戒名を自分でつける前に知っておくべき6つのステップと3つの注意点
「戒名は僧侶につけてもらわないといけないもの?」
「故人を送り出すうえで大切なものだから、できるだけ費用は度外視してつけてあげたい……」
「とはいえ、安くつけられる方法があるなら知っておきたい」
このように、戒名をつけてもらうことに対する不安を抱いている方も多くいます。
戒名は、僧侶にお布施をお渡ししてつけてもらうのが一般的ですが、自分でつけることも可能です。
ただし、自分でつけることはお寺とトラブルになり、正しい戒名をつけられなくなる可能性もあります。
戒名を自分でつける場合は、6つのステップを押さえておくことでトラブルを事前に回避できます。
また、自分でつけられれば僧侶につけてもらうよりも費用を抑え、さらに故人の人柄や人生を振り返ったうえで、ぴったりな戒名をつけて送り出すことも可能です。
本記事では、戒名を自分でつける場合のステップやメリット、注意点などをご紹介します。
戒名とは?については、「戒名とはなにか?戒名の構成やランクを一覧にしながら戒名の付け方やお布施の相場、お布施について完全解説!」もご参考ください。
【この記事を読んで分かること】
●戒名は自分でつけられるのかどうか
●自分でつける場合の手順
●自分で戒名をつけるメリット・注意点
●戒名に関する疑問の答え
自分で戒名をつける6つのステップ
戒名は、以下6つのステップを実施することで自分でもつけられます。
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●戒名の作成例(名前を木村太郎とした場合)
6つのステップのどれかひとつでも抜けること、トラブルや不自然な戒名になることもある為、しっかりと確認していきましょう。
1.菩提寺に申告
菩提寺がある場合は、たとえ自分で戒名をつけるとしても必ず申告し、理解を得たうえでつけてください。
なぜなら、菩提寺があるにもかかわらず無許可で戒名をつけてしまうと、菩提寺の意向を無視することになり埋葬を断られる場合があるからです。
申告の際は、「自分でつけます!」といきなり伝えるのではなく、ひとまずは「相談」の形を取ることをオススメします。
菩提寺がない場合に関しては事前に確認を取る必要はありませんので、自分が思う理想の戒名をつけてください。
2.戒名の構成について学ぶ
菩提寺の理解を得たうえで戒名を自分でつけることになったら、戒名の構成について学ぶ必要があります。
戒名は、以下の4つから構成されています。
※宗派によって異なります
院号(いんごう)
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- ・「○○院」や「○○院殿」などとつけられる
- ・「○○庵」や「○○軒」とつけることもある
- ・仏教に深く帰依していたことの証明
- ・寺院に貢献した場合以外は使われない
- ・近年は院との関係性を踏襲せずつけることもある
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道号(どうごう)
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- ・故人の性格や人柄をあらわすもの
- ・生前の趣味や仕事を反映することもある
- ・優しい人であれば「優」美しい人であれば「美」といったイメージ
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戒名(かいみょう)
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- ・2文字で書かれるのが一般的
- ・自分の名前、関係者(尊敬する人など)から1文字ずつつける
- ・経典や御仏からつけることもある
- ・真言宗の「真」浄土宗の「浄」など
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位号(いごう)
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- ・戒名の位を示すもの
- ・男性→信士・居士・院信士・院居士
- ・女性→信女・大姉・院信女・院大姉
- いずれも右にいくほど位が高い
- ・未成年の場合は年齢によって異なる
- ・歳まで→嬰子・嬰女
- 5歳まで→孩子・孩女
- 15歳まで→童子・童女
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ただし、無宗教もしくは宗教の枠にとらわれない葬儀を執り行う場合であれば、意識する必要はありません。
戒名を構成する上記4つは、あくまで宗教に則ることを前提に戒名をつける際には把握しておく必要があります。
3.架空の寺名をつける
戒名を自分でつける際は、院号を架空の寺名にしなければなりません。
「院号」とは、天皇など位が高い人物が退位後に宮殿をあらわす言葉で、入れる場合は、故人が死後に住む場所として想定し、寺名をつけるのが一般的です。
「後鳥羽院」や「後白河院」など、歴史上に残る寺名が例に挙げられます。
4.故人の特徴を反映させる
道号をつける場合は、故人の性格や人柄、趣味、仕事をイメージする文字をつけます。
厳格な方であれば『厳』、朗らかなイメージのある方には 『朗』、真面目な性格の方には誠実の『誠』の字をつけるといった形です。
教育関係に勤めていれば『育』建築関係であれば『建』のように、故人が精魂を込める姿が想像できる文字をつけてあげてください。
5.故人の名前から一文字取る
戒名のもっとも簡単なつけ方として挙げられるのが、故人の名前から1文字とってつけるというものです。
2文字で構成するのが一般的なので、故人の名前と、生前尊敬していた方や仏・経典から拝借するのがスムーズで、故人が帰依する宗派から文字を拝借するパターンもあります。
6.戒名の位を示す
最後の位号は、戒名の位をあわらすもので、基本は年齢や性別で付けられますが、お寺や社会への貢献度によって授けられる場合があります。
よく使われる位号の居士については、「戒名の居士とは?他の戒名との違いから戒名の決め方、生前戒名まで完全解説!」をご参考ください。
戒名を自分でつけるメリット
自分で戒名をつけることには、以下2つのメリットがあります。
戒名を自分でつけることそのものが、故人への思いを変化させるきっかけにもなるでしょう。
費用を安く抑えられる
自分で戒名をつける場合は、費用が一切かかりません。
菩提寺の戒名をつけてもらう場合は戒名料がかかり、お布施と同じ扱いになるため、寺院によって相場が異なります。
信士や信女など、戒名の種類によって変動する場合があることも覚えておいてください。
安く見積もっても10万円、院号など位の高い戒名に関しては、100万円ほどかかることもあります。
「故人を送り出すことに費用を気にしたくはないけど、安く済ませられるなら済ませたい」
このように考える方は、戒名は自分でつけるのがオススメです。
故人のイメージを反映させやすい
菩提寺に戒名をつけてもらう際に懸念されるのが、遺族が思い描くイメージと異なる戒名になってしまうことです。
つけてもらう場合も、故人のイメージを踏襲したうえで菩提寺から戒名をつけてもらえますが、遺族以上にイメージを汲み取れるとは考えられません。
故人の意向や性格を理解して戒名をつけることで、故人の人柄を鮮明に思い出すためのきっかけつくりにもなるでしょう。
故人への思いが変化する
戒名を菩提寺につけてもらうと、どこか他人事のような感覚になってしまうことがあるかもしれません。
自分でつけることで悲しい別れを美しいものにしたいという思いが芽生え、故人の人柄や故人との思い出などを振り返る機会にもなるでしょう。
たかが名前と言ってしまえばそれまでですが、大切な名前としてつけることで、故人を敬う気持ちが変化します。
依頼する時の費用相場と注意点
自分で戒名をつける意味やメリットを把握したうえで「やはり戒名は本職の僧侶につけてもらいたい」と考える方もいるでしょう。
戒名を依頼する際の費用相場や注意点について、さまざまな観点で解説します。
オンラインで作成する場合
オンラインで戒名の作成を依頼する場合の費用相場は、作成するサイトによって異なるのが特徴です。
●オンライン戒名の費用参考表
信教
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一般戒名
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特別戒名
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浄土宗・天台宗・真言宗・曹洞宗・臨済宗・
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2万円〜(信土・信女)
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5万円〜(居士・大姉)
15万円〜(院居士・院大姉)
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浄土真宗(東・西)
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2万円〜(釋・釋尼)
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要相談(院釋・院釋尼)
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日蓮宗
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2万円〜(信土・信女)
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5万円〜(院信士・院信姉)
10万円〜(院日信士・院日信姉)
10万円〜(院日信士・院日信姉)
15万円〜(院居士・院大姉)
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費用相場の参考サイト:お坊さん.jp
2万円から作成対応可能なサイトも多いので、まずはサイトから直接問い合わせてください。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、対面で戒名を授けてもらうことに抵抗を感じる方もいます。
オンラインであれば、感染症対策を考えずに理想の戒名をつけてもらえるでしょう。
ただし、サイトの混雑状況によっては順番待ちが発生したり、費用相場が異なったりするため、注意してください。
宗派ごとの戒名の違いについては下記記事をご参考ください。
・真言宗はどんな戒名をつけるの?戒名の意味から真言宗の戒名の特徴、生前戒名まで徹底解説!
・戒名とは?浄土宗の戒名の特徴から他宗の特徴、生前戒名まで徹底解説!
流産した赤ちゃんに戒名をつける場合
流産した赤ちゃんに戒名をつけることを「水子戒名」といいます。
水子戒名の費用相場は、以下の通りです。
供養
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費用相場
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写経
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千〜2千円
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読経
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1〜3万円
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戒名・位牌
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3〜5万円
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石仏地蔵尊造仏
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8〜30万円
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地蔵尊参拝
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3〜5万円
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つちぼとけ
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3千円〜
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写仏
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3〜5万円
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水子戒名の費用相場は、供養の仕方によって変動します。
水子戒名を依頼する際は、できるだけ信仰のあるお寺に依頼するようにしてください。
死への捉え方が異なるという理由で、神社には頼めないので注意しましょう。
また、水子戒名をおこなわない宗派のお寺もあるため、事前に調べておくことをオススメします。
戒名をつけないリスクも知っておく
気をつけておきたいのが、戒名がないことで納骨できなくなるリスクです。
寺院に墓地がある場合は特に注意しなければなりません。
戒名がないと仏弟子として認定されないため、戒名があることを納骨の条件にしている寺院もあります。
寺院との関わりを断つ選択肢がない場合は、戒名をつけない選択肢は避けるべきです。
また、戒名をつけていないという事実そのものを親族から批判される可能性もあります。
戒名はつけるのが当たり前と考えている地域も多いことから、戒名をつけていない理由を無視して批判されることもあるでしょう。
戒名をつけない場合は、理由を含めて親族が納得するまで話し合ってください。
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まとめ
今回は、戒名を自分でつける場合に押さえておきたいポイントを紹介しました。
菩提寺の理解を得ることで、戒名は自分でつけられますが、戒名の構成や自分でつけるための基本的なステップなど、しっかり把握しておくことが大前提です。
また、生前に戒名をつけることは費用を抑えるだけでなく、故人のイメージや人柄に合った戒名で送り出してあげられ、さらに故人への思いを見つめ直す機会にもなるでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
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