喪中見舞いという言葉を聞いたことがある人は大勢いるかと思いますが、実際にどのようなものか、どういったときに必要となるのかご存知でしょうか?
この記事では、喪中見舞いとは一体どのような意味があるのか、寒中見舞いとの違いなどとともに、いざ喪中見舞いが来た際にきちんと返信ができるよう、書き方やマナーについても徹底的にご紹介していきます。
INDEX
喪中見舞いとは?
ますはじめに、そもそも喪中見舞いとはどういったものなのか、喪中見舞いに関する概要や、寒中見舞いとの違いについてご紹介していきます。
喪中見舞いとはなにか?
喪中見舞いとは、喪中はがきを送ってくれた人に対して送る、はがきや手紙、お供え物のことを指します。
喪中の意味
そもそも喪中とは「喪に服する」という意味があるのですが、親族が亡くなった遺族は、一定期間ハレの場(結婚式など)を自粛したり、新年の挨拶を控えるのが、日本におけるマナーです。
>>喪中とは?喪中の期間・喪中にしてはいけないことを完全解説!
年賀状の代わりに送るのが喪中はがき
したがって、身内に不幸があったために新年の挨拶を控えさせてもらうといった趣旨のことを伝えるためのものが喪中はがきと呼ばれています。
喪中はがきは、主に知人友人をはじめ、年賀状のやりとりを行なっている相手に対して送るものです。
そして、この喪中のお知らせに対する返事が喪中見舞いです。
本来であれば喪中はがきが届き、年が明けてから寒中見舞いで返信することが一般的でしたが、年が明けるまで待てないという人は送る時期を気にすることなく、喪中見舞いで返信をすることができます。
喪中はがきについて詳しくは下記記事をご参考ください。
・喪中はがきとは?喪中の意味からはがきの準備方法、書く内容から出し方まで徹底解説!
・喪中ハガキとは?書き方と文例と出す相手と時期を徹底解説!
・喪中ハガキの書き方は?喪中ハガキを書く際の注意点から例文まで徹底解説!
寒中見舞いとの違い
寒中見舞いとは、喪中見舞い同様に喪中はがきに対して返送するはがきや手紙、お供え物のことを指します。
送る時期の違い
喪中見舞いとの違いは、送る時期にあります。寒中見舞いは、喪中はがきが送られてきた翌年の新年の挨拶のタイミングで送ることが一般的です。
具体的な時期としては、松の内と呼ばれる1月7日が明けてから立春の2月4日までに送るものが寒中見舞いとなります。
寒中見舞いの例文
例文としては以下の通りです。
「寒中謹んでお見舞い申し上げます
服喪中のことと存じ 年始のご挨拶は遠慮させていただきましたが
寒冷の候 いかがお過ごしでしょうか
ご一家の皆様には、お寂しい毎日をお過ごしのこととお察しいたします
どうかお心を強くお持ちになってお過ごしください
まだまだ寒い日が続いておりますので どうぞご自愛ください
日付」
ちなみに、寒中見舞いは喪中のお知らせに対する返信だけでなく、年賀状を1月7日までに送ることができなかった場合にも利用されます。
>>喪中に寒中見舞いを出してもよい?時期・マナー・文例集を紹介!
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喪中見舞いの書き方とマナー
ここからは喪中見舞いの書き方とマナーについてご紹介していきます。知らないと相手に失礼と捉えられることもあるため注意が必要です。ポイントを押さえておきましょう。
喪中見舞いの書き方
喪中見舞いには定型文が存在します。構造を覚えておくと書く際に困らないので覚えておきましょう。
また、喪中見舞いは相手との関係性などによっても表現を少し変える必要があるため、ポイントを押さえておくと良いでしょう。
喪中見舞いの具体的な文章は4つのパーツからできています。
1)喪中はがきをもらったことに対するお礼の言葉
喪中見舞いの手紙やはがきでは、「ご丁寧なご挨拶状をありがとうございます」など、お礼を冒頭に書くのが一般的です。
日々忙しく、また大切な遺族を亡くして心を痛めている中、わざわざ連絡をくれたことに対するお礼を伝えましょう。
このほか、相手を気遣う内容や新年への希望を感じさせる言葉を添えておくと、事務的になりすぎず気持ちを伝えられます。
2)お悔やみの言葉を書く
お悔やみの言葉とは、故人や残された遺族を思ってかける言葉のことです。
お通夜やお葬式、弔問などの際にも使用します。喪中見舞いでは、「訃報をお聞きし、大変驚きました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます」などと簡潔に表記しておきましょう。
>>弔問とは?意外と知らない弔問の注意点とマナーを徹底解説!
さらに、文中には「ご服喪中につき新年の挨拶をご遠慮申し上げます」など、新年の挨拶を控える旨も記載しておきます。喪中はがきをしっかりと受け取ったという意味にもなります。
お悔やみの言葉について詳しくは下記記事をご参考ください。
・お悔やみの言葉はどう伝えればよいの?お悔やみの言葉を伝える際の注意点を例文を交えて完全解説!
・本当にいいの?お悔やみの言葉をメールで送る際の注意点を徹底解説!
・「お悔やみ申し上げます」の正しい意味は?「ご愁傷さまです」との違いや伝える際の注意点を徹底解説!
3)相手をいたわる言葉を添える
遺族は大切な家族を失い、精神的にも肉体的にも疲弊していることが想定されます。
故人を悼む気持ちももちろん大切ですが、「お気を落とされていることと存じますが、どうぞご自愛くださいませ」など、相手を気遣う一言を入れることを忘れないようにしましょう。
4)喪中見舞いを出した日付
(年号)○○年○○月
基本的にはこの4つの構造を記載すれば、喪中見舞いは問題ありません。
故人との生前の思い出に触れながら、さらに遺族への労わりや感謝の気持ちをできるだけ自分の言葉で伝えることが大切です。
また、文章は相手が友人なのか、もしくは会社の上司であったり、目上の人であるのかなどで、伝えたい文言や表現は変わってくると思いますので、柔軟に変更するとよいでしょう。
喪中見舞いを書く上での注意点
なお、喪中見舞いを書く上での注意点として、句読点を使用しないという点を頭に入れておきましょう。
喪中見舞いに限らず、冠婚葬祭にまつわる文章に関しては、「滞りなく事が進むように」という思いや、日本ではもともと文章に句読点は使用されていなかったことの名残などから、そのような形式が取られているようです。
・忌み言葉に気を付ける
さらに、忌み言葉(いみことば)と呼ばれる言葉を使用するのもNGです。
忌み言葉とは、縁起が悪く、使用するのを忌みはばかる言葉のことですが、結婚式といった慶事の場においても使用してはいけません。
具体的に避けるべき忌み言葉としては、「死ぬ」「切れる」「散る」「終わる」「消える」「たびたび」「重ね重ね」「四(死)」「九(苦)」など、他にもたくさんありますが、一例としてこのような言葉が挙げられます。不幸なことや死を連想させたり、それらが続くと想像させるような言葉は避けなければならないのです。
・行頭を下げずに書き始める
さらに行頭を下げずに書き始めるのがマナーです。
一刻も早く遺族に回復してほしい気持ちや、故人へ伝えたい気持ちが溢れてしまうと、様々な言葉を送りたくなりますが、かえって失礼にあたることもあるため、喪中見舞いではシンプルな表現を心がけ、最低限の心遣いを相手に届けることをまずは意識するとよいでしょう。
喪中見舞いの例文
送る相手がどのような人物か、自分とどのような関係性なのかによっても書き方は少しずつ異なってくるかと思います。
以下の例文を参考に、故人や遺族に対する気持ちがしっかりとが伝わるような喪中見舞いを書いてみてください。
【例文1】
ご丁寧なご挨拶状をいただきありがとうございます
お手紙を拝見して○○様のご逝去を知りました
お悔やみも申し上げず失礼いたしました
遅ればせながら謹んでご冥福を心よりお祈り申し上げます
ご家族の皆様におかれましては お気を落とされていることと存じますが どうぞお身体を大切に新年をお迎えください。
(元号)○年○月
【例文2】
喪中お見舞い申し上げます。
○○様が亡くなられてから○カ月になりますね
徐々にではございますが寂しさも和らげばと心よりお祈り申し上げます
喪中でいらっしゃいますので新年の挨拶は控えさせていただきます
ご家族様が新年を心穏やかに過ごせますことを心よりお祈り申し上げます
(元号)○年○月
喪中見舞いのデザイン
ちなみに、喪中見舞いに使うはがきや手紙ですが、派手なデザインのものはできる限り避け、グレーや薄い青色などの寒色ベースで装飾されたものを選ぶのがマナーです。
なにかデザインが施されているものであれば、菊や紫陽花などがあしらわれているものを選ぶようにしましょう。
もちろん自作のはがきや手紙でも問題ありませんが、郵便局やインターネットでは、喪中見舞い用のデザインのはがきを購入することもでき、間違いがありません。何に書こうか悩んでいる人や、不明点がある場合ば、まずは郵便局の窓口などでリサーチしてみるとよいでしょう。
なお、切手に関しても弔事用ものがあるので、合わせて確認してみてください。
デザインやしつらえ一つで伝わり方にも影響があるので、「たかがはがきでしょう」などと捉えることなく、慎重に選ぶようにしましょう。
喪中について詳しくは下記記事をご参考ください。
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喪中見舞いの弔問の仕方
弔問とは、遺族から訃報を受けた後、遺族のご自宅などに足を運び、お悔やみの言葉を述べたり、お線香をあげたりすることです。
ここからは、喪中見舞いの弔問の仕方について、タイミングやお手土産についてご紹介していきます。
弔問するタイミング
まず、弔問するケースとしては、たとえばお通夜やお葬式に何かしらの理由で参列できなかったという場合が一般的です。
当日は参列できなかったものの、どうしても直接お別れの挨拶がしたいという人は、お通夜やお葬式が終わったタイミングで後日、日を改めて弔問に伺います。
弔問する際のマナー
ただし、お通夜やお葬式の直後は遺族が特に疲労の溜まっているタイミングでもあるので、「早く故人に手を合わせに行きたい」という思いがあったとしても、それは遺族側に迷惑をかけてしまうことになります。
したがって、遺族の許可なしに勝手に伺うのはNGです。まずは、そもそも弔問へ伺っても良いのかを遺族側に確認をし、許可が出たら日程調整を行いましょう。
日程調整を行う際にもいくつか日程の候補を挙げ、最低限の配慮を忘れないことが大切です。
もし弔問を断られた場合には、無理に伺うことなく、電話や手紙などでお悔やみの言葉を伝え、場合によっては香典を送ります。あくまでも遺族の気持ちに沿うような言動を心がけましょう。
持っていくお手土産
弔問に伺えるとなれば手土産を忘れずに準備しましょう。
喪中見舞いのお手土産としてよく選ばれるものとしては、仏壇にお供えができるお線香やろうそく、食べ物であればかさばらない日持ちのするお菓子などが多いです。
また、最近多く見られるようになったのは、カタログギフトやギフト券を贈ることです。
手土産の相場
相手に好きなものを選択してもらえるため、贈る側も頭を悩ませる必要がありません。予算感としては、双方にとって負担のない3,000円〜5,000円を目安にしておくとよいでしょう。
もちろん目安であって、相手との関係性や贈りたいものによって価格が変動しても問題はありません。故人が特に好きだったものを知っているのであれば、それを持参するのもおすすめです。
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喪中見舞いののしの書き方
喪中見舞いに何かを贈る場合には、品物であれば熨斗をつけるのがマナーです。熨斗に書く表書きとしては、「喪中御見舞」、「御供」、「御仏前(四十九日を過ぎている場合に使用できる)」などがありますが、喪中はがきへの返信として贈る場合には、「喪中御見舞」がよいでしょう。
さらに、注意すべきが水引です。水引は、熨斗についている飾り紐のことですが、喪中見舞いののしであれば熨斗自体に印刷されているものが一般的です。
この水引には結び方がいくつかあり、「不幸をこれ以上繰り返さないよう」という思いから、結びきりという結び方のものを選びます。
また、水引の色は黒白か双銀が一般的です。なお、関西地方では黄白のものが使用されることもあります。
喪中見舞いに選ぶ供え物
喪中見舞いにふさわしい供え物としては、贈答用のお線香やろうそくなどがメジャーですが、仏教以外の宗教宗派であればお線香は必要ないため、もし確認できるのであれば確認しておきましょう。
また、他にもお線香とお花がセットになっているものや、小分けにされたお菓子類、ブリザーブドフラワーなども選ばれているようです。
香典と供物を一緒に渡しても良い
なお、供え物に加えて香典をお渡ししても構いません。
香典を渡す際のマナー
香典を渡す場合には、不祝儀袋と呼ばれる専用の袋にお金を入れます。
その後、入れた金額や表書きを記載するのですが、表書きは基本的に「御香典」や「御仏前」、「御霊前」などを使用します。
ただし、「御仏前」、「御霊前」を使用する場合には、使用可否が宗教宗派によって異なるため注意が必要です。
たとえば、仏式の場合、四十九日前であれば「御霊前」、四十九日後であれば「御仏前」と記載するのですが、真宗や曹洞宗では霊の概念が存在しないため、「御霊前」は不適切となります。
ちなみに、喪中見舞いを郵送する場合には、お悔やみ文を添えることをおすすめします。
物品のみを郵送することは基本的には避けたほうがよいでしょう。白い便箋を使用して、簡潔に気持ちを書きましょう。
遺族を労るメッセージや、故人への思いを自分の言葉で綴ることで、相手にもしっかり気持ちが伝わるはずです。
なお、薄墨を使用する必要はありません。
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喪中見舞いについてのまとめ
「喪中見舞い」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【喪中見舞いとは?】
●喪中はがきを送ってくれた人に対して送る、はがきや手紙、お供え物のことを指す
【喪中はがきとは?】
●年賀状のやりとりを行なっている相手に対して送るもの
【喪中見舞いと寒中見舞いの違い】
●寒中見舞いも喪中はがきに対して返送するはがきや手紙、お供え物のこと
●寒中見舞いは翌年の新年の挨拶のタイミングで送る
●松の内と呼ばれる1月7日が明けてから立春の2月4日までに送るものが寒中見舞いとなる
【喪中見舞いの書き方とマナー】
●喪中見舞いの具体的な文章は4つのパーツからできている
①喪中はがきをもらったことに対するお礼の言葉
②お悔やみの言葉を書く
③相手をいたわる言葉を添える
④喪中見舞いを出した日付
●忌み言葉と呼ばれる言葉を使用するのもNG
●行頭を下げずに書き始める
【喪中見舞いのマナーと注意点】
●お通夜やお葬式が終わったタイミングで弔問する
●遺族の許可なしに勝手に伺うのはNG
●3,000円〜5,000円程度の手土産を持参する
●手土産はお線香やろうそく、日持ちするお菓子、カタログギフトやギフト券など
●喪中見舞いに熨斗(のし)を付ける場合は、表書きは「喪中御見舞」「御供」「御仏前」
●水引の色は黒白か双銀、関西地方では黄白のもの
●供物は贈答用のお線香やろうそく、お菓子、ブリザーブドフラワーなど
●供物と一緒に香典をお渡ししてもよい
喪中見舞いについてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか?喪中はがきが届いてから、年が明けるのを待つことなく、故人への気持ちや遺族への労りの気持ちを伝えたい場合、喪中見舞いとしてはがきや手紙、品物などを送ることができます。
また、実際に弔問をして喪中見舞いをお届けすることも可能ですが、相手の都合やコンディションをしっかりと確認しながら話を進めていきましょう。
もちろん弔問に訪れる場合にはお手土産を忘れてはいけません。
大切なのは、悲しみにくれている遺族への配慮や、故人を偲ぶ気持ちをしっかりと伝えることです。ケースバイケースで、最適な喪中見舞いを選択しましょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール