お通夜は一般的には亡くなった翌日に通夜、翌々日に葬儀が執り行われます。しかし亡くなった時間や火葬場の空き、親族の都合で日程が大きく変わることも。通夜をいつ執り行うか、最適な日付決定のポイントを葬祭プロが解説します。
近しい方が亡くなったらお通夜と葬儀を行うのが慣例です。とはいえ、会場の都合やご遺族側の事情などで上手く日程調整ができないこともあるでしょう。そのような時に「いつまでにお通夜を行えば良いのだろう?」と不安を感じる方もいるかもしれません。
今回の記事では、そのような不安を抱える方に向けて「お通夜のタイミング」などをメインにご紹介します。どのような準備をするべきかなどについてもご説明しているので、いざという時に慌てず対応できるようにしておきましょう。
INDEX
お通夜とは?
まずはお通夜に関する基本的な知識を押さえておきましょう。
お通夜とは?
「お通夜」とは、一般的に故人が亡くなった翌日に行われる儀式のこと。葬儀・告別式が始まる前にご遺族や近しい親戚などが集まり、ロウソクの火を灯し続けることで夜通し故人を偲ぶというのが主な目的です。
とはいえ現代では実際にそれだけ長い時間儀式を行うことはほぼありません。基本的には、亡くなった翌日の18時頃からお通夜が始まり、弔問客を迎えて僧侶による読経や「通夜振る舞い」と呼ばれる会食を行い解散となります。
通夜については下記記事もご参考ください。
・お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!
・仮通夜を完全解説!本通夜と半通夜との違いと喪主・参列者のマナーを紹介!
・意外と知らないお通夜の流れとマナー
神道におけるお通夜
神道では、お通夜に相当する儀式として「通夜祭」というものを行います。仏教であるお通夜は寺院で行われることが多いので、通夜祭も神社で行うイメージがあるかもしれません。
しかし実際は自宅で開催することが多いです。これは「死=穢れ(汚れではない)であるため神様のいる神社に持ち込んではいけない」という考えから来ています。
また、通夜祭では僧侶の読経は行いません。それに相当するものとして、神職による「祭司の奏上」が行われます。
神道(神式)については下記記事もご参考ください。
・神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説
・仏式とは?意味・流れ・マナー・神式との違いを解説!
キリスト教におけるお通夜
キリスト教には、そもそもお通夜に相当する概念がありません。しかし日本国内においては、お通夜の慣例に合わせてそれに準ずる集まりが行われることがあります。
この集まりはそれぞれ、プロテスタントでは「前夜式」、カトリックでは「通夜の集い」と呼ばれています。
プロテスタントの「前夜式」
プロテスタントである前夜式の一般的な流れは、「讃美歌斉唱→聖書朗読→牧師による説教→喪主の挨拶→讃美歌斉唱」というもの。
カトリックの「通夜の集い」
一方、カトリックである通夜の集いでもそこまで大きく流れは変わりません。「聖歌斉唱→聖書朗読→神父による説教→喪主の挨拶」という流れになることが多いです。
喪主の挨拶については下記記事もご参考ください。
・喪主の挨拶とは?葬儀・告別式の文例・言葉!失敗しないマナーを徹底解説!
・家族葬でも喪主の挨拶は必要?家族葬で喪主が挨拶する際の内容やタイミング、例文を完全解説!
通夜を行うタイミングに明確な決まりはない
このように、慣例としては「故人が亡くなった翌日」にお通夜を行うことが多いです。しかしだからと言って、必ず翌日に行わなければいけないというものでもありません。そもそもお通夜を行うためには、葬儀場や火葬場の空き状況、僧侶のスケジュール等を合わせる必要があります。
そのため上手くスケジュールが調整できなければ少し時間が空いてしまうこともあるでしょう。
故人が亡くなった時間により異なる
さらに、故人が亡くなった時間によってもお通夜のタイミングは異なります。
早朝に亡くなった場合
例えば故人が早朝に亡くなった場合、その亡くなった当日の夕方頃にお通夜を行うこともあります。
夜遅くに亡くなった場合
また、午後の遅い時間に亡くなった場合は翌日までにお通夜の準備をするのが厳しいかもしれません。その場合は翌々日に行うこともあります。
このようにその時の状況に応じてお通夜のタイミングは変わるため、あまり気にしすぎる必要はありません。とはいえあまり時間が空いてしまうとご遺体の保管も難しくなるため、なるべく早めに行った方が良いでしょう。
通夜の日程については下記記事もご参考ください。
・葬儀日程の決め方とは?通夜・葬式・法事法要の日程の決め方を完全解説!
・お通夜の開始時間と所要時間は?流れ・遅刻する場合の対応方法!
・亡くなった日にお通夜ができる地域もあれば、1週間以上待つ地域もある
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お通夜のタイミングの決め方
このようにお通夜のタイミングに明確なルールがあるわけではありません。しかしある程度基準が無いとなかなか決めにくいですよね。
そこでここからは「お通夜のタイミングの決め方」について詳しくご説明していきます。以下の要素を考慮しながらお通夜のタイミングを決めると良いでしょう。
火葬場の予約状況
まず火葬場の予約を確認しておきましょう。お通夜の翌日に葬儀・告別式を行い、その後火葬を行うのが一般的な流れです。儀式の日程だけ決めても火葬場の予約が取れなければご遺体の火葬ができないので注意しましょう。
>>火葬場の選び方と利用方法!東京都の火葬場の特徴・使用料金・利用方法を解説!
順番待ちになる場合も
公営の火葬場は費用が安く人気であるため順番待ちになることも多いです。また年末年始で火葬場が休みに突入していると、休み明けに予約が集中するかもしれません。さらに、温度変化の激しい真夏や真冬も亡くなる方が増えると言われています。
このように時期や火葬場の種類によっても予約が取りにくいことがあるので、速やかに空き状況を確認してなるべく早い日程で予約をしておきましょう。
火葬場については下記記事もご参考ください。
・火葬場の使用料金とは?地域で大きく違いのある火葬場の使用費について
・火葬場の選び方と利用方法!東京都の火葬場の特徴・使用料金・利用方法を解説!
親族の都合の合う日程
人の不幸は突然訪れることも多いです。できれば、ご遺族や近しい親族、友人など全ての方が参列し故人とお別れをするのが理想ですが、現実的に難しいこともあります。中には仕事の都合や居住地が遠方のためすぐには駆けつけられないということもあるでしょう。
その場合は、故人との関係性を考慮してお通夜の日程を決めることになります。故人と近しい関係だった方が遠方の場合はその方が参列できるように少し時間を空けたり、反対にすぐ集まれそうなら翌日にお通夜の日程を定める、というように調整するのです。
友引
友引とは、中国が起源と言われる「六曜」の考え方の1つ。「慶事は仏滅を避けて大安に行う」というように使われることが多いです。
この六曜は本来仏教とは無関係なため、お通夜の日程を決める上で特に気にする必要はありません。
しかし現代では、その単語のイメージから「友引=弔事が友を引き連れて行く」というようにネガティブな連想をされることが多いです。そのため、友引にお通夜や葬儀などの弔事を行うことに抵抗を感じる方もいます。
本来仏教の考えとは関係が無いものですが、参列者の中にはそうした習わしを気にする方もいるため友引の日を避けてお通夜の日程を決めても良いでしょう。ただし、友引の日は火葬場自体が定休日となっていることもあるので注意してください。
友引については下記記事もご参考ください。
・友引に通夜を行ってもよい?友引と通夜と葬儀の関係を完全解説!
・友引に葬式が行われない理由とは?葬式の日取りの決め方についても解説
亡くなってから24時間は経たないとだめ
このように様々な要因を考慮してお通夜のタイミングを決めるのですが、火葬に関しては「亡くなってから24時間以上経過しないとできない」というルールがあるので注意してください。これは「墓地、埋葬などに関する法律」の中で定められています。
そのため、先ほど「なるべく早めに日程を決めた方が良い」と述べましたが、あまり早すぎても24時間以内に火葬を行うことになるのでダメということです。
通夜の流れ
続いてはお通夜の流れについても確認しておきましょう。
タイミングに関してはご遺族の状況によって異なりますが、お通夜の流れは基本的にどの場合でもほぼ変わりません。
事前準備
まずはお通夜の準備から行います。故人が亡くなってからお通夜までは、そこまで時間の余裕があるわけではありません。
具体的には以下の準備を行います。
準備の流れ
①火葬場や葬儀場の予約
先ほどご説明した通り、お通夜の日程は火葬場や葬儀場など場所の空き状況によって左右されます。葬儀社と相談してなるべく速やかに日程を決めて予約しましょう。
②お通夜と葬儀の日程を知らせる
日程が決まったら具体的な日時を参列者の方にお知らせしましょう。基本的には、電話・FAX・メール等で伝えます。ただし、故人との関係性が深いような方であればLINE等のSNSで伝えても良いでしょう。
伝える優先順位としては、「親族→故人の友人→会社(あるいは学校)関係者→自治会など近所の方」が理想です。代表者がいるならその方に伝えるとスムーズでしょう。お知らせをする際には以下の事項も忘れずに伝えてください。
●故人の名前
●お通夜と葬儀の日時
●喪主の名前
●亡くなった日時
●連絡先
>>訃報の連絡はどう送る?伝えるべき内容から範囲、例文まで徹底解説!
>>訃報をメールで伝えるときの文例・マナーを完全紹介!マナーと注意点を解説!
③返礼品を準備する
お通夜や葬儀に参列した方へのお礼の品物も準備しておきましょう。葬儀終了後に郵送する場合もありますが、最近では受付で渡すことも多いです。絶対的なルールは無いので、ご遺族が対応しやすい方法で渡しましょう。葬儀会社に準備してもらっても良いですし、ご遺族で決めても構いません。
>>香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!
④通夜振る舞いの注文をする
お通夜の後には、参列者や僧侶の方を集めて通夜振る舞いという会食を行うのが一般的です。ご自身で予約をしても良いですが、葬儀社を通じて注文をすれば人数に合わせて準備してくれます。
>>おとき(お斎)とは?意味とマナーと香典相場を3分で解説!
⑤お手伝いの方(世話役)を決める
喪主やご遺族は、お通夜当日に参列者への挨拶回りや僧侶の対応、葬儀会社への進行確認など様々な仕事をこなす必要があります。そのため受付対応や会場案内、会計など事務的な面までは手が回りません。
>>葬儀の受付を頼まれたら?葬儀の受付の流れから注意点まで完全解説!
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そんな忙しい喪主やご遺族に代わり、お通夜や葬儀当日の実務的な面を取り仕切る方が「世話役」です。
規模が大きくなるほどこの世話役の人数も必要になります。世話役は、親族や会社関係者の中から選ぶことが多いです。なお葬儀終了後は、世話役の方々に「心づけ」という形でいくらかお礼のお金を渡しましょう。
心づけについては下記記事もご参考ください。
・心付けとは?心付けの相場や渡し方を徹底解説!
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受付
ここからはお通夜当日の流れになります。まずは受付で参列者の方に記帳をしてもらいましょう。記帳してもらった名前と住所を基に返礼品やお礼状を郵送するので抜け漏れが無いように書いてもらいます。また、参列者はお通夜の1時間〜30分くらい前には到着することが多いので、早めに現地入りをしておくのが大切です。
香典はこの受付の段階で受け取っておきます。参列者からお悔やみの言葉を伝えられることが予想されるのできちんとお礼も述べましょう。受け取った香典はすぐに会計係に渡し管理をしておきます。
>>香典金額の相場を完全解説!地域別の金額・書き方・包み方・渡し方も紹介!
最近では「芳名カード」というものを活用する場合もあります。カードに参列者の情報を書いてもらいそれを香典と一緒に保管しておくことで管理がしやすくなります。記帳以外でもこうした便利な方法があるので活用してみると良いでしょう。
読経と焼香
お通夜開始の15分くらい前から、徐々に親族や参列者が着席し始めます。基本的には前から詰めて着席しますが、ご遺族はもちろん葬儀の実務を仕切っている方や親しい友人、会社関係者などは前列に座ることが多いです。
僧侶の出迎え方法
全員が着席したら僧侶が入場します。僧侶の出迎え方法は宗教によって様々です。以下のような種類が多いので、故人の宗教に合わせて行いましょう。
●ご遺族だけが起立して出迎える
●全員で合掌して出迎える
僧侶も着席したら読経が始まります。読経時間は30分前後が多いです。
読経開始後、しばらくすると僧侶や葬儀会社担当者から焼香の誘導が行われます。焼香の順番は「ご遺族→親族→その他の参列者」となるのが一般的です。席順通りに前から焼香をしていけば問題ないでしょう。
説法
読経と焼香が終わったら、僧侶による説法(法話)の時間です。ここでは仏教に関する教えを話してもらいます。
説法まで完了したら僧侶は退場します。退場時は出迎えの時と同じ方法で見送ることになるので、司会者からの案内を確認しておきましょう。
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喪主挨拶
僧侶が退場したら最後は喪主による挨拶で締めます。そこまで長々と話す必要はありません。今回参列していただいたことへのお礼と、この後の案内についてを手短に伝えましょう。ここまででおよそ1時間ほどです。
喪主挨拶については下記記事もご参考ください。
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通夜振る舞い
儀式が終わったら「通夜振る舞い」という会食を行います。時間は約1〜2時間ほどです。
喪主やご遺族はこの通夜振る舞いの席で参列者のテーブルを回り、本日参列していただいたことへのお礼を伝えていきましょう。参列者は故人との思い出話に花を咲かせることが供養となります。
通夜振る舞い(お斎)については下記記事もご参考ください。
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御膳料について
この通夜振る舞いには僧侶も参加することが多いです。しかしスケジュールの関係で参加できないこともあるでしょう。その場合は「御膳料」を忘れずに渡してください。
御膳料については下記記事もご参考ください。
・御膳料とは?相場と渡し方と注意点とマナーを解説!
お通夜に参列する際のマナー
お通夜を主催する側は、上記の進行をきちんと把握しておきスムーズに案内できるようにしておくのが大切です。
参列者の方に関しては、以下の点に注意してお通夜に伺いましょう。
参列する際の服装
男女共に黒や地味な色の服装が基本です。
男性の服装
男性の場合は、黒色などの上下スーツを着用します。ワイシャツは白を身に付け、ネクタイ・靴・靴下などは基本的に黒で統一しましょう。靴に関してはあまり光沢が無いものを選びます。
女性の服装
女性の場合は、黒色などのパンツスーツやワンピース、アンサンブルを着用すればOKです。ストッキング・靴・小物入れなども黒で統一しましょう。アクセサリーに関しては、結婚指輪以外は外しておきます。身につけるとしても真珠の一連ネックレスが無難です。
弔事の服装については下記記事もご参考ください。
・お通夜のマナーとは? 服装や香典マナー、流れを喪主側参列者側で徹底解説!
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忌み言葉を使わない
お通夜では、通夜振る舞いの場などでご遺族と少し話す時間があります。この時は、故人を偲ぶ言葉やご遺族への労りの気持ちを伝えることが大切です。
ただしお通夜などの弔事においては、言ってはいけない「忌み言葉」があります。これらの言葉は日常生活であれば特に気になりませんが、ご遺族にかける言葉としては不適切なため気をつけましょう。
具体的には以下のような言葉が忌み言葉に該当します。
まず「再び・次々・これからも・引き続き・またまた・追って・この先も・重ね重ね」などは、不幸の連鎖をイメージさせるため避けましょう。
そして「死亡・生きる・生存」など、直接的に人の生死を表現した言葉もご遺族を悲しませる恐れがあります。
また「消える・苦しむ・浮かばれない」などの言葉も不吉なことをイメージさせるので言わない方が良いでしょう。
香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参する
お通夜ではご遺族の方に香典を渡します。この香典は受付で渡すことが多いですが、現金を包んだ香典袋をそのまま手渡ししないように気をつけましょう。
香典袋はまず袱紗に包んだ状態でバッグなどから取り出します。そして受付の方の前(あるいはご遺族の前)で丁寧に開き、表書きが相手からきちんと読めるようにして両手で差し出しましょう。この時にお悔やみの言葉も述べるのがマナーです。
お悔やみの言葉については下記記事もご参考ください。
・本当にいいの?お悔やみの言葉をメールで送る際の注意点を徹底解説!
・亡くなったときにかける言葉は?お悔やみの言葉の基本から注意点まで徹底解説!
