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ご臨終から法要まで|喪主の役割と8つの準備を解説

Jul 13 2024

喪主は遺族の代表者として葬儀や供養まで全て取りまとめるため、家族の逝去後すぐから大変忙しく準備を進めます。今回は喪主を誰がすべきなのか、「誰と」「どんなこと」を進めるのか喪主の役割を解説し、よりスムーズに執り行うための方法もご紹介します。

「葬儀には今まで参列してきたけど、喪主がどんなことするのか分からない…」

喪主(もしゅ)は遺族の代表者となり、お通夜やお葬式などの葬儀や法要、そしてお墓や位牌までの供養全般を仕切る窓口となる人のことを意味します。

喪主と似た役割に「施主(せしゅ)」がありますが、施主は主に葬儀費用を負担するのが役目であり、喪主と兼任することの方が多いです

【喪主と施主の役割の違い】

  主な役割
喪主 葬儀の代表者で準備や弔問客の対応などを行う
施主 葬儀費用を負担する人、香典管理なども行う。喪主の補佐的な役割

喪主と施主を分担する場合、それぞれの役割を事前に把握しておくことで、よりスムーズに行うことができます。「喪主と施主(せしゅ)は葬儀の役割が違う!決め方~マナーまで全解説」で詳しくご紹介していますのでご参考ください。

しかし、人生で何回も経験するものではないため、どんなことをしているのか、どれだけ大変なのかわからないことが多いですよね。

大切な家族を亡くし、呆然としている中で「喪主」として次々と進めていくのは精神的にも、肉体的にも大きな負担となるものです。

だからこそすぐにでも取りかかれる「事前準備」と「家族や親族間での協力」を得ることがとても重要となり、負担を減らすことで余裕が生まれ、スムーズに、より良い葬儀を執り行うことができます。

今回はこの対策はもちろん、ご臨終から葬儀後の法要やお墓のことまで、喪主の役割とするべきことを葬儀の流れとともに解説します。

「喪主をすることになっても恥ずかしくないようにしっかり務められるようにしたい」という方はぜひご覧ください。

喪主の決め方

「喪主」を誰がやるべきかなどの法的なルールはないため、遺族内で自由に決めることができます。

故人の遺言があればそれに従いますが、もしもなければ配偶者、子、故人の両親、個人の兄弟姉妹など、故人と血縁が近い人が務めるのが一般的です。

血縁が近い人がいない場合は故人の友人や知人、施設の代表者が務めることもあります。

喪主が高齢の場合

喪主となる人が高齢の場合は、「喪主」の名義を父とするケースもあります。

「喪主は配偶者である父が務めるべきだけれど、高齢だから務まらないかもしれない…」

などの不安がある場合は、葬儀の手配などの実務は子供が代理として務めるケースも少なくありません。

喪主を拒否したい場合

喪主を拒否したい場合、代理人を立てれば拒否することも可能です。

「喪主を依頼されたけれど家を出てしまっているから同居している人に頼みたい」

など、様々な理由で喪主を拒否したいケースもあるかと思います。

その時は1人で抱え込もうとせず、血縁関係がある人の中から代理で喪主を引き受けてくれる人を選び、「なぜ喪主を断らなければならないのか」といった理由を丁寧に話して、理解してもらいましょう。

ただし喪主は複数で務めることもできるため、代理人に任せきりになるのではなく、できる作業を分担するなどの気遣いも大切です。

喪主を交代したい場合

葬儀とその後の法事ごとに喪主を交代することも可能です。

「葬儀は喪主を務めたけど体調を崩してしまい法事は別の人へ任せたい」

などといった場合も、代理人をたてて丁寧に断ります。

そして、こちらも法事ごとに喪主を変えるなど、1人に負担が多くならないように分担することを忘れないようにしましょう。

喪主の12の役割とするべき内容

喪主は葬儀の主催者となって、遺族を代表して進めていきます。

まずは亡くなってから葬儀当日までの一般的な葬儀の流れを把握しておきましょう。

では具体的にこの流れに沿って「喪主」の役割とするべき内容を見ていきましょう。

役割 内容
エンゼルケアの手配 ・化粧などへの希望や立会人の希望の有無確認
連絡 ・葬儀社へ連絡

・訃報連絡

・忌引連絡

死亡診断書の受け取り ・病院で死亡診断書受け取り

・役場で死亡届と火葬許可申請書提出と火葬許可書受け取り

荷物整理、入院代の支払い ・病室の荷物整理

・病院での支払いと挨拶

搬送手配 ・安置場所の決定

・搬送ルート希望の有無

・同乗者決定

・病院から安置場所までの同乗者以外の移動手配

葬儀の準備・運営 ・葬儀社との打ち合わせ(下記別途)

・受付係など役割分担した人への心付けの準備

・供花の並び順の決定

・弔電の読み上げ順の決定

・弔電の管理

・弔辞の依頼

・葬儀費用の支払い

・参列者リストの管理

寺院との取り決め ・菩提寺や寺院への連絡

・戒名の手配

・僧侶へのお布施の手配と管理

香典や供花管理 ・誰からいくら頂いたかの管理

・誰からいくらの供花を頂いたかの管理

・返礼品手配

弔問客の対応 ・訃報の連絡

・お茶菓子用意

・弔問客の対応

納棺手配と準備 ・日時確認後参加者へ連絡

・棺の中に入れるもの確認

葬儀時の挨拶 ・通夜、精進落とし、告別式などでの挨拶
葬儀後の法事や法要の運営 ・葬儀後の挨拶回り

・四十九日など年忌法要の連絡と手配

・お墓の準備や手配

・仏壇手配や位牌管理と供養

エンゼルケアの手配

病院で亡くなられたあとは、安らかに旅立てるよう願い、故人の体を清めて死化粧を施してキレイに整える「エンゼルケア」を行います。

基本的に病院の看護師が行いますが、医療行為ではないため医療関係者以外の人も行うことができるため、遺族が立ち会うことも可能です。

「娘にお化粧させてあげてほしい」など、希望があれば病院に相談しましょう。

病院でのエンゼルケアは、医療器具を取り外し、傷や口腔内などの処置をし、遺族が希望する服に着替えさせてくれますので、希望する服があれば用意しておきます。

他にもエンゼルケアには肌や髪型を整え、死化粧を施したり、死装束を着せていきますが、故人の旅立ち以外にも感染症対策の観点からも必須の処置とされています。「エンゼルケアとは?聞いたことはあっても詳しくは知らないエンゼルケアについてその目的や内容を徹底解説!」ではより詳しくエンゼルケアについて解説していますので合わせてご覧ください。

葬儀に関する3つの連絡

葬儀に関する3種類の連絡の準備に取り掛かります。優先順位順にご紹介していきますのでご覧ください。

1.葬儀社へ連絡

2.訃報連絡

3.忌引連絡

葬儀社へ連絡

葬儀社に連絡すると搬送からの葬儀全般を担当してくれますので、まずは葬儀社へ連絡をします。

どの葬儀社にするか決めていなかった場合、病院が紹介してくれることもありますが、思ったような葬儀内容を叶えられなかったりなど後悔する人も多いため、よりストレス無く進めるためにもできるだけ事前に決めておきましょう。

では葬儀社をどんな基準で選べば良いのかなど、詳細は「葬儀社を決める」でご紹介しますので最後までご覧ください。

訃報連絡

訃報連絡には2種類あり、それぞれ伝えるべき相手や内容が異なるので注意しましょう。

1.【身内に】故人が亡くなったことをいち早く伝える

2.【故人と付き合いがあった方に】葬儀のご案内とともに正確で整えた情報を伝える

このタイミングでは1番の「【身内に】人が亡くなったことをいち早く伝える」を進めていきます。

身内の中での情報共有として連絡しやすい人から順番に連絡していきますが、大切な家族を亡くして呆然としている状況ですので、その後は身内の中で情報伝達をおまかせするなど、喪主一人で抱え込みすぎないようにしましょう。

また、離れた場所に住んでいる親戚を呼ぶ場合には、交通手段の確保や準備含め、出来るだけ早めの伝達が大切です。

2番の訃報連絡に関しては「葬儀の案内の文面を用意」で詳しくご紹介していますのでご覧ください。

忌引連絡

身内が亡くなったりなど不幸があった場合には、「忌引休暇」として会社や学校を休むことができるのが一般的です。

会社の場合の忌引の付与日数の一例は下記の通りです。

【忌引日数の目安】

故人との関係 忌引日数(目安)
配偶者

10日間

父母

7日間

5日間

兄弟姉妹

3日間

祖父母

3日間

配偶者の父母

3日間

1日間

曽祖父母

1日間

ひ孫

1日間

勤める会社により付与日数が変わりますので、必ず事前に確認し、忌引連絡は葬儀の準備に追われ、曜日感覚がなくなり忘れがちになりますので必ず行いましょう。

調べ方については「自分の職場の忌引について調べる」で詳しくご紹介しますので最後までご覧ください。

職場への連絡内容は下記6点を順番に伝えていきます。

1.忌引を申請すること

2.休暇を取得する日数

3.故人との続柄

4.死亡日時

5.葬儀に関する情報(未定の場合は決定次第送る旨を記載する)

6.緊急連絡先

連絡手段としては「大切な6点は間違いのないようメールで送る」「メールを送った旨を電話で伝えて直接挨拶する」ことを心がけましょう。

訃報の連絡を正しい情報で社内共有してもらうためにも口頭ではなくメールで送り、その後電話をして相手に休むことへのお詫びなどを伝えることで、より丁寧な対応とすることができます。

では具体的な文面はどうしたら良いのかについては「忌引きの連絡はメールでも大丈夫?忌引きの意味から忌引きメールの書き方、忌明けのマナーまで徹底解説!」で引用して使える例文とともにご紹介していますのでご覧ください。

死亡診断書の受け取り

[出典:厚生労働省 / 令和3年度版 死亡診断書 (死体検案書)記入マニュアル]

「死亡診断書」という書類を担当医師より受け取ります。

この書類は火葬や埋葬するために必要な書類となり、ない場合は課税や年金も継続してしまうため必ず受け取り、紛失しないようにしましょう。

その後「死亡診断書」内の「死亡届」の欄に必要事項を記入して捺印し、亡くなってから7日以内に最寄りの役場にて「死亡届」として提出します。

その際に合わせて「火葬許可申請書」も提出すると、火葬場で必要となる「火葬許可書」が発行されるので大切に保管しておきましょう。

他にも相続の件や自動車の名義変更、クレジットカードの利用停止手続きなど、進めるべき手続きが多くあり、何をすべきかわからなくなりますよね。「死亡手続きを完全解説!するべきこと・期間・費用を一覧で紹介!」では必要な手続きをまとめて解説しておりますので是非ご覧ください。

荷物整理、入院代の支払い

思わず忘れがちになってしまうのですが、病室での荷物の整理を行い、忘れ物がないようにまとめます。

その際、亡くなった時間によっては早朝や深夜などで他の患者さんが休まれている場合もあるため、病院と相談の上、荷物をまとめてしまうようであれば起こすことがないように配慮しながら静かに行いましょう。

入院代の精算も必ず済ませておきます。

また、病院によっては、提携している葬儀社への依頼を促す為に「1〜2時間以内にご遺体の搬送だけでもして欲しい」などと言われるケースもありますが、断っても全く問題ありません。

搬送手配

病院で紹介されたところ以外の葬儀社へ手配した場合、平均1時間を目安に病院に来てくれますので、それまでに下記の内容を決めておきます。

・安置場所の決定

・搬送ルート希望の有無

・同乗者決定

・病院から安置場所までの同乗者以外の移動手配

安置場所の決定

故人を納棺までの間保管しておく「安置」は、病院の霊安室も可能ですがこの場合、約半日のみとなるため、葬儀社と相談した上で自宅、斎場、もしくは葬儀社の安置所への搬送が必要となります。

【ご遺体の安置場所】

  費用目安 特徴
自宅

0円

【メリット】

・施設利用料が不要の為、費用を大きく抑えることができる

・住み慣れた家で、故人とお別れの時間を持つことができる

【デメリット】

・ご遺体を安置するために、ある程度のスペースが必要

・室温の調整などご遺体の管理が難しい

・アパートやマンションなど搬送が難しい可能性がある

安置室

1~3万円(1日あたり)

【メリット】

・ご遺体の管理を施設スタッフに任せられる為、遺族の負担が軽くなる

【デメリット】

・施設の規定や設備によって、面会時間が限られる

・安置期間によって高額になる可能性がある

遺体保管所

1万円(1日あたり)

【メリット】

・ご遺体の管理を施設スタッフに任せられる為、遺族の負担が軽くなる

・面会時間に制限のない施設が多いので比較的自由に故人とお別れの時間を持てる

【デメリット】

・施設数が少なく、空き状況がない可能性がある

・安置期間によって高額になる可能性がある

自宅に安置する場合は故人を安置するスペースの確保が必要となりますので、家族や親族で手分けをして片付けを済ませておきましょう。

搬送ルート希望の有無

葬儀社によっては、故人にとって大切な場所や、一緒に通った思い出の道に立ち寄ることも可能なので、希望できる場合はこの道も案内できるようにしておきます。

同乗者決定

基本的に助手席に1名のみ、同乗者が必要となりますので「誰が乗るか」を決めておく必要があります。

自宅安置の場合、片付けなどもあるので手分けして考えることが必要です。

病院から安置場所までの同乗者以外の移動手配

搬送に同乗する人以外の移動を手配します。

自家用車がある場合は乗り合わせたり、タクシー手配など、移動手段を考え、協力しあって調整しましょう。

安置場所への立ち会いをお願いするのか、一度解散してまた来てもらうのか、その場合は何時になるのかなどを打ち合わせしておけるとスムーズです。

葬儀社との打ち合わせ

搬送が済んだら葬儀へ向けて準備していきます。

葬儀社が中心となって進めてくれるため、必要なことを相談しながら進めていきましょう。

<葬儀社との打ち合わせ内容>

役割 内容
1.喪主の決定 ・喪主は誰にするか
2.故人の宗派 ・懇意にしているお寺(菩提寺(ぼだいじ))はあるかどうか

・葬儀の宗派の希望はあるか?

3.僧侶へ戒名や読経の依頼 ・戒名はどうするか?予算と依頼先

・僧侶は葬儀社の紹介か菩提寺に依頼するのか?

・納骨先の確認

・仏壇やお墓の案内が必要かどうか

4.遺影 ・写真提供
5.葬儀の形式や規模 ・参列者の目安の人数

・一般葬、家族葬、一日葬、直葬などの希望プランの有無

・通夜ぶるまいや精進落しが必要かどうか

・斎場の希望

6.葬儀の日取り ・斎場や火葬場の空き状況

・宗教者の日程

・希望日はあるか

7.葬儀の案内の文面を用意 ・必要部数と送り先住所確認

・文面用意

8.供物などの配置や参列礼状、

返礼品の数を確認する

・必要部数確認

・返礼品用意

9.受付係など役割分担を決めて依頼 ・どんな役割が必要か

・誰に依頼するか

葬儀社との打ち合わせには最長で6時間以上かかったケースもあるほど、遺族への確認事項は多くあります。そのため葬儀社から聞かれる内容を事前に準備することでこういった打ち合わせの時間も含めて負担を低減させることにもつながります。

「事前に知っておきたい、葬儀会社のスタッフに聞かれること」で葬儀社から質問される事柄についてより詳しく書いておりますので合わせてご覧ください。

喪主の決定

「喪主の決め方」を参考に喪主を決定します。

故人の宗派

先祖代々のお墓を管理している菩提寺(ぼだいじ)があるのかを調べ、わからない場合は親族に確認しておきましょう。

菩提寺がある場合、故人はそのお寺の寺院の信徒である「檀家(だんか)」ということなので、宗派もこのお寺の宗派となり、その後の法事全般は菩提寺にお願いする形となります。

もしも菩提寺が遠い場合も一度連絡して、来ていただくか、近くにある近い宗派を紹介してもらうかを必ず相談するようにしましょう。

ない場合は一般的には葬儀社から紹介してもらう形となるため、家の宗派を調べ、紹介して貰う前に伝えておきます。

この場合多くは葬儀のみで依頼するので、「素敵なお坊さんだったな」という場合は、直接その後のお付き合いをお願いする形が良いでしょう。

僧侶へ戒名や読経の依頼

戒名と僧侶

仏教の場合、故人が仏の弟子として往生できるように「戒名」という名前をつけてもらう必要があり、位牌に書かれている漢字の名前のことを指します。

日本の葬儀は仏式が一般的となり、戒名がなければ葬儀を行えず、菩提寺によってはお墓に入れなくなることもあるのです。

戒名は自分でつけることもできますが、一般的には葬儀前に菩提寺でつけてもらうため、葬儀での読経とともに戒名についても相談しましょう。

その際に戒名にはランクがあり、つけてもらう際に必要な「お布施」と呼ばれるお礼の金額もランクに応じて変わってきます。

一般的には10万円から50万円ほどですが、高いものになると数百万に及ぶことがあるため、菩提寺に予算とともに相談することが大切です。

戒名のランクや、お布施を支払うタイミングやマナーなど、喪主となる方に知っておいてほしい「戒名」については「戒名とはなにか?戒名の構成やランクを一覧にしながら戒名の付け方やお布施の相場、お布施について完全解説!」でより詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください。

菩提寺など、寺院との付き合いがない場合は、「寺院(僧侶)手配サービス」が広がっており、遺族や葬儀社に代わって寺院(僧侶)を紹介してくれます。

「寺院手配サービスとは⁉︎寺院(僧侶)を手配する方法とは?」で具体的なサービスの会社と共にご紹介していますのでご覧ください。

僧侶派遣は『やさしいお坊さん』でもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。法事・法要は業界最安値水準の34,000円からご依頼可能です。

納骨先と仏壇やお墓の案内

四十九日のタイミングで納骨となり、葬儀社からは「既に入るお墓があるのか」「新規で案内する必要があるか」を聞かれるので、故人の納骨に関して調べておきましょう。

納骨についての詳細は「お墓」をご覧ください。

仏壇についても葬儀社からの案内を必要としているか、自分たちで用意できるのかを考えておきましょう。

仏壇の用意の仕方は「仏壇や位牌管理と供養」でご紹介します。

遺影

遺影は葬儀社で用意してくれるので、どの写真にするかを遺族で決定します。

葬儀などで飾られる遺影は遠くからでも見えるように、四つ切サイズ(254mm×305mm)かA4サイズ(210mm×297mm)と大きいサイズなり、写真は故人の顔がアップで大きく加工されるため、写真選びには注意が必要です。

複数の人と写っていたり、背景がにぎやかで服装がラフだったりする場合でも、葬儀社では遺影にピッタリのものに加工してくれるため、写真を選ぶ基準としては故人の表情、ピント、大きさを中心に選びましょう。

【遺影写真を選ぶポイント】

ポイント 理由
1.故人のお顔がはっきりと映っているか? 写真は大きく引き延ばす為、鮮明かつある程度の大きさの写真でないとボヤけてしまうため
2.写真の大きさは10円玉以上の大きさか?
3.”故人らしさ”のある表情か? 遺影写真は、遺族や参列者が故人を思い出しやすいような写真が適しているため

葬儀の形式や規模

葬儀に参列する人数、予算をもとに葬儀の形式や規模を決めていきます。

具体的な葬儀の形式と費用は下記の5種です。

  特徴 相場費用 参列者数

の目安

一般葬 通夜・葬儀を行う最も一般的な葬儀

150~280万円

50〜300名

家族葬 通夜・葬儀を家族や近しい友人のみで行う

40~170万円

20〜30名

一日葬 通夜を省略し一日で終わらせる

30~150万円

30〜50名

市民・区民葬 自治体が住民へのサービスで行っている葬儀形式で火葬のみや一般葬など自治体により異なる

20~100万円

〜100人

直葬(火葬式) 通夜・葬儀をせず火葬のみ

20~80万円

〜10名

葬儀形式ごとの火葬までの流れはもちろん、それぞれ気をつけるべきことも「プロが教える葬儀種類の”正しい”選び方!6つの特徴〜費用の全情報」で対策とともにご説明しておりますので、是非一度ご覧いただき、適した形を選びましょう。

そして、お通夜や火葬後にはそれぞれ参列者や僧侶への感謝の気持ちをこめ、お酒や食事でおもてなし、故人を偲ぶために「通夜ぶるまい」や「精進落し」が行われるのが一般的です。

近年では感染症対策の観点からお弁当など持ち帰れるもので省略化されることも増えていますが、これらをどうするか、行う場合は必要な数を決めると葬儀社が手配してくれます。

また、お通夜や葬儀を行う斎場に希望がある場合も、事前に葬儀社に伝えておきましょう。

葬儀の日取り

葬儀の日取りを決める際に注意すべき3点を順番にご紹介します。

1.火葬場の空き状況 ・火葬場の直近での利用可能日時
2.宗教者の日程 ・火葬場の利用可能日時を元に日程調整
3.火葬までの日程に関する法律 ・亡くなってから24時間以内は蘇生の可能性をふまえ、火葬してはならない

 

火葬場は数も限られているため、混雑していることが多いため、空き状況を優先し、次に僧侶などの宗教者の日程を確認した上で、葬儀社と日程を決めていきます。

また、「友があの世へ引かれる」という言い伝えにより、「友引」を避けるなどといった六曜を考慮するケースも多いです。

しかし、近年では市区町村のホームページで六曜に関する説明文が記載されるなど、注意喚起が促されている取り組みも出てきているのです。

県・市区町村 六曜に関する説明文
東京都目黒区 日常生活の中で世間体にさえ従っていれば何ごとも無難に済み、それが常識だと思う考え方は、時として相手を傷つけたり、差別する原因となったりするのではないでしょうか。

引用先:目黒区役所

島根県 県では根拠のない迷信や固定観念は、偏見や差別を生む要因の一つであると考えています。

引用先:島根県庁

和歌山県 科学的根拠に乏しく、迷信などに基づく不合理な考え方が、いろいろな場面で人間の平等や基本的人権を侵害することになりかねません。そうしたことのないように間違った風習などを、ひとつひとつ打破していくことが大事です。

引用先:和歌山県庁

大分県日出町 日常の意識や生活を見直し、迷信や慣習、偏見に縛られることなく、科学的・合理的なものの見方・考え方を身につけることが必要です。

引用先:日出町役場

もしも遺族内で六曜を意識する人がいれば、友引を避けるなどの配慮が必要となりますが、あくまでも「言い伝えられている日本の迷信」であることは理解しましょう。

ただし、火葬場は友引が休業となるところも多くなります。

六曜に関して「どこまで気にすればよいのか」「仏滅に関しては?」など葬儀の日程決定へ向けてより詳しく知りたい方は「プロ監修|仏滅の葬式は問題なし!日取り決定の大切なポイントと注意」で、忌み言葉まで解説しているのでご覧ください。

葬儀の案内の文面を用意

訃報連絡の一つでもある「【故人と付き合いがあった方に】葬儀のご案内とともに正確で整えた情報を伝える」を「葬儀案内」として進めていきます。

葬儀までの日程は少ないことが多くなるため、移動手段や参列へ向けての仕事の調整なども考慮し、出来るだけ早めに連絡できるように「誰に」「どんな文面で」出すかを決めます。

特に「誰に」出すかは、故人の交友関係をどこまで把握できるかが重要なポイントとなりますが、葬儀準備に追われる中で家族や親族間で話し合うことは簡単なことではありません。

そのため、事前に話し合っておくことが大切ですので「訃報連絡リストをまとめる」で、準備方法についてより詳しくご紹介していきます。

葬儀案内に記載すべき内容は下記が主となります。

故人に関すること ・亡くなった方のお名前

・自身との関係

・年齡

・逝去日時と場所

死因 ・亡くなった理由(記載しない場合もあり)
故人に対する感謝 ・生前お世話になったことへの感謝
葬儀の情報 ・葬儀日時、場所、宗派、交通手段など
喪主の名前と連絡先 ・喪主の名前

・連絡先の電話番号

葬儀社では文面がすでにあることが多いため、相談しながら決めていきましょう。

自分で用意する場合は例文もご用意しておりますので下記よりダウンロードし、是非ご活用ください。

<<訃報案内例文のダウンロードはこちら>>

供物などの配置や参列礼状、返礼品の数を確認する

<供物(くもつ)>

お通夜や葬儀の祭壇に、故人への気持ちや遺族への弔意として「供物」としてお供えの品が届くようになります。

主に祭壇や斎場内に飾ることとなりますが、故人との関係性だけではなく、遺族に対してのものもあるので、遺族内で「誰から届いたか」を共有し、相手に失礼がないよう、配置場所と順番を葬儀社と相談しましょう。

また、供物をいただいたあとは四十九日後に目安として品物の3分の1程度のお返しをする必要があるため、いただいた方のお名前と住所、いただいた品物は控えておくことが大切です。

供物については贈る側になることもあるかと思います。その場合、宗派によって選び方や渡し方が変わってきますので「供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!」をご参考ください。

<参列礼状と返礼品の数の確認>

参列してくださった方へは「参列礼状」というお礼のお手紙や、「返礼品」と呼ばれる呼ばれるお礼の品を当日お渡しします。

葬儀社では参列礼状はすでにテンプレートが用意されていたり、返礼品もカタログなどが用意されていることがほとんどで、手配までしてくれるため、どのくらいの数を用意するかを予算を元に決めていきましょう。

「より丁寧にお礼を伝えたい」と、参列礼状を自分で用意することももちろん可能です。「会葬礼状とは?意味と必要なケースと例文一覧!」では作成へ向けての注意点やポイントだけではなく、様々な例文を用意しておりますので是非ご覧ください。

受付係など役割分担を決めて依頼

葬儀全般の進行は葬儀社で行ってくれますが、葬儀の受付や香典管理、お茶菓子出しなど、葬儀社での担当外の仕事も多くあり、人手が必要です。

一般的には下記の役割が分担されることが多くなります。

役割 内容
受付 お悔やみの言葉や香典の受取、参列者に芳名帳への記入依頼と管理
会計 香典の中身の金額と記載金額での違いがないか確認
湯茶接待 控室でのお茶やお菓子出し
運転手 火葬場へのバスに乗り切らない際の自家用車での移動運転手

遺族や会社関係者や友人に手伝ってもらったり、地域によってはご近所で助け合う風習が残っていることもあるので、調べた上で「誰に」「何を手伝ってもらうか」を決めておきます。

頼みにくいこともあるかもしれませんが、困ったときには「お互い助け合う」ことが大切なので、手伝ってもらった人に万が一なにかあった際には積極的に手伝う形でお返しすることを忘れないでおきましょう。

もしも自分が受付を頼まれた際に具体的にどんなことをすれば良いのか、服装は?自分の分のお焼香はいつすればいい?などわからないことも多いですよね。

「葬儀の受付を頼まれたら?葬儀の受付の流れから注意点まで完全解説!」では受付を頼まれた際に知っておきたい内容や応対のマナーまで解説していますので、ご参考ください。

葬儀の準備・運営

葬儀社との打ち合わせ以外にも準備すべき内容があるので、ご紹介していきます。

【事前準備】受付係など役割分担した人への心付けの準備

「受付係など役割分担を決めて依頼」で依頼する方々へ「心付け」としてお礼をお金でお渡しする、アメリカでいうチップのようなものを用意します。

心付けの相場は地域によって様々な違いがあるので、近所の方や葬儀社にふさわしい金額を相談するようにしましょう。

また、葬儀関係者へ「心付け」を渡す習慣も昔はありましたが、最近では葬儀代に含まれていることもあるため、基本的には不要です。

あくまでも「金額が発生しないお手伝いをお願いしている方々へのもの」として考えるのが良いですね。

心付けはあくまでも感謝の気持ちを伝えるためのものですので、スムーズに渡せるように袋に包んでおいたり、渡すタイミングを見計らったりと注意すべきポイントがいくつかあります。

「心付けとは?心付けの相場や渡し方を徹底解説!」では相場もあわせて解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

【当日準備】供花の並び順

葬儀案内を出した方々から「供花」と呼ばれるお供えのお花が葬儀当日までに会場に届きますので、贈ってくださった方々と故人の関係性をもとに、供花の並び順や位置を葬儀社に指示していきます。

【当日準備】弔電

葬儀当日にはお悔やみの電報である弔電も届き、葬儀内で読み上げるため、紹介順を葬儀社に指示します。

弔電のみの場合、返礼品は必要ありませんが、もしも香典と一緒にいただいた場合には香典返しをお渡しするようにし、どちらの場合でも手紙やメール、もしくは電話でも必ずお礼を伝えることが大切です。

【事前準備】弔辞の依頼

葬儀によっては葬儀の中で「弔辞」として参列者に故人へのお別れのお手紙などの言葉を呼んでいただくことがあります。

葬儀社に弔辞の有無を確認の上、誰にお願いするかを故人との関係性で決め、出来るだけ早めにメールなどだけではなく、直接お話して丁寧にお願いするようにしましょう。

また、弔辞をお願いした方へは葬儀後早めに菓子折りや参列のお礼状を持参の上、お礼をしましょう。

この場合、故人への厚意でお願いする弔辞に対してお礼としてお金をお渡しすることが失礼にあたることもありますので、心付けは不要です。

【葬儀後】葬儀費用の支払い

葬儀費用は葬儀後1週間から10日以内を目安に「後払い」という形で支払います。

これは、準備段階での弔問客の人数の予想と、実際の参列者数との違いに対応できるように、返礼品や飲食代が変動するためです。

支払い方法は「現金振り込み」が一般的ですが、「クレジットカード」「葬儀ローン」「コンビニ払い」など、葬儀社により様々ですので、支払い方法や支払期限は事前に葬儀社に確認しておきましょう。

【葬儀後】参列者リストの管理

当日受付で対応してくれる方は「芳名帳」と呼ばれるものに、参列者へ一人ずつ名前の記載をお願いしてくれます。

この「芳名帳」を葬儀後受け取ることができますので、誰が来てくれたのかを把握しておけるようにし、後日直接お会いした際にはお礼を言えるようにしておくことが重要です。

その芳名帳を元に、参列者のリストを下記内容で管理しておくとスムーズです。

【参列者リストの具体例】

項目 詳細
お名前 いただいた方のお名前をフルネームで残します
住所 返礼品だけではなく法事のご案内に使用することもあります
ご連絡先 不明点や確認事項がある場合に分かる範囲で残しておきます
香典の金額 香典返しの金額を決めるために必要です
参列 / 弔問の有無 お礼状に記載したり、直接お礼を伝える際にわかると親切です
供物 / 供花の有無と価格 いただいた内容と価格をわかる範囲で残しておくとお返しを決めやすくなります
弔電 / 弔辞の有無 直接お礼を伝えるためにも残しておきましょう
返礼品の内容と価格 「いくらの」「何を」手配したのかを残します
返礼品のお届け方法 郵送、手渡しなど返礼品をどう届けたかを残します
返礼品手配日 いつ手配したかを残すことですでに手配したのか、漏れていないか、遅くなっていないかを判断できます

個人情報となるので、リストの取り扱いには十分に注意して管理しましょう。

寺院との取り決め

葬儀社に紹介してもらう寺院がある場合を除き、菩提寺へは自分で連絡をして、葬儀やその後の法要のこと、お墓のこと、戒名を相談し、依頼します。

依頼後はお布施をいくらにするかを決め、現在は「お布施袋」という不祝儀袋がコンビニなどでも気軽に手に入りますので、その中に用意しておきます。

その際に「いつ」「いくら」お渡ししたのか、身内でわかるようにしておくと、その後の法要の際の金額に参考にしやすくオススメです。

相場に関して不安があれば、親族や葬儀社に相談することも忘れないようにしましょう。

香典や供花管理

香典と供花では返礼品の手配が違いますので注意しましょう。

種類 お礼内容 お渡しするタイミング
香典 ・お礼の挨拶状

・いただいた香典の半分から3分の1程度の返礼品

・参列者へは当日お渡し

・参列者以外や高額の香典は四十九日後

供花 ・お礼の挨拶状か直接でのお礼のみ

・返礼品は不要

・葬儀後1週間以内を目安

それぞれ「誰から」「金額」「内容」「返礼品の内容」「返礼品を送った日程」などがリスト化されていると、その後の管理がわかりやすくなります。

弔問客の対応

訃報を知った方が「葬儀には出れないからせめてお線香だけでも」と、葬儀準備中に自宅を訪問してくれることがあります。

・お出しするためのお茶菓子やお茶(小分けになっているもの)

・香典返し

以上を自宅にも用意してすぐに出せるようにし、お客様が通る場所は片付けておきましょう。

当日香典や供物を遺族が手渡しでいただいた場合には、香典にかかれている名前が仏様からではなく、自分から読める向きで代わりにお供えしましょう。

これはお慈悲により仏様は供物をお返ししてくださるのですが、自分で向きを変えてお返しすることが難しいため、仏様がお返ししているようなイメージで、この向きでのお供えが良いとされています。

またこの弔問では、関係の深い方だとその人の顔を見ただけで胸がいっぱいになるなど、大切な家族を亡くしてギリギリの状態での対応となるため「受付係など役割分担を決めて依頼」での湯茶接待係に協力をお願いするなど、対策しておくことも重要です。

納棺手配と準備

納棺は故人が天国へ無事に旅立てるように願って旅支度をするための儀式で、葬儀社のスタッフが安置場所にて行います。

基本的に立ち会うのは家族や親しい親族のみの参加となるため、参加してもらう親族へは納棺を行う日時と場所を連絡しておきましょう。

棺の中には思い出の品や手紙などを入れることができますが、棺は火葬するため、燃えにくいものを避けて、燃えやすいものを入れるのが決まりです。

入れて良いもの ダメなもの
・お菓子

・洋服

・紙パックの飲み物

・金属類以外の趣味に関するものや好きだったもの

・タバコ

・手紙や色紙

・写真

※写っている人に棺に入れることの確認は取りましょう

・お金

・腕時計やメガネ・アクセサリーなどの金属類

・プラスチック類

・ビンや缶やペットボトルの飲み物

・生もの

・ライター

・発泡スチロールや分厚い本、ぬいぐるみなど燃えにくいもの

お金を燃やすと法律違反となってしまうため、「故人が困らないように」という気持ちでお金を入れることは避けてください。

以上を参考にしながら、棺の中に入れるものを納棺に参加する人がそれぞれで用意しておきます。

葬儀時の挨拶

喪主は葬儀の中で6回挨拶をするタイミングがあり、それぞれ話す内容も違いますので注意して準備しましょう。

タイミング 挨拶の種類 話すべき内容
お通夜 通夜最後に喪主から挨拶 1.参列者へのお礼

2.葬儀の案内

3.通夜ぶるまいの案内

4.結びのお礼

通夜ぶるまい 献杯前に喪主から挨拶 1.参列者へのお礼

2.ささやかな食事の用意と故人との話を聞かせてくださいなどの挨拶

3.結びのお礼

通夜ぶるまい 喪主からの挨拶で終了 1.参列者へのお礼

2.故人の話を聞けたことへの感謝

3.通夜ぶるまい終了の挨拶

4.葬儀の案内

5.結びのお礼

葬儀 葬儀内で喪主から挨拶 1.参列者への御礼

2.故人と自分との関係

3.故人の生前時の御礼

4.故人の人柄やエピソード

5.今後の予定やお願い

6.結びの挨拶

精進落とし 献杯前に喪主から挨拶 1.参列者へのお礼

2.葬儀を終えたことの報告

3.ささやかな食事の用意と故人との話を聞かせてくださいなどの挨拶

4.結びのお礼

精進落とし 喪主からの挨拶で終了 1.参列者へのお礼

2.通夜ぶるまい終了の挨拶

3.今後のこと

4.結びのお礼

喪主の挨拶は大変緊張し、荷が重く感じてしまいがちですが、言うべき内容はある程度決まっているので、例文なども参考にしましょう。

故人への気持ちと、時間がない中参列してくれた方への感謝や気遣いの気持ちを重点的に入れるようにしましょう。

具体的な例文は「【例文付き】喪主挨拶で『上手!』と思われる6つのコツと注意を解説」の記事で使ってはいけない言葉や「どうしても無理!」といった場合の対策を解説していますのでご覧ください。

また、挨拶する際には事前に紙に書いて用意したものを読む形でも問題はありません。用紙に関しても特に指定はありませんが、派手な紙などは避けるようにしましょう。

法要の運営と供養

火葬まで終了すると、あれほど忙しく準備していた時間と反対に突然静かな時間がゆっくりと流れ、悲しみが一気に押し寄せて「亡くなった」事実を受け止めるための辛い時間となる人が多くなります。

そんな中でも進めるべきことがまだあるので、出来ることから手分けして取り組んでいきましょう。

葬儀後の挨拶回り

葬儀には助けてくれる人たちが多くいますので、葬儀後出来るだけ早めに喪主が挨拶に伺い、感謝の気持ちを伝えましょう。

・僧侶などの宗教者

・弔辞をいただいた方

・葬儀で手伝ってくれた方

・故人の恩人、担当医師や看護師

・故人の上司や同僚

挨拶の際には無事に葬儀を終えたことへのお礼と、今後も変わらないお付き合いのお願いを手短に伝えましょう。

故人の職場への挨拶の場合、合わせて荷物などもまとめて引き取ることも遺族の大切な役割です。

また、上記以外の方で参列してくれた方へは当日に渡す参列礼状、供物や供花や弔電をいただいた方にはお礼状が挨拶の代わりになるので、別途挨拶回りをする必要はありません。

年忌法要

葬儀後にも数え方に基づき、法要を執り行う必要がありますので、

・僧侶への依頼

・参列者をどうするか

・法要を行う場所

・法要の案内状の準備と発送

・法要後の食事の席の有無

を取りまとめていきます。

法要は下記の通りとなります。

法要名 数え方(逝去後からの数えます)
初七日 7日目
四十九日 49日目
百箇日 *省略されることもあります 100日目
一周忌 1年後
三回忌 2年後
七回忌 6年後
十三回忌 12年後
十七回忌 16年後
三十三回忌 32年後

※法要名をクリックすると、詳細記事が開きますので、合わせてご参考ください。

時間とともに喪主も年齢を重ね、気がつけば法要を行うタイミングが忘れ去られてしまうことも多くありますので、家族内で共有しておくことが大切です。

お墓

火葬から四十九日後までは、遺骨は自宅などで保管されますが、その後はお墓などに納骨することが一般的ですので、

・既にあるお墓に入るのか

・新しく用意するのか

を確認し、準備していきます。

納骨では、火葬時に受け取る「埋葬許可証」が必要となりますので、大切に保管しておきましょう。

また、近年では終活として生前に自分のお墓を用意しておく人や、散骨など様々な納骨方法があり、エンディングノートなどに希望を遺していることもありますので、遺言やエンディングノートなどがないか、調べておくと故人の希望に添った形にできます。

「埋葬許可証」は納骨する際に必要となります。納骨のタイミングは四十九日で行うことが多いですが、ここで行わない場合でも、火葬場で骨壷と一緒に収めてくれますので、大切に保管しておきましょう。

では具体的にどこに提出すればよいのか、もしも紛失したらどうしたら良いのかなど、「埋葬許可証」については「埋葬許可証の意味とは?発行から提出までの流れや紛失時の対処法を解説」の記事もご参考ください。

仏壇や位牌管理と供養

仏壇を置き、位牌を置いて故人を供養する場所を準備します。

<仏壇>

仏壇は「家の中にある小さなお寺」として、先祖を供養する役割があります。

仏壇を用意すべきタイミングは特に決められていませんが、初めて仏壇を購入した場合は僧侶の読経を経て魂を入れ込む「開眼供養」という儀式が必要となるので、四十九日法要や一周忌法要に合わせるとスムーズです。

法要の依頼の際に、仏壇についても菩提寺に相談しておくと良いですね。

また、仏壇が置けない事情がある人は、遺骨や遺灰をアクセサリーなどに収めた手元供養と遺影を置いて仏壇のような役割をもたせる人も増えていますので、自分の家に合ったものを検討していきましょう。

<位牌>

位牌は故人の戒名が書かれた木の札となり、故人の魂が宿った分身のようなものとして大切に供養していきます。

葬儀後に用意される位牌は白い木でできた「仮の位牌」となり、四十九日までには漆塗りなどの仏壇でよく見かけることが多い黒い「本位牌」に作り変える必要がありますので準備しておきましょう。

本位牌は仏壇店など仏具を売っているところで作ってもらうのが一般的で、仕上がりまでには2週間程度要することが考えられるため、仏壇と一緒に仏具店で早めに手配しておきましょう。

喪主の負担を減らすための2つの対策

喪主の負担を減らすためにできる2つの対策があります。

・遺族間での分担など人に頼れるところは頼る

・8つの事前準備を進めておく

これらを意識するだけで、喪主1人にのしかかる役割が減り、よりスムーズに準備することができるのです。

遺族間での分担など人に頼れるところは頼る

喪主は1人でやるべきという決まりはなく、代理人が進めたり、複数で進めることも可能なので、全てを喪主が進めるのではなく、

・金銭管理が得意な人

・取り決めが得意な人

・人前で話すのが上手な人

など、遺族の中で適材適所に任せて、喪主は自分でできることに集中するなどの分担が大切です。

大切な家族を亡くし、悲しみが特に深く、故人に一番近い人が「喪主」となるため、茫然自失で進めることが難しい場合もありますので、積極的に助けて支えあっていきましょう。

8つの事前準備を進めておく

突然やってくる「喪主」の仕事をスムーズに、そして負担を低減させるために事前準備としてできることが8つあります。

1.葬儀社を決める

2.宗派や菩提寺の有無を調べる

3.遺言やエンディングノートなどの有無を調べる

4.訃報連絡リストをまとめる

5.参列依頼する方をまとめる

6.葬儀スタイルを決める

7.自分の職場の忌引について調べる

8.故人が入っている保険の内容を調べる

順不同ですので、思いついたときに進められるところから進めておく習慣をつけると良いですね。

葬儀社を決める

自分に合う葬儀社を見つけることは、良い葬儀として故人を見送るためにもとても大切なポイントです。

ご臨終となってから、葬儀社へ連絡するまでにはとても短い時間となるため、流れのまま病院に紹介されたところにお願いした場合、

「深く考えないまま葬儀社を決めてしまったけれど、愛情を感じられず雑に思えてしまい気持ちよく故人を見送ることができなかった」

「淡白な葬儀だったので、もう少し故人らしさを工夫してあたたかい葬儀にしたかった」

と後悔するケースも少なくありません。

葬儀社は葬儀全般で一番多くやりとりを重ね、短い時間の中で多くのことを決めて、サポートを受けながら進める会社となります。

自分に合った葬儀社を選ぶためには、葬儀社の種類や葬儀社のスタッフがどんな人なのかを「知る」ことが重要です。

そして葬儀費用やプランのわかりやすさや、葬儀ディレクターがいるのかどうかを「確認する」こと、最後に1社で決めずに最低でも葬儀社3社で検討することが重要です。

そしてこれらは亡くなってからの間ですることができないため、事前に調べておくことでより自分に合った葬儀社と出会うことができます。

「後悔しない葬儀社の選び方!知るべき5つのポイントと3つの確認事項」の記事ではこれらのポイントだけではなく、決定前にできる準備などを詳しく解説していますのでご覧ください。

宗派や菩提寺の有無を調べる

「故人の宗派」でもご紹介した故人の宗派や菩提寺があるかどうかは、可能な限り事前に調べておけるとスムーズです。

宗派は宗教団体法により、現在の日本の仏教では13の宗派に分かれています。

・天台宗(てんだいしゅう)

・真言宗(しんごんしゅう)

・律宗(りっしゅう)

・浄土宗(浄土宗)

・臨済宗(りんざいしゅう)

・曹洞宗(そうとうしゅう)

・黄檗宗(おうばくしゅう)

・浄土真宗(じょうどしんしゅう)

・日蓮宗(にちれんしゅう)

・時宗(じしゅう)

・融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)

・法相宗(ほうそうしゅう)

・華厳宗(けごんしゅう)

宗派、菩提寺ともにわからない場合は親戚に確認するなどして、わかるようにしておきましょう。

一緒に自分の分も調べておけると良いですね。

遺言やエンディングノートなどの有無を調べる

故人が遺言書を作成していたり、エンディングノートなどに自分の希望をまとめていないかを調べます。

まず遺言書は法的な決まりに基づき書かれているものですので、平成元年以降に作成された公証人が作成する公正証書遺言であれば、遺言の作成年月日や証書暗号、遺言書を書いた氏名などが日本公証人連合会によりデータベース化されています。

そのため遺言者が自分で書いた自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合を除き、公証人が作成したものであれば公証役場にて遺言書の謄本を発行してもらうことができます。

エンディングノートの場合は、家族の中の誰かに保管場所を話していることがありますので、家族内で知っている人がいないか確認しておきましょう。

訃報連絡リストをまとめる

万が一のときに、どこまで連絡すべきか判断するのは簡単なことではありません。

「連絡」でもご紹介しましたが、訃報に関しては3種類の連絡があるため、「誰に」「何を」連絡すべきかは、生前に確認してまとめておけると良いですね。

1.葬儀社へ連絡

2.訃報連絡

3.忌引連絡

特に、会社での関係性は家族が把握することは難しいため、家族内でそれぞれが元気なうちに「万が一のときのために」リスト化する取り組みがあると、不自然にならずに進めることができるでしょう。

参列依頼する方をまとめる

関係者をリスト化できたら、その中で「誰を葬儀にお呼びするか」の確認も進めていきます。

参列者数で葬儀スタイルや予算が大きく変わってくるため、事前に把握することは葬儀を準備する上でとても重要な要素となるのです。

葬儀スタイルを決める

「葬儀の形式や規模」を参考に参列者数や予算を参考に、自分たちに合った葬儀スタイルを探しておきましょう。

葬儀スタイルが見つかると、葬儀社探しもより濃い範囲で見比べることができ、理想の葬儀社と出会うきっかけになることも考えられます。

自分の職場の忌引について調べる

企業に勤めている場合、福利厚生の一つとして家族などが亡くなった場合に欠勤ではなく、「忌引」という形でお休みが取れるようになっています。

一般的には亡くなった当日か遅くても亡くなった翌日から取得することができるため、自分が勤めている会社の就業規則は確認しておきましょう。

亡くなった方との関係で取得できる忌引日数も変わってくるので合わせて確認して置けるといいですね。

忌引きで休む場合には、上司へはできるだけ電話など口頭で伝え、自分が欠席することに伴い引き継ぐべき仕事がある場合には、一緒に相談することも忘れずに行いましょう。

故人が入っている保険の内容を調べる

故人が入っている保険次第で、申請すれば給付金を受け取ることができます。

保険の名前 費用名 給付額 有効期限 申請場所
国民健康保険

後期高齢者医療制度

葬祭費 5万円 葬儀の翌日から2年間 自治体の窓口
全国健康保険協会 埋葬費 5万円 亡くなった翌日からの2年間 社会保険事務所や勤務先の健康保険組合
国家公務員共済組合 葬祭費 5万円〜27万円 亡くなった翌日から2年間 各共済組合

そのため、どの保険に入っているのか詳しく確認して置きましょう。

葬儀での喪主の服装

喪主は葬儀では和装か洋装での正喪服を選びましょう。

和装の正喪服を持っていない方も多いと思いますが、葬儀社でレンタルすることも可能で、指定した場所に届き、返却時はクリーニングする必要もないので、探す手間や負担を減らすことができ便利ですので、上手に活用したいですね。

葬儀は急に決まるため、「喪服どうしたっけ?」など慌てることも多いですよね。特に女性はアクセサリーやバッグ、髪型など注意すべき点も多くあります。

「急な葬儀での服装はどうする?注意点の多い女性の喪服を徹底解説!」では女性の身だしなみの注意を具体的に解説していますので、不安な方はこちらをご覧ください。

また案外見落としがちなポイントとして靴、特に男性は靴下に注意が必要です。「お葬式の靴はどう選ぶ?お葬式の靴のマナーや選び方、靴下や喪服まで徹底解説!」では靴のマナーを中心に解説していますので合わせてご覧ください。

まとめ

<流れごとの一般的な喪主の役割>


役割 内容
エンゼルケア手配 ・化粧などへの希望や立会人の希望の有無確認
連絡 ・葬儀社へ連絡

・訃報連絡

・忌引連絡

死亡診断書の受け取り ・病院で死亡診断書受け取り

・役場で死亡届と火葬許可申請書提出と火葬許可書受け取り

荷物整理、入院代の支払い ・病室の荷物整理

・病院での支払いと挨拶

搬送手配 ・安置場所の決定

・搬送ルート希望の有無

・同乗者決定

・病院から安置場所までの同乗者以外の移動手配

葬儀の準備・運営 ・葬儀社との打ち合わせ(下記別途)

・受付係など役割分担した人への心付けの準備

・供花の並び順の決定

・弔電の読み上げ順の決定

・弔電の管理

・弔辞の依頼

・葬儀費用の支払い

・参列者リストの管理

寺院との取り決め ・菩提寺や寺院への連絡

・戒名の手配

・僧侶へのお布施の手配と管理

香典や供花管理 ・誰からいくら頂いたかの管理

・誰からいくらの供花を頂いたかの管理

・返礼品手配

弔問客の対応 ・訃報の連絡

・お茶菓子用意

・弔問客の対応

納棺手配と準備 ・日時確認後参加者へ連絡

・棺の中に入れるもの確認

葬儀時の挨拶 ・通夜、精進落とし、告別式などでの挨拶
葬儀後の法事や法要の運営 ・葬儀後の挨拶回り

・四十九日など年忌法要の連絡と手配

・お墓の準備や手配

・仏壇手配や位牌管理と供養

<葬儀社との打ち合わせ内容>

役割 内容
1.喪主の決定 ・喪主は誰にするか
2.故人の宗派 ・懇意にしているお寺(菩提寺(ぼだいじ))はあるかどうか

・葬儀の宗派の希望はあるか?

3.僧侶へ戒名や読経の依頼 ・戒名はどうするか?予算と依頼先

・僧侶は葬儀社の紹介か菩提寺に依頼するのか?

・納骨先の確認

・仏壇やお墓の案内が必要かどうか

4.遺影 ・写真提供
5.葬儀の形式や規模 ・参列者の目安の人数

・一般葬、家族葬、一日葬、直葬などの希望プランの有無

・通夜ぶるまいや精進落しが必要かどうか

・斎場の希望

6.葬儀の日取り ・斎場や火葬場の空き状況

・宗教者の日程

・希望日はあるか

7.葬儀の案内の文面を用意 ・必要部数と送り先住所確認

・文面用意

8.供物などの配置や参列礼状、

返礼品の数を確認する

・必要部数確認

・返礼品用意

9.受付係など役割分担を決めて依頼 ・どんな役割が必要か

・誰に依頼するか

喪主の負担を減らすための2つの対策

・遺族間での分担など人に頼れるところは頼る

・8つの事前準備を進めておく

葬儀社を決める

・宗派や菩提寺の有無を調べる

・遺言やエンディングノートなどの有無を調べる

・訃報連絡リストをまとめる

・参列依頼する方をまとめる

・葬儀スタイルを決める

・自分の職場の忌引について調べる

・故人が入っている保険の内容を調べる

葬儀での喪主の服装

・和装か洋装の正喪服

喪主がすべき役割は大変多くなり、大切な家族を亡くした悲しみに浸る間もないほど忙しく時間を過ごすことになります。

しかし喪主は一人で務めなければいけないルールがないため、家族間で役割分担して支え合うことや、進めておくべき内容を事前に理解することで準備を進められ、それらは万が一の時の負担を減らすことにもなるのです。

負担を減らすことで少し心に余裕ができ、故人をあたたかく見送りたいと思え、より良い葬儀にするための工夫ができるようにもなるため、思いついた時に分かるところから準備しておきましょう。

【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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