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火葬式を完全解説!費用・流れ・マナー・香典・一般葬儀との違いを紹介!

Jun 02 2020

最近ではオーソドックスな一般葬以外にも、様々な形態の儀式が増えています。

いずれも「できるだけお金をかけたくない」「短時間でお別れしたい」「故人の意思を反映させた儀式をしたい」など、多様化するニーズに応えられるものばかりです。

この記事ではその中から「火葬式」についてご紹介します。具体的な内容などを見て、皆さんの希望に合う葬儀かどうかを確かめていきましょう。

火葬式とは?

そもそも火葬式とはどういったものなのでしょうか?意味や特徴、他の葬儀との違いなどをご紹介していきます!

火葬式とは

火葬式とは、通夜や葬儀・告別式を行わず火葬のみを行うという葬儀形態のこと。別名で「直葬(ちょくそう)」や「荼毘式(たびしき)」ともいわれます。

火葬式を行う方の割合は現在約5%。人数としてはまだまだ少ない数値ですが、実はここ近年では徐々に増加しています。平成29年に行われた調査では、一般葬の割合は約60%、火葬式は約5%でした。

しかし増加率で見ると、一般葬の増加率が約5%なのに対して、火葬式の増加率は約26%とかなり高い数値です。さらに、同じく人数の少ない家族葬に関しては増加率が約50%!世間一般の流れとして、火葬式をはじめとした「人数を絞った葬儀形態」に移りつつあるのです。

火葬式の特徴

火葬式の特徴は、何よりもその「シンプルさ」にあります。基本的にはご遺体を搬送・安置した後に、そのまま火葬で送り出して終了です。

葬儀形態の中では最もシンプルな方法であり、僧侶の読経や参列者の受け入れ等も行いません。 

ご遺族や親族のみで式を行い、故人とのお別れは火葬炉の前で簡単に行います。数分で終わる場合もあるそうです。そのため一般葬と比べて、準備や参列者対応への時間を割くことなく速やかに終わらせることができます。

火葬式に関する意識調査・火葬式が選ばれる理由

では、なぜ今、火葬式が徐々に増加しているのでしょうか?それには「経済的理由」「社会的要因の変化」「価値観の変化」などが背景として考えられています。

◎経済的理由

先述の通り火葬式の場合は通夜や葬儀・告別式を行わないため費用をグッと抑えることができます。一般葬であれば参列者の数が多くなるほど引き出物の用意や会食の準備などに多くのお金がかかるでしょう。香典をいただけるにしてもかなり大きな出費です。

しかし火葬式であれば参列者を呼ばず火葬だけで終わらせられます。そのため、一般葬の金額内訳において大きなウェイトを占める「祭壇などの葬儀一式費用」「会葬返礼品などの飲食接待費用」「お布施などの宗教関係者費用」などの費用を抑えることができます。

そもそも故人が長期入院していたり、介護を受けていた場合、それだけ多額のお金がかかります。

そこに加えて葬儀費用を捻出するのは、現実的に考えてかなりの負担です。そうした切実な問題もあり、経済的に余裕のある火葬式を選ぶ方が増えているのですね。 

◎社会的要因の変化

以前までは地域との繋がりを重視し、大勢の参列者を呼んで行うような通夜や葬儀・告別式が一般的でした。

しかし近年では「身内や知り合いがほとんどいない」というような変化が起こり、そうした伝統的な儀式の流れを踏襲することが難しくなっています。

故人が高齢者だと自然とそのご友人も高齢者になりますが、すでに亡くなっているケースもあるため呼べる人数が減少してきているのです。 

さらに参列者の高齢化に関しては「体力的にも葬儀への参加が難しい」という問題もあります。それらを踏まえると、無理に大人数を集めて葬儀を行うということが減少しているのは自然なことかもしれませんね。 

ただし中には、「火葬だけは故人が住んでいた場所で済ませて、葬儀は故郷で行いたい」という方もいるそうです。 

◎価値観の変化

葬儀というのは仏式の葬儀方法に則り故人を送り出すための儀式です。しかし、無宗教者やこうした儀式をあまり気にしないという方も増えてきています。

そうした方にとって葬儀というのは、確かにお金がかかってしまうだけでそこまで必要性を感じるものではないのかもしれませんね。

当然ですが、葬儀において一番大切なのは「故人を偲ぶ気持ち」です。それがしっかりあれば伝統などにはそこまでこだわらなくていいのかもしれません。

直葬との違い

基本的に「火葬式」と「直葬」は同じ意味合いとなります。呼び方はどちらでも差し支えありません。

一般葬儀との違い

一番の違いは「通夜や葬儀・告別式を行わない」という点です。

一般葬においては「通夜→葬儀・告別式→火葬→初七日法要(火葬当日に行う)→精進落としの会食→解散」というのが基本的な流れ。これを2日間かけて行います。

しかし火葬式は「納棺→火葬→骨上げ→解散」という非常にシンプルなものです。大々的な通夜や葬儀・告別式を行わず、参列者もご遺族や近しい親族のみになります。

こうすることで僧侶へのお布施や祭壇の費用、会葬返礼品などの支出を抑えることができ、準備自体も比較的手軽に行うことができるのです。

一般葬儀についての詳細はこちらからご確認ください。

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一日葬との違い

一日葬は「一般葬の流れから通夜を抜いたもの」になります。葬儀・告別式自体は行うので、規模や費用は火葬式よりもかかるでしょう。

しかしどちらも「ご遺族や親しい親戚のみで行いたい」という思いを尊重した形式です。

火葬式も一日葬も参列者が限られているため、飲食費用や会葬返礼品などの費用をかなり抑えることができます。そもそも喪主側が香典を辞退する場合も多いです。 

ただしどちらも一日だけで終わってしまうため、「どうしても最後の別れをしたかったのに仕事の都合で行けなかった」ということがありえるでしょう。

また、どちらも新しい形式の葬儀のため菩提寺からの理解を得られないという場合も考えられます。 

ここで強行してしまうと納骨の際にトラブルとなるので、あらかじめ相談しておくのがいいでしょう。

一日葬についての詳細は『負担は軽くても心を込めた見送りができる!一日葬の内容を解説

無宗教葬儀との違い

無宗教葬儀とはその名の通り、葬儀形式やこれまでの伝統などにとらわれず自由な形式で行う葬儀のこと。

「自由葬」ともいわれています。そのため、故人の意向を反映しやすい葬儀形式といえるでしょう。

無宗教葬儀で行う内容としては以下のようなものが挙げられます。

・故人の好きな音楽の生演奏

・生前のビデオや写真を流しながら思い出を語る

・故人の思い出の品を飾る

・読経の代わりの黙祷 

このように無宗教葬儀には決まりがないので葬儀内容が多岐に渡ります。

無宗教葬儀はこれまでの枠組みにとらわれない形式です。そのため読経やご焼香などの宗教的儀式は行われないことが多く、お布施や御車代などをお渡しする必要がありません。場合によっては祭壇なども必要ないので、こうした面で費用を抑えることができるでしょう。

もちろん大規模な無宗教葬儀を行えば、逆に費用がかかる場合もあります。しかし無宗教葬儀の目的は費用を抑えることだけではありません。

全てを故人の意思に沿って行うためのものでもあるので「伝統にこだわってお金がかかるよりも、自由に故人の意向を反映した上でお金がかかった方がいい」というような考えをすることもできます。

このようなこともあるので無宗教葬儀には金額相場というものがありません。最低限の儀式だけを行う火葬式の場合でも10万〜30万円前後かかるので、これに上乗せされるという認識は持っておきましょう。 

ただし無宗教葬儀を行なった場合、先祖代々のお墓がある「菩提寺」には納骨できない可能性もあります。

なぜなら基本的に菩提寺のお墓は、その寺院の宗教・宗派に則った家のためにあるから。その寺院の僧侶に読経等を頼まないのに納骨を行うというのはルール違反である、と考える僧侶がいてもおかしくありません。

最近では無宗教葬儀に理解を示す僧侶も増えてきました。しかし無用なトラブルを避けるために、菩提寺への事前相談は忘れずに行いましょう。

ちなみにこの納骨に関しても、無宗教葬儀ならではのものがあります。それが「海洋散骨」です。ご遺骨をパウダー状にして海に撒くという方式で、お墓の維持費などもかからないので希望する方が増えています。

火葬式の流れ

では火葬式は具体的にどのような流れで行うのでしょうか?最初に少しだけ流れについて触れましたが、さらに詳しく見ていきましょう。

当日までの準備

亡くなってからまずは、医師による「死亡診断書」が必要です。死亡診断書は用紙の左側が「死亡届」になっているので、そこに必要事項を記入します。

そして死亡の事実を知った日から7日以内に各市区町村役場に提出してください。これが受理されると「火葬許可証」が発行されます。この火葬許可証がないと火葬を行うことができないので大切に保管しておきましょう。

死亡届の詳細は『死亡届の基礎知識を押さえておこう!書き方やその他の手続きについても解説

この手続きをしている段階で葬儀社を決めておきましょう。火葬式は一般葬よりも手間がかからないとはいえ、火葬炉などの手配は早めにやっておくに越したことはありません。 

それと合わせて重要なのが「ご遺体の安置場所の確保」です。実は、亡くなってから24時間以内に火葬をしてはいけないという法律があります。

そのため24時間経過するまではご遺体を安置する必要があります。

病院で亡くなると最初は病院に安置してもらえますが、それも数時間のみ。その後は自宅に安置するのが一般的といわれています。

もし自宅に安置するのが難しい場合は、速やかに葬儀社に相談しましょう。斎場の霊安室などを借りる手はずを整えてくれます。

それと同時に葬儀社との打ち合わせもしっかり行いましょう。火葬の日程やプラン、オプションなどについて確認します。

火葬だけであっても僧侶による読経や祈祷などは可能なので、ご遺族がどうしたいのかをきちんと伝えることが大切です。 

必要に応じて「納棺師」に依頼するかどうかも決めましょう。納棺師は故人の身なりを整えたり、死化粧をすることでご遺体の見栄えを整える仕事。

ご遺族でも故人の旅支度は可能ですが、よりしっかりと整えたい場合は納棺師に依頼するのもオススメです。

当日の流れ

細かい打ち合わせまで終えたら、火葬式当日を迎えます。

まずはご遺体を納棺し、ご遺族などがお別れを済ませたら出棺。その後指定の火葬場へ行き火葬を行います。場合によっては、火葬炉の前で僧侶の読経やご焼香を行うことも可能です。もしそうでない場合は、後の方々の順番を考え速やかに火葬を行いましょう。

火葬は約1〜2時間ほどかかるので、ロビーや待合室などで待機します。火葬場によっては料理の手配も行えるので、あらかじめ確認しておきましょう。

火葬が終わったら「骨上げ」という儀式を行います。これは、二人一組になってお骨を骨壷に納めるというものです。

これを終えたら埋葬許可証を受け取って終了となります。だいたいここまでで3時間程度かかることが多いです。

当日以降の流れと注意点

無事火葬式を終えてもいくつか注意しなくてはいけないことがあります。

まずは周囲への連絡についてです。火葬式のみでお別れしたことをその他の親戚や友人などに伝える時には気を配らなくてはいけません。

火葬式は徐々に名前が知られてきているとはいえ、火葬式のみで終わらせることで「最後の別れの場を奪われた」という気持ちになる方も少なくありません。

仮に家族で話し合った結果であったとしても、そのことでトラブルになる場合もあります。

そうしたトラブルを避けるためにも、極力火葬式の事後報告は避けましょう。全員にお知らせするのが無理だとしても、最低限故人と付き合いの深かった人物への配慮は行うべきです。 

また、お世話になっている菩提寺がある場合は、そこにも相談をしておきましょう。寺院によっては「通夜や葬儀・告別式の読経がないと納骨を認められない」という場合もあり、そうなると火葬式を行うこと自体が難しくなります。

だからといって勝手に他の寺院に頼んでしまうと納骨の際にトラブルになりかねません。

その後の関係を悪化させないためにも、最初に話を通しておくべき人にはきちんと火葬式の件を伝えておきましょう。 

火葬式に関するお金の疑問

火葬式は費用を安く抑えられるといいますが、具体的にどれくらいの費用になるのでしょうか?ここからは詳しい金額についてご説明していきます!

火葬式を行う場合の費用相場と内訳

火葬式の相場は、だいたい10万〜30万円くらいといわれています。20万円前後で行う方が多いようです。一般葬の場合は100万円前後かかる場合もあるので、かなり安いことがわかりますね。

火葬式の内訳としては以下のようなものが入ります。

・火葬料

・棺の費用

・霊柩車の費用

・ドライアイス代

・休憩室の費用

・骨壷代

・ご遺体の安置費用

確かに行うのは火葬だけですが、細かい箇所を確認すると、こうした費用を払う必要があります。

例えばご遺体の保存が長引けばドライアイス代が追加されることもあるでしょう。火葬場の予約がすぐに取れない場合は安置も長引くことになるので、安置室の費用も増えていきます。 

また、一般葬を行う場合であればご遺体の搬送がすでにプランに組み込まれていることが多いですが、火葬式の場合は単体で搬送費用がかかることもあるので要注意です。

こうしたことをあらかじめ知っておかないと、予想よりかなり高くなってしまう可能性もあるのでしっかり確認しておきましょう。 

また火葬式であっても香典を受け取る可能性はあります。受け取った場合は香典返しのことも考慮しなくてはいけません。こうした諸々の費用を合計すると、30万円ほどになることが多いです。

ただし、故人の意向として「葬儀にはお金をかけないでほしい」というものがあった場合は以下のことを意識するとさらに費用が削れます。

・僧侶の読経は無し

・棺にこだわらない

・安置場所は自宅

これらを意識すると10万円代での火葬式も可能です。

火葬式のお布施相場

火葬式では僧侶を呼ばずに身内だけで終わらせる方もいるかと思います。その場合はもちろんお布施はかかりません。

しかし希望すれば火葬炉の前で僧侶による読経などは行ってもらえます。その場合はお布施もお渡ししなくてはいけません。では火葬式に僧侶を呼んだ場合、お布施はどのくらい包めばいいのでしょうか?

お布施の金額相場は依頼する寺院によって前後します。先祖代々お世話になっている「菩提寺」の僧侶に依頼する場合は10万〜50万円くらいが相場です。

一方で、菩提寺ではなくその時に読経をしてもらうだけの寺院であれば10万円ほどで問題ありません。

菩提寺の場合は今後もお世話になることが予想されるので、そうした関係性を加味しての金額になっております。 

火葬場で数分間の読経をして終了ということもあるので、その場合は(菩提寺の僧侶でなければ)5〜6万円程度のお布施が多いです。

ただし、戒名を授けてもらう場合は金額が異なります。戒名の相場は15万円前後であることが多いですが、位の高い戒名を授かると料金も一気に上がることが多いです。

最高位になると100万円以上かかることもあるのですが、費用を抑えるために火葬式にしているので、おそらくここで位にこだわる方はほぼいないと思われます。

お布施についての詳細は『お布施を完全解説!意味・相場・表書き・裏書などを解説!

火葬式の香典相場

火葬式であっても、ご遺族以外の参列者がいる場合もあります。その時は一般葬と変わらず、喪主に香典をお渡ししましょう。では香典の相場はどのくらいなのでしょうか?

香典の相場は参列者の年齢や故人との関係性によって変動します。基本的には故人との血縁関係が近いほど香典は高くなると考えておきましょう。 

両親の場合は5万〜10万円前後、叔父や叔母の場合は1万〜3万円前後、祖父母の場合は1万〜5万円前後です。

故人が会社関係の方であれば5千〜1万円前後が一般的といわれています。場合によっては「孫一同」「社員一同」として包む場合もあるので、どのようにお渡しするかは話し合っておきましょう。

この金額相場自体は一般葬と大きく差はありません。ただし、火葬式はそもそも参列者が少ないので基本的に葬儀費用を賄うことは期待しない方がいいでしょう。

香典についての詳細はこちらからご確認ください。

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火葬式と一般葬儀の費用比較

最初の方で少し触れましたが、一般葬において一番費用のウェイトとして占めるのは「祭壇などの葬儀一式費用」「会葬返礼品などの飲食接待費用」「お布施などの宗教関係者費用」の3種類です。

これらを一気に削ることにより葬儀費用を抑えることができます。

もちろん火葬式であっても、これら3つがかかる場合もあるでしょう。先述の通り火葬炉の前で僧侶に読経をしてもらったり、ご遺族以外の参列者がごく少数いる場合もあるからです。

では具体的に、そうした費用がかかったとしても一般葬よりもどれくらい安くなるのでしょうか?それぞれの内訳ごとで簡単にご説明します!

◎祭壇などの葬儀一式費用

一般葬の場合は、先述の「火葬式の内訳」に加えて主に以下の料金が含まれます。

・式場の使用料金

・祭壇費用

一般葬では通夜と葬儀・告別式を行う関係で、会場費用や祭壇費用が大きくかかります。その割合は、葬儀全体にかかる費用の約5割〜6割と言われています。

それぞれの金額は、「式場の金額相場が10万円前後」「一般的なサイズの祭壇で30万〜60万円前」「祭壇の周囲を飾る生花や装具などが20万円前後」が目安です。

ここを削るのですから、かなりの節約になりますよね。 

一方で火葬式の場合はそもそも葬儀自体を行わないため、基本的にこれらのお金がかかりません。

◎会葬返礼品などの飲食接待費用

飲食接待費用は、会葬返礼品や会食などにかかる費用のことです。一般葬では人数分の料理や会葬返礼品を用意する必要があるので、大規模になるほど負担が大きくなります。

会食にかかる一人当たりの平均費用は5千円ほどです。これが人数分かかるとなると、かなりの負担になりますよね。

会葬返礼品は、3千円前後の品が使われることが多いです。

もし50人が参列した場合、会食費用は25万円前後、会葬返礼品には15万円前後かかることになります。

一方で火葬式の場合は、そもそも香典を辞退したり会食をしないのが基本なので、ここも費用負担がありません。

参列者も10人未満の場合が多く、香典を受け取ったとしても数人程度。会葬返礼品の費用も数万円で収まるでしょう。

◎「お布施などの宗教関係者費用」

火葬式であっても僧侶に読経をお願いすることは可能です。その場合の相場は地域にもよりますが、先述の通り10万〜50万円前後と言われています。

この費用に関しては一般葬と火葬式の間に差はあまりありません。菩提寺以外であればさらに抑えることも可能です。

もちろん僧侶を呼ばなくても問題はないので、その場合この費用はかかりません。

お布施についての詳細は『お布施を完全解説!意味・相場・表書き・裏書などを解説!

火葬式のメリット・デメリット

ここまでで火葬式について様々なことをご説明しました。ではここで具体的なメリットやデメリットを改めてまとめておきましょう。

メリット

一番のメリットは「費用を抑えられる」というところにあります。火葬式では祭壇の費用や式場の利用料、僧侶へのお布施などお金のかかる面をかなり節約することが可能です。

香典を辞退することも多いため、そのお返しを用意する必要もありません。経済的な余裕がない方にとっても非常にありがたい葬儀形態です。

また、ご遺族にとっては「精神的な負担が減る」というのもメリットですね。一般葬を行うと、葬儀社との打ち合わせや大勢の参列者対応、僧侶の接待などに時間を割かれます。

大切な方が亡くなってまだ日が浅い中でこれらのことを行うのは、かなりの負担になります。特に参列者の方へのおもてなしは人数が多くなるほど大変です。

さらに会葬返礼品などの準備もかかります。

もちろん火葬式でも葬儀社との打ち合わせ等は行いますが、時間は一般葬よりもグッと減らせるでしょう。

香典を辞退することが多いのでお返しを準備する必要もありませんし、そもそも参列者を呼ばずに開催しても問題ありません。

金銭的にも精神的にも楽になるというのは火葬式の何よりも良いところですね。 

デメリット

まだまだ日本では一般葬が主流です。そのため「人を呼んで故人とのお別れをしっかり行うべき」という考えの方には、火葬式自体を受け入れてもらえないというデメリットがあります。

葬儀で一番大切なのは故人を偲ぶ気持ち。簡素な式であっても、そこに気持ちがきちんとあれば、全く問題ないはずです。

しかし全員がそうではありません。新しい形の葬儀に不満がある方とはトラブルになることもあるでしょう。

それは僧侶であっても同じです。菩提寺であれば、先祖代々読経などでお世話になってきているかと思います。にも関わらず、僧侶を呼ばず火葬だけで式を済ませてしまうと納骨を断られる可能性があるので注意しましょう。

最近では新しいタイプの葬儀形態に理解を示す僧侶も増えてきています。面倒くさがらず、あらかじめ話を通しておくのがオススメです。

また、先ほど費用を抑えられると述べましたが、それでもやはり10万〜30万円ほどはかかります。基本的にはこれらのお金を香典でまかなうことができません。

ご遺族の持ち出しとなりますので、「オプションをつけすぎて結局費用が高くなってしまった」ということがないようにしましょう。

火葬式で可能なこと

基本的には先述の流れの面で書いた通り「納棺→火葬→骨上げ」というのが火葬式で可能なことです。

しかしだからといって「それ以外のことができない」というものではありません。 

人によっては火葬炉の前で簡単に読経をしてもらうこともありますし、簡単な精進落とし料理を振る舞うこともあります。 

葬儀社によっては、火葬式であってもオプションで上記を追加することが可能です。

形式にとらわれすぎず「故人はどういう意思だったのか?ご遺族もどの程度までやりたいのか?」を考慮した上で式の流れを決めるといいでしょう。 

火葬式に関するマナー・注意点

実際に火葬式を行うにあたり注意すべき点はあるのでしょうか?施主側・参列者側、それぞれの場合において見ていきましょう。

施主の場合のマナー・注意点

まずは施主側のマナーや注意点についてです。

◎香典を受け取るかどうかは事前に伝えておく

基本的には火葬式はご遺族やごく近しい親族のみで行われます。それでも最後のお別れのために、こうした関係性の方以外が参列することもあるでしょう。

その場合に香典を持ってくるかどうかを迷わせないためにも、あらかじめ香典を辞退するかどうかを伝えておくことが大切です。

あらかじめ香典を辞退しておけば会葬返礼品の準備が必要ないですし、参列者側もお金を包まずに済みます。

◎周囲の方の理解を得ておく

先ほど少し触れましたが、火葬式は一般葬と比べるとまだ理解を得られていないことが多いです。

人によっては「最後のお別れの機会を奪われた」と考えてしまう方もいるでしょう。

そのため、できれば事前に周囲の方には火葬式を行う旨を伝え、了承を得ておきましょう。

火葬式を行う理由が、経済的な問題や故人の意思であるということをきちんと伝えておけば後々のトラブルを避けることができます。また、菩提寺への連絡も忘れてはいけません。

◎火葬式では葬祭費が支給されない場合もある

国民健康保険の加入者が亡くなって葬儀を行うと、各市区町村から「葬祭費」が支給されます。これは喪主の負担を少しでも軽減するために支給されるお金です。

何かと出費の多い葬儀においてこうしたお金が支給されるのはありがたいですね。

しかし市区町村によっては、火葬式のみの場合は葬祭費が支給されないことがあるので要注意です。

このことについては各市区町村HPに記載してあることもあれば、「記載はされていないが火葬式の場合に葬祭費は支給しない」ということもあるため、念のためHPや電話で確認してみるといいでしょう。

ちなみに、支給可能な市区町村であっても火葬許可証の添付が必要な場合もあるので、しっかりと保管しておいてください。 

◎ご遺体の安置場所は速やかに確保する

法律上、死後24時間以内は火葬することができません。そのため火葬式であってもそれまでの安置場所の確保は必要です。

基本的な安置方法には「葬儀社にお任せする」「自宅でご遺族が付き添う」の2種類があります。

自宅に安置する場合は清潔な布団を用意し、ドライアイスなどを使用して正しく寝かせましょう。

葬儀社にお任せする場合は、連絡をすれば寝台車で迎えにきてくれます。自宅に安置する場合でも、葬儀社へ依頼すると正しい方法で寝かせてくれるので、いずれにせよまずは葬儀社への連絡が大切です。 

参列者の場合のマナー・注意点

続いては参列者側のマナーや注意点についてです。

◎許可された場合のみ火葬に立ち会う

基本的には火葬式は、ご遺族やごく近しい親族が静かに故人とお別れするために行うものです。

そのため、例え故人の友人であってもご遺族の同意がないまま火葬に立ち会うのはマナー違反になります。

最後のお別れは近しい者だけで行いたい場合もありますので、必ずご遺族の同意を取りましょう。

◎香典を辞退されたら素直にそれに従う

火葬式は香典返しなどにかける費用を削るために行うものです。そのため香典を辞退するケースが多くなっています。

その場合は必ずご遺族の意思に従いましょう。どうしてもお渡ししたい気持ちになる方もいると思いますが、逆に負担となってしまうので避けるべきです。

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火葬式についてのまとめ

以上が火葬式に関するご紹介になります。これまでの内容を以下にまとめたので参考にしてください。

火葬式とは、通夜や葬儀・告別式を行わず火葬のみを行うという葬儀形態のこと。別名で「直葬(ちょくそう)」や「荼毘式(たびしき)」ともいわれる。火葬式を行う方の割合は現在約5%。地域によっても異なります。世間一般の流れとして、火葬式をはじめとした「人数を絞った葬儀形態」に移りつつある。 

火葬式の特徴は、何よりもその「シンプルさ」にある。基本的にはご遺体を搬送・安置した後に、そのまま火葬送り出して終了する。 

一般葬との違いは「通夜や葬儀・告別式を行わない」という点。一般葬では「通夜→葬儀・告別式→火葬→初七日法要(火葬当日に行う)→精進落としの会食→解散」というのを2日間かけて行う。しかし火葬式は「納棺→火葬→骨上げ→解散」という非常にシンプルなもの。

一日葬は「一般葬の流れから通夜を抜いた」もの。火葬式も一日葬も参列者が限られているため、飲食費用や会葬返礼品などの費用をかなり抑えることができる。 

無宗教葬儀とはその名の通り、葬儀形式やこれまでの伝統などにとらわれず自由な形式で行う葬儀のこと。「自由葬」ともいわれている。「故人の好きな音楽の生演奏」「生前のビデオや写真を流しながら思い出を語る」など様々な内容で行うことができる。 

・火葬式当日は、まずご遺体を納棺し、ご遺族などがお別れを済ませたら出棺。その後指定の火葬場へ行き火葬を行う。場合によっては、火葬炉の前で僧侶の読経やご焼香を行うことも可能。火葬が終わったら「骨上げ」という儀式を行い終了。 

・火葬式を終えた後に周囲に葬儀終了の報告をする際は、トラブルにならないように気をつける。できることなら火葬式の事後報告は避ける。 

火葬式の相場は、だいたい10万〜30万円くらい。20万円前後で行う方が多い。

・火葬式では僧侶を呼ばずに身内だけで終わらせる方も多いが、希望すれば火葬炉の前で僧侶による読経などは可能。その場合はお布施もお渡しする。このお布施の金額相場は依頼する寺院によって前後する。先祖代々お世話になっている「菩提寺」の僧侶に依頼する場合は10万〜50万円くらいが相場で、菩提寺ではなく火葬式を行うその時に読経をしてもらうだけの寺院であれば10万円ほどで問題ない。 

・火葬式であっても参列者がいる時もあるので、その時は一般葬と変わらず喪主に香典をお渡しする。その香典の相場は、両親の場合は5万〜10万円前後、叔父や叔母の場合は1万〜3万円前後、祖父母の場合は1万〜5万円前後。故人が会社関係の方であれば5千〜1万円前後が一般的。

・火葬式の一番のメリットは「費用を抑えられる」というところ。また、ご遺族にとっては「精神的な負担が減る」というのもメリットである。

・火葬式のデメリットとして「人を呼んで故人とのお別れをしっかり行うべき」という考えの方には、火葬式自体を受け入れてもらえないものがある。また、菩提寺の僧侶を呼ばず火葬だけで式を済ませてしまうと納骨を断られる可能性がある。 

・基本的に火葬式で可能なことは「納棺→火葬→骨上げ」ということ。しかし人によっては、火葬炉の前で簡単に読経をしてもらうことも可能。

このあたりは葬儀社と相談してどこまで希望を叶えてくれるのかを確認しておく。 

・施主側のマナーや注意点としては「香典を受け取るかどうかは事前に伝えておく」「周囲の方の理解を得ておく」「火葬式では葬祭費が支給されない場合もある」「ご遺体の安置場所は速やかに確保する」というものがある。

・参列者側のマナーや注意点としては「許可された場合のみ火葬に立ち会う」「香典を辞退されたら素直にそれに従う」というものがある。火葬式では一般葬で大きな負担となるお布施や祭壇の準備などが削れるので、喪主側にとっては大きな負担軽減につながります。一方で、まだ新しい葬儀形態のため周囲の理解を得るのが難しいという場合もあるでしょう。

火葬式を希望している方は、こうしたメリットやデメリットを見比べつつ、最適な内容で故人を送り出すことを意識することがオススメです。

【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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