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一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!

May 03 2020

葬儀や告別式、四十九日法要などが終わると、次は「一周忌」になります。施主側・参列者側共々、マナーを守り故人の思い出話にひたれるような会にしましょう。本記事では一周忌の服装や香典、お供えや一周忌の挨拶や流れなどについても解説しています。

(2021/4/5 情報更新)

葬儀や告別式、四十九日法要などが終わると、次に故人を偲ぶために集まるのは、この「一周忌」になります。

亡くなってから少し間が空きますが、それでも悲しみが癒えない場合がほとんどでしょう。特に故人と生前親しかった方ならなおさらですよね。

そんな悲しみをぬぐいつつ、故人を偲んで前向きに生きていくためにもこの一周忌というのは大切な機会です。

施主側・参列者側共々、しっかりとマナーを守り、故人の思い出話にひたれるような会にしましょう。

一周忌とは?

そもそも一周忌とはどういったものなのでしょうか?

なんとなく故人を偲ぶ行事であるということは理解していても、その意味や詳しい内容などは知らない方も多いはずです。

以下で詳しくご説明いたします。

一周忌の意味

そもそも一周忌にはどういう意味があるのでしょうか?

一周忌とは、年忌法要の中でも故人が亡くなってから一番最初に行われるもののことを指します。

正しい名前は「一周忌法要」です。この一周忌を行うときには、家族や親族などを含めて、生前に故人と仲の良かった人物も招いて行われます。

一周忌までが喪中となる

この一周忌までが喪に服す期間であるとされており、いわゆる「喪中」と呼ばれる期間になるのです。この一周忌が終わると喪が明けるということですね。

一周忌を行う理由

ではなぜ一周忌を行う必要があるのでしょうか?

仏教では百箇日に平等王による再審が執り行われるといわれており、一周忌は都市王によって再度再審が執り行われるといわれています。

この日に家族などの供養が無ければ救済されないとされているため、一周忌という重要な節目の日に合わせて、家族や親しい友人や知人を集めて偲ぶことで救済を行うというのが目的なのです。

また、一周忌を含めた年忌法要を「追善供養」と表現することもあります。

これは、故人に代わって現在生きている人が良い行いをする行為のことをいいます。

例えば、一周忌などの年忌法要はもちろん仏壇に手を合わせたり線香をあげるだけでも追善供養をした、といえるのです。

一周忌を行うタイミング

一周忌を行う正しいタイミングは、故人が亡くなった日からちょうど1年経過した命日です。

この1年後の命日は「祥月命日」と呼ばれており、一番の理想はこの祥月命日の当日に一周忌を行うこと。しかし平日だと仕事などの関係もあり、きっちり命日とまったく同じ日付で一周忌を行うのは難しいでしょう。

そのため最近では、命日より早めの休日に行われることが多いです。基本的には命日よりも前倒しで行うのが習慣であり、命日よりも後ろ倒しで一周忌を行うことはほぼありません。

一周忌で避けた方が良い日付

葬儀のときは、六曜の「友引」を避けた方が良いと言われています。故人の宗派が仏教や神教だった場合は、昔からの風習として友引に法要を行うのを避ける方も多いようです。キリスト教の場合は六曜は意識する必要はありません。

六曜を意識する人はほぼいませんが、念のため開催日や親族を相談した方が無難でしょう。基本的には親族が集まりやすい土日などに開催されることが多いです。

一回忌との違い

言葉が似ているので混同している方もいますが、一周忌と一回忌は違うので注意しましょう。

異なる点は、一周忌が1年後の命日に行うものに対し、一回忌は故人が亡くなった日のことを指しています。

そのため言い換えると、一回忌は命日のことを指しているともいえます。

このように考えると、二回忌は一周忌である、とも表現できるということですね。この言葉の意味を知っておくと、そのあとの年忌法要の判断にも迷いません。例えば三回忌は、2年後に訪れる3回目の命日に行うので「三回忌」というのです。

一周忌を含めた年忌法要

一周忌を含めた年忌法要を下記一覧になります。

年忌法要 開催時期
一周忌 満1年
三回忌 満2年
七回忌 満6年
十三回忌 満12年
三十三回忌 満32年
五十回忌 満49年

 

年忌法要については下記記事もご参考ください。
親が死んだらすることは何?亡くなってから一周忌までを時系列順に解説!
三回忌とは?意味と施主と参列者が知っておくべき法事・法要のマナーとは?
七回忌とは?意味とお布施・香典の相場と出席マナーを解説!
13回忌とは?13回忌の準備から招待された場合のマナーまでを完全解説!
法事・法要の香典相場はいくら?三回忌・七回忌・十三回忌と故人との関係別に解説!

一周忌に準備すること

では次に具体的に一周忌に向けて準備することをご説明します。

故人を忍んで親族などが一同に集まる機会はそこまで多くありませんし、何よりわざわざ来てくださった参列者の方に失礼がないよう、必要なことはしっかり押さえておきましょう。

会場の準備

まずは会場を抑えましょう。一周忌は基本的に、お寺・自宅・ホテル・斎場などから選んで行います。

一周忌では、法要の後にお墓参りをするのが一般的です。そのためお墓に近い場所で行うと面倒が無くていいでしょう。

自宅などで行う方もいますが、その場合だと会食のために移動が必要になります。

場合によっては自分たちで折り詰め弁当などを準備する必要があるため、こうした準備の手間・参列者の多さ・予算・交通の便などを考慮して決めるのがオススメです。

食事の手配

必要に応じて仕出し料理を注文したり、料理店を予約しましょう。

予約の際には法事であることを伝え、エビやタイなどのおめでたいメニューを作らせないように注意が必要です。あるいは上述した折り詰め弁当などを準備しましょう。

僧侶の手配

基本的には、菩提寺がある場合は菩提寺に連絡をします。

菩提寺とは、先祖代々のお墓を設置しているお寺のことを指し、こうした法要はこの菩提寺の住職にお願いすることが多いです。

菩提寺が無い場合

もし菩提寺ではなく霊園や墓地を利用してる場合は、葬儀の際にお世話になったお寺へ連絡するか、お坊さんの手配サービスなどを利用しましょう。

お寺へ連絡する場合は、あまり急な連絡では対応できないこともあるため2ヶ月ほど前に連絡をしておくといいでしょう。また会食を伴う法要の場合は、僧侶も出席可能か確認しておきます。

昨今は、お寺とのお付き合いも薄くなってきており菩提寺を持っていない方も多いです。その場合は僧侶を手配することもできます。

僧侶の手配については「寺院手配サービスとは⁉︎寺院(僧侶)を手配する方法とは?」「宗教者・お坊さんの手配の仕方とは⁉︎身内が亡くなった時・法事の時の宗教者手配方法」の記事もご参考ください。

やさしいお坊さんでもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。

 

出席者への案内

出席者が決まったら案内を行いましょう。遺族や親族など、ごく親しい身内で小規模に行う場合は電話連絡でも問題ありません。

しかし会社関係の方を招いたり、その他友人などを幅広く招待する場合は案内状を作成しましょう。食事や引き物を準備する関係もあるので、返信用ハガキを同封するか、往復ハガキで出欠確認をします。

案内状に記載する内容

案内状には以下の内容を忘れず記載しましょう。

●故人と施主の名前
●一周忌を行う旨
●日程
●場所

もし法要の後に会食やお墓参り、納骨の時間などがあればその旨も記載しておくとわかりやすいですね。

会食などがあると時間が長くなるので、参列者によっては途中参加ということもありえます。そうした判断をしやすいようにするための配慮です。

案内状を書く際の注意点

また、お悔やみごとに関する案内状を書く際に注意点があります。それは、句読点を用いないという点です。そのため句読点がなくても読めるようなきちんとした文章を書く必要があります。

一般的に参列者への案内は、一周忌の1ヶ月前までに案内状を送り、2週間前までには出欠確認できるようにしておくのが理想です。特に人数が多くなる場合は余裕を持って確認するようにしましょう。

引き物を手配する

一周忌法要では出席者へのお礼として引き物をお渡しします。これは香典へお返しという意味も含んでいます。引き物も忘れないようにあらかじめ準備しておきましょう。引き物の費用相場や準備する内容については後ほどご説明します

お布施を用意しておく

引き物と同様に来ていただいたお坊さんへ渡すお布施もあらかじめ準備しておきましょう。お布施の渡し方や費用相場については後ほど解説致します。

お供え物の準備

故人を供養するために供花やお供え物を準備します。基本的には主催者側が前日までに用意します。お供え物は果物を供えることが多いですが、故人が好きだった食べ物を供えても問題ありません。

供花については「知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!」「供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!」をご覧ください。

遺影や位牌の準備

遺影や位牌も法要の際に必要になります。お寺やホテルで行う場合は忘れずに持って行くようにしましょう。特に位牌は四十九日法要で本位牌となっているはずです。そのため、一周忌では、仮位牌ではなく本位牌を持って行きます。

遺影写真については「遺影写真の原稿で悩まないようにするには」の記事もご参考ください。

一周忌の法要にかかる費用の目安

では具体的に一周忌を行うにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

一周忌にかかる費用は様々な要因を考慮しながら自分たちの予算とも相談しつつ決める必要があります。では、それぞれにかかる費用の目安を見ていきましょう。

会場の費用

会場の費用は、自宅を使う場合にはもちろんかかりません。

ホテルなどの別会場を借りる場合はその分の費用がかかるため、よほどアクセスの便を考えてホテルにする、といった場合を除いては自宅やお寺で行う方が無難でしょう。

ホテル代は場所によって変わるのでなんともいえません。自宅やお寺で行う場合はお布施が主な費用となるため、次で詳細にご説明します。

お布施

お布施とは、一周忌法要の後に僧侶に渡すお礼のお金のことです。

渡す金額はあくまでも目安であるため、決まった金額があるわけではありません。そのため馴染みの菩提寺やお世話になっている寺院がある方は、そこの方に聞いておいた方がいいでしょう。

地域や宗派によって異なりますが、だいたい3万〜5万円くらいが相場であるとされています。

ただし自宅で一周忌を行う場合は僧侶に来てもらう必要があるため、これとは別で「御車代」として5千〜1万円程度を用意しておくのが一般的です。

また、僧侶が法要後に会食に出席しない場合、「御膳料」として5千〜2万円程度渡す必要もあります。

このように、僧侶へのお布施は会場や会食の有無によって金額が変わるので、こうした予算との兼ね合いも考慮しながらお布施の額を決めましょう。

お布施に関する詳細は「3分で分かる法事のお金の相場(香典・お布施):お金の入れ方と袋の書き方!」「法事とは?日程とお布施と服装持物を徹底解説!」をご覧ください。

食事の費用

法要後の食事も参列者の人数に合わせて用意しておきましょう。この法要後の会食は「お斎」と呼ばれます。

先述の通り、会食は外部の会場やお店を手配する場合もありますし、寺院の会館を利用できる場合もあります。予算やその後のスケジュールとの兼ね合いを考えながら決めるといいでしょう。

このお斎の相場は、法要の規模によっても異なりますが、だいたい一人あたり5千〜1万円であることが多いです。

ただし、参列者が親族などのごく近い身内だけの場合は、3千〜7千円程度になることもあります。

お斎の詳細は「おとき(お斎)とは?意味とマナーと香典相場を3分で解説!

当日の流れ

それではここまで準備ができたら、一周忌当日の流れを確認しましょう。正しい流れをきちんと押さえ、気持ちよく故人を偲ぶ場にして生きたいですよね。

施主の挨拶

一周忌では、施主の方が開始と終了時に挨拶を行うのが一般的です。この時に話す内容ですが、あまり難しく冗長なことを話す必要はありません。

「本日はお忙しいなかお集まりいただきましてありがとうございます。これより(故人の戒名)の一周忌法要を始めたいと思います。それでは本日の僧侶の〇〇様、よろしくお願いします。」

というように簡単に感謝の意を述べた後、僧侶の方に引き継ぐのが一般的です。この時に故人の生前の氏名ではなく、戒名で呼ぶことを心がけましょう。

施主と喪主の違いの詳細は「施主と喪主の違いとは?葬儀における施主の役割を解説!

僧侶読経

挨拶を終えたら僧侶の読経へと移ります。この読経の時の席順は、まず仏壇の前に僧侶の席を設置し、前方の席から故人との血縁関係が濃い人の順番で座っていきましょう。

僧侶の読経サービスはやさしいお坊さんでもご相談を受け付けております。

ご焼香

読経が始まりしばらくしたら僧侶から呼びかけがあるので、そこから順番にご焼香をしていきます。

まずは施主からご焼香を行い、あとは前の席に座っている人から順番に行いましょう。ご焼香が終わったあとには僧侶の法話があります。この話が終わるまで静かに席に座っておきましょう。

僧侶がこの後の会食に参加しない場合は、法話が終わって退場するタイミングでお布施・御車代・御膳料を渡します。帰ってしまうとお布施などを渡せなくなるので、忘れずにここで渡しておきましょう。

お墓参り・納骨式

基本的には僧侶の法話が終わると法要は終了です。会場の近くに墓地がある場合はそのままお墓参りを行いましょう。

四十九日までにお墓の準備ができていなかった場合はここで納骨式を行こともあります。ただし、墓参りを会食後に行ったりする場合もあるので、そこは各一周忌のスケジュール次第です。

納骨式の詳細は「事前準備が不可欠!納骨式当日の流れと準備すべき内容を解説

納骨の詳細は「納骨とは?納骨式の時期と準備・流れと費用を完全解説

僧侶へのお礼

僧侶が会食にも参加する場合は、ここでお布施・御車代を渡します。この時お布施の渡し方にもマナーがあるので確認しておきましょう。

お布施の包み方

お布施の渡し方でもっとも丁寧なのは、半紙の中包みに入れて「奉書紙」という和紙で包む、という方法です。

しかしこれは、あくまでも最も丁寧な方法というだけであり、必ずこうする必要もありません。

基本的には、市販の白い封筒(郵便番号が無い無地のもの)や不祝儀袋に入れるだけでも問題ないでしょう。

ただし、のし袋は使わないように気をつけてください。なぜなら封筒が二重構造になっているものは「不幸が重なる」という意味を含んでしまうからです。

お布施の書き方

そして、お布施の封筒には表書きが必要です。上段と下段に分けて記載しましょう。

まず上段には以下の中から選んで記載をします。

●お布施
●御布施
●御経料
●御礼

そして下段には施主のフルネームを記載します。ただし「〇〇家」という形で施主の姓を記載しても構いません。

これらの文字は薄墨ではなく、通常の黒い墨で書きましょう。お布施などを渡すときは直接手渡しせず、お盆などに載せて渡すのがマナーです。

お布施の渡し方

渡すときはお布施の表書きを僧侶に向くようにします。

ちなみに、お布施・御車代・御膳代は全て別々で用意して渡すのがマナーです。

そして渡す際に僧侶への感謝の言葉を申し上げるとさらにいいでしょう。以下のような挨拶ができれば大丈夫です。

「本日は母の四十九日にてお勤めをしていただきありがとうございました。こちらはほんのお礼でございますが、お納めください。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。」

ここまで丁寧でなくとも感謝の気持ちを伝えることが大切ですね。

終わりの挨拶

ここまで終えたら、施主による終わりの挨拶を行います。参列者に感謝の意を伝えましょう。以下のようなことを伝えられれば大丈夫です。

「本日はお忙しいなかお集まりいただきありがとうございました。
おかげさまで無事一周忌を終えることができ、母も安心しているかと思います。このあとは別室にてささやかながら御膳をご用意いたしました。お時間の許す限り、どうぞごゆっくりなさっていってください。本日はまことにありがとうございました。」

会食

施主の挨拶が終わったら会食の時間です。会食では故人を偲んで思い出話などをしてあげると喜ばれるでしょう。

本来は精進料理を出すのが正式な形です。しかし最近では、そこへのこだわりは薄れてきています。

実際に仕出し料理を注文すると、精進料理ではない場合も増えているのでそこまで気にする必要もないでしょう。

会食の席順

会食の席順では、仏壇に一番近い場所を僧侶の席にします。施主は僧侶をもてなすためにその隣に座るのが一般的です。他の遺族は最も下座になるので注意しましょう。

ちなみにホテルなどの外で会食を行う場合は、会場のセッティングや席の案内も含めて係の人が行うことが多いそうです。

ただし、万が一席順などに間違いがあるといけないので、念のため施主側の方でも確認しておきましょう。

もし会食が行われない場合は、その旨を僧侶に伝え、折り詰め料理とお酒を用意し、引き物と一緒に渡します。

一周忌のお返し

一周忌が終わったら、参列者の方にお返しとして引き物を渡しましょう。一周忌に参列してくれた感謝の意味を込めているので、マナーに沿って内容を決めていきます。

よく使われるお返し

お返しとしてよく使われているのは、以下のような品物です。

●石鹸
●洗剤
●タオル
●お菓子
●フルーツ
●調味料セット
●お茶などのセット
●カタログギフト

基本的にはタオルや洗剤などの日常にあっても困らないものや、すぐに消費できるお菓子などの食品が人気です。

渡す食品は、参列者の好みに合わせたり故人が好きだったものを渡す場合もあります。「食べるときに故人を少しでも偲んでほしい」という思いからだそうです。

最近では好みも多様化しているので、カタログギフトを引き物に使う場合も増えています。

中には商品券や金券を引き物に使う場合もありますが、露骨に金額がわかるものを使うときは注意が必要です。

特に目上の方にこうしたものを渡すのは失礼にあたる、と考える参列者がいても不思議ではないので、あらかじめ家族などと相談しておくといいでしょう。

お返しの金額の相場

引き物の金額相場は、2千〜1万円程度が相場です。

参列者からいただいた香典の半分から1/3程度の金額のものを香典返しに使うのが一般的ですが、会食がある場合は多少少なくなっても問題ありません。

ではもし、欠席者からも香典をいただいた場合にはどのようにお返しすればいいのでしょうか?

その場合は現金で返すことも可能です。現金の場合も、いただいた香典の半分から1/3程度の金額を渡せれば問題ありません。

香典返しと、御仏前・お供えの違い

香典返しは引き物と混ざっているイメージがありますが少し違います。

香典返しとは?

引き物は一周忌などの法要に参列した方へのお返しであるのに対し、香典返しは葬儀や告別式に参列した方へのお返しを指します。

基本的には香典返しは、四十九日の法要を終えた後にその報告と感謝の気持ちを込めて郵送するものです。

しかしそれでは、送り先の住所を調べる手間や、いただいた香典の額によって品物を決めるという手間が生まれてしまいますよね。

それらを省くために、最近では「即日返し」といって当日にお渡しするのが主流になりつつあります。ただし、もし高額の香典をいただいた場合には個別で対応しましょう。

もし「後日返し」する場合は、忌明けの法要から1ヶ月以内に届くように注意しましょう。

香典返しについては「香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!」の記事もご参考ください。

宗教ごとの忌明けの時期

宗教によっては忌明けの時期が違うため、事前に確認が必要です。ちなみに、主要な宗派の忌明けの時期は以下を確認してください。

●仏教:49日目で忌明け
●神道:50日目で忌明け
●キリスト教:カトリックなら30日目で忌明け、プロテスタントなら1ヶ月後が忌明け

このように香典に対するお返しについてご説明しました。

香典ではなく供物を渡したい場合

しかし場合によっては、参列者の中には「香典ではなくお供え物を渡したい」という方もいるはず。その際に、渡す側である参列者が間違えやすいのが「表書き」の違いです。

普通に香典を渡す場合には、表書きは「御仏前」で問題ありません。

しかし、果物などの品物をお供え物して渡す場合は「御供(お供え)」と表記するのが一般的です。

品物代として少額のお金を包むときに「御供」と表記する場合もありますが、基本的にはお金を包むか品物を包むかで書き分けた方が無難でしょう。

一周忌の法要でのマナー

以上が一周忌の準備から当日までの主な流れです。では実際に行うにあたり、施主側と参加者側、それぞれにどのようなマナーを心がけるべきなのでしょうか?

施主側のマナー

①服装について

施主や親族側は喪服を着用しましょう。男性は黒の上下に黒ネクタイ、女性は黒スーツやワンピースが一般的です。

靴やカバンは男女ともに黒を持ちましょう。この時に、時計やアクセサリーなどの光るものを身につけないように注意します。

学生の場合は制服が基本です。制服が無い場合は白ブラウスやシャツを着て、そこに黒や紺、グレー系などをベースにしたスカートやズボンを着用しましょう。

②お供え物について

お供え物は参列者からいただく場合もありますが、施主側でもあらかじめ用意しておきましょう。

お供え物は法要後に持ち帰ることが多いので、果物や線香などの個別包装でみんなで分けられるものが望ましいとされています。故人が好きだったお菓子やお酒などもいいですね。

花を飾る場合は、白などの少し淡い色を選ぶのが一般的です。ただ、故人が好きな華やかな色の花でも問題ありません。バラなどのトゲがある花の場合は、危険なのであらかじめ落としておきましょう。

供物についての詳細は「供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!

③引き物の表書きについて

一周忌の引き物には「熨斗(のし)」をつけるのが一般的です。これはそのままつければ良いというものではありません。熨斗の表書きなどにはルールがあるのでしっかり守りましょう。

まず、表書きは熨斗の上段に書きます。書く内容は法要ごとに変える必要があるので注意しましょう。一周忌では「志」または「粗供養」と書きます。

そして下段には施主の名前をフルネームで書いてください。ただし、故人の子供がお金を出し合って一周忌を行う場合は、「(苗字)家」もしくは「(苗字のみ)」と書く場合もあります。

通夜の時とは違い、文字は普通の濃い墨で書きましょう。通夜の場合は「突然のことできちんとした墨を用紙する時間がなかった」という意味を込めて薄墨を使います。

しかし一周忌の場合は、あらかじめ日程が決められているのでそれをする必要がありません。

④引き物の包装

包装紙には黒やグレーなど、華やかすぎない色のものを使います。水引には黒白か双銀の結び切りを使いましょう。

結び切りには「同じ不幸が続かないように」という願いが込められています。

ただし地域によっては、黄白の水引を使う場合や四十九日以降には黄白の水引を使うという場合もあるので、その地域の慣習に合わせるといいでしょう。

⑤引き物の渡し方について

地域などによって違いはありますが、基本的には持ち帰りやすいように袋に入れておくのが一般的です。天候が悪い場合に備えて、カバーなども準備しておくといいでしょう。

引き物を配るタイミングは、会食が終わって参列者が帰り始める頃がベストです。施主が挨拶をしながら渡せると非常にスムーズですね。

ただし会食を行う場所によっては、あらかじめ席にセットしてあることもあります。これは会場のサービスの都合上ということも考えられますのでその通りにしておきましょう。

「どうしても手渡ししたい」などの要望がある場合には会場スタッフと相談しておくことがオススメです。

会食の場を設けない場合は、法要が終わった後に折り詰め弁当などと一緒に渡しましょう。

参加者側のマナー

①服装について

施主側と違い、必ずしも喪服を着用する必要はありません。ただし明るくならないように、黒スーツに黒ネクタイを着用してください。

また靴や靴下、ベルトも黒が基本です。時計やカバンなどは派手すぎないものを選びます。黒か黒に近い色のものがベストです。

女性は黒で無地のワンピースなどがいいでしょう。ストッキングなども黒を着用します。

アクセサリーには光沢のあるものを身につけないように注意します。パールなどが最適でしょう。なるべく露出を避けることもポイントです。

②案内状への返信について

一周忌の案内状に返信するときはなるべく早めに返事を出しましょう。施主側がスムーズに人数を把握するための配慮です。

返信用のハガキには「御出席」「御欠席」と書いてあります。返信する際には、「御」の部分に二重線を書き、「出席」「欠席」のどちらかにマルをつけましょう。

この時、残った単語も二重線で消すことを忘れないでください。「御住所」などの部分も同様に「御」の部分を消します。ただし「御芳名」のような場合は二文字消しましょう。

またハガキの表に「(施主の名前)行」という表記もあるので、「行」を同じく二重線で消し、個人なら「様」に、団体なら「御中」と書き換えておきます。

基本的にはこれで大丈夫ですが、さらに丁寧にするなら出席や欠席の文字の下に「させていただきます」と加えるといいでしょう。

③香典について

香典の金額は、一周忌当日に自分がどこまで参加するのかにもよって変化します。以下を参考にしてください。

●一周忌法要に参加するだけの場合は5千〜1万円程度
●会食にも参加する場合は1万〜2万円程度
●卒塔婆を立てる場合は5千円多く包む

これらが一般的です。ただし、故人と生前縁が深かったりお世話になっていた場合はさらに5千〜1万円程度、多く包むこともあります。

また、一周忌でも葬儀等と同じように不祝儀袋を使いましょう。表書きは故人の宗派によって変わります。以下を参考にしてください。

●仏式:「御仏前」「御供物料」「御香料」「御佛前」など
●神式:「御神前」「御玉串料」など
●キリスト教式:「御花料」など

ただし包む金額の目安はどの宗派でも変わりません。

一周忌の香典相場については「意外と相場がわからない!一周忌の香典の相場やマナーを完全解説!」の記事もご参考ください。

④法要では忌み言葉は使わない

一周忌法要に参加する場合は、忌み言葉や重ね言葉を使わないように気を付けましょう。

例えば「たまたま」「浮かばれない」など、不幸が続くことを連想させたり不吉な言葉は絶対に口にしないように気を付けます。これは法要だけでなく、冠婚葬祭時に共通するマナーです。

 

一周忌法要を欠席する場合

やむを得ない事情があり、一周忌法要を欠席する場合は早めに連絡をしましょう。

また、参加できない場合も香典や供物を郵送で送ることは可能です。香典を送る際は必ず現金書留を利用しましょう。送るタイミングは当日ではなく法要を行う前日までに届くようにします。当日に指定してしまうと、お寺で法要を行っていれば不在で受け取れませんし、仮に自宅であっても法要の最中に届いてしまうと相手の迷惑になってしまいます。

その際、一言お詫びのメッセージなどを添えるとよいでしょう。

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一周忌に関する知識のまとめ

以上が一周忌の主な流れと、注意すべきマナーなどについてです。簡単におさらいしておきましょう。

【一周忌とは?】
●一周忌とは、故人が亡くなってから初めて行われる年忌法要のこと。正式には「一周忌法要」と呼ばれ、家族や親族、生前に故人と仲の良かった人物も招いて行われる。

【一周忌はいつ?】
●一周忌は、故人が亡くなってから1年後の命日に行う。基本的には命日よりも前倒しで行うのが習慣であり、命日の後に一周忌を行うことはない。

【一周忌と一回忌の違い】
●一周忌は一年後の命日に行うもの。一回忌は故人が亡くなった日のこと。

【一周忌の会場】
●一周忌の会場は基本的に、お寺・自宅・ホテル・斎場などから選んで押さえる。法要の後にお墓参りをするのが一般的なため、お墓に近い場所で行うと便利。準備の手間・参列者の多さ・予算・交通の便などを考慮して決めることが大切である。
●会場の費用は、自分の予算や交通の便を考慮して決める。

【僧侶の手配について】
●僧侶の手配は、先祖代々お世話なっている菩提寺に依頼する。霊園や墓地を利用してる場合は、葬儀の際にお世話になったお寺へ連絡するか、お坊さんの手配サービスなどを利用する。

【一周忌の連絡】
●出席者が、遺族や親族などのごく親しい身内だけの場合は電話連絡だけで案内をしても問題ない。友人などを幅広く招待する場合は案内状を作成する。

【お布施の金額】
●お布施の金額はあくまでも目安であるため、馴染みの菩提寺やお世話になっている寺院に聞いてみる。地域や宗派によって異なるが、だいたい3万〜5万円くらいが相場である。この他にも必要に応じて「御車代」や「御膳料」も準備する。

【一周忌の会食】
会食のために仕出し料理を注文したり、料理店を予約する。エビやタイなどのおめでたいメニューを作らせないように注意する。
●会食は参列者の人数に合わせて用意する。法要の規模によっても異なりますが、だいたい一人あたり5千〜1万円で設定する。
●会食は精進料理を出すのが正式な形だが、最近ではそのこだわりは薄れてきているので問題ない。会食の席順にも注意。

【一周忌の流れ】
①施主の挨拶は簡潔に感謝の気持ちを述べる。
②僧侶の読経は席順を守りながら聞く。僧侶からの合図があったらお焼香を開始する。僧侶が会食に参加しない場合は、法話が終わって退場するタイミングでお布施・御車代・御膳料を渡す。
③会場の近くに墓地がある場合はお墓参りを行う。
④僧侶が会食にも参加する場合は、ここでお布施や御車代を渡す。この時、お布施の渡し方と表書きに注意する。
⑤施主による終わりの挨拶も参列者に感謝の意を伝えて終わる。

【一周忌のお返し】

●一周忌のお返しには、日用品などのあっても困らないものや、すぐに消費できるお菓子などを渡す。カタログギフトなども可能。
●引き物の金額相場は、2千〜1万円程度が相場。会食がある場合は多少少なくなっても問題ない。
●引き物は一周忌などの法要に参列した方へのお返しであるのに対し、香典返しは葬儀や告別式に参列した方へのお返しのこと。●参列者が普通に香典を渡す場合の表書きは「御仏前」で問題ないが、品物をお供え物して渡す場合は「御供(お供え)」と表記する。

一周忌は葬儀などが終わってから再び親族が集まる大切な場。準備はたくさんありますし、施主側は気苦労も多いでしょう。

だからこそ参列者側もしっかりマナーを守って迷惑をかけないように配慮しつつ参加することが大切です。

施主側も参列者側も、どちらもマナーを守りしめやかに故人を偲ぶ会になるように意識していきましょう。

【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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