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特別縁故者は相続人がいない場合のみ!申立方法から適用条件まで解説

Mar 27 2023

特別縁故者は被相続人と生前親しい関係にあった人が遺産をもらえる制度。被相続人に法定相続人がいない場合のみに適用される。血縁関係、法的関係は重視されない。家庭裁判所に申し立てる必要があり、戸籍謄本や陳述書という証明書類を出す必要がある。

「特別縁故者になるにはどんな条件を満たせばいいの?」

「自分が特別縁故者だと証明する手順を知りたい」

法的な関係はないものの、生前にお世話していたり、特別に親しくしていた方。

内縁の妻や夫などがあてはまることが多いのですが、万が一亡くなられたときに問題になるのが「遺産」です。

いくら法的な関係がないとはいえ、共に暮らし、病気の時は看病したり通院に付き添うこともあったはず。数十年連れ添った仲であれば、遺産の受け取りを主張するのも当然ですね。

そんなときに活用できる制度が、特別縁故者。

特別縁故者とは、被相続人(故人)に法定相続人がいないときに遺産の全額または一部を取得できる人のことで、民法に定められた制度です。

前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

引用元: Wikibooks|民法958条の3

実は、特別縁故者になるには血縁関係、法的な関係に関わらず「実際にどんな関係だったか?」が重視されます。特別縁故者になるために必要な要件は以下3つ。

1.被相続人と生計を同じくしていた人

2.被相続人の療養看護につとめた人

3.被相続人と特別密接な関係にあった人、法人

つまり、『法的関係のない内縁の妻や夫でも、遺産を受け取ることができる』のです。

一方で、特別縁故者になるには、被相続人との関係性を証明する陳述書を書いたり、受け取る遺産額によっては相続税のことを考えたりする必要があります。

本記事では、特別縁故者になるための必要条件から、特別縁故者と認めてもらうための申し立て方法、遺産を受け取るときの注意点などを詳しく解説していきますよ。

特別縁故者となるために必要な手続きをしっかり押さえることで、「ああしておけば良かった…」という後悔を防ぎ、納得のいく相続にしていきましょう。

特別縁故者とは「法定相続人不在時に財産を受け取れる人」

特別縁故者とは、被相続人(故人)に法定相続人がいないことを条件に、被相続人の財産を受け取れる人のことを指します。

前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

引用元: Wikibooks|民法958条の3

法定相続人とは「故人の財産を相続できる人のこと」


法定相続人とは、民法で定められた故人の財産を相続できる人を指し、相続できるかどうか、いくら相続できるのかは基本的に故人との血縁関係によって変わります。

民法第886条から 民法第895条までに、相続人の範囲から優先順位、受け取れる割合まで、民法で定められているのです。

法定相続人になれるのは、下記4つに該当する血縁者のみです。

1.故人の配偶者

2.第1順位(子どもおよび代襲相続人)

3.第2順位(父母や祖父母などの直系尊属)

4.第3順位(兄弟姉妹および代襲相続人)

つまり、法的関係にない人、例えば以下のような人たちは法定相続人になることはできません。

・内縁の妻

参考記事: 内縁の妻に相続権はない!トラブルも損もナシで遺産分与する方法3つ

・離婚した元配偶者

・配偶者の連れ子(養子縁組していない場合)

参考記事: 連れ子に相続させる方法3つ!実子と差をつける・つけないコツを解説

・被相続人の姻族(配偶者の兄弟姉妹、親など)

・相続の順位により法定相続人から外れる人(子が生きている場合の父母や兄弟姉妹など)

・いとこ

・伯父伯母、叔父叔母

特別縁故者は血縁関係や法的な関係がなくてもなれる

特別縁故者になるには血縁関係、法的な関係に関わらず「実際にどんな関係だったか?」が重視されるのがポイント。

そもそも特別縁故者制度とは、少子高齢化に伴い相続人おらず、遺言書もないという方が急増したために作られた制度です。

よって、特別縁故者制度は、内縁の妻や夫など、法的な関係にない人が遺産を受け取るための最後の手段として機能しています。

特別縁故者になるための条件3つ

特別縁故者になるためには、以下3つの条件のいずれかを満たす必要があります。よくある順にご紹介しますね。

要件 具体例
1.被相続人と生計を同じくしていた人 ・被相続人と同居していた

・被相続人に金銭的な援助を受けて生活していた

2.被相続人の療養看護につとめた人 ・被相続人の介護や、病院への送り迎えなどの世話をになっていた
3.被相続人と特別密接な関係にあった人、法人 ・被相続人が「遺産はこの人に」と言っていた友人

・被相続人が建てた学校法

注意したいのは、上記の3条件を満たしても無条件で認められるわけではないということ。特別縁故者になるためには、裁判所に申し立てて認めてもらう必要があるのです。

詳しくは、「特別縁故者の申し立てから流れを5段階でチェック」をご覧ください。

被相続人と生計を同じくしていた人

被相続人(故人)と生計を同じくしていた人は、特別縁故者になれる可能性があります。具体的にいいますと、以下のようなケースが考えられますね。

・内縁の妻、夫として被相続人と同居していた

・事実上の養子、養父として同居していた

義両親の食事作りや介護などをしていた、息子の嫁なども該当する可能性があります。

被相続人の療養看護につとめた人

被相続人の療養や看護につとめた人は、特別縁故者になれる可能性があります。

・寝たきりの被相続人の世話をしていた

・デイサービスなどを用いて介護をしていた

ただし、仕事や給与をもらった上でおこなっていた場合は特別縁故者にはなれません。

被相続人と特別密接な関係にあった人、法人

被相続人と特に仲が良かったり、被相続人が「財産はこの人に渡したい」と言っていた相手などが該当します。

例えば、遺言書は無く一緒に暮らしてもいないけれど、実の親と子のような関係だった、などが考えられますね。

被相続人が立ち上げた法人であったり、寄付などをしていた法人が該当することもあります。

特別縁故者の申し立てから流れを5段階でチェック

特別縁故者になるための申し立て方法について、ポイントを押さえつつ見ていきましょう。

必要書類やかかる費用もまとめましたので、「知らなかった!」「間に合わない…」というトラブルを防ぐことができますよ。

1.家庭裁判所への申立

2.相続財産管理人選任の申立

3.相続人調査、官報公告

4.相続人の不存在が確定

5.3カ月以内に特別縁故者への相続財産分与を申立

家庭裁判所への申立

「自分が特別縁故者である」と判断した場合、まずは家庭裁判所に申し立てをして認めてもらう必要があります。

申し立てを行うには、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や、生前の交流についての陳述書など揃える書類が多くあり、手間がかかるのが事実です。

「書類を揃える時間がない」「何からすればいいのかわからない」という方は、弁護士や司法書士などのプロに依頼するのがおすすめ。詳しくは「相続に関して困ったときの相談先3つ」をご覧ください。

相続財産管理人選任の申立

家庭裁判所でまず申し立てるのは、「相続財産管理人」※の選任です。

※相続財産管理人とは、被相続人の遺産を管理する人のこと。具体的には、借金があるところには返済し、特別縁故者へは裁判所の判断を元に配当などをおこなう。

申立先の裁判所は、被相続人が最後に住んでいた場所を管轄する家庭裁判所です。管轄する裁判所一覧は、下記「 裁判所の管轄区域」をご覧ください。

必要書類とかかる費用

相続財産管理人選任の申立には、以下5点の書類が必要です。

【必要書類】

・被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本類

・被相続人の住民票除票または戸籍附票

・財産関係資料(預貯金通帳、不動産全部事項証明書、証券会社へ預けている有価証券に関する資料など)

・被相続人との利害関係を示す資料(被相続人と同居していたことがわかる住民票、健康保険証、看護記録や親族関係を示す戸籍謄本類、被相続人が書き残したメモなど)

家事審判申立書

※相続財産管理人選任の際の記入例は こちらをご覧ください。

なお、裁判所によっては、正しい判断のために追加で書類を要求したり、直接質問することがありますので、要求された場合は速やかに応じるようにしましょう。

【かかる費用】

・収入印紙800円分

・連絡用の郵便切手

・官報公告料4,230円※

※官報公告とは、日本が発行している新聞のようなもので、インターネットでも誰でも見ることができます。国に関する出来事や法の変更、決算などの公告をおこないます。


画像引用先: インターネット版官報

官報公告料は、申立が受理されたと分かった後に納付します。家庭裁判所からの連絡を待ってから納付することに注意してくださいね。

相続人調査、官報公告

特別縁故者の申立が受理されれば、相続人調査が始まり、官報公告に申立内容が掲載され、被相続人の相続人が名乗り出ないか確認します。

相続人調査をせず受け取って、後から「やっぱり相続人がいました、返金してください」なんて言われても、困ってしまいますよね。

特別縁故者になる条件である「被相続人に相続人がいないこと」を確実にするために、相続人調査は必須といえます。

前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。

引用元: Wikibooks|民法第952条

この相続人捜索の広告を含めて、特別縁故者の手続き上公告は3度おこなわれ、それぞれ数か月単位かかりますので調査には1年近くかかることとなります。

・相続財産管理人選任の公告(2ヶ月)

・相続債権者等に対する公告(2ヶ月以上)

・相続人捜索の公告(6ヶ月以上)

ここで名乗り出る相続人が出てくると、特別縁故者になることはできず、被相続人の遺産は相続人が受け取ることとなりますので注意してください。

債務の支払や受遺者への遺贈

被相続人に債権者がいる、つまり被相続人がお金を借りているなどで返す必要がある場合には、ここで相続財産管理人が債務の支払いをおこないます。

相続人の不存在が確定

相続人捜索の公告から6カ月以上たっても誰も名乗り出ない場合、相続人の不存在が確定します。

3カ月以内に特別縁故者への相続財産分与を申立

相続人の不存在が確定すると、特別縁故者には相続財産分与を申し立てる権利が与えられます。

注意したいのが、申し立てる権利を与えられるだけであって、手続きは自分で進めないといけないということ。自動的にもらえるわけではありません。

相続人の不存在が確定してから3カ月以内に相続財産分与を申し立てない場合、財産を受け取ることはできませんので注意してください。

特別縁故者がいない場合(申し立ての遅延により財産を受け取れなかった場合含む)の財産は、国のお金として国庫に収められます。

必要書類とかかる費用

特別縁故者に対する相続財産分与の申立には、以下3点の書類が必要です。

【必要書類】

家事審判申立書

※特別縁故者に対する相続財産分与の記入例は こちらをご覧ください。


・申立人の住民票または戸籍附票

・被相続人の戸籍(除籍)謄本

なお、裁判所によっては、正しい判断のために追加で書類を要求したり、直接質問することがありますので、要求された場合は速やかに応じるようにしましょう。

【かかる費用】

・収入印紙800円

特別縁故者が遺産を受け取るときの注意点3つ

特別縁故者が遺産を受け取るときに気を付けるべきことは、3つあります。確認すべき順に説明いたしますね。

1.3,000万以上受け取ると相続税がかかる

2.相続税は2割増しでかかる

3.申告期限は財産分与があった日から10カ月以内

3,000万以上受け取ると相続税がかかる

遺産を3,000万以上受け取ると相続税がかかります。これは「遺産を相続する」という意味では誰でも同じで、法定相続人の数で控除額が変動します。

相続税の基礎控除の計算式は以下の通り。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人の数が3人の場合は3,000万円+600万円×3人で4,800万円となりますね。

特別縁故者は被相続人に法定相続人がいないことが前提なので、ベースとなる3,000万円が相続税発生のラインとなります。

自分に相続税がいくらかかり、どのように相続税対策ができるのかを詳しく知りたい方は、「 あなたは相続税がかかる?かからない?発生条件と税額の計算・節税法」をご覧ください。

相続税は2割増しでかかる

特別縁故者として遺産を受け取ると、相続税は2割増しでかかります。

遺産というのは、被相続人に近い親族が生計を立てるために必要な分のお金を賄う役割があります。つまり、身内から遠い人ほど、被相続人の遺産が生計に及ぼす影響は少ないといえますね。

相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

引用元: 国税庁|相続税の2割加算

悪く言えば「お金が転がり込んできた」ような状況の人たちは、生きるために遺産が必要とはいえない状況です。だからこそ、相続税を増やされても払えますよね…と解釈できます。

申告期限は財産分与があった日から10カ月以内

特別縁故者として受け取った遺産にかかる相続税の申告期限は、財産分与があった日から10ヶ月以内とされています。

一般的な相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内ですが、特別縁故者の場合は「財産分与があったことを知った日の翌日から10ヵ月」と変化することに気を付けてください。

どんな事情であれ、遅れてしまうと無申告加算税や延滞税といったペナルティを払うことになります。

「不動産が多く間に合わない」「書類作成する時間がない」そんな事態を避けるためにも、特別縁故者の手続きはプロに任せるのがおすすめです。詳しくは「相続に関して困ったときの相談先3つ」をご覧ください。

特別縁故者に関するよくある質問5つ

特別縁故者に関する質問を、よくある順に5つご紹介いたします。

1.従兄弟は特別縁故者になれるのか?

2.特別縁故者は遺産のうちどれ程の割合を分与されるか?

3.特別縁故者の代理人を立てることは可能か?

4.特別縁故者であることを証明する「陳述書」の具体例

5.特別縁故者となるために用意しておくべきものはあるか?

従兄弟は特別縁故者になれるのか?

従兄弟は特別縁故者になれます。特別縁故者は血縁や法的な関係に関わらないため、生前どんな関係性にあったかによっては従兄弟でも特別縁故者になることが可能だからです。

同様の理由で、「従兄弟である」ということを理由に特別縁故者になることはできません。被相続人と生計を同じくしていたり、看護や療養に努めていたという事実が必要になります。

特別縁故者は遺産のうちどれ程の割合を分与されるか?

特別縁故者として、遺産のうちどれ程の割合を分与されるのかの目安はありません。

ひとつの目安として、被相続人のもつ遺産額に対して、特別縁故者が果たした役割に応じた額を与えるようになっていると言えるでしょう。

例えば以下の判例では、特別縁故者は、被相続人と時おり連絡を取り、自宅の害虫駆除や掃除をおこなっていたこと、葬儀の代行をおこなっていたことなどを理由に、遺産の約7%にあたる300万円を配分しています。

被相続人の相続財産(総額約3億7875万円)のうち,特別縁故者に対して300万円の分与を認めた事例

引用元: 判例タイムズ 1416号 11月号 (2015年10月23日発売)

特別縁故者の代理人を立てることは可能か?

特別縁故者の代理として、裁判所での手続きができるのは弁護士のみ。よって、代理をたてたいのであれば弁護士に依頼するしかありません。

また、特別縁故者の手続きに必要な書類作成のみであれば、行政書士に依頼することも可能です。代理をたてたい人や、書類作成の時間がない人は「相続に関して困ったときの相談先3つ」をご覧ください。

特別縁故者であることを証明する「陳述書」の具体例

特別縁故者であることを証明するために、陳述書を作成する必要があります。裁判官は、陳述書の内容を見て、申立人が特別縁故者にふさわしいかどうかを判断するのです。

陳述書の具体例ですが、裁判所が例として上げているものをご紹介しましょう。

申立人は,平成○年○月○日から被相続人の内縁の妻として同棲してきました。ここ5年間は,被相続人が病床についたため,同人の療養看護に努めてきました。


引用元: 裁判所|記入例(特別縁故者に対する相続財産分与)

実際には、被相続人との関係を裏付けるために、親戚から聞き取りを行ったり、葬儀の代行や看病にはかかった費用の領収書や交通費、会った証拠などを集める必要があります。

一般人が一人で始めるには荷が重い作業な上、特別縁故者の申請には「相続人不在が分かってから10カ月以内」という期限があります。

「特別縁故者かも」と思ったら無理をせず弁護士や行政書士に頼むのがおすすめ。詳しくは「相続に関して困ったときの相談先3つ」をご覧ください。

特別縁故者となるために用意しておくべきものはあるか?

特別縁故者となるために用意すべきものは、被相続人と生前かかわりがあったことを示す証拠です。日付が入っている、第三者から証明されているものが望ましいでしょう。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・被相続人の看護にかかった費用の領収書

・被相続人に面会したときの旅費交通費の明細

・被相続人と会っていたことがわかる日付入りの写真

特別縁故者になるよりも、被相続人に遺言書を書いてもらう方が確実な遺産の分与が期待できます。相続でもめたくないという方は、「 遺言状を完全解説!種類・書き方・扱い・効力を紹介!」をご覧くださいね。

相続に関して困ったときの相談先3つ

「ひとりで相続手続きを進めるのは無理!」

こんな方は、相続に関する手続きをプロに相談・解決してもらうことをおすすめします。「緊急度の高い順」にご紹介しています。相談を上手に活用して、検認作業をスムーズに進めていきましょう。

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裁判所に出廷する代理になれるのは、弁護士だけです。書類作成だけでなく、裁判所への出廷も依頼したい場合は弁護士を検討してくださいね。

弁護士へ相続に関する相談をする場合は、以下の手順で依頼しましょう。

1.法律相談事務所へ遺産争いの内容を相談する

2.費用について弁護士から説明を受ける

3.着手金の支払い後、弁護活動を開始してもらう

必要に応じて、弁護士と都度打ち合わせが入る場合もあります。

また、弁護士へ遺産争いに関する相談をする場合は、以下の費用がかかることを覚えておきましょう。

費用の種類 概要 費用相場
相談料 遺産争いの相談にかかる費用 無料、もしくは約5,000円?(30分)
着手金 弁護士が遺産分割や調停に着手した場合の費用 20?30万円
報酬金 遺産争いが解決した場合に発生する費用 経済的利益や着手金相場によって変動
実費 印紙代や切手代、交通費など 1?10万円
日当 出張費用 約5万円

参考: 「相続会議」朝日新聞社

行政書士(相場:15万円~)

行政書士へ相続に関する相談をすると、弁護士に依頼するよりも比較的安く済ませることが可能です。

注意しておきたいのは、行政書士ができるサービスの範囲です。行政書士は書類作成まではできますが、裁判所に出廷する代理になることはできません。代理になれるのは弁護士のみです。

金額は15万円程度としましたが、おこなう手続きの複雑さや処理する案件の数、相続人の数によって変動します。

行政書士の中には、サービスごとに料金表を設けているところや、パック料金で一律の料金を定めているところがありますので、依頼する内容の複雑さにより使い分けましょう。

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大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。

まとめ

今回は、特別縁故者について、制度の概要から特別縁故者になるための条件、必要な手続きなどを解説してきました。

特別縁故者とは、被相続人に法定相続人がいないことを条件に、被相続人の財産を受け取れる人のことで、相続人がいる限りはなれません。

特別縁故者になるには血縁関係、法的な関係に関わらず「実際にどんな関係だったか?」が重視されるため、法的関係のない内縁の妻や夫でも、遺産を受け取ることができるというのが大きなポイントでした。

特別縁故者になるには、以下3つのポイントが大事。

1.被相続人と生計を同じくしていた人

2.被相続人の療養看護につとめた人

3.被相続人と特別密接な関係にあった人、法人

特別縁故者となるためには家庭裁判所への申し立てが必要であり、主な手順は以下の通りです。

1.家庭裁判所への申立

2.相続財産管理人選任の申立

3.相続人調査、官報公告

4.相続人の不存在が確定

5.3カ月以内に特別縁故者への相続財産分与を申立

被相続人の法定相続人ではないため、相続税は2割り増しでかかること、申告期限は財産分与を起点として10ヶ月以内という決まりがあることも押さえておきましょう。

自分が特別縁故者だけど、手続きをする時間がない、何をどうすればいいのかわからないという方は、一度プロに相談するのがおすすめです。

弁護士や行政書士のほか、法テラスといった無料で相談できる施設もありますよ。

この記事があなたにとって後悔のない相続に役立つよう祈っております。

【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

プロフィール

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