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御霊前の金額の書き方を完全解説!金額相場・書き方・渡し方を紹介!

Aug 21 2020

香典袋に記載することが多い「御霊前」。本記事では御霊前の書き方について詳しくご紹介していきます。香典袋に記載する住所、名前の書き方や中袋の入れ方のマナーについてだけでなく、薄墨の使い方や渡し方まで詳しく解説していきます。

通夜・告別式・法事・法要の連絡は、思いもよらず突然やってきます。突然の連絡に戸惑いながらも、色々と準備をしなくてはいけません。

戸惑う中でもすぐに思いつくものが『香典』のことではないでしょうか。

『香典=お金を包んでお持ちするもの』ではありますが、場面によって使用する封筒に違いがあったり、書き方にマナーがあるなど、注意しなくてはならない点が多くあります。 

香典のマナーや注意点を正しく知ることで、急な連絡があったとしても慌てることなく間違えることなく、正確に対応することができるでしょう。

ここでは様々種類のある香典の中でも『御霊前』について詳しく解説していきます。急な連絡に慌てず対応するためにも、ぜひ参考にしてください。

御霊前とは?

香典は、死者の霊前にそなえる「香(お線香)」に代わる金銭の事です。

「香」は、お線香の代わりにお供えする、「典(奠)」は、供える・まつるという意味があります。

香典と一言でいっても、通夜・告別式・法事・法要で使う香典袋には沢山の種類がありますが、『御霊前』と書かれた香典袋はいつ、どのタイミングに使用するのでしょう。

御霊前の『霊前』という言葉に注目してみましょう。 

霊前とは?

霊前は、『亡くなった方の霊を祭った場所(祭壇)の前』という意味です。

その霊前を丁寧な言い方にした言葉が『御霊前』です。亡くなった方の霊を祭った場所(祭壇)の前にお供えする金品。

という意味なので、『御霊前』と書かれた香典袋は、通夜・告別式など葬儀に参列する際に使用するものになります。

言葉の意味がわかれば、いつ・どのタイミングで使用するものなのかということがわかってきますね。

香典については下記記事もご参考ください。
香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!
葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!

四十九日法要後は「御仏前」となるので注意

仏式では四十九日法要後は、故人は極楽浄土へ行き仏となります。その為、「御霊前」ではなく「御仏前」となりますので注意が必要です。

四十九日法要については「四十九日法要のお布施を完全解説!相場・地域・宗派を詳しく紹介!」「四十九日の香典相場を完全解説!書き方・マナー・故人との関係別相場も紹介!」の記事もご参考ください。

御霊前の書き方(表書き)

それでは御霊前と書かれた袋はいつ使用するものなのか分かったところで、香典袋にどのように書いて行けばよいのか、ルールや決まりごとなどあるのか、しっかり確認していきましょう。

表書きの書き方

『御霊前』と書かれた香典袋は、亡くなった方の霊を祭った場所(祭壇)の前にお供えする金品という意味なので一般的に通夜・告別式に参列する際に使用します。

水引の上中央に『御霊前』と書かれているものを選びましょう。

香典袋の柄

『御霊前』と書かれている香典袋でも、白無地のものや、蓮の花が描かれているものなど様々な種類があります。

白無地や蓮の花が描かれているもの、どちらも仏式の通夜・告別式に使用しても失礼にはなりません。

どちらを選択するかは、ご自身の好みで選ばれるとよいでしょう。

表書きに『御霊前』など何も書かれていない無地の香典袋を選んだ際は、水引上中央に『御霊前』と記載して使用するようにしましょう。

故人の宗教宗派での注意点

『御霊前』と書かれた香典袋は、通夜・告別式に参列する際に使用するのですが、どんな葬儀の方法で行われる通夜・告別式でも使用してよいわけではありません。

ほとんどの通夜・告別式などの葬儀は、故人の方が生前信仰していた宗教を優先し大切にすることが供養になるため、信仰していた宗教に則って取り行われます。

その多くは、仏式・神式・キリスト教式にて執り行われます。 

では『御霊前』と書かれた香典袋は、どの形式で行われる時に使用すればよいのでしょう。

仏式の場合

仏式の形式で取り行われる通夜・告別式の場合は、『御霊前』と書かれた香典袋の使用が一般的です。 

仏式については「仏式とは?意味・流れ・マナー・神式との違いを解説!」の記事もご参考ください。

神式・キリスト教の場合

神式の場合は、「御玉串料」「御榊料」「御神前」「御花料」などの表書きが書かれているものや、白百合や十字架などが描かれているもの、キリスト教の場合は「弔慰料」・「御ミサ料」などの表書きが書かれているものを使用するとよいでしょう。

神式については「神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説」の記事もご参考ください。

浄土真宗の場合

浄土真宗では、霊の概念はありません。そのため、故人が浄土真宗の場合は「御霊前」は適しません。「御仏前」と書きましょう。

曹洞宗の場合

曹洞宗の場合も真宗と同様に霊の概念はありません。「御香典」「御仏前」が適しています。

相手の宗派が分からない場合

どうしても宗派がわからない場合は、『御香典』と書かれた香典袋を使用するのが一般的ですが、できる限り失礼のないように、宗教宗派を確認して準備するようにしましょう。

無宗派については「仏教のお葬式と何が違うの?無宗教で行うお葬式」の記事もご参考ください。

香典袋については「香典の袋の書き方を完全解説!金額相場・書き方・渡し方を紹介!」「香典袋の正しい書き方を完全解説!表書き・中袋・名前・その他のマナーも紹介!」の記事もご参考ください。

名前の書き方(1人の場合)

通夜・告別式、葬儀に1人で参列し、一個人として『御霊前』をお持ちしお渡しする際の名前の書き方について解説していきます。

自身の名前は、フルネーム(姓と名)で、水引下の真ん中あたりに丁寧に記載します。

水引上には『御霊前』と書かれているので、大きくずれないよう、御霊前の文字下になるように記載するときれいに書くことができます。 

名前を記載する時は、御霊前の文字よりも少し小さめに書くのが基本です。

主張しすぎず、名前は控えめな大きさで書くようにしましょう。会社名や肩書を記載する際は、名前の右肩あたりに、名前よりも小さめの文字で書くとよいでしょう。 

名前の書き方(複数名・連名の場合)

御霊前袋に複数名や連名で名前を記載し使用する場合の書き方について解説していきます。

2名で使用する場合

まずは、2名で使用しする場合の名前の書き方について確認していきましょう。

基本は、名前は年上の方から書くことです。年上の方の名前を水引より下の真ん中に記載します。

水引上中央に『御霊前』と書かれているので、年上の方の名前が御霊前の文字真下になり、御霊前の文字から大きくずれないように書きましょう。

もう一名の方の名前は、最初に記載した方の名前の左側に書いていきます。 

3名以上で使用する場合

3名以上の連名で御霊前袋を使用する際も、名前は年上の方から書くということが基本となります。年上の方の名前を水引より下の真ん中に記載します。

水引上中央に『御霊前』と書かれているので、年上の方の名前が御霊前の文字真下になり、御霊前の文字から大きくずれないように書きましょう。

その他の方のお名前も年上の方から順に、一番最初に書いた方の名前の左側に書いていきましょう。 

4名以上で使用する場合

4名以上の連名で御霊前袋を使用する場合は、全員の名前を書いても良いですが、「△△一同」や「◇◇◇ 他〇名」と記載するとシンプルで見た目も良いでしょう。

「△△一同」や「◇◇◇ 他〇名」とし、御霊前袋に名前を記載しない場合は、一同にあたる方の全員の住所・氏名・金額を記載した別紙を御霊前袋の中に同封するようにしましょう。

「△△一同」や「◇◇◇ 他〇名」と御霊前袋に書く際も、水引の上中央に書かれている御霊前の文字よりも少し小さめに書くとよいでしょう。

見栄えもよく、美しい御霊前袋になります。 

名前に加え、会社名や肩書も記載する際は、名前の右肩あたりに、名前やよりもさらに小さめに書くようにするとよいでしょう。

人数が多くなると見た目苦しくなるので、その際は別紙など同封するなど別の方法を取り入れましょう。 

連名での香典袋については「香典を連名で出す場合は?香典を連名で出す際の書き方やマナー、注意点を徹底解説!」の記事もご参考ください。

名前の書き方(会社で出す場合)

会社や部署の代表、会社の同僚や仕事上のお付き合いのあった者として御霊前袋をお渡しする場合の書き方について解説していきます。会社や部署の代表として御霊前を準備する場合、会社名を水引の下の中央に記載します。

水引上中央に『御霊前』と書かれているので、会社名が御霊前の文字真下になり、御霊前の文字から大きくずれないように書きましょう。

名前を書く時と同じように、会社名を記載する場合も御霊前の文字より少し小さめに書くのが基本です。

主張しすぎず、名前は控えめな大きさで書くようにしましょう。 

仕事上お付き合いのあった方へ個人として御霊前を渡す場合は、まず、自分の名前をフルネーム(姓と名)で、水引下の真ん中あたりに記載します。

個人名は、御霊前の文字よりも少し小さめに書くのが基本です。

主張しすぎず、名前は控えめな大きさで書くようにしましょう。

水引上には『御霊前』と書かれているので、御霊前の文字の真下になり大きくずれないように記載すると見栄えもよくきれいに書くことができます。

会社名や肩書は、名前の右側に、名前よりも小さめの文字で書くとよいでしょう。

名前の書き方(夫婦連名)

夫婦連名で香典を出す場合、一般的には中央に夫の名前、左側に妻の名前をフルネームで記載します。旧姓で書く場合は、名字の左側に旧姓を書きましょう。

香典の連名での出し方については「香典を連名で出す場合は?香典を連名で出す際の書き方やマナー、注意点を徹底解説!」の記事もご参考ください。

御霊前の書き方(中袋・金額)

ここまでお伝えしてきた『名前や会社名などの書き方』は、御霊前袋の外側『外袋』の書き方にスポットをあてて解説してきました。

実は御霊前袋の多くは、外側『外袋』だけではなく中側『中袋』がセットになっています。

御霊前袋について知るためには、外側『外袋』のマナーだけではなく中側『中袋』のマナーについても確認しておく必要があります。

外側『外袋』に書き方の注意点があったように、中側『中袋』にも決まりごとや注意点が色々あるので、これから一緒に確認していきましょう。 

表面の書き方(金額) 

では、御霊前袋の中袋にはどのようなことを書くのでしょう。必ず書かなくてはいけないことは3つです。

それは、『金額』と『住所』と『名前』です。ではこの大切な3つの情報『金額』と『住所』と『名前』を、中側(中袋)のどの場所にどのように書けばよいのでしょう。

まずは、中側(中袋)の表面から説明していきたいと思います。 

金額の書き方

3つの情報の中で表面に書くことは、『金額』です。ただ、金額を書くだけではありません。

金額の書き方に注意が必要です。普段金額を書く時、みなさんは『1、2、3』などの数字や、『一、二、三』などの漢字を主に使うのではないでしょうか。

御霊前袋の中袋に金額を書く際は、このどちらも使用しません。ここでは、旧字体の漢字を使って記載しなくてはいけません。 

では何故、旧字体の漢字を使うのでしょう。それは、御霊前袋に入っている金額と違う金額に書き換えたりできないようにするためです。

数字や漢字は、線を書き足すことで違う数字に変化します。

そのような改ざんを防ぐ為に、旧字体の漢字を使用するのです。

また通常金額には¥マークを付けることが多いと思いますが、旧字体の漢字を使った時は、¥マークの代わりに『也』を使うようにしましょう。

では、旧字体の漢字表記を紹介していきます。

1,000円   ・・・ 金 壱千圓 也

3,000円   ・・・ 金 参千圓 也

5,000円   ・・・ 金 伍千圓 也

10,000円  ・・・ 金 壱萬圓 也

金額は、中袋の真ん中に書くと良いでしょう。 

香典袋が横書きだった場合

最近の香典袋は横書きの場合の物もあります。その場合は、漢数字でなく算用数字で書いても問題ありません。

裏面の書き方

中袋の表側には、大切な3つの情報の『金額』を記載しました。では残り2つ『住所』と『名前』の情報はどこに書くのでしょう。

中袋の裏側に書きます。では、どこに、どのように書けばよいのか説明していきたいと思います。 

『住所』と『名前』は、中袋を真ん中から分けて左側の下あたりに記載します。

中袋の半分、左側下に全て記載することになるので、表側に書いた金額の文字よりも小さめに書くと良いでしょう。

住所の書き方

住所は番地やマンション名など省略せず、正しく書きましょう。住所を記載した左側に名前を書きます。

名前の書き方

名前も苗字だけではなくフルネームで正しく書くようにしましょう。

何故正しく省略することなく記載しなくてはいけないの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

後日、ご遺族の方がお返しをお考えになる際に必要な情報となります。

ご遺族の方にご迷惑のかからないように、親切心を大切に記載するようにしましょう。

連名の場合も全員分記載する

複数名の連名で御霊前をお包みした際も、全員分の記載が必要です。

2名であれば封筒に記載しても良いかと思いますが、3名以上の場合は別紙に記載して同封することをおすすめいたします。

中袋が無い場合

香典袋のタイプによっては、中袋が無いタイプの物もあります。その場合は、香典袋(外袋)の裏側に住所と名前、金額を書きましょう。

御霊前のお金の入れ方

ここまで、御霊前袋の外側『外袋』に書く名前の書き方、中側『中袋』に書く内容と書き方や注意点を解説してきました。

ここからは、お金の入れ方について説明していきます。お金の入れ方なんて、封筒に入れるだけでしょ。

なんて思った方もいらっしゃるかと思います。普段であればそれでも良いのですが、御霊前袋の場合は入れ方にも注意しなくてはならないルールがあるのでしっかり確認していきましょう。

お金は、中側『中袋』に入れます。中側『中袋』を準備しておきましょう。

お札の向きは全て揃えておく

次にお札です。

お札は向きをすべて揃えておきます。向きを揃えたらお金の表が見えるように置きましょう。

ポイントは、封筒からお金を引き出すとすぐに壱萬円の文字が見えるように入れることです。

相手がお金を出した時に壱萬円の文字が見えると良いのです。

そして、『中袋』を『外袋』に入れた時、お金の裏側が御霊前袋の表になっていれば正解です。

新札は避ける

中にいれるお札ですが、何でもよいわけではありません。銀行からおろした際、新札が出てくることもあるかと思います。

新札は「前もって新札を準備していました。」と不幸を予測して準備を進めていたという印象を与えてしまいます。

御霊前袋に入れるお札は新札の使用は避けるようにしましょう。どうしても新札しかない場合は、折り目を付けていれると良いでしょう。

新札が良くないからといって、使用感の強い少し破れているようなお札も受け取った側にあまり良い印象を与えません。避けるようにしましょう。

御霊前の金額相場

いったいどれくらいの金額を御霊前袋にお包みするべきなのか、いくらくらい包めば失礼にならないものなのか、と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

どんな時でも同じ金額で良いわけでもありません。では、一般的にはいくらくらい包むものなのでしょうか。大体3,000円~10,000円くらいが相場とされています。 

高額すぎると、ご遺族の方も申し訳ないという気持ちにさせてしまいますし、少額では無作法になってしまいます。

御霊前として包む金額は、自身の年齢や立場、故人との関係性で変わってくるものです。

お包みする金額は、故人とのお付き合いや相場を見ながら決めていくとよいでしょう。 

下記は故人・年齢別の相場金額ですが、絶対にお包みしないといけない金額というわけはありません。

周りとの兼ね合いも必要となります。あまり差が出ないよう、同じ立場で御霊前を渡す方という人がいる場合は相談してみるのもよいでしょう。

香典相場一覧(相手別)

【祖父母へ】20代・・・10,000円程度~、30代~・・・20,000円程度~、40代~・・・50,000円程度

【両親へ】20代・・・50,000円程~、30代~・・・50,000円程度

【兄弟姉妹へ】20代~・・・30,000円程度~、60代~・・・50,000円程度

【その他親戚へ】20代~・・5,000円程度

【ご近所へ】20代~・・・3,000円程度

【友人、知人へ】20代~・・・5,000円程度

【勤務先へ】20代~・・・3,000円程度~ 

「4」や「9」の付いた数字は避ける

「4」や「9」という「死」や「苦しい」を思わせるような金額は選ぶべきではありません。

香典の相場については下記記事もご参考ください。
3分で分かる法事のお金の相場(香典・お布施):お金の入れ方と袋の書き方!
香典金額の相場を完全解説!地域別の金額・書き方・包み方・渡し方も紹介!
香典の相場を完全解説!故人との関係別・書き方・包み方・渡し方も紹介!

