葬祭費とは「葬祭費給付金制度」のことをいい、国民健康保険の加入者が申請することで受け取れるお金です。本記事では、葬祭費とは何か?から申請方法や生活保護者方の申請や代理人に依頼する際の委任状についてなどをご紹介します。
INDEX
葬祭費とは?給付金制度の概要と申請時のポイント
近いうちに葬儀の予定がある人、または既に葬儀を終えた人の中には、葬祭費について耳にしたことでどのようなものなのか興味を持ったという人も少なくありません。
そこで今回は葬祭費とはどのようなものなのか紹介するとともに、実際に葬祭費を申請をする際に必要な書類や申請する時のポイントなどについて解説していきます。
葬祭費の概要
葬祭費とは、葬祭費給付金制度と呼ばれる制度から支給される給付金のことを指します。
葬祭費給付金制度の定義
定義としては国民健康保険の被保険者が死亡した際に葬儀を行った人に対して一定の費用が支給されるもので、その名称や支給金額は市町村によって異なります。
支給金額の目安
ちなみに支給金額の目安としては、国民健康保険に加入している人の場合が5万円から7万円程度、後期高齢者医療保険に加入している人の場合が3万円から7万円です。
支給を希望する場合は、市区町村役所の保険年金課に問い合わせをすることがおすすめだと言われています。
自治体ごとの葬祭費の金額(例)
東京都港区:7万円(23区全て) 東京都港区葬祭費について
神奈川県横浜市:5万円 神奈川県横浜市葬祭費について
大阪府大阪市::5万円 大阪府大阪市葬祭費について
愛知県名古屋市:5万円 愛知県名古屋市葬祭費について
北海道札幌市:3万円 北海道札幌市葬祭費について
福岡県福岡市:3万円 福岡県福岡市葬祭費について
京都府京都市:5万円 京都府京都市葬祭費について
岡山県岡山市:5万円 岡山県岡山市葬祭費について
葬祭費と埋葬料との違い
葬儀に関する給付金制度には、葬祭費以外にも埋葬料と呼ばれるものもあります。
葬祭費と埋葬料の違いとしてまず挙げられているのが、加入している保険の違いです。
埋葬料は、故人が国民健康保険以外の健康保険に加入している被保険者または協会けんぽの加入者だった場合に利用できる給付金制度となっています。
このため国民健康保険に加入している場合は葬祭費、それ以外は埋葬料の申請をする必要があります。
埋葬料の支給金は5万円
また埋葬料は支給される金額は5万円と固定されているため、葬祭費のように市区町村によって支給金額が変わらないところも違いのひとつです。
埋葬料の支給に必要なもの
埋葬料の支給に必要な書類は支給申請書の他、健康保険証や埋葬許可証、葬儀を行った際の領収書が必要になります。健康保険組合によっては必要書類が異なりますので、健康保険組合のHPを確認するなど事前に確認しておきましょう。
埋葬料については下記記事もご参考ください。
・埋葬料とは?請求方法・申請書の書き方・振り込まれる時期を完全解説!
・お骨を埋葬をするために貰える費用がある⁈「埋葬料」とは?金額や申請時の注意点
葬祭扶助制度とは?
葬祭扶助制度とは、生活保護を受けている方が受け取ることができる支給金額です。ただし、葬祭扶助制度で支給されるのは最低限の葬儀をおこなうだけの費用です。
一般葬のような僧侶のお経は行えず、通夜や葬儀、告別式は行わない「直葬(火葬式)」といわれるものに限られます。
葬祭扶助制度について詳しくは下記記事をご参考ください。
・葬祭扶助とは?支給の条件から金額、申請方法まで徹底解説!
直葬(火葬式)について詳しくは下記記事をご参考ください。
・周囲の理解を得ることが大切!直葬を選ぶときの注意点について
・葬儀をしない?最近増えている火葬のみの「直葬」について徹底解説!
・火葬のみで葬儀を行う「直葬」を完全解説!
葬祭費の申請期限・必要なもの
葬祭費の申請期限と必要書類をご紹介します。
葬祭費の申請期限は2年
葬祭費は、故人が亡くなってから2年の申請期限が設けられています。
このため、申請期限内に故人が加入していた市区町村役場の保険年金課に申請しなければいけません。申請した後は申請者ではなく葬儀を執り行った喪主に対して葬祭費が支給される形となるので、その点も理解した上で申請することが大切です。
申請に必要な書類
葬祭費の申請には葬祭費の支給申請書のほかに、故人の健康保険証や申請者の印鑑、そして喪主を確認できる書類が必要とされています。
喪主を確認できる書類としては、喪主名義の振込先口座番号や葬儀社の領収書などが挙げられます。
喪主以外の人が代理申請する場合
喪主以外の人が代理申請する場合は、委任状が必要になります。 喪主以外の方の口座に振り込んでもらうのがあらかじめ分かっているのであれば、葬儀の領収書の名前を代理人の名前にしてもらうのがスムーズです。
亡くなった後の手続きについては下記記事もご参考ください。
・親が亡くなったら何から始めれば良い?必要な手続きについて解説
・死亡手続きを完全解説!するべきこと・期間・費用を一覧で紹介!
・家族が亡くなくなった時こそ冷静に!死亡に際して必要な手続き
葬祭費を申請する際のポイント
葬祭費を申請する際に一番注意しておきたいポイントとされているのが、故人が加入していた保険内容の確認をしておくことです。
加入している健康保険組合によっては葬儀費用以外にも付加金が支給される場合があるため、保険内容を確認しておくことでそれらの支給金をしっかり受け取ることができます。
また亡くなってから14日以内に行わなければいけない国民健康保険の資格喪失の届出は忘れてしまう人が多いため、申請をする前に行っておくことが大切です。
葬儀費用を抑える方法
最後に、葬儀費用を抑える方法をご紹介します。
葬儀を小規模にする
葬儀規模を小さくし、参列者を限定することで葬儀費用を抑えることができます。葬儀費用を抑えるプランとして家族だけでおこなう「家族葬」や通夜や葬儀、告別式をおこなわない「直葬(火葬式)」などがあります。
家族葬について詳しくは下記記事をご参考ください。
・家族葬のお葬式の費用は?家族葬でお葬式を行う際の費用相場や費用を押さえるためのポイント、注意点まで徹底解説!
・家族葬の流れは?一般的な家族葬から一日葬まで、家族葬の流れを完全解説!
・家族葬とは?家族葬のメリット・デメリットから参列者をどこまで招待するかまで徹底解説!
直葬(火葬式)について詳しくは下記記事をご参考ください。
・葬儀無しで火葬のみ?直葬の流れからメリットデメリットまでを徹底解説!
・直葬とは?流れ・費用・マナー・選ばれる理由を完全解説!
・都会を中心に増えている直葬の注意点とは
地域の葬儀サービスを利用する
住んでいる自治体によっては、市民葬や区民葬などの葬儀プランを利用することができます。葬儀プランは一般葬と変わらない流れで行うことができ、費用を安くすることが可能です。
>>市民葬・区民葬とは?利用方法・メリット・デメリットを完全紹介!
ただし、市民葬と区民葬を行うには「故人(もしくは喪主)が対象の自治体に住んでいた」などの条件が必要になります。
葬儀費用を抑える方法について詳しくは下記記事をご参考ください。
・葬式の金額は?一般的な葬儀費用の平均から、葬儀費用の内訳、費用を抑える工夫まで徹底解説!
・葬儀を安くする6つの方法を解説!葬儀費用の相場と内訳を紹介!
・家族葬の費用相場は?損をしないための全国相場と費用を安くする方法を解説!
まとめ:葬祭費は自営業者や個人事業主に適用される葬儀後の給付金制度
「葬祭費」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【葬祭費とは?】
●葬祭費給付金制度と呼ばれる制度から支給される給付金のことを指す
●国民健康保険の被保険者が死亡した際に葬儀を行った人に対して一定の費用が支給される
●自治体ごとに葬祭費の支給金額は異なる
●支給金額の目安は、
・国民健康保険に加入している人の場合が5万円から7万円
・後期高齢者医療保険に加入している人の場合が3万円から7万円
【埋葬料とは?】
●埋葬料は、故人が国民健康保険以外の健康保険に加入している被保険者または協会けんぽの加入者だった場合に利用できる給付金制度
●埋葬料の支給金は5万円と固定されている
【葬祭扶助制度とは?】
●生活保護を受けている方が受け取ることができる支給金額
●受け取れる金額は、最低限の葬儀(直葬)をおこなうだけの費用
【葬祭費の申請方法】
●葬祭費の申請期限は故人が亡くなってから2年
●葬儀を執り行った喪主に対して葬祭費が支給される
●申請には、支給申請書のほかに、故人の健康保険証や申請者の印鑑、そして喪主を確認できる書類が必要
●喪主以外の人が代理申請する場合は、委任状が必要となる
このように葬祭費は国民健康保険に加入しているという条件を満たしていれば、どのような人でも利用可能な給付金制度となっています。
利用することで、喪主側は葬儀費用をある程度節約することができます。また自営業者や個人事業主の場合は、葬祭費以外にも葬儀費用を節約できる付加金が支給されることもあるため、保険内容を調べておくこともおすすめです。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール