葬儀の際に用いられる祭壇。時間が無いからと言って、適当に祭壇を決めてしまっては後で後悔が残るかもしれません。本記事では祭壇の意味や仏式、神式、キリスト教式それぞれにおける祭壇の種類や値段、供物、供花について分かりやすく解説していきます。
2021/7/4 情報更新
葬儀の際に用いられる祭壇。大切な人を亡くした後、祭壇のことを一から勉強するのは非常に大変です。しかし時間が無いからと言って、適当に祭壇を決めてしまっては後で後悔が残るかもしれません。
そこで葬儀の予定がある方に向けて祭壇の基本や、仏式、神式、キリスト教式それぞれにおける祭壇の種類、お供え物について初心者向けに分かりやすく解説していきます。
自分たち親族と故人に合った祭壇を選ぶポイントもご紹介して参ります。地域性、葬儀社、規模により祭壇の種類は異なります。葬儀の祭壇のことでお悩みの方はぜひ参考に頂ければと思います。
INDEX
祭壇とは?
祭壇とは、葬儀の際に用いられる壇です。祭壇には、故人の遺影やお供え物、故人が生前好きだったものを飾ることが多いです。
祭壇の目的
祭壇を作る目的は、祭壇を見て故人を偲んだり、生前の記憶を思い出したりしながら故人の供養を行うことです。
祭壇というと、仏式のお葬式を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、神社で葬儀を行う神式、教会で葬儀を行うキリスト教式にも祭壇はあります。
祭壇は故人を尊重し、偲ぶための大切なものです。葬儀を行う際は、祭壇の意味をしっかり意識して、故人を見送りましょう。
しかし、一言で祭壇と言っても、国や宗教によって祭壇の種類やお供えもの、設置の仕方はさまざまです。実際のお葬式では、葬儀屋さんなどプロに相談しながら祭壇を作っていきましょう。
弔事についての不明点や疑問は『やさしいお葬式』から24時間365日無料相談も承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。『やさしいお葬式』では葬儀の見積もり、遺影写真、参列者のリストアップなど事前準備をおすすめしています。葬儀の作法や服装などについてもご相談できます。
祭壇の種類(宗教別)
祭壇には、宗教別にさまざまな種類があります。祭壇に飾るものについては先ほど説明した通りですが、祭壇の作り方や形式にも違いがあります。また、同じ宗教であっても、時代や宗派により祭壇の種類が異なることも少なくありません。
ここからは仏式、神式、キリスト教式に祭壇の種類をご紹介します。
仏式の祭壇
まずは、仏式の祭壇について解説します。仏式の祭壇は宗派ごとに様々ですが、ここでは代表的なものをご紹介します。
>>仏式とは?意味・流れ・マナー・神式との違いを解説!
>>仏式葬儀とは?一般的なマナーや葬儀の流れについて徹底解説
白木祭壇(しらきさいだん)
仏式の祭壇で一般的なのが、白木祭壇と生花祭壇です。まずは白木祭壇について解説していきます。
白木祭壇とは、白木という木を用いて作られた荘厳な祭壇です。白木はもともと、皇室で使われえる書くの高い木でした。そのため白木を使って作られた祭壇には、格が高くきちんとしたイメージがあります。
ちなみに白木祭壇が仏教以外の葬儀で使われることはほとんどありません。
供花組込式祭壇
送られて来た供花を飾って作る祭壇を指します。直接届いた供花を飾るのではなく、頂いた「供花代」を使用し祭壇が作られます。その際、葬儀場の入口にある芳名板に送ってくださった方達の名前を記載します。
供花については下記記事もご参考ください。
・供花の手配方法!供花の意味と費用相場と宗教ごとのマナーを紹介!
・知らないと恥をかく!供花の手配方法や相場を徹底解説!
生花祭壇(せいかさいだん)
次は、近年人気となっている生花祭壇について解説します。生花祭壇とは、お花で遺影やお供え物を飾る祭壇のことです。
生花で祭壇を作るため費用がかかると思われがちですが、有名人が生花祭壇で葬儀をすることが多い影響からか、生花祭壇を選択するのはもはや一般的になっています。
生花祭壇では、お花の選び方で祭壇に個性が出せるので、故人が生前好きだった花を中心に祭壇を作り、故人を偲ぶ方も増えています。
折衷祭壇
白木祭壇に生花祭壇の特徴を組み込んだ祭壇です。白木祭壇に生花をかざることで、和洋折衷の柔らかい雰囲気がでます。
厨子祭壇
仏教には多数の宗派がありますので、白木祭壇、生花祭壇以外の祭壇が使われることも少なくありません。
例えば日蓮正宗では、厨子祭壇呼ばれる、家庭に置いてある仏壇に使い形をした祭壇にご本尊を安置する形式が一般的です。
故人の宗派に合わせ、どんな祭壇を選ぶべきか検討する必要があります。
神式祭壇
神式では、白木で作られた八足祭壇が使われるのが一般的です。八足祭壇には三種の神器のレプリカを備え、祭壇の脇に刀や勾玉などを五色旗と共に飾ります。
そして、神道での告別式にあたる葬場際では、燈明や遺影、榊やお供え物を飾って完成です。
また、これまで神式葬儀では白木で作られた八足祭壇が使われるのが一般的でしたが、最近は生花祭壇を選ぶ人も増えています。生花祭壇は多くの宗教で使える祭壇の種類なので、故人をたくさんのお花で見送りたい方は生花祭壇を検討すると良いでしょう。
最近では、故人が生前好きだったお花を組み込んで祭壇を作ってくれる葬儀社も増えています。
>>神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説
キリスト教祭壇
葬儀の内容はカトリックとプロテスタントで異なるものの、キリスト教式では同様に生花祭壇を使います。
日本ではキリスト教式で葬儀を行う人が少ないため、生花祭壇以外を使う人はほとんどいません。十字架の周りにカーネーションや菊、ユリや薔薇を飾り白を基調とした鮮やかな祭壇を作るのが一般的です。
しかし教会によっては、お花の飾り方や選び方に指定がある可能性もあります。祭壇を作る際には、故人が通っていた教会に聞いてみましょう。
急な葬儀についての不明点や疑問は『やさしいお葬式』から24時間365日無料相談も承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。『やさしいお葬式』では葬儀の見積もり、遺影写真、参列者のリストアップなど事前準備をおすすめしています。葬儀の作法や服装などについてもご相談できます。
後悔しない祭壇の選び方(選び方のポイント)
故人を思い、偲ぶための大切なものである祭壇を、後悔のないように選ぶにはどうすれば良いのでしょうか。大切な人が亡くなった後は、葬儀の準備や親族への連絡でばたばたしてしまい、祭壇をじっくり選ぶ時間がないこともあります。
そこでここからは、祭壇を選ぶ際のポイントを解説します。自分も親族も故人も納得できる祭壇を選ぶため、準備はなるべく早めにしておきましょう。
故人の希望に沿っているか?
以前は、葬儀と言えば宗教や地域の伝統に沿った形式で行うことが重視されていました。しかし昨今は家族単位での葬儀が多くなっており、故人の希望に沿った多様な葬儀が行われています。
そのため祭壇も、故人が生前好きだった花を使ったり、生前愛用していたものを飾ったりするなど、故人に合わせたオリジナルな形式が増えています。
葬儀の手配を行うのは家族ですが、故人は生前に葬儀や祭壇に対して強い希望を持っていたかもしれません。
祭壇の目的は故人を偲び、供養することです。祭壇選びに関しては故人の希望を尊重しましょう。
値段帯に無理は無いか?
いくら豪華な祭壇を作りたいと思っていても、予算面で厳しい場合もあります。祭壇の相場は後でくわしく説明しますが、基本的にどの葬儀社も「祭壇のみ」の単品販売を行っているケースはまず存在せず、ろうそく・線香・焼香・設営費・その他人件費に関わる項目などをプラスするため、実質的な表記としては30万円前後〜になっています。
>>線香とは?身近だけど意外と知らない線香の種類や選び方、供える際の作法まで徹底解説!
豪華な祭壇になると、100万円以上の費用が発生することもあり、価格面で無理をしてしまうとその後の生活に影響が出てしまいます。
また、葬儀社によっては祭壇に飾る花を造花にして費用を抑えるなどの方法もあるので、葬儀会社の方に相談してみましょう。
葬儀の際にはご家庭により、さまざまな事情があるはずです。価格よりも故人の希望に沿った祭壇になっているかどうかを重視しましょう。
自分や親族の意志でじっくり決める
「突然の不幸があり、すぐに祭壇を選ばなければいけなくなった」という状況の方は少なく無いはずです。しかし、いくら時間がないからと言って慌てて葬儀会社の言う通りの祭壇にすると、後悔が残る場合もあります。
仏式、神式の場合、祭壇は遺影を飾る大切な場所です。自分や故人の気持ちに沿っていない祭壇を選んでしまうと、スッキリとした気持ちで故人を見送ることができません。
最近は、伝統的な祭壇だけでなく、自分や親族、故人の個性を組み合わせた祭壇を作ることも可能です。葬儀会社の方のアドバイスを聞きながら、納得できる祭壇を選びましょう。
祭壇の価格相場
祭壇選びでどうしても知っておくべきなのが、祭壇の価格相場です。祭壇の費用は思った以上にかかるとも言われるため、不安を感じる方も多いでしょう。
ここからは代表的な祭壇の種類別に、価格相場を解説していきます。ぜひ参考にしてください。
白木祭壇の価格相場
仏式の葬儀で使われる白木祭壇の価格相場は、祭壇の大きさによって大きく異なります。
白木祭壇の費用は、小さいもので10万円、大きいものだと100万円以上かかることもあります。
※葬儀社のプラン、付帯品などに何が含まれているのかにより、表記が異なります。
白木祭壇での葬儀を希望する際は、葬儀に来る人の人数などを考慮し適切なサイズのものを選びましょう。
生花祭壇の価格相場
宗派を問わず利用できる生花祭壇の価格は、約30万円前後〜です。
※葬儀社のプラン、付帯品などに何が含まれているのかにより、表記が異なります。
生花を使っているため、季節や天候、葬儀を行う時期によって価格が変動するケースもあります。例えば故人が好きな花をどうしても飾りたいけれど、季節が合わないという場合、追加で費用が必要になることも少なくありません。
造花祭壇
生花祭壇より費用を抑えたい方は、造花で祭壇を作る造花祭壇を選ぶことも可能です。花の香りはしませんが、季節を問わずどんな花でも祭壇を作れるので花にこだわりがある人におすすめです。造花祭壇の価格相場や生花より安く、20万円程度から用意できます。
※葬儀社により取り扱いがない会社も多くございます。
神式祭壇
神式でよく使われる八足祭壇の平均費用は、約30万円程度〜となっています。
仏式と比べシンプルな作りの祭壇が多いため、平均価格は低めですが白木祭壇同様、規模の大きな祭壇になればその分値段は上がります。
キリスト教式生花祭壇
キリスト教式の生花祭壇では、生花で作った祭壇にろうそくを立て、十字架を掲げます。故人がキリスト教徒で特定の教会に信徒として通っていた場合、キリスト教式祭壇の価格は約30万円〜です。一方、教会とのつながりがない仏教徒の人がキリスト教式で式場葬儀を行う場合、祭壇の価格は30~80万円程度です。
※地域・宗教者の考え・葬儀社により異なります。
キャンドル祭壇
祭壇にかかる費用を抑えつつも、神聖な光で故人を見送りたいという方におすすめなのが、キャンドル祭壇です。
故人の遺影の周りをキャンドルや花で飾り、祭壇を作ります。キャンドル祭壇の価格相場は約30万円前後〜となっています。
※葬儀社により取り扱いがない会社も多くございます。
オリジナル祭壇
昨今は宗派を問わず、故人の意思を尊重したオリジナル祭壇を作れる葬儀場もあります。オリジナル祭壇で使う素材、飾り方は完全に自由で、個性ある祭壇を作り故人を偲ぶことができます。オリジナル祭壇の相場は、安いもので数万円、祭壇作りにこだわり祭壇を一から作るとなると数百万円かかることもあります。
オリジナル祭壇を作る際は時間、故人の意思、金銭的な状況を踏まえ、慎重に検討しましょう。
弔事での費用については下記記事もご参考ください。
・四十九日法要とは?四十九日の意味から法要の流れ、準備すべきものや費用まで完全解説!
・納骨にかかる費用を完全解説!相場・内訳・流れ・準備物を紹介!
・自宅葬とは?コロナ禍で注目の集まる自宅葬のメリットデメリットから葬儀の流れ、費用相場まで完全解説!
祭壇のお供えもの(宗教別)
祭壇のイメージができたら、次に考えるのはお供え物です。宗教別にお供え物の内容はある程度決まっていますが、故人の好きだったものを備える形式の葬儀も増えています。
ここからは宗教別に基本的なお供え物の内容を解説していきます。
仏式祭壇のお供え物
仏式祭壇を作るのに最低限必要なお供え物や、飾り物については葬儀場が用意してくれます。自分で用意しなければならないものについても、葬儀場の人から教えてもらえるのでアドバイスに沿いましょう。
追加で祭壇にお供えものをしたい場合、仏式でのお供え物は、果物やお菓子、線香などが最適です。
一般的に、仏式では不殺生会(生き物を殺してはいけない)という教えがあることから、肉や魚など生ものを備えるのは避けましょう。
神式祭壇のお供え物
神式の場合も、三種の神器(鏡と刀と勾玉)など祭壇作りに必要なものは、葬儀を行う専門の方が用意してくれます。
一方神式では、そうした飾り物に加え祭壇には神饌物(しんせんもの、幣帛(へいはく)を飾ります。
神饌物とは、神様にささげる食べものことです。地域によっても異なりますが、一般的には米や酒、鏡餅などが備えられます。
そして幣帛都は、神様にささげるもの全般を指します。例えば歴史上は衣服や紙、兵器や農機具が備えられていました。
現在は兵器や農機具をお供えするのが難しいため、絹や木綿でできた布を備えるのが一般的です。
キリスト教式祭壇のお供え物
キリスト教式の場合、祭壇に十字架と花を置きますが、仏式、神式のように基本的にはお供え物をすることはありません。葬儀にやってきた人は、供花として生花を祭壇に飾ります。ただ、お気持ちの問題もございますので、特に規制などはございません。
後飾り祭壇(あとかざりさいだん)とは?
後飾り祭壇は葬儀、火葬が終わった後に、一時的に自宅でご遺骨を安置する祭壇のことです。地域によっては、「自宅飾り」「後飾り」「後壇(あとだん)」とも呼ばれます。
後飾り祭壇の飾り方
基本的には自宅の仏壇の近くに祭壇を作ります。仏式の場合は、白木の2~3段の祭壇を作ります。白木以外を使用するのであれば、白い布を掛けましょう。神式の場合も仏式と同様に白木の八足の祭壇を作ります。
キリスト教での祭壇は特に決まりはありませんので、小さなテーブルに白布をかけるだけでも問題ありません。
後飾り祭壇はいつまで飾るのか?
ご遺骨の納骨や埋葬が終わったタイミングで、後飾り祭壇の役目は終わります。不要な場合は、そのまま廃棄します。1周忌法要など、後で使用するのであれば大切に保管しておきましょう。
祭壇に関する知識のまとめ
「祭壇」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【祭壇とは?】
●祭壇とは、葬儀の際に用いられる壇
●祭壇には、故人の遺影やお供え物、故人が生前好きだったものを飾ることが多い
●祭壇を作る目的は、祭壇を見て故人を偲んだり、生前の記憶を思い出したりしながら故人の供養を行うこと
【祭壇の種類と価格相場】
●仏式の祭壇
-白木祭壇(しらきさいだん)
-小さいもので10万円、大きいものだと100万円以上かかる
-生花祭壇(せいかさいだん)
-約30万円前後
-厨子祭壇
-50万円前後
-造花祭壇
-20万円程度
●神式祭壇
-約30万円程度〜
●キリスト教祭壇
-30~80万円程度
-キャンドル祭壇
-約30万円前後〜
●オリジナル祭壇
-数百万円かかることもある
【後悔しない祭壇の選び方】
●故人の希望に沿っているか?
●値段帯に無理は無いか?
●自分や親族の意志でじっくり決める
【祭壇のお供えもの】
●仏式祭壇のお供え物
-果物やお菓子、線香など
-不殺生会(生き物を殺してはいけない)という教えがあることから、肉や魚など生ものを備えるのは避ける
●神式祭壇のお供え物
-三種の神器(鏡と刀と勾玉)など
-神饌物(しんせんもの、幣帛(へいはく)を飾る
●キリスト教式祭壇のお供え物
-供花として生花を祭壇に飾る
どんな宗教でも、故人を偲び見送りの場を作る祭壇には重要な意味があります。故人の意思を尊重しつつも、値段や宗派、地域の伝統などをしっかりと考え納得のいく祭壇を選びましょう。
また、祭壇に供えるお供物についても、宗教ごとの決まりを知っておく必要があります。友人や知人、遠い親戚の葬儀に行くときは、場に合わないお供え物を持って行かないよう注意しましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
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