御霊前のマナー・注意点

ここまで御霊前袋の書き方、お金の入れ方、お金の相場をここまで解説してきました。

マナーや注意点が沢山あったと思います。残念ながら実はこれで終わり…というわけではありません。

とはいえ、あともう少しです。知っておいて損はありません。ぜひ確認して知識を深めましょう。 

薄墨を使う

御霊前袋に名前を書く時、みなさんはどんな筆記用具を選びますか?普段使用しているペンやボールペン、鉛筆などはあまり良い選択肢ではありません。

御霊前袋に名前を書く際は、毛筆書きが一般的です。

毛筆は書きなれていない、準備が大変など敬遠してしまいますよね。

筆ペンでも可

筆ペンを選択すると、比較的書きやすいので、使い慣れていない人でもうまく書けると思います。

しかし、筆ペンであれば何でも良いわけではありません。 

では、その他何に注意をしなくてはならないのでしょうか。それは、インクの色です。

黒色インクではなく御霊前袋に名前を書く時は、薄墨色インクを選びましょう。 

何故、薄墨色のインクなのでしょうか。薄墨色のインクには、突然の訃報にとても悲しく心が痛くなり、涙が止まらず墨を薄めてしまった。

という意味があるからです。薄墨色のインクを使うことは、亡くなった方に対する悲しい気持ちを表す表現の一つともいえるでしょう。

御霊前袋は通夜・告別式に際に使用するものなので、薄墨インクの筆ペンを選択することをおすすめいたします。 

ボールペンやサインペンしかない場合

さきほど、薄墨色インクの筆ペンで書くことが一般的であり、亡くなった方に対する悲しい気持ちを表す表現の一つともいえるとお伝えしましたが、どうしても薄墨色インクのものがない場合はどうしたらいいのでしょうか。

筆ペンは準備できるが薄墨色インクのものがない場合は、黒色の筆ペンでも大丈夫です。

不幸は突然やってきます。準備がなくて当然です。ご遺族の方も失礼など思うことなくご理解いただけるとことと思います。

では、黒色インクの筆ペンもない場合はどうしたらいいのでしょうか。

その場合は、サインペンや万年筆を選ぶとよいでしょう。薄墨色インクのサインペンや万年筆はないと思うので、黒色インクで大丈夫です。

シャープペンシルや鉛筆はNG

ただし、シャープペンシルや鉛筆やボールペンで書くことは突然のことだったとはいえ、失礼になってしまいます。選ばないよう注意しましょう。

プリンタなどで印刷するのもNG

パソコンで名前を作成して印刷するのは、遺族の方にあまり良い印象を持たれません。

お悔やみの気持ちを伝えるためにも必ず自筆で書くことをお勧めします。

相手の受け取り方次第ではありますが、できれば薄墨のペンや筆を使って丁寧に手書きする方がお悔やみの気持ちがより伝わりやすいかもしれませんね。

御霊前の包み方と渡し方

ここまで、マナーやルールに気をつけながら心を込めて準備をした御霊前袋。

どうやって持っていき、どうやって渡すとよいのでしょう。御霊前袋を持っていく時、ご遺族の方にお渡しする時にもマナーや注意点があります。

故人の方へのお気持ちとしてお渡しする御霊前、失礼のないようにしたいですよね。

ここからは、御霊前袋の包み方や渡し方について解説していきます。一緒に確認していきましょう。

御霊前の水引の選び方

キリスト教以外は結び切りの水引となります。結び切りには不幸を二度繰り返さないようにという意味があります。

仏式では水引は黒白か双銀の結び切り、神式では双白、白黒、双銀の結び切りの水引を用います。

黄白色の水引を使用する場合

関西や北陸では黄白色の水引が使われます。ただし、この黄白色の水引は、法事・法要のときに限られます。葬儀や告別式、通夜などでは使用しませんので、間違えないように気を付けましょう。

御霊前の包み方

御霊前袋をそのままバックの中に入れると、汚れたり折れてしまったり水引がとれてしまったりとお渡しするまでにきれいな状態を保つことができません。

せっかく気持ちを込めて準備した御霊前なので、きれいな状態でお渡ししたいですよね。そこで役立つのが袱紗(ふくさ)です。 

香典は必ず袱紗(ふくさ)に包む

袱紗とは、御霊前袋など香典を包むための風呂敷のような布で、通常絹やちりめんなどで作られています。

大判のハンカチくらいの大きさが主流です。

最近では、風呂敷のような布タイプだけではなく長財布の形をした袱紗(ふくさ)など様々あるので使いやすいものを選ぶとよいでしょう。 

袱紗(ふくさ)の色

袱紗(ふくさ)を選ぶ際は、色も重要です。明るい色(赤など)はお祝いの席で使うものです。

葬儀葬祭の時は、暗く濃いめの寒色(紫、紺、深緑など)を選ぶとよいでしょう。

袱紗の包み方

風呂敷のような袱紗(ふくさ)の場合は、御霊前袋を真ん中より少し右に置き、右、下、上の順で袱紗(ふくさ)の角を持ち折りたたみます。

最後に左の角を持ち折りたためば完成です。

袱紗(ふくさ)の用意がなく使用できなかったとしてもマナー違反で失礼になってしまうということはありません。

どうしても準備ができなかった場合は、濃い寒色系の色のハンカチで代用してもよいでしょう。

渡し方のマナー、渡す時の言葉

御霊前袋は、通夜・告別式に参列する際に持参しお渡しします。斎場で通夜・告別式が取り行われる場合は、一般的に受付が設けられます。

御霊前袋の渡し方

参列前に受付で手続きをする際に御霊前をお渡しするとよいでしょう。 

受付の方に渡す際、袱紗(ふくさ)から御霊前袋を取り出します。取り出した後、袱紗(ふくさ)をたたみます。

この時袱紗(ふくさ)は軽くたたむ程度でよいでしょう。

軽くたたんだ袱紗(ふくさ)の上に御霊前袋を自分の方に向けて置き、受付の方へ袱紗(ふくさ)とともに御霊前袋の向きをかえ置き換えます。

一言添えてから受付で渡す

そして、受付の方へ

「この度は〇〇さまがお亡くなりになられたこと、大変ご愁傷さまでございました。

こちらを御霊前にお供えください」

などとお伝えしてお渡しするとよいでしょう。

受付ではなく自宅でお渡しする場合

斎場ではなく、故人の方のご自宅で行われる自宅葬では、受付がない場合があります。

その場合は、ご遺族の方に直接お渡しすることになります。

袱紗(ふくさ)から御霊前袋を取り出し、軽くたたんだ袱紗(ふくさ)の上に御霊前袋を自分の方に向けて置き、袱紗(ふくさ)とともに向きを変え、お渡ししましょう。

お渡しする際は、必ずお悔みの言葉を添えてお渡しするようにしましょう。

故人の方との関係性や思い出などお伝えしてもよいでしょう。

ご遺族の方もお疲れかもしれないので、あまり長くなりすぎないよう注意しましょう。 

渡すタイミング

斎場で通夜・告別式が取り行われる場合は、通夜・告別式参列前に、受付で芳名帳に住所・名前を記載後、お悔みの言葉をお伝えするとともに、御霊前袋をお渡しするようにしましょう。

故人の方のご自宅で行われる自宅葬では、受付が設置されていない場合も多くあります。受付がない場合はご遺族の方に直接お渡しすることになります。 

ご遺族が忙しそうな場合

本来、御霊前は参列前にお渡しするものですが、ご遺族の方が忙しくされているにもかかわらず無理やり渡したりするものではありません。

参列後、遺族の方の様子を見てお渡ししてもマナー違反や失礼になるということはないので、ご遺族の方の様子を見ながら、お渡しするタイミングを考えるとよいでしょう。

ご遺族の方が忙しそうだったから、声をかけるタイミングが見つからなかったからという理由で御霊前をお渡ししないまま帰宅することはあまり良いことではありません。

どうしてもご遺族の方にお渡しするタイミングが見つからない場合は、葬儀を仕切っている方に声をかけどのように対応すればよいか相談してみるとよいでしょう。

その方が受け取ってご遺族の方にお渡ししてくれることもありますし、ご遺族に声をかけてくれることもあります。 

御霊前をお渡しする際は、必ず一言お悔みのお言葉を添えてお渡しするようにしましょう。

葬儀のマナーについては「仏式葬儀とは?一般的なマナーや葬儀の流れについて徹底解説」「今更聞けない葬儀・告別式のマナーと費用を地域別に徹底解説!」の記事もご参考ください。

郵送する場合 

遠方でどうしても通夜・告別式に参列できない場合や、どうしても都合がつかず参列することができないなど様々な事情により御霊前を直接お渡しすることができないこともあるかと思います。

もちろん、直接お渡しできるなら一番よいですが、叶わない場合は、御霊前を郵送することを考えてみましょう。

郵送したからといって、マナー違反や失礼にあたるなど全くありません。安心して郵送手配を進めましょう。

では、郵送する際、どこに、誰に送ればよいのでしょう。

郵送先は喪主のご自宅

住所は喪主の方のお住まいにお送りするとよいでしょう。

斎場にお送りしたとしても、届いた時間に喪主の方が斎場にいない場合もあるかと思います。

確実に喪主の方が受け取ることができる住所を記載しておきましょう。

封筒に記載するお名前ですが、故人の方のお名前ではなく喪主のお名前を書きます。

どうしても喪主の方のお名前がわからない場合は、『〇〇〇〇様ご遺族様』と宛名を記載するとよいでしょう。

自分自身の住所と名前の記載も忘れないようにしましょう。この時、住所を省略せず、名前もフルネームで記載しましょう。 

御霊前を封筒に入れる際は、お悔みの言葉と通夜・告別式に参列できなかったことについてのお詫び、故人の方との思い出や関係性を記載したお手紙を添えることも忘れないようにしましょう。

喪主の方と面識のない方は、誰からの御霊前なのか?と喪主の方が困ってしまう可能性があります。

喪主の方と面識のない方は特に、故人の方とどういう知り合いだったのかを記載するようにしましょう。 

お手紙を書くことが苦手という方もいるかもしれませんが、御霊前だけ届くよりもお手紙があった方がより丁寧で心のこもったものになると思います。

お手紙は必ず必要なものではありませんが、同封することをおすすめいたします。

封筒や便箋は華美なものを選ばないようにしましょう。無地のものやグレーなどがおすすめです。 

御霊前袋は現金書留で送る

御霊前袋にはお金が入っています。

お金を送る際、普通郵便や宅急便でおくることは出来ません。

現金を送る際は、『現金書留』を利用して送るのが一般的です。

現金書留は現金だけではなく、手紙などを同封することも可能です。

現金書留を使用した場合、『現金書留を出した郵便局・出した時間・到着した郵便局・配達された時間が記録』などすぐに調べてもらえます。

もしも届かないなど紛失の可能性があった場合、郵便局で追跡調査をしてもらうことができ、見つからなかった場合は、入っていた現金の補償をしてくれます。

補償額は1万円までとなっていますが、補償金額を増額したい場合は、5,000円ごとに10円を追加で支払えば50万円まで補償してくれるので安心です。

ご遺族の方も香典返しや、御霊前のお礼を考えなくてはならないので、御霊前は、訃報の連絡を受けて1週間から最長でも1か月以内には送付の手配をするようにしましょう。 

御霊前を辞退された時のマナー

ご遺族の意向で御霊前を辞退されるケースが近年増えてきています。

理由は、葬儀を家族だけでお見送りする家族葬のような小さな葬儀を選択する方が多くなっており、費用負担が少なくすんでいることや家族を見送り気持ちが落ち着かない中で、香典返しの事などを考えなければならないという負担を軽減したいという方が増えているからです。

御霊前を辞退されると言われても、本当にいいの?と心配の方もいるかもしれませんが、訃報連絡を受けた際に、御霊前を辞退されるとわかった場合は持参する必要はありません。

持参したとしても、受付でお断りされてしまうでしょう。

不安な気持ちになってしまうかもしれませんが、ご遺族のご意向を尊重し、受け止め無理にお渡しするなどしないようにしましょう。

御霊前を辞退されても、お供物は辞退されない場合があります。その時は、お供物や供花などをお送りするとよいでしょう。

お供物や供花など全て辞退されるということであれば、ご遺族のご意向とおり、気持ちを汲み取りお送りしないようにしましょう。

その時は、故人を思い祈ることが一番の供養になるはずです。

供物・供花については「供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!」「供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!」の記事もご参考ください。 

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御霊前についてのまとめ

「御霊前」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。

【御霊前とは?】
●死者の霊前にそなえる「香(お線香)」に代わる金銭の事
●『御霊前』と書かれた香典袋は、通夜・告別式など葬儀に参列する際に使用するもの

【御霊前の香典袋を使うときの注意】
●仏式の際に葬儀で使用する
●神式の場合は、「御玉串料」「御榊料」「御神前」「御花料」を使用する
●キリスト教の場合は「弔慰料」・「御ミサ料」
●浄土真宗の場合は「御香典」
●曹洞宗の場合は「御香典」
●相手の宗派が分からない場合は「御香典」を使用する

【名前の書き方】
●フルネーム(姓と名)で水引下の真ん中あたりに丁寧に記載する
●主張しすぎず、名前は控えめな大きさで書くようにする
●会社名や肩書を記載する際は、名前の右肩あたりに、名前よりも小さめの文字で書く

●2名以上で書く場合
・名前は年上の方から名前を水引より下の真ん中に記載する
・4名以上の場合は、「△△一同」や「◇◇◇ 他〇名」と記載する

●会社や部署で出す場合
・会社や部署の代表として御霊前を準備する場合、会社名を水引の下の中央に記載する

【御霊前の書き方(中袋・金額)】
金額は旧字体の漢字を使用する
住所は番地やマンション名など省略せず、正しく書く
住所を記載した左側に名前を書く
●連名の場合も全員分記載する

【御霊前のお金の入れ方】
●お札の向きは全て揃えておく
●新札は避ける

【御霊前の金額相場】
●3,000円~10,000円くらいが相場
●故人との関係性によっても相場は変わる

【祖父母へ】20代・・・10,000円程度~、30代~・・・20,000円程度~、40代~・・・50,000円程度
【両親へ】20代・・・50,000円程~、30代~・・・50,000円程度
【兄弟姉妹へ】20代~・・・30,000円程度~、60代~・・・50,000円程度
【その他親戚へ】20代~・・5,000円程度
【ご近所へ】20代~・・・3,000円程度
【友人、知人へ】20代~・・・5,000円程度
【勤務先へ】20代~・・・3,000円程度~ 

●「4」や「9」の付いた数字は避ける

【御霊前のマナー・注意点】
●薄墨を使う
●香典は必ず袱紗(ふくさ)に包む
●渡す際は一言添えてから受付で渡す
●郵送する場合は現金書留で送る

【御霊前を辞退された場合】
●ご遺族のご意向を尊重し、受け止め無理にお渡ししない

御霊前袋の表書きや中袋書き方、お金の入れ方、相場の金額など、御霊前にまつわる様々な注意点やマナーを解説させていただきましたが、参考になりましたか?

「細かいルールがあって大変だなぁ」と思われた方もいるかもしれませんが、言葉の意味を理解しマナーや注意点を知っていることことで、慌てず対応できると思います。

訃報の連絡は思いもよらず突然起こります。

頭が真っ白になるほど悲しみに打ちひしがれてしまっていても準備や確認が必要となるのです。

そんな時でも、頭の片隅に知識としてもっておけば急なことでもスムーズに対応できます。

この機会にぜひ覚えていただき、通夜・告別式へ参列する際にお役立てください。 

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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