葬儀に関わったことのある方なら「埋葬許可証」という言葉を聞いたことがあるかも知れません。本記事では埋葬許可証とは何か?提出先や発行する際の費用。紛失した際の期限や再発行の手順についてご紹介します。
2021/8/9 情報更新
故人の葬儀に少しでもかかわったことのある方は、埋葬許可証という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。聞いたことはあっても、正確な意味での埋葬許可証というものを理解している方はそう多くはないかも知れません。ここでは、埋葬許可証の2つの意味や、発行と提出の仕方、紛失時の対処法などについて詳しく見ていきましょう。
INDEX
埋葬許可証の意味
埋葬許可証というと、お墓に納骨をするための許可証のことをイメージする方が多いかもしれませんが、実は本来の意味は違います。歴史の流れの中で、その言葉の使われ方に変化が生じてきているためです。本来の意味と、一般的に使われている意味をそれぞれ区別し、両者の違いが分かるようにしておきましょう。
本来の意味
日本では火葬の習慣はそれほど多くはなく、明治初期頃までは土葬が一般的でした。火葬にはかなりの燃料や時間が必要だったことが一因として挙げられます。
本来は土葬の許可証
埋葬許可証の「埋葬」の本来の意味は、「遺体を土の中に埋める」ことであり、土葬の許可をするものです。現在においても一部の地域では土葬の習慣が残っており、その場合は「死体火葬・埋葬許可交付申請書」という書類を自治体に提出して埋葬許可証を受け取ることになります。
日本での土葬は全体の0.003%
厚生労働省の統計によると、平成29年に行われた土葬の埋葬数は389件であり、全体の0.003%でした。このことから、現在の主流はほとんどが火葬であることがうかがえます。技術が発達したことや、スペースの問題があったことなどに起因しているのでしょう。
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一般的な意味
本来の埋葬許可証は遺体を埋葬する事の許可をするというものですが、現代の日本では99.9%の割合で火葬が行われており、土葬の習慣がほとんどありません。この日本の火葬率の数字は、世界的に見てもかなり高い割合であると言えるでしょう。多くの人が「埋葬=納骨」だという認識を持っているのはそのためです。
火葬許可証との違い
火葬には火葬許可証が必要で、そこに火葬済みの印を押したものを埋葬許可証と呼ぶことが一般的には多いのです。
>>火葬をするには火葬許可証が必要!発行の流れや再発行について解説
厳密にいえば火葬許可証が埋葬許可証に変わるという事はないのですが、土葬の習慣がほとんどない日本の実情からすれば、そういった認識が広まるのも仕方がないことだと言えるかもしれません。
こうした実情を踏まえ、この記事でも便宜的に「火葬済みの印が押された火葬許可証」のことを埋葬許可証と呼んでいきます。
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埋葬許可証の発行から提出までの流れ
故人の火葬の手続きをするためには、役所への申請が必要となります。許可のない火葬は法律で禁止されています。
申請方法は各自治体で異なる
死亡届を提出すると同時に発行してくれる自治体もありますので、申請方法は各自治体の情報を確認するとよいでしょう。火葬許可証を受け取ったら、火葬当日に火葬場の管理事務所に提出する事になります。火葬の終了後に管理事務所の方で火葬処理済の印を押してくれますので、それをもって埋葬許可証を受け取ることになります。
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埋葬許可証は納骨する際に必要
埋葬許可証は、お墓に納骨をする際に必要となりますので、受け取ったら大事に保管しておきましょう。納骨は基本的に四十九日法要に合わせて行われることが多いのですが、特に決まりがあるわけではありません。お墓の準備が間に合わないなど、何らかの事情があるならば、一周忌や三周忌といった法要に合わせて納骨するのもよいでしょう。埋葬許可証は骨壺を収める箱などに一緒にしまっておくことをおすすめします。
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埋葬許可証を墓地や霊園に提出する
納骨の際には埋葬許可証を墓地や霊園の管理者に提出する事になります。墓地の使用許可証や印鑑なども必要となりますので、合わせて用意しておくことを忘れないようにしましょう。
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分骨をする場合は分骨証明書が必要
分骨とはお骨の一部を分けて納骨することです。例えば、故人の意向で先祖代々のお墓の他、思い出の土地へ骨の一部を納骨して欲しいなどといった場合におこなわれます。
分骨する場合には、埋葬する場所の数だけの埋葬許可証が必要となります。火葬する前に分骨したい旨を申し出るように注意しましょう。
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埋葬許可証を紛失したときの対処法
火葬してからすぐに納骨できる場合はいいのですが、年数が経ってしまうと紛失の可能性も高くなります。埋葬許可証がないと納骨が出来ませんので、その時は再発行の手続きを取ります。
再発行の流れ
再発行の方法は火葬してから5年未満か否かで変わりますので、確認しておきましょう。
発行から5年未満で紛失した場合
火葬許可証の再発行は役所で申請する事になります。許可証の発行から5年未満であれば役所の方で情報を保持しているので、そのまま再発行する事ができます。死亡届を提出した本人が手続きする場合は本人確認書類と印鑑を用意しましょう。本人以外の人が手続きに行く場合は、亡くなった個人との関係が証明できる書類が合わせて必要となります。
発行から5年以上経ってから紛失した場合
火葬許可証の発行から5年以上経過してしまった場合は、火葬場で火葬証明書を発行してもらってから役所での手続きをする必要があります。火葬証明書の発行はそれぞれ火葬場によって異なりますので、確認が必要です。火葬証明書を発行してもらったあとは、役所で紛失5年未満の時と同様の持ち物を持って手続きをすることで、埋葬許可証の再発行をしてもらう事が可能となります。
再発行にかかる費用
再発行にかかる費用は役所によって異なりますが、およそ300円~400円ほどとなります。
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まとめ:埋葬許可証の正しい意味を理解しておこう
「埋葬許可証」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【埋葬許可証の意味】
●埋葬許可証の本来の意味は土葬の許可をするもの
●一般的な意味は「火葬済みの印が押された火葬許可証」のことを埋葬許可証と呼ぶ
【埋葬許可証の発行から提出までの流れ】
①役所で死亡届を提出
②火葬許可証を受け取る
③火葬当日、火葬許可証を火葬場に提出
④火葬終了後に、火葬処理済の印を押してもらう(=埋葬許可証となる)
⑤埋葬許可証は納骨の際に墓地や霊園に提出する
【埋葬許可証を紛失したときの対処法】
●発行から5年未満で紛失した場合は、役所で情報を保持している為そのまま再発行が可能
●発行から5年以上経ってから紛失した場合は、火葬場で火葬証明書を発行してもらってから役所での手続きをする必要がある
●再発行にかかる費用は、300円~400円
埋葬許可証とは本来は土葬の許可をする証書の事を言いますが、火葬での葬儀がほとんどである日本においては火葬後の納骨をする許可証という意味で使われることが多く、火葬許可証との違いを意識していない人も多いようです。「火葬済みの印が押された火葬許可証」を埋葬許可証と呼ぶ事は一般的には問題ないと言えるかも知れませんが、本来の意味とは異なることを頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール