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人生の「終末期」をどう充実させるか?知っておくべき3つのポイント

Jul 08 2022

終末期とは、主に余命が数ヶ月以内と判断された時期を指す。 その終末期に行われるのが、終末期医療であり、基本は身体的・精神苦痛を除去し、QOLを重視の処置がなされる。 そんな状態でいかに人生を充実させるかを考え、実践することはとても大切なことである。

82歳の母が余命3ヶ月の「終末期」に入りました。

「人はいつか死ぬ」と覚悟しつつも、そもそも「終末期」ってなんだろう?と、疑問に思っている方も多いでしょう。

終末期とは、老衰や疾病、障害などの進行によって、あらゆる医療がすでに効果的でなく、余命が数ヶ月以内と判断された時期を指すことが多いです。

そしてその時期になされる処置が終末期医療。

今回は、主に患者の「終末期」とはどんなものかを説明し、具体的にはどんな医療行為がなされ、人生のエピローグを迎えるかを解説します。

この記事が、ご本人や大切な家族が病気などで「終末期」を迎えた際に、どんなふうに対応するべきか、いい判断材料になれば幸いです。

終末期とは?

終末期とは、一般的に老衰やがん、認知症、ALS(筋肉が徐々にやせて力がなくなっていく病気)などの難病の進行によって医学的に治療や延命が不可能になった状態で、余命が数ヶ月程度と想定される時期をいいます。

「終末期医療に関するガイドライン」(全日本病院協会)では、以下の3点を満たす場合を終末期と定義しています。

【終末期を定義する3つの条件】

1.複数の医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること
2.患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
3.患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること

終末期に身体はどう衰退するか

終末期を迎えると、最初のうちは、食欲が衰退し、睡眠時間が長くなり、褥瘡(じょくそう)、一般的にいう「床ずれ」を起こしがちになるのです。

その後、体力が衰退し、意識が低下したり、身体の各部の痛みに加えて精神的な苦悩を訴えることになっていきます。

終末期の4つの苦痛

患者が感じる苦痛は、主に次の4つに分類されますが、それぞれの痛みが関連してより大きな苦痛を与えることが多くなります。

1.身体的苦痛

各部の痛み、倦怠感、呼吸困難、むくみなどの身体症状による苦痛です。原因を見極め、対症療法により、できるだけ早く苦痛の緩和を図ることが重要になります。

2.精神的苦痛

死を直前にした患者は、大きな不安、孤独、恐怖、抑うつなどを感じるものです。こうした精神的苦痛を起因としたせん妄(幻覚や興奮状態)を起こす場合もあります。

鎮静剤の投与などの対処療法と医療スタッフと家族が連携したケアが必須です。

3.社会的苦痛

仕事上の問題、家族やコミュニティからの離別や役割の変更にまつわる問題、家庭内の問題、経済的な問題などにより感じる苦痛があります。

家族が中心になって患者を安心させるためのコミュニケーションをとっていくことが肝心です。

4.スピリチュアルな苦痛

自分が生まれた意味、人生の意味、病になった意味、この苦しみの理由など、精神的に深いところから生じる苦悩もあります。

これも対処法としては、家族が中心になって、これまでの人生における功績を称えたり、患者の存在を肯定していくことが大切です。

終末期の身体的特徴

終末期を迎えた患者の主な身体的特徴は、次の表の通りです。

バイタルサイン ・血圧低下

・心拍数は増加した後、徐々に低下または不整

・酸素飽和度(血液中の酸素の正常値)の低下

呼吸 ・チェーンストークス呼吸(増大と減少を繰り返す呼吸)

・死前喘鳴(死の数日前から起こる、喉の奥から聞こえてくるゼーゼーという呼吸音)

・下顎呼吸(首を後部に反らし、口をパクパクしてあえぐような状態で呼吸)

栄養状態 ・食欲不振、食事量の低下

・水分摂取量の低下

排泄 ・便秘、便失禁

・尿量減少、尿失禁

循環状態 ・心機能の低下

・血圧低下

・チアノーゼ(血液中の酸素が不足することをきっかけとし、くちびるや指先などの皮膚や粘膜が青紫色に変化した状態)

・浮腫(むくみ)、腹水

精神状態 ・意識レベルの低下、意識混濁

・せん妄、幻覚

・臨死体験

生前の意思表明(リビングウィル)の確認

終末期を迎えた際、とても大切になることは生前の意思表明(リビングウィル)の存在の有無です。

リビングウィルとは、患者の判断能力が十分なうちに「回復の見込みがなくなり、死期が間近に迫った終末期において、延命治療をしてほしいかどうか等について、医師や家族に知らせる意思表示」のことをいいます。

この意思表示がないために、実は患者自身が望んでいなかった延命措置をムダに行なっていたという例も少なくありません。

「最期はこうありたい」という患者の意思を尊重し、必要なケアがしっかりと提供されるような準備が必要です。

そのためには、医療スタッフと患者や家族とのコミュニケーションを大切にし、病状や進行具合などの情報が把握でき、意思表明を促せる環境を整えておくことが大切になります。

そこで、仮にいまは終末期ではなくても、高齢だったり様々な疾患がある場合、いままでよりも少し具合が悪くなってきたと思える時点で、早めにリビングウィルを想定することが必要ではないでしょうか。

終末期にはどんな医療行為がなされるのか?

終末期の医療では基本的に延命を目的とした治療は行われず、身体的・精神苦痛を除去し、生活の質(QOL)の維持や向上を目指した処置がなされます。

終末期医療は、ターミナルケアともいう

その終末期に行われる処方が、終末期医療であり、ターミナルケアとも呼ばれるものです。

ターミナルケアの起源は1960年代のイギリスにあります。

そこから欧米各国に普及していき、日本でも1980年代頃から少しずつ定着し、現在は病院や介護施設、自宅などでこの終末期医療が行われています。

また、厚生労働省では、平成30年に「終末期医療」という言葉を変えて「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定し、終末期医療に関する様々な指針を明示しました。

終末期医療に似たケアの方法

終末期医療に似た考え方として、次のような処方や概念があります。終末期医療にはこうした概念が複合的に取り入れられています。

緩和ケア

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している本人や家族に対して、医師や医療スタッフが病気によるあらゆる苦しみや問題に対応し、患者やそのご家族がQOLを向上させ、よりよい人生を生きるためのサポートをすることです。

また、緩和ケアが対象となる病気は、がんだけではありません。生きることに困難を抱えている、どんな病気も緩和ケアの対象となります。

老衰、認知症、神経難病や呼吸不全、心不全なども、緩和ケアの対象です。

緩和ケアに関してより詳細な定義や療養場所について確認したい方は、「緩和ケアの定義と制度を解説!療養場所の決め方と知るべき5つの注意」もぜひご覧ください。

ホスピスケア

ホスピスケアは、治療の望めない終末期に患者とその家族の苦痛を最小限に止めることを目的としているケアのことを指します。

「ホスピス」という言葉は、1967年にイギリス・ロンドンで創設された末期がん患者の苦痛除去を目的とした施設に由来しています。

そこでは、専門家がチームを組んで、患者の痛みを和らげるためのケアが実施されてきたそうです。

看取りケア

看取りケアとは、終末期に行う処置として苦痛を与えるだけの延命治療ではなく、人間らしく死を迎えることを支えることを重視するケア方法で、自宅や介護施設などで最期を迎える方に施されることが多いものです。

エンドオブライフケア

「診断名、健康状態、年齢に関わらず、差し迫った死、あるいはいつかは来る死について考える人が、生が終わる時まで最善の生を生きることができるように支援すること」と千葉大学大学院看護学研究科エンドオブライフケア看護学では2012年に定義しました。

言い換えれば、エンドオブライフケアは単に終末期医療や緩和ケアの代替語ではありません。

老いや病いを抱えながら地域社会で生活し続ける人々の暮らし方、家族との関係性や生や死に関する価値観、社会規範や文化とも関連した、新たな生き方の探求を意味しています。

どこで終末期医療を受けるか?

終末期医療を受けられる施設は、病院内にある緩和ケアなどの終末期医療を専門とする病棟や療養型病院、老人介護施設、障害者介護施設、ホスピスなどで、自宅で受けることも可能です。

病院

病院によって体制は変わりますが、医師や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、心理職、栄養管理士、理学療法士、作業療法士などで構成されるサポートチームが患者の意思に応じた終末期医療を行います。

介護施設

介護保険の施設サービスを提供する特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などの介護施設でもターミナルケアは行われていますが、ポイントは、医療施設との連携や十分な職員の配置、居室設備の充実など、体制づくりが整っているかどうかです。

入居契約を結ぶ前に終末期の対応について、施設側に詳細な確認を取っておきましょう。

自宅

自宅での終末期医療は、必要に応じて医師や看護師の訪問を受けながら、自宅で余生を過ごすというものですが、他の方法よりも費用は抑えられるものの、家族にかかる負担は大きくなります。

この負担を軽減するために、医療スタッフや介護スタッフとの連携は重要で、家族内でサポートの共通認識を持つことも大切です。

終末期医療の費用

終末期医療も基本的に医療保険制度に準じています。 たとえば後期高齢者医療制度では、75歳以上の後期高齢者の自己負担割合は世帯所得に応じ1−3割負担だと定められており、終末期医療の費用も同様です。

病院での費用

厚生労働省から「緩和ケア病棟」の承認を受けている病棟で緩和ケアを受ける場合、入院費は治療内容にかかわらず一律で、施設基準や期間で以下のように定められています。

30日以内:1日48,260−50,510円
31日以上60日以内:1日43,700−45,140円
61日以上:1日33,000-33,500円

※1日3食分の食事医療費(特別対応費用がかかることがあります)は別途

上記の費用には健康保険が適用されるため、実際の負担額は上記の1〜3割です。ただし、個室を使う場合は別途料金がかかることもあります。

また終末期医療は「高額療養費制度」の対象です。この制度では、医療費の負担が大きくなりすぎないように、ひと月あたりの上限額を超えた金額については支給が受けられます。

介護施設での場合

老人ホームなどの介護施設の場合、かかる費用は施設ごとに様々なので、事前に詳しく確認しておくことが肝心です。

自宅での費用

自宅では、主に以下のような費用が必要になります。

在宅医の往診費:1回2万円〜3万円前後
訪問看護費:1回1万円前後
介護に必要な費用:ベッドやポータブルトイレ、車イスのレンタル、訪問介護など

自宅の場合は、医師・看護師の訪問回数や利用サービスの内容によって金額が変わってくるので注意が必要です。なお、往診や訪問看護は医療保険の適用対象なので自己負担は1〜3割で、こちらも高額療養費制度の対象となります。

充実した人生のエピローグへの準備

終末期は誰にでも平等にやってくるものです。より充実した人生を満喫し、自分らしい最期を迎えるための準備として、やるべきことをご紹介します。

財産の整理

相続財産がある場合には、本人にしかわからない項目も多いので、以下の項目をできるだけ詳細に書き記しておきましょう。

●金融機関名、支店名

●金融商品の種類

●預金の種類、口座番号

●株の銘柄、数

●不動産

●高級品(クルマ、ヨット、貴金属、絵画、骨董品など)

●負債、ローン など

 

遺言書とともに、財産目録を作ることをおすすめします。

相続をスムーズにさせるために役立つ財産目録の作り方や、書き方を間違えて向こうにならない遺言書の書き方については次の記事もぜひご覧ください。

相続をよりスムーズに!「財産目録」の目的と知るべき3つのメリット

『財産目録』の書き方のポイントは5つだけ!簡単な作成のコツを解説

【文例付き】相続プロが教える!有効な遺言書の書き方完全マニュアル

持ち物の整理

自宅で終末期医療を受けられる場合や、病院や施設から一時帰宅が許されたタイミングなどで、自分の持ち物をどう処分するかを決めましょう。どうしても残したいもの以外はゴミとして処分することが基本です。

特に自分の尊厳を保つために捨てなければならないものは迷わずゴミに。PCやスマホのデータを消去することもお忘れなく。

相続のトラブルを防ぐことになるデジタル遺品の上手な扱い方に関しては「デジタル遺品の落とし穴!相続問題に発展する4つの問題と対策を解説」でもご確認ください。

エンディングノートに書く

財産のことだけでなく、家族に伝えておきたいことや思い、前述のリビングウィルの意思表示や医師や医療スタッフへのリクエスト、さらに葬式に関する希望などを書き残すことで、自分がいなくなった後でも家族に寄り添い、家族の負担を軽減させます。

形式も書く内容も自由ですが、自分らしい書きやすいエンディングノートを選ぶために、「エンディングノート最新人気ランキング20選!書き方も完全解説!」もぜひご一読ください。

葬式や墓の準備

葬式は生前契約を結ぶことが可能です。自分が思い描く理想の葬儀について複数の葬儀社に相談して見積もりを依頼し、精査してから決めましょう。ここでも家族の負担が軽減されます。

死というものはあまり考えたくないものですが、最後のお別れをスムーズに執り行うために知っておくべき葬式の準備に関しては、「【保存版】葬式準備に必要な8つのポイントと4つの注意をプロが解説」をご覧ください。

また、墓の事前準備も、相続税の課税対象外になったり、家族の負担を減らせたりとメリットがたくさんあります。

知らないととても割高になってしまう墓の費用に関しては、「意外とお葬式以上にお金が掛かる『お墓に関する費用』」をご覧ください。

まとめ:終末期とその対応策を知り、残された人生をいかに充実させるか

医学的に治療や延命が不可能になった場合、余命が数ヶ月と宣告された場合、どうするべきかを考えるきっかけになったでしょうか。

終末期には、徐々に身体機能が衰退し、主に4つの苦痛に苛まれることになります。

1.身体的苦痛

2.精神的苦痛

3.社会的苦痛

4.スピリチュアルな苦痛

身体的苦痛は医学的な対処療法で緩和できますが、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛に関しては、医師だけでなく終末期医療のサポートスタッフと家族が協力し合って、主に対話したり聞き取り役に回ることで緩和につながっていくものです。

こうしたケアの効果を高めるために、もし終末期を迎えたならば、早めにリビングウィルの意思表示やどんな処方を受けたいのかを明確にしておく必要があります。

また、財産の整理や葬式の準備など、自分がいなくなった後の家族の負担を軽減させることを考えておくことも意義のあることです。

人生において終末期は誰にでも訪れるものですが、その時どんな状態になるのかをあらかじめ知っておくことで、自分の意思や尊厳を守り、大切な家族のためにできることがいろいろとあることがわかったのではないでしょうか。

今回の記事が、その時に思い出され、残された時間を最高に有意義に過ごし「いい人生だった」と言ってもらえることにつながればと願っています。

【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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