故人を供養するために行われるのが年忌法要です。今回はそんな年忌法要の中で、最後の供養として行われることもある「33回忌」についてご紹介します。他の年忌法要との扱い方の違いやいつ行われるか、お布施や服装についての注意点もご紹介します。
故人を供養するために行われるのが年忌法要です。節目の年ごとに行われるのが慣例とされており、中にはかなりの年月が経ってから行われるものもあります。
今回はそんな年忌法要の中で、最後の供養として行われることもある「33回忌」についてご紹介します。他の年忌法要との扱い方の違いや参列する際の注意点などについて確認していきましょう。
INDEX
33回忌とは?
まずは33回忌に関する基本的な内容を押さえておきましょう。「33回忌」という言葉を聞いたことはあっても、実際に参列したことがある方はあまりいないかもしれません。
33回忌とはなにか?
「33回忌」とは年忌法要の一種であり、故人が亡くなってから定められた年数ごとに行われる行事のことです。
33回忌はいつ行うのか?
33回忌は故人が亡くなってから32年目に行います。年忌法要の中でも「1周忌」は故人が亡くなってから1年目に行いますが、それ以降に関しては「回忌数から1を差し引いた年数」に行うのが一般的です。
基本的には故人の命日当日に行うのが理想とされています。しかし、遠方ゆえの集まりにくさや参列者の仕事の都合など様々な要因によって、きっちり当日に集まるのが難しいこともあるでしょう。そのため、近年では命日直前の休日で日程を組むことが多いです。ただし、「命日を過ぎてから」の休日に行うことはしません。
弔い上げとは?
このように33回忌は32年目に行う年忌法要です。これだけの年数が経っているので、当時の故人を知る方も少なくなり参列者もご高齢となるためなかなか定期的に開催するのが難しくなります。
33回忌もしくは50回忌が弔い上げとなる
そのため、この33回忌(あるいは次の50回忌)を以って故人の年忌法要を終了する方も少なくありません。このことを「弔い上げ」と呼びます。
多くの場合において年忌法要の年数が進むごとに規模は縮小される傾向にあり、ご家族のみでこじんまりと行うことがほとんどです。しかし中には「弔い上げは最後の年忌法要なので盛大に行いたい」という方もいます。この辺りに関するルールはありません。ご家族が納得できる形で弔い上げをできると良いでしょう。
弔い上げが終わったら?
また、この弔い上げが終わったら、寺院に永代供養をしてもらう場合もあります。
弔いあげについては「亡くなった方の法事法要は「いつまで」行うことが多いの?」の記事もご参考ください。
年忌法要の種類
この33回忌が行われるまでにも、数年おきに年忌法要が行われます。具体的には以下の通りです。
3回忌(満2年目の命日に行う)
7回忌(満6年目の命日に行う)
13回忌(満12年目の命日に行う)
17回忌(満16年目の命日に行う)
23回忌(満22年目の命日に行う)
27回忌(満26年目の命日に行う)
33回忌(満32年目の命日に行う)
50回忌(満49年目の命日に行う)
一般的に3回忌まではご家族以外の方も参列してある程度の規模で行います。それ以降はご家族のみでこじんまりと行うことが多いです。
また厳密には「25回忌」「37回忌」「43回忌」というように、さらに細かく年忌法要が定められています。しかし実際にはこの全てを行うことはほぼありません。
年忌法要については下記記事もご参考ください。
【一周忌】
・一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!
・意外と相場がわからない!一周忌の香典の相場やマナーを完全解説!
・親が死んだらすることは何?亡くなってから一周忌までを時系列順に解説!
【三回忌】
・三回忌のお布施を完全解説!金額相場・書き方・渡し方・喪主・参列者のマナーを紹介!
・三回忌とは?意味と施主と参列者が知っておくべき法事・法要のマナーとは?
・法事・法要の香典相場はいくら?三回忌・七回忌・十三回忌と故人との関係別に解説!
【七回忌】
・七回忌とは?意味とお布施・香典の相場と出席マナーを解説!
【十三回忌】
・13回忌とは?13回忌の準備から招待された場合のマナーまでを完全解説!
【二十三回忌】
・23回忌とは?23回忌の準備から注意点まで徹底解説!
33回忌の流れ
33回忌であっても、他の年忌法要の流れとそこまで大きな変化はありませんが、改めて確認しておきましょう。
日程と場所を決める
日程の決め方
まずは日程と場所を決めます。日程は先ほど述べた通り、故人の命日直前の休日で設定しましょう。
場所の決め方
場所に関しては、自宅や寺院、会館などから選びます。33回忌はそこまで大規模なものではないため自宅でも問題ありません。しかし、場合によっては弔い上げということで盛大に行うこともあるため、必要に応じて大人数を収容できる場所を押さえると良いですね。
住職との日程を合わせる
読経を行う場合は付き合いのある菩提寺の住職とも予定をすり合わせなければなりません。お盆などの時期は僧侶の予定を押さえにくいため、なるべく早めの連絡を心がけましょう。
ちなみに先祖代々のお墓を管理しているお寺を「菩提寺(ぼだいじ)」と呼びます。昨今は、お寺とのお付き合いも薄くなってきており菩提寺を持っていない方も多いです。その場合は僧侶を手配することもできます。
『やさしいお坊さん』でもご相談を受け付けております。追加費用が不要でお車代、御膳料、お心づけなども必要ありません。
会食を行う場合
場所等を決めたら、必要に応じて会食をするかどうかを決めます。この会食は必ずしも行う必要はありません。また逆に、ご家族のみでこじんまりと会食だけをして供養する場合もあります。参列者の人数などを考慮して決めると良いでしょう。もし会食を行う場合は、あらかじめお店側に「33回忌である」という旨を伝えておくとタイやエビなどの慶事に使う食材を抜いた料理を出してくれます。
法事後の会食については「おとき(お斎)とは?意味とマナーと香典相場を3分で解説!」もご覧ください。
33回忌に行うこと
次に33回忌当日の流れに関してです。この流れに関しては他の年忌法要とそこまで大きな違いはありません。基本的には、僧侶の読経後に焼香を行いお墓参りを行います。そして会食を行なって終了です。この読経に関しても、会食と同様に省いても構いません。この辺りはお世話になっている寺院の僧侶の意見も聞きつつ決めると良いでしょう。
33回忌に必要なもの
33回忌の準備及び当日の流れは上記のようになります。それでは33回忌当日、具体的に必要になるものを確認していきましょう。
とはいえ、33回忌で必要なものも基本的には他の年忌法要とそこまで差はありません。
お布施の用意
まず、僧侶に読経を頼むのであれば「お布施」を用意しましょう。基本的にどの種類の法要であっても、僧侶の方に参列してもらう場合には必ずお布施を渡してください。33回忌になるとお布施の相場も若干下がる傾向にあります。しかし僧侶との関係性によっては上乗せしても問題ないので、そうしたことも考慮して金額を決めましょう。
法事のお布施については「法事とは?日程とお布施と服装持物を徹底解説!」「3分で分かる法事のお金の相場(香典・お布施):お金の入れ方と袋の書き方!」の記事もご参考ください。
香典返しの準備
また、参列者の方からの香典を受け入れるのであれば「香典のお返し」も準備しておきます。
香典返しの相場
お返しの品物の金額は、およそ「いただいた香典の1/3〜半額程度」であれば大丈夫です。お返しの品物としては「お茶菓子・調味料・缶詰・タオル・洗剤」など、日常で手軽に消費でき形にも残りにくい物を選びましょう。場合によっては「カタログギフト」を渡して、参列者に好きな品物を選んでもらうこともあります。こちらだと相手の好みにも配慮できますよね。
香典返しについては「香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!」の記事もご参考ください。
それ以外の準備
それ以外の物品類も忘れずに用意しておきましょう。具体的には「お供え物・供花・線香・位牌・遺影」などです。
供物・供花については「供物とは?意味と葬儀・法要での正しい贈り方と相場!」「知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!」の記事もご参考ください。
33回忌に注意したいマナー
33回忌も他の年忌法要同様に注意すべきマナーがあります。規模が小さいとはいえ、故人を供養するための儀式であることには変わりません。しっかりマナーを守って正しく故人に思いを馳せましょう。
33回忌の香典相場
33回忌の香典相場も、故人との関係性や参列者の年齢によって変動します。それぞれご紹介しましょう。
①故人が祖父母の場合
30代→1万〜3万円
40代→3万〜5万円
基本的には、血縁関係の深い祖父母は香典の相場も高くなる傾向にあります。ただし、20代といってもまだ学生の場合は両親が香典を出すのが一般的です。また、社会人であっても「孫一同」という形で合同で香典を包むこともあるので、あらかじめ相談しておきましょう。
②故人が親族の場合
30代→3千〜2万円
40代→5千〜3万円
ただし上記はあくまでも「ある程度親交のあった親戚の場合」の香典金額です。一言で親族といってもその関係性は様々。新年など節目の年ごとにきちんと会っていた親族もいれば、もう何年も疎遠になっているような親族もいます。
もちろん疎遠だからといって仲が悪いとは限りません。距離が遠くても頻繁にメール等でやり取りをすることもあるでしょう。このように親族との関係性は人それぞれなので、それらを考慮して香典金額は決めましょう。直接会う機会も少なくやり取りも無かった親族であれば、上記の最高額の半分程度の金額を渡すことも多いです。
③友人や仕事関係者の場合
30代→3千〜1万円
40代→5千〜1万円
ご家族のみでこじんまり行うことの多い33回忌に呼ばれるのは、それなりに親しい友人であると予想できます。上記は相場に過ぎないので、生前に長い付き合いをしていた場合にはもう少し上乗せしても良いでしょう。
仕事の関係で参列する場合もあるかもしれません。それが「あくまでも仕事の付き合いのみでそこまで関係性は深くない」ということであればもう少し金額を抑えても大丈夫です。
香典は「4」や「9」などの不吉な数字は避ける
また、友人や職場関係であれば連名で香典を出すこともあります。その場合は、香典の総額が半端な額になったり、「4」や「9」などの不吉な数字を含む金額にならないように、あらかじめ金額を調整しておきましょう。
香典については「香典を完全解説!意味・歴史・金額相場・書き方・包み方・渡し方を解説!」「香典の相場を完全解説!故人との関係別・書き方・包み方・渡し方も紹介!」の記事もご参考ください。
33回忌のお布施の相場
33回忌のお布施は、およそ1万〜5万円程度になることが多いです。もちろんこちらも寺院との関係性の深さによって変動します。
御車代
また、33回忌を寺院以外で行う場合は「御車代」が必要です。これは寺院から来てくださった僧侶に渡す交通費と考えておきましょう。実際にかかった交通費に関わらず5千〜1万円程度が相場です。ただし遠方から来ているなどの事情がある場合は、実費をそのまま負担することもあります。
御膳料
さらに、僧侶が会食に参加しない場合は「御膳料」も必要です。こちらも相場は5千〜1万円程度になります。
このように、僧侶に対して渡すお金はお布施以外にも必要な場合があるのできちんと準備しておきましょう。
なお、これらのお金を渡すときは必ず全て別々の袋に包んで渡してください。決して一緒の香典袋に包んではいけません。
御膳料については「御膳料とは?相場と渡し方と注意点とマナーを解説!」の記事もご参考ください。
33回忌の参列者
33回忌の参列者側が注意すべきマナーも基本的には他の年忌法要と同じです。
香典の渡し方
まず、包んだ香典はマナーに従って渡しましょう。33回忌はご家族やごく近しい親族のみで行うことも多いです。しかし規模が小さくなっても故人を供養するということに変わりはありません。そのためきちんとマナーに従い、香典を袱紗に包んだ状態で取り出し正しい作法で渡しましょう。具体的には「ご家族の前で袱紗から香典を取り出し相手に表書きが見える状態にして両手で渡す」というのが正しい作法です。
香典の書き方
香典の表書きもマナーを守りましょう。33回忌に関しては「御仏前」と記載すれば大丈夫です。ただし、故人の宗教によって書き換える場合もあります。また、表書きは濃い墨ではっきり書きましょう。通夜などの場合は「突然の出来事に涙で墨が滲んでしまった」ということを表現するために薄墨を使いますが、33回忌はすでに年数が経っているため濃い墨を使います。
香典の書き方については「香典の正しい書き方を完全解説!金額・表書き・中袋・のし袋の書き方を紹介!」「香典袋の正しい書き方を完全解説!表書き・中袋・名前・その他のマナーも紹介!」の記事もご参考ください。
33回忌の服装
服装に関しても最低限のマナーは守りましょう。
33回忌はそこまで規模も大きくないことが多いため、基本的には平服で参列しても大丈夫です。もちろんこれは「いつもの私服でOK」というわけではありません。喪服には「正喪服・準喪服・略喪服」の3種類があり、平服はこの中で略喪服に相当するものです。
そのため、基本的には以下のような服装をしておけば問題ありません。
①男性の場合
黒、紺、グレーなど地味な色のスーツ(ジャケット可)・無地の白シャツ・黒など地味な色のネクタイ・黒の靴下・黒の靴
②女性の場合
黒、紺、グレーなど地味な色のワンピース(ジャケット、ズボン、スカートなどの組み合わせも可)・一連のパールネックレス・黒など地味な色のハンドバッグ・黒のストッキング・黒い靴(ヒール、パンプス可)
法事の服装については「法事とは?日程とお布施と服装持物を徹底解説!」の記事もご参考ください。
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33回忌についてのまとめ
以上が33回忌に関する基礎的な内容についてです。それでは最後に改めて今回学んだ知識を振り返りましょう。
【「33回忌」とは?】
●年忌法要の一種であり、故人が亡くなってから定められた年数ごとに行われる行事のこと。
【弔い上げとは?】
●33回忌(あるいは次の50回忌)を以って故人の年忌法要を終了すること。
【年忌法要の種類】
1周忌・3回忌・7回忌・13回忌・17回忌・23回忌・27回忌・33回忌・50回忌
【33回忌の流れ】
●日程と場所を決める。読経を行う場合は付き合いのある菩提寺の住職とも予定をすり合わせる。
●場所等を決めたら、必要に応じて会食の場所を決める。
●33回忌当日の流れは「僧侶の読経後に焼香を行いお墓参りを行う。そして会食を行なって終了」というのが一般的。
【33回忌当日に必要なもの】
●僧侶に読経を頼むのであれば「お布施」、参列者からの香典を受け入れるのであれば「香典のお返し」を準備する。
●その他は「お供え物・供花・線香・位牌・遺影」などを準備する。
【33回忌のマナー】
●香典相場に気をつける。33回忌の香典相場も故人との関係性や参列者の年齢によって変動する。
●お布施の相場に気をつける。およそ1万〜5万円程度になることが多い。
●必要に応じて「御車代」「御膳料」も必要である。こちらの相場はいずれも5千〜1万円程度。これらのお金を渡すときは必ず全て別々の袋に包んで渡す。
●包んだ香典はマナーに従って渡す。
●香典の表書きもマナーを守る。33回忌に関しては「御仏前」と記載すれば良いが、故人の宗教によって書き換える場合もある。
●服装に気をつける。基本的には以下のような服装をしておけば問題ない。
①男性の場合
黒、紺、グレーなど地味な色のスーツ(ジャケット可)・無地の白シャツ・黒など地味な色のネクタイ・黒の靴下・黒の靴
②女性の場合
黒、紺、グレーなど地味な色のワンピース(ジャケット、ズボン、スカートなどの組み合わせも可)・一連のパールネックレス・黒など地味な色のハンドバッグ・黒のストッキング・黒い靴(ヒール、パンプス可)
33回忌は、1周忌などの年忌法要に比べると参列する機会も少ない可能性が高いです。場合によっては開催しないこともあるのでなかなか意識する機会がないかもしれません。
しかしどれだけ年数が経っても、故人を供養したいという気持ちは皆同じです。そのためもし参列するとなっても、故人やご家族に失礼とならないよう今回ご紹介したような基本的な内容は押さえておきましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール