全く一般には知られていませんが、新型コロナウイルスで亡くなった方の葬儀対応は想像よりも深刻になっています。実際の新型コロナウイルスで亡くなった方の対応から現状を発信いたします。
2021/6/14 情報更新
緊急事態宣言がされた中で、ゴールデンウィークとなりました。今年は東京都:小池百合子都知事の仰る通り、いつものゴールデンウィークとはいきません。医療関係者の方は休みことなく対応を日々増加をしてゆく患者の対応を行っております。
一方どうしても医療関係者の方が尽力を尽くしましたが、残念ながらお亡くなりになった方も増えており。2020年4月25日の時点で334名となっております。(※2020年当時の死亡者数です。2021年6月13日時点では、1万4,077人となっています)
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の現在の状況について(令和3年1月31日版)
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の現在の状況について(令和2年4月25日版)
死亡者が増えるということは葬儀会社の仕事での対応が増えることを意味します。しかしこれは葬儀社にとって仕事の依頼が増えるという単純な話ではありません。このままでは「葬儀崩壊」が起こってしまうのではないかと危惧されておりますが、現状葬儀業界で起こっている新型コロナウイルスで亡くなられた方の対応について、お伝えさせて頂きます。
INDEX
火葬を行うための基本的な流れ
火葬のルール
まず基本的な火葬を行うまでのルールについてお話しさせて頂きます。通常お亡くなりになられた方は、24時間を経過しないと火葬を行うことができません。これは厚生労働省のホームページで確認が可能です。
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
しかし今回の新型コロナウイルスなどの指定感染症におきましては「24時間以内の火葬」が認められており、速やかに荼毘に伏す流れとなっております。※この24時間以内は強制ではありません。
去年お亡くなりになられた志村けんさんや岡江久美子さんにつきましても速やかに荼毘に伏されたと伺います。
>>病院から直接火葬場へ!?志村けんさんの訃報から考えるコロナウイルスと葬儀の在り方!
しかし地域や状況にもよりますが、大多数の新型コロナウイルスで亡くなられた方の火葬は「24時間以内の火葬は出来ていない」ことが現状です。
埋葬については下記記事もご参考ください。
・埋葬とは?意味・手続の流れ・必要物・給付金・注意点を完全解説!
・埋葬料とは?請求方法・申請書の書き方・振り込まれる時期を完全解説!
火葬の仮予約を行うには?
一部地域では一般の方でも予約が行えるという話を聞いたことがありますが、原則は「葬儀社」から予約を行い、正式な手続きする流れとなっております。
各地域では葬儀社のみしか予約できない地域もございますし、システムで火葬場予約管理を行っている自治体では、事前に葬儀業者登録を行っておかないとスムーズに予約ができない地域もございます。各地域により状況が異なりますので、やはりその地域の葬儀会社に予約を依頼された方が無難と言えます。
※愛知県名古屋市、埼玉県さいたま市など。
火葬場の本予約・その後の流れ
火葬場の本予約を行うには火葬許可証と呼ばれる書類を行政に発行してもらい、火葬場に提出することで本予約が成立します。地域や葬儀社の方針により、家族の方が役所に病院から発行された死亡診断書を提出し、火葬許可証を発行して頂き葬儀社に渡し、葬儀社から火葬場へ提出という流れが一般的です。
>>火葬するには火葬許可証が必要!発行の流れや再発行について解説
大多数の地域では役所への死亡診断書の提出も葬儀社で行うという場合が多くなっており、親族の方がわざわざ役所まで向かうことが少なくなっております。
また、突然亡くなられた方や、死因が不明の方の場合は「検案」と呼ばれる死因をはっきりとされるための検査を行います。
(書類の呼び方は死亡診断書ではなく、死体検案書という書面に変わります)
予約日時で火葬を行ったあとは、お骨と一緒に埋葬許可証(お骨を納めても良いという証明書)を火葬場から預かり完了となります。
>>埋葬許可証の意味とは?発行から提出までの流れや紛失時の対処法を解説
火葬予約のまとめ
①病院からの死亡診断書・警察からの死体検案書を遺族が預かる。
②遺族や親戚または葬儀社/葬儀屋が役所へ提出。火葬許可証を預かる。
③葬儀社が火葬場へ提出。
④火葬予約日に合わせて荼毘に伏す。
⑤お骨と埋葬許可証を預かる。埋葬許可証はお骨をお墓などに納める際に管理者へ提出する。
火葬については下記記事もご参考ください。
・火葬(直葬)の費用を完全解説!相場・内訳・費用を抑える方法を紹介!
・新型コロナで死亡した人の火葬・葬儀はどうしたらよい?厚生労働省と葬儀社の見解を解説!
・火葬を完全解説!準備・必要物・手続き・必要な時間・マナー!
新型コロナウイルスで亡くなられた方もすぐには火葬できない
新型コロナウイルスなどの国が定める指定感染症で亡くなられた方は「24時間以内での火葬を認められています」
これは感染症が遺族をはじめ、他の方に感染しないように特例として認められているのですが、実態としてはすぐに火葬ができない状態です。今回のコロナウイルスで特に心配される東京都ではこの状況が特に深刻です。
東京は通常時でも火葬までに日数が掛かる
地方では火葬の予約を行い、火葬までに2日または3日もあれば火葬を行うことが可能です。状況によっては亡くなってから次の日に火葬も行う場合も十分可能です。
しかし、日本一の人口密度である東京(特に23区)では事情が異なります。
毎日人が亡くなる中で、東京は特に火葬場の予約までに日数が必要で、通常時でも5日から7日ほど火葬予約を行うのに時間が掛かってしまうのが現状です。人口が集中しすぎている東京ならではの事情ですが、新型コロナウイルスに関係なく、火葬場不足が従来からの課題であり、今後死亡人口が確実に増えますので、状況はさらに深刻になっていきます。
新型コロナウイルスで亡くなった方でも火葬予約を早めてくれるわけではない
東京都では火葬場が新型コロナウイルスで亡くなった方は、特別に早く火葬予約ができるというわけではありません。当初は特別に枠を設けるのではという話がありましたが、現状は新型コロナウイルスで亡くなった方の火葬ができる火葬場は限定し、先日私たちが確認を行った中では東京23区の火葬場で最短で6日後、中には9日後と回答があった火葬場もございました。
新型コロナウイルスで亡くなった方は東京23区では上記の日数まで火葬できないのが現状です。
東京の火葬場については下記記事もご参考ください。
・東京の火葬場料金が値上げ?!町屋斎場・四ツ木斎場・桐ヶ谷斎場・代々幡斎場・落合斎場・堀ノ内斎場の火葬費用改定と値上げについて
・高評価!東京都荒川区にある町屋斎場の特徴や施設、火葬の注意点まで完全解説!
・東京都港区で葬儀を行う方は必読!費用・葬儀場・斎場・火葬場の情報を完全解説!
厚生労働省からのガイドラインだけでは現場の状況はわからない
厚生労働省のガイドラインでは適切な処置を行えば、遺族でも行うことに差し支えがないとされています。
厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け)
しかし、現状は遺族のみで搬送を行った事例は当社では確認できず、もし事例があったとしても、防護対応を遺族がしっかりとできるのかという心配があります。間違いなく防護対応はできないと思われ、また遺族自身も濃厚接触者の可能性が高いため現実的ではないと考えております。
厚生労働省の新型コロナの葬儀については下記記事もご参考ください。
・葬儀社のコロナ対策とは!?コロナについての厚生労働省の発表と葬儀社の現場対応
・新型コロナで死亡した人の火葬・葬儀はどうしたらよい?厚生労働省と葬儀社の見解を解説!
新型コロナウイルスで亡くなった方の対応をお断りする葬儀社が大多数
今回のコロナウイルスの最大の問題は、亡くなった方の対応を行う葬儀社が断るケースが大多数ということです。
理由として、
まだコロナウイルスに関して「不明な点が多すぎる」
もし感染してしまった場合の「回復方法が確立されていない」
病院の衛生状態が「病院により大きく違い」があり、対応が異なる。
葬儀社/葬儀屋従業員が感染をしてしまった場合、通常営業ができなくなってしまい、最悪事業廃業の可能性があり得る状態になる。
そして新型コロナウイルスで死亡された方を「自社の安置施設や葬儀会館で何日間か預かること」は「葬儀社に相当なリスク」となります。
東京は安置場所が少ない
そしてそもそも東京都内は安置場所も少なく、自社で葬儀会館や安置所を保有する葬儀会社が少ないため、対応ができないことが現状です。
葬儀業界の特徴でもある「90%の葬儀事業者が10名以下の中小企業」であり、中小規模の葬儀社では新型コロナウイルスを対応することは稀であるのが現状です。
このような状況の中で、実際にご遺族が困ってしまい、インターネットを検索し、当社に相談をされたご遺族の方がいらっしゃいます。
当社『やさしいお葬式』ではこの現状を確認、新型コロナウイルスで亡くなった家族の方の相談・実際の対応・搬送サポートを引き続き行っております。
当社の新型コロナウイルスの方の葬儀への取り組みについては下記記事もご参考ください。
・やさしいお坊さんは新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令下に対応し、オンラインの法事・法要・葬儀・相談に対応したスマ僧侶を開始しました。
・新型コロナウイルスで亡くなった故人へのエンバーミングプランと最後の面会プランと直葬プラン(火葬)とお別れ会プラン(後葬)への対応を開始しました。
・2021年2月2日放送:テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』で、当社の事業が紹介されました。
新型コロナウイルスで亡くなった方でも対応させて頂きます。
弊社『やさしいお葬式』では「新型コロナウイルスで亡くなった家族」の方の対応を東京近郊・名古屋近郊・大阪近郊で行っております。
※詳細は下記ページ:費用につきましては、状況・地域性・搬送料金・昨今のアルコールなどの高騰により、都度確認が必要です。
『葬儀崩壊』防止に向け、『やさしいお葬式』®が新型コロナウイルス感染症で亡くなった方のご葬儀への対応エリアを関東と関西で追加
今後も新型コロナウイルスで不安を感じておられる方々へ我々がご提供できるサポートと情報を発信して参ります。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール