作るサファイアの相場は、約25万円からです。

遺骨ダイヤモンドも人気があり、値段は32万円〜300万円と幅があり、ダイヤモンドのカラット数や制作方法により変わります。指輪やネックレスなどアクセサリーに加工する場合は、さらに5〜20万円の加工費が加算されます。

遺骨ダイヤモンドはここ20年ほどで可能になった「新しい技術」であるため、知らない方も多いのです。興味のある方は、遺骨ダイヤモンド|値段は32〜300万円!カラット数で変わる金額の記事に相場や注意点が記載してありますので、ぜひお読みください。

遺骨から作る宝石は遺骨の中の炭素など、必要な成分を抽出して人工的に結晶化させるものですが、その方法は作る方世紀によっても変わってきます。

人工宝石という括りにはなりますが、見た目は天然の宝石と変わりありません。おしゃれな形で故人と一つになるという新たな供養の形を見つけていただくきっかけになるでしょう。

遺骨から宝石を作ることは新しい手元供養の形のため、専門の業者へ依頼する方が間違いありません。相場や宝石の種類、おすすめできる依頼先まで網羅された【遺骨から作る宝石】種類・製作方法・金額・依頼先・注意点を全解説が役に立ちます。

供養の拠り所として、故人を輝かせてあげられる遺骨ジュエリーもぜひご検討ください。

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まとめ

「遺骨を食べたい」と思う事は、故人への想いが強いほど多いようです。気持ちとしては愛おしいがあまりそうさせることで悪いことではありません。

平野レミさんや、佐伯チズチさんのように、家族の遺骨を食べたと告白された方もいます。また、「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った」という実話の映画化や漫画もあるほど、そのような思いに駆られる方は意外と多いものです。

とは言え、遺骨を食べることは法的に問題はありませんが、六価クロムなどの有害な物質が付着している可能性があるため、食べるより「供養」する方が望ましいでしょう。

六価クロムの検査と無害化処理をしている業者があります。

業者別、六価クロム検査、無害化処理料金

業者 六価クロム検査料金 六価クロム無害化処理料金
海洋散骨・粉骨のカノン 3,000円 13,000円
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遺骨を自宅で供養されたい方で、有害物質が気になる方は、六価クロム無害化処理を検討ください。

遺骨はお墓で納骨する以外にも、遺骨を加工してアクセサリーやジュエリーにすることも近年人気が出ています。身近に故人を感じられるアイテムとして、ご検討ください。

遺骨を手元供養する、遺骨でアクセサリーを作るなども遺族の中には反対する方もいますので、事前に親族間でよく話し合いをされることをオススメします。

遺骨を食べる前に、健康面でのリスクや、故人を身近に感じる他の供養の方法があることを知っていただき、検討していただけたらと思います。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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エンディングコンサルタント
栗本 喬一(くりもときょういち)
1977年 東京生まれ(名古屋育ち)
略歴
母の死をきっかけに葬儀業界に興味を持ち、大学卒業後、大手葬儀社へ入社、家族葬から大規模葬儀まで、幅広くお葬式を葬儀担当者(セレモニーディレクター)として活躍。その後、葬儀会館の店長、新規開拓を歴任。お客様からの「ありがとう」という言葉をいただけることを仕事のやりがいとし、これまでに10年以上、5,000件以上の葬儀現場に立ち会う。
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株式会社GSI グリーフサポート アドバンスコース修了。