30代で遺書を書くことはたくさんのメリットがあります。 法的に効力がなく、ルールがない自由な遺書をまとめる方法は3種類。自分に合った方法を選ぶことからより書きやすくなります。今回は書き方から遺言書、エンディングノートとの違いまでご紹介します。
「万が一のとき、遺された家族のために遺書の書き方について知っておきたい」
仕事や家族で転機が訪れたとき、病気や事件、事故などのニュースを目にしたときにふと考えることはありませんか。
遺書は30代のうちに書くとたくさんのメリットがあります。
慶應義塾大学大学院で現在「遺書」の研究を行うロンドンブーツ1号2号の田村淳さん。
50名が「遺書」を書く様子を見る研究をおこなったところ、ネガティブになる方は1割なのに対し、9割の方は「自分の死後」を意識することで「まだ生きたい!」とポジティブになり、生きるモチベーションが上がったそうです。
とはいえ、いざ遺書を書こうと思っても、
「そもそも遺書の具体的な書き方は?」
「遺言書と何が違うの?何かルールがあるんでしょ?」
など、わからないことも多くあると思います。
実は、法律に基づいた書類で書く必要がある「遺言書」に対し、「遺書」には一切決まりがありません。だからこそ、様々な形で遺せる「遺書」があるのです。
下記は本記事を元に作成した遺書の参考例です。
本記事でご紹介するポイントを抑えるだけで、遺書を誰でも簡単かつスムーズに作成することができます。
本記事では、30代だからこそ書いておくべき項目やメリット、さらに「遺書」「遺言書」「エンディングノート」との違いについてまで、詳しくご紹介していきます。
30代で「遺書」を書き始めることは安心材料としてはもちろん、自分自身を改めて深く知るきっかけにもなるでしょう。
「遺書」について知り、書き始めるきっかけとするためにも是非ご覧ください。
INDEX
30代の「遺書」のスムーズな書き方
「遺書」と聞くと、「書き方にルールがあるのでは?」と思う方も多いかと思いますが、「遺書」にはルールが一切ありません。
大切な人に遺す手紙のような存在ですので、誰にどう遺すかは自由に決めることができるのです。
では、30代で「遺書」をスムーズに書くために、最も重要な5つのポイントをご紹介します。このポイントさえ抑えておけば「遺書を書いたことないから不安」という方も、プロに頼むのと同じくらいの遺書が書けるようになります。
是非お試しください!
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- 1.書く相手を決める
- 2.何でまとめるかを決める
- 3.伝えておくべき「事実」をまとめる
- 4.伝えておきたい「想い」をまとめる
- 5.大切に保管する
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1.書く相手を決める
まずは誰に書くかを決めます。もちろん誰に書かなければいけないというルールもありません。
そのため、大切な家族、子供、30代であればまだ両親が現役の方も多いと思いますので両親、親友やお世話になった人、他にも「遺したい」と思う人はリストに書き留めていきましょう。
2.何でまとめるかを決める
誰に書くかがリスト化できたら、次にどういった形でまとめるかを決めていきます。
具体的には、
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- 1.手紙など直筆で書く
- 2.アプリやデジタルでまとめる
- 3.動画を撮る
という方法があります。
こちらは具体的に「「遺書」をまとめる3つの方法と特徴」でまとめていきますので、自分に合ったまとめやすい方法を選んでいきましょう。
3.伝えておくべき「事実」をまとめる
誰に何で書くかを決めたら、次は伝えておくべき「事実」をまとめます。
まとめる際には「遺書」だけまとめるよりも、「エンディングノート」も併用して活用していくとまとめやすくなり、オススメです。使い分けについても「「遺言書」「エンディングノート」との違い」でご紹介しますのでご覧ください。
もしもこの「エンディングノート」や「遺言書」を遺している場合は、「遺していること」を書き、必要に応じて保管場所やパスワードなども伝えましょう。
他にも、自分がいなくなったら相手が困るであろうこと、伝えておくと相手が困らないことなど、お仕事で例えると「引き継ぎ」のようなイメージでまとめます。
4.伝えておきたい「想い」をまとめる
相手に対する「想い」をまとめます。
30代の場合、両親へなかなか日頃伝えられない感謝の気持ちや、いつも一緒にいる仕事仲間への想い、または学生時代からの友人に対しての気持ちなどをまとめるのもいいですね。
うまく文章にならない場合は、相手からしてもらって嬉しかったこと、言ってもらった嬉しい言葉、記憶に残っている思い出、普段なかなか言えなかった気持ちなど、キーワードを出していくことから始めていくと書きやすくなります。
形式や「遺書」であることを考えすぎず、かしこまりすぎず、シンプルに相手への気持ちを「遺す」ということを意識しましょう。
5.大切に保管する
いよいよまとまったら、大切に保管します。
保管していることを相手に知らせておく形や、知らせなくても何かあったときに目につくところに置いておく形、誰へのものをどこに保管しているか大切な人にだけ伝えて託す形など、保管方法は様々です。
せっかく書いたものがきちんと相手に見つけてもらえるように、保管場所も考えていきましょう。
「遺書」をまとめる3つの方法と特徴
「遺書」をまとめるには下記3つの方法があります。
紹介するのはオススメ順です。
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- 1.直筆で書く
- 2.アプリやデジタルでまとめる
- 3.動画を撮る
特に、デジタルでまとめたものは、まとめやすい一面がある一方、高齢の方へのものであれば、相手は操作方法がわからず見れない可能性がありますので、プリントして保管することも考えておきます。
どの方法の場合にも必ず書いたほうが良いのは「遺書」をまとめた日付です。いつ書いたものなのか伝えるために必ず書いておきましょう。
1.直筆で書く
手紙のような形で相手に直筆でメッセージを書く方法です。
万が一のことがあったとき、遺された人にとって直筆の字が遺されていることだけで大切になる上、手書きの温度感は気持ちがより伝わりやすくなります。
思い出の写真をプリントアウトし、コラージュすることでより懐かしく思い出すことができ、楽しかった気持ちも閉じ込めることもできますし、お気に入りの便箋と封筒を使ったり、一冊の絵本や卒業アルバム等のようにまとめるのもいいですね。
2.アプリやデジタルでまとめる
最近では「遺書」をまとめやすいアプリが出ています。メモなどのテキストアプリやサイトを使用すると、かしこまりすぎずに書き進めることができるのも大きな特徴です。
また、パソコンやiPadを使って思い出の写真と一緒にまとめることもできるだけではなく、何度でも思いついたときに気軽に書き直すことができるのも魅力です。
ただし、これらでまとめる際にはプリントアウトして署名と日付を書いたり、手書きの文字をデータに遺しておくなど、「本人が書いた」という証明をすることを忘れないでおきましょう。
オススメのアプリは「遺書作成のサービス Will-遺書-」でご紹介しますのでご覧ください。
3.動画を撮る
本人が話している映像は思い出として最も大切なものであり、話している内容も素直に、そして伝わりやすい方法です。
メッセージだけではなく、自分が何気なく過ごしている日常を遺したり、大切にしている景色や人、瞬間を遺すことでより想いが伝わりやすいものとなります。
最近では映像をスマートフォンで編集することも以前に比べてより使いやすくなっているので、これを機に動画を撮り、編集してみるのもいいですね。
「遺書」を30代で書いたほうがいい6つの理由
「遺書」を30代で書くことには6つのメリットがあります。
万が一のときに準備することは相手に伝えるための思いやりの一つでもあり、決してネガティブなことではないのです。
1.万が一のときに想いを伝える手段になる
自分がいつ、どんな最期を迎えるかは誰にもわかりません。
最期を迎えるとき、普段自分が思っている気持ちをきちんと伝える機会が必ずしもあるとは限らないのです。病気や事故などで話すことができなくなることもあります。
また、ただでさえ相手を想う気持ちはなかなか照れくさくて伝えられないので、自分がいなくなった後、「遺書」があると、それは相手にとって大切な宝物になり、支えになる瞬間もあるでしょう。
2.遺言書やエンディングノートの存在を伝えることができる
終活として「遺言書」や「エンディングノート」などを準備できていたとしても、その存在を相手に知らせることができなければ意味がありません。
「遺書」の中でこれらを準備していることを伝え、しっかりと託しましょう。
3.周囲への不満や感謝を整理できる
相手への想いをまとめようとすると、日頃抱えている不満だけではなく、感謝の気持ちを見つけ、自分の頭の中をスッキリと整理でき、相手に対しての優しい気持ちが蘇ります。
毎日の中で忙しく過ごしていると見失いがちな感謝の気持ちだからこそ、こういったきっかけは大切にし、定期的に忘れずにいたいですよね。
4.自分の今の環境、状況を客観視できる
自分の死を意識し、考えることで、今の自分の環境、そして周りの家族を含めた状況を整理して客観的に見ることができます。
どんな人生を歩んだか、そして今がどんな人生なのか、まだまだ見届けたいこと、頑張りたいこと、そして心残りなどの後悔を見つけたり、今の自分の気持ちを素直に吐き出すことで一人で抱えてた気持ちがスッキリします。
そしてそれだけではなく、感謝や挑戦したいことを見つけることができるのです。
5.大切な人の「これから」を考えることができる
自分がいなくなったあと、大切な人にどう生きてほしいか、どんな人生を送ってほしいかを考えることは、自分がその相手をどう思っているかを改めて知ることでもあります。
「幸せでいてほしい」「長生きしてほしい」と思える相手がいることは、本当に幸せなことですね。そして「できればもっと一緒にいたい」と思うことができれば、それはまた新しい目標にもなるのです。
6.自分の「これから」を考えることができる
「もしも今ここで自分が死んでしまったら」を考えることで、心残りを見つけることができます。諦めようとしていたことも、「もう一度できることから頑張ろう」と思えるかもしれません。
「ここからどう生きるか」の価値観が大きく変わる人もいるようで、これが冒頭に書いた「生きるモチベーションが上がるきっかけ」でもあるのです。
「遺言書」「エンディングノート」との違い
混同しやすい「遺書」「遺言書」「エンディングノート」の違いをご紹介します。
遺言・遺言書
よく似ていますが「遺書」と「遺言」は全く違うものです。
「遺書」は大切な人への手紙のような自由なものなのに対し、「遺言」は自分が死後に向けて遺した言葉や文章を指しますが、主に誰にどの財産をどう残すかについてなどを決めるものです。
そしてそれらを法律的に有効となるように書いたものが「遺言書」です。
「遺言書」に書くべき内容は下記の通りです。
・相続する権利の排除や剥奪したい相手を指定
・隠し子の認知
・自分の遺産を分配する役目である遺言執行者の指定
・保険金の受取人の変更
「遺言書」であっても、法律に基づいた書式になっていなければ効力がないので、財産を相続する相手が書かれていても有効となりません。また反対に「遺書」であっても「