焼香の作法は宗派によって異なる
焼香の作法は同じではありません。主に「線香の種類」「お通夜の会場」「故人の宗派」という3つの要素によって異なります。それぞれ確認しておきましょう。
①線香の種類による違い
焼香に使う線香には以下の2種類があり、それぞれで焼香の作法が異なります。
(1)抹香焼香
粉末状にした「抹香」と呼ばれるお香で焼香を行います。手順は以下の通りです。
焼香台の右側にある抹香を、右手の親指・人差し指・中指で摘む
↓
抹香を摘んだ指を額の高さにまで持ってくる
↓
指で摘んだ抹香を焼香台の左側にある「香炉」に落とす(ここの回数や細かい作法が宗派ごとで異なる)
(2)線香焼香
普段から馴染みのある棒状の線香で焼香を行います。手順は以下のとおりです。
右手にある線香にロウソクの火を移す
↓
火がついた線香を左手に持ち替え、右手であおいで火を消す(あるいは線香を動かして火を消す)
↓
線香を香炉に立てて合掌する
②お通夜の会場による違い
お通夜の会場による焼香作法の違いは3種類あります。
(1)立礼焼香
焼香を立ったまま行います。主に椅子席の会場で行われることが多いです。流れは以下のようになります。
ご遺族と僧侶に礼をして焼香台まで進む
↓
遺影に向かって合掌して礼をする
↓
焼香を行う
↓
遺影に向かって合掌し、ご遺族と僧侶に礼をしてから自席に戻る
(2)座礼焼香
座ったまま焼香を行います。会場が寺院や自宅などで畳の場合に行われることが多いです。流れは以下のようになります。
中腰で焼香台の手前にある座布団まで移動し、ご遺族と僧侶に礼をする
↓
遺影に礼をし、座布団に座って焼香を行う
↓
正座のまま遺影を見て合掌し、ご遺族と僧侶に礼をしたら腰をかがめたまま自席に戻る
(3)回し焼香
参列者が多い場合や小規模な会場である場合に行います。流れは以下のようになります。
焼香台(お盆)を受け取る
↓
香炉を置いて祭壇に礼をし、焼香を行う
↓
再び遺影に合掌し、次の人に香炉を渡す
③故人の宗派による違い
故人の宗派による違いは以下の通りです。
(1)浄土宗
抹香焼香:一連の動作を3回行う
線香焼香:1本の線香を2つに折って使う
(2)浄土真宗本願寺派
抹香焼香:摘んだ抹香を額まで上げずに香炉に1回だけ入れる
線香焼香:1本の線香を2つに折り寝かせる
(3)浄土真宗大谷派
抹香焼香:摘んだ抹香を額まで上げずに香炉に2回入れる
線香焼香:1本の線香を2つに折り火をつけずに立たせる
(4)曹洞宗
抹香焼香:1回目は額まで上げるが2回目は摘んでそのまま香炉に入れる
線香焼香:線香を1本だけ使う
(5)天台宗
抹香焼香:一連の動作を3回行う
線香焼香:線香を3本使う
(6)日蓮宗
抹香焼香:一連の動作を3回(あるいは1回だけ)行う
線香焼香:線香を1本だけ使う
(7)真言宗
抹香焼香:一連の動作を3回行う
線香焼香:線香を3本使う
(8)臨済宗
抹香焼香:一連の動作を1回だけ行う
線香焼香:線香を1本だけ使う
お通夜をいつやるかについてのまとめ
以上がお通夜のタイミングなどに関することです。最後に今回の内容を振り返っておきましょう。
◎「お通夜」とは、一般的に故人が亡くなった翌日に行われる儀式のこと。
◎神道では、お通夜に相当する儀式として「通夜祭」というものを行う。
◎キリスト教には、そもそもお通夜に相当する概念がない。しかし日本国内においては、お通夜の慣例に合わせてそれに準ずる集まりが行われることがある。
◎通夜を行うタイミングに明確な決まりはない。葬儀場や火葬場の空き状況、僧侶のスケジュール等が上手く調整できなければ時間が空くこともある。
◎お通夜のタイミングは以下のような基準で決めると良い。
●火葬場の予約状況
●親族の都合の合う日程
●友引かどうかを考慮する
◎亡くなってから24時間は経たないと火葬ができないので、お通夜の日程をあまり早めに決めすぎてもダメ。
◎一般的な通夜の流れは以下の通り。
事前準備を行う→お通夜当日の受付を行う→全員が着席したら読経を聞き焼香を行う→読経が終わったら僧侶の説法を聞く→全てが済んだら喪主の挨拶で締める→お通夜後に通夜振る舞いを行う
◎お通夜に参列する際のマナーは以下の通り。
●参列する際の服装は、男女共に黒や地味な色の服装が基本である
●忌み言葉を使わない
●香典は袱紗に包んで持参する
●焼香の作法は宗派によって異なる
このように、お通夜のタイミングに明確な決まりはありません。大切な方が亡くなった直後は精神的に大変な時期なので、追い討ちをかけるように急ぎすぎる必要もないということですね。
とはいえなるべく早めに火葬まで済ませた方が、ご遺族はもちろん故人も浮かばれるでしょう。葬儀会社や世話役の方の力も借りながら、最良の日程を見つけることがオススメです。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール