公営霊園って一体なに? 気になる特徴や申し込み方法などを徹底解説!
お墓を建てるうえで公営霊園や民営霊園などの墓地や霊園の種類は重要なポイントの1つであるといえます。墓地や霊園の種類にはそれぞれ特徴があります。今回は公営霊園の持つメリットやデメリットについて見ていくとともに、その申し込み方法も解説していきます。
公営霊園とは
公営霊園とは地方自治体が運営主体となっている霊園のことです。
つまり、役所が税金で運営しているため、財政破たんがない限りはつぶれることはありません。
民営霊園や寺院墓地に比べて非常に安い費用で利用することができるうえ、寺院墓地に対して受け入れの際の宗教や宗旨は不問となっています。
公営霊園の申し込みについて
申し込みの流れ
公営霊園の申し込みをするには、まず運営する自治体が公募する時期や枠を確認する必要があります。
詳しいことは、自治体のホームページや広報紙などに掲載されていたり、窓口で聞くことができますので、よく確認しましょう。
さて、公募情報が自治体から公開されたら、申込書を入手し、申し込み資格と期間を確認します。
そして書類に必要事項を記載したうえで、役所に提出します。
その後、自治体側で抽選が行われ、墓地使用者が決定します。
墓地使用者に選ばれた方は、指定の期間に必要書類(住民票や戸籍謄本など)を提出したうえで審査を受け、それを通過したら必要な費用(永代使用料や管理費)を支払い、それと引き換えに使用許可証が発行されます。
申し込み時に注意すること
公営霊園の申し込みの際にはいくつか注意すべき項目があります。
ここでは、それら申し込み時に注意することについてみていきましょう。
申し込み資格を満たしていることを確認
まずは、申し込み資格を満たしているかどうかという点をよく確認する必要があります。
具体的な条件としては以下のことが挙げられます。
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- ・申し込み者が一定期間以上、所属する自治体の地域に居住しているか
- ・祭祀の主催者であるか
- ・埋葬していないご遺骨を所有しているか
せっかく競争率の高い審査を通過しても、申し込み資格に不備があった場合はその時点で無効となってしまいますので、これらの条件をしっかりと確認することが大切です。
当選しても希望の場所は指定できない
また、原則として当選しても区画を指定できないという点も注意が必要です。
原則ご自分の希望の区画を指定できないということを知らずに、希望の区画を得られないという理由で、せっかくの当選を辞退するというのはあまりにももったいないことですので、この注意点はあらかじめ理解しておきましょう。
募集時に掲載されている金額に注意
募集時に掲載されている金額には注意してください。
公募のときに掲載されている金額は、あくまでもその区画に対してかかる永代使用料と管理費であるため、墓石代は含まれていません。
たしかに、公営霊園では他の墓地や霊園に比べると永代使用料と管理費は安く設定されていますが、墓石代に関しては契約した石材店の見積もりや、お墓の建立の際の希望条件次第で価格がいくらでも変化します。
霊園側もそこまでは把握しきれない以上、墓石代については記載できないことも理解しておきましょう。
公営霊園のメリット・デメリット
公営霊園は非常に人気が高く利用者も多い傾向にあります。
それは言い換えればメリットが非常に多いということでもありますが、公営霊園のメリットやデメリットはどのようなものが挙げられるのでしょうか。
メリット
費用が安い
公営霊園の持つメリットとしてよく取り上げられるものといえば、必要な費用が安いという点にあるといえます。
運営主体が地方自治体であるために、税金を投入していることから永代使用料が非常に安く、なおかつ年々の管理費も安く設定されています。
4千円〜1万円が相場です。
このため、身内の方が亡くなった後にお墓を建てる場合でも経済的な面を心配することなく、安心して申し込みができます。
自治体が運営しているため安心感がある
また、自治体が運営しているという安心感があることもメリットです。
税金を元手に運営しているからこそ、その自治体が財政破たんしない限りは霊園もつぶれないという安心感が生まれます。
このため、将来のことや残されるご家族のことを考えた際に、心配する必要がありません。
宗教の制約がない
地方自治体という公的組織が運営している以上、憲法の定める信教の自由に基づいているため、公営霊園の申し込みの際には宗旨や宗教に制約がないことも魅力的です。
このため、無宗教の方やキリスト教など仏教以外の宗教の方、ご夫婦で宗教や宗旨が異なる方といった場合でも安心して利用することができます。
石材店を自由に選べる
公営霊園でお墓を建てる場合は、民営霊園や寺院墓地の一部で見られるような石材店が指定されているというようなことは一切ありません。
そのため石材店を自由に選べるというメリットもあります。
お墓を建てる際に複数の石材店から相見積もりを取って、最終的に最も納得のいく見積もりを出した石材店と契約することができます。
デメリット
ここまで見てきたように公営霊園には実に多くのメリットがありますが、その反面でデメリットも何点か挙げられます。
募集時期が決められている
公営霊園は募集時期が決められているという点に注意しましょう。
毎年頻繁に公営霊園の募集が行われているわけではなく、区画が空いたタイミングになってから募集が行われるのが一般的です。
これは古くからの利用者が非常に多く、空いている区画もそれほど多くないことによります。
具体的な募集時期は運営する各自治体によってさまざまですが、例えば都立霊園を運営する東京都であれば毎年7月中旬ごろに募集が行われますが、何らかの事情で返還された区画を募集する形となるため、年によって募集枠が大きく変化します。
応募倍率が高い
公営霊園の募集の際には基本的に募集枠が非常に少ないことが多いです。
その狭き門に対して、費用の安さなどを理由として非常に多くの応募があるため、結果として応募倍率が高くなる傾向にあります。
希望の区画が選べないことが多い
公営に限らず墓地や霊園の区画の中には、非常に人気のあるものがありますが、公営霊園の場合はこれに加えて永代使用料が比較的安いという利点もある反面、応募が殺到しやすいため、希望の区画を選べない場合が少なくありません。
ただ、それでも区画を得ることができただけでもよしとしたほうがよいでしょう。
応募が殺到する中で運よく得られたということだけでも、非常に大きな利益であるといえるためです。
まとめ
本記事の内容をまとめますと、以下のようになります。
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- ・公営霊園とは地方自治体が運営する霊園のことである
- ・公営霊園の申し込みは、決まった時期に行われる公募に申し込む形をとる
- ・公営霊園のメリットとしては、費用の安さや運営の安定性、宗教の制約のなさ、石材店を自由に選べる点が挙げられる
- ・公営霊園のデメリットとしては募集時期が決められていること、募集倍率の高さ、区画を自分で選べないことが挙げられる
公営霊園は費用の安さや運営の安定性といったメリットがありますが、その反面非常に人気が高く応募者も多くなりがちです。
ただ、終活でお墓のことを考えたときに、なるべく残されるご家族の負担は軽くしたいところといえるでしょう。
そのため、お墓を公営霊園で建てることを考えるのであれば、情報収集やお金の積み立てなど早めの準備が大切といえるでしょう。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール