お彼岸の時期になるとお墓参りなどを行う方もいるでしょう。毎年の習慣として親戚同士で集まる方もいると思います。
しかし、習慣として取り組んでいるものの具体的な日程や準備などを詳しく把握できていない方もいるのではないでしょうか?
今回はお彼岸期間の具体的な決め方や準備すべきことなどを詳しくご説明します。自分がスケジュール等を決める側となった時に慌てないようきちんと確認しておきましょう。
INDEX
お彼岸(ひがん)とは?
ご先祖様にしっかり思いを馳せるために正しい認識を持ってお彼岸を過ごしたいですよね。そのためにまず、期間などに関する基本的な知識を確認しておきましょう。
お彼岸とはなにか?
「お彼岸」とは、お墓参りや法典を行いご先祖様の供養をする伝統行事のこと。家族や親戚一同で集まるという方も多いでしょう。
お彼岸の起源
このお彼岸という言葉は「波羅蜜多」を表すサンスクリット語が起源です。煩悩が溢れている現世(此岸)にいる者が、六波羅蜜の修行によって悟りの境地(彼岸)に辿り着けるようにするという意味が込められています。
つまり「自分が死後無事に極楽浄土へ逝けるようにする修行期間」と言えるのです。
春彼岸と秋彼岸とは?
このお彼岸は「春彼岸」「秋彼岸」というように季節ごとで年に2回あります。具体的な期間は以下の通りです。
・春分の日及びその前後3日間を合わせた7日間
・秋分の日及びその前後3日間を合わせた7日間
つまり、お彼岸自体は春と秋を合わせて14日間あるということですね。春分の日と秋分の日を起点にして考えるとわかりやすいでしょう。
お彼岸については下記記事もご参考ください。
・お彼岸はいつから?お彼岸の時期や意味、お彼岸の準備やマナーまで完全解説!
・オンライン法要配信!秋の彼岸オンライン合同法要を行いました!
・秋の彼岸オンライン合同法要を開催いたします!
彼岸入り・彼岸の中日・彼岸明けについて
お彼岸は春と秋それぞれで7日間行われるもの。このように複数日数に渡って行われるため、お彼岸期間の「開始・真ん中・終了」には呼び方があります。それぞれ確認しましょう。
彼岸入り
まず、春と秋それぞれのお彼岸の初日を「彼岸入り」と呼びます。
彼岸の中日
そして、季節ごとのお彼岸期間においては「春分の日」「秋分の日」がそれぞれ真ん中に位置するものです。これらの祝日を「彼岸の中日」と呼びます。
彼岸明け
さらにお彼岸の7日目は最終日にあたるため「彼岸明け」と呼ぶのが一般的です。
上記のように、お彼岸期間は春分の日と秋分の日を基準にして決まります。この日は両方とも祝日ですが、毎年同じ日付ではありません。国立天文台が計測した地球と太陽の動きを基に毎年2月1日に翌年分の日付が発表されるのです。
毎年日付が異なるため、家族や親戚同士で集まる場合はきちんと確認しておきましょう。
お彼岸とお盆の違い
お彼岸とお盆のいずれも、お墓参りをしてご先祖様に手を合わせるという部分は変わりません。しかし期間や厳密な意味合いは異なるので注意しましょう。
お彼岸は極楽へ行くための修行期間
まず、お彼岸期間は先述の通り「春分の日と秋分の日のそれぞれを真ん中として前後3日間を合わせた7日間」となっています。意味としてはご先祖様の供養という側面もありますが、自分が死後に極楽浄土へ行くための修行期間であるという捉え方が強いです。
お盆は先祖供養の意味合いが強い
一方でお盆の期間は、地域によっても異なりますがだいたい8月13日〜16日頃になります。
こちらはご先祖様の供養をするという意味合いが強いです。
あの世から帰ってくる魂を迎え火で迎え入れて、供養が終わったら再び送り火で送り出します。
お盆については下記記事もご参考ください。
・お盆はいつから?お盆の期間からその準備、お盆の過ごし方まで徹底解説!
・お盆の期間はどれぐらい?地域によって異なる期間からお盆の過ごし方まで徹底解説!
・お盆(盂蘭盆会)とは?期間・意味・マナーを完全解説!
2024年のお彼岸の期間は?
それでは2024年のお彼岸の期間を確認しておきましょう。
春のお彼岸
2024年の春のお彼岸の期間は以下の通りです。
・彼岸入り→3月17日(日)
・彼岸の中日(春分の日)→3月20日(水)
・彼岸明け→3月23日(土)
秋のお彼岸
続いて2024年の秋のお彼岸の期間は以下の通りです。
・彼岸入り→9月19日(木)
・彼岸の中日(秋分の日)→9月22日(日)
・彼岸明け→9月25日(水)
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お彼岸の準備
お彼岸は数日に渡って先祖の供養を行うための日です。そのため以下のような準備をしておき、気持ちよく彼岸入りを迎えられるようにしておきましょう。
仏壇やお墓の掃除
ご先祖様と縁のある仏壇とお墓の掃除をしておきましょう。特に普段忙しくてお墓参りに行けない方の場合は、こうした機会にしっかり綺麗にしておくことが大切です。
お墓の掃除
お墓の掃除をする道具は寺院や霊園で借りることもできますし、自前の道具を持参しても問題ありません。
掃除をするのは「墓石」「墓石の周囲」です。墓石を掃除するときは、スポンジ・たわし・ブラシ・布などで丁寧に拭きます。ただし墓石には天然石が使われていることが多いため、洗剤などは使わない方が良いでしょう。
墓石の周囲を掃除する際は、雑草やゴミなどを取り除き水で綺麗に洗い流します。土が付いているため、雑草を入れるための袋を用意しておきましょう。
また、植木があるお墓なら枝を剪定しておくのも良いですね。より念入りに綺麗にする場合は消毒をするのも一つの手です。
ただし隣のお墓との距離が近い場合は、水やゴミが侵入しないように気をつけてください。
お墓については下記記事もご参考ください。
・墓じまいとは?墓じまいの流れから費用の内訳・マナーまでを完全紹介!
・意外とお葬式以上にお金が掛かる「お墓に関する費用」
・墓じまいから永代供養にするまでの流れ、永代供養墓の種類・選び方から注意点まで徹底解説
お供え物の準備
お墓参りの際にお供えするものを準備しましょう。お彼岸のお供え物としては以下のような品物を選ぶことが多いです。
・お花
・果物
・お菓子
・故人が好きだった食べ物
・ぼたもち(春)
・おはぎ(秋)
お供え物はお墓参りが終わったら持ち帰るため、上記のように手軽に持ち運べて消費できるものを選ぶと良いでしょう。
ちなみにぼたもちもおはぎも厳密には同じものですが、お彼岸の季節によって呼び方が異なります。「ぼたもち」は春に咲く牡丹が基になっており、「おはぎ」は秋の七草である萩が基になっています。
また、お供え物を直接墓石に置くとシミになることがあるため、下に敷くための半紙も準備すると良いでしょう。
供物については下記記事もご参考ください。
・供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!
・初盆とは?お供えは何を用意すべき?基礎知識やマナーを徹底解説!
・初七日とは?意味・数え方・お供え・お経・知っておきたい常識とマナー
お彼岸の過ごし方
お彼岸の過ごし方はある程度決まっています。お彼岸期間に慌てないよう、彼岸入りを迎える前に過ごし方を確認しておきましょう。
彼岸会
お彼岸期間に行う仏事全般を指します。具体的には、僧侶を呼んで行う法要・お墓参り・お寺参りなどです。
この彼岸会では、参列者が寺院に集まり故人を供養するだけでなく「六波羅蜜に関する教えを会得する」ということを行います。
これは日本独自のものであり、お盆付近に行う「盂蘭盆会(うらぼんえ)」や毎日行うこともある「施餓鬼会(せがきえ)」と合わせて、大切な習慣として続いているのです。
僧侶にお渡しするお布施
なお、この彼岸会を行う際は僧侶に渡すお布施も準備しましょう。金額は3,000〜5,000円程度で大丈夫です。
表書きに「お布施」と記載した上で奉書紙で包むのが理想ですが、難しければ白い無地の封筒でも問題ありません。
お布施については下記記事もご参考ください。
・お布施を完全解説!意味・相場・表書き・裏書などを解説!
・3分で分かる法事のお金の相場(香典・お布施):お金の入れ方と袋の書き方!
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お墓参り
お墓参りに行く時期
お墓参りは、本来であればお彼岸の中日である「春分の日」「秋分の日」に行くのが望ましいとされています。
しかし現在では参列者の仕事の都合や天候などに合わせることが多く、お彼岸期間であればどこでお墓参りをしても問題ありません。基本的には家族や親戚が揃いやすい日程を選べば良いでしょう。
ただし、習慣として祝日である彼岸の中日や期間内の土日を選ぶ方も多いです。そのため、この期間にお墓参りをする場合は混んでいる可能性も考慮しましょう。
また、先ほど「お彼岸前の準備」として仏壇やお墓の掃除を挙げましたが、お墓参りの際に掃除をしても構いません。
特に遠方であればお彼岸当日以外はお墓のある場所へ行けない可能性もあるため無理はしなくて大丈夫です。
お墓参りに必要なもの
お墓参りの際は以下を忘れずに持参しましょう。
・お供え物
・お供えする花
・ライターあるいはマッチ
・線香
・ろうそく
・(掃除をする場合)掃除道具
このように日本ではお彼岸期間にお墓参りを行いますが、実は仏教発祥の地であるインドなどには「お彼岸にお墓参りをする」という習慣がありません。日本独自の習慣として浸透した背景には浄土教の考え方が関係しています。
浄土教では「極楽浄土は西にある」という考え方が一般的です。そして春分の日と秋分の日は昼と夜の長さがほぼ同じであるため、太陽が真東から昇り真西に沈みます。
つまり、「太陽と極楽浄土が同じ線上にある日に故人の供養を行うと自分も死後に極楽浄土へ逝ける」という考えからお墓参りの習慣が定着したのです。
お墓については下記記事もご参考ください。
・お墓ディレクターとは?お墓ディレクターの受験方法や難易度、お仕事内容まで徹底解説!
・お墓についての一番の悩み:墓じまいを完全解説
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精進料理
お彼岸期間中は精進料理を食べるのが一般的です。仏教の教えでは「殺生をしてはいけない」とあるため、肉や魚などはもちろんかつお節や煮干しのダシも使いません。また「煩悩を刺激する」と言われるニンニクやネギなどの臭みの強い食材も使わない方が良いでしょう。
こうしたことを考慮し、精進料理としては以下のような品目を用意することが多いです。
・天ぷら
・そば(うどん)
・いなり寿司やちらし寿司
・赤飯
・がんもどき
・筑前煮
・高野豆腐
下記記事もご参考ください。
・おとき(お斎)とは?意味とマナーと香典相場を3分で解説!
お彼岸のお墓参りに用いられる花
お彼岸期間中のお墓参りの際はお花を供えます。地域によって多少異なることもありますが、基本的には故人が好きだった花や季節の花を供えてあげると良いでしょう。
以前は「棘のある花」「毒性のある花」「香りがきつい花」などはお供えにふさわしくないと言われていました。しかし最近では、そこまで気にしないことも多いようです。
このように供花選びに関してそこまで縛りはありません。もしどうしても選べる自信がなければ、以下のようなお花を選んでおけば問題ないでしょう。
お墓参りの時に慌てないよう、彼岸入りまでにきちんと確認しておくことが大切です。
春のお彼岸
春のお彼岸には以下のようなお花を選ぶと良いでしょう。
菊・カーネーション・スイートピー・スターチス・トルコキキョウ・ユリ・キンセンカ・ランetc
秋のお彼岸
秋のお彼岸には以下のようなお花を選ぶと良いでしょう。
菊・カーネーション・トルコキキョウ・キキョウ・ユリ・リンドウ・ラン・ソリダコetc
このように春と秋で多少お花の種類は異なりますが、現代ではそこまで気にしすぎる必要もないでしょう。
また、もし「お彼岸期間にお墓参りなどはできないがお花だけでも贈りたい」という場合は、彼岸入りの午前中か前日までには届くようにしておきます。
遅くても彼岸の中日までに相手の手元に届いていればお墓参りに使ってもらえるかもしれません。
ただし、お花を贈る際は「相手の在宅日時」を確認してからにしましょう。留守中に届いてしまうと、お花が枯れてしまう可能性があります。
弔事での花については下記記事もご参考ください。
・供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!
・知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!
・枕花とは?枕花の贈り方から贈る際の注意点、枕花に用いる花の種類まで徹底解説!
彼岸の入りについてのまとめ
以上が彼岸入りなどお彼岸に関する知識のまとめです。最後に今回ご紹介した内容を振り返っておきましょう。
◎「お彼岸」とは、お墓参りや法典を行いご先祖様の供養をする伝統行事のこと。このお彼岸という言葉は「波羅蜜多」を表すサンスクリット語が起源。
◎お彼岸は「春彼岸」「秋彼岸」というように年2回あり、期間は以下の通り。
・春分の日及びその前後3日間を合わせた7日間
・秋分の日及びその前後3日間を合わせた7日間
◎春と秋それぞれのお彼岸の初日を「彼岸入り」、春分の日と秋分の日を「彼岸の中日」、7日目の最終日は「彼岸明け」と呼ぶ。
◎お彼岸期間は「春分の日と秋分の日のそれぞれを真ん中として前後3日間を合わせた7日間」だが、お盆はだいたい「8月13日〜16日頃」である。また、お彼岸は自分の死後に極楽浄土へ行くための修行期間であるという捉え方が強いが、お盆はご先祖様の供養をするという意味合いが強い。
◎2024年のお彼岸の期間は以下の通り。
①春のお彼岸
・彼岸入り→3月17日(日)
・彼岸の中日(春分の日)→3月20日(水)
・彼岸明け→3月23日(土)
②秋のお彼岸
・彼岸入り→9月19日(木)
・彼岸の中日(秋分の日)→9月22日(日)
・彼岸明け→9月25日(水)
◎お彼岸では以下の準備を行う。
①仏壇やお墓の掃除
②お供え物の準備
◎お彼岸では以下のようなことをして過ごす。
①彼岸会を行う
②お墓参りをする
③精進料理を食べる
◎お彼岸のお墓参りに用いられる花は以下の通り。
①春のお彼岸に使う花
菊・カーネーション・スイートピー・スターチス・トルコキキョウ・ユリ・キンセンカ・ランetc
②秋のお彼岸に使える花
菊・カーネーション・トルコキキョウ・キキョウ・ユリ・リンドウ・ラン・ソリダコetc
◎お花を贈る場合は、彼岸入りの午前中か前日までには届くようにする。
これまで習慣としてなんとなくお彼岸の時期にお墓参りなどをしていた方も多いかと思います。もちろんそれは間違いではありません。
しかし、お彼岸の起源を知り正しい心持ちで彼岸入りを迎えた方が気持ち的にも正されることでしょう。今年のお彼岸からは是非、今回ご紹介したことを意識してお墓参りなどをしてみてください。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
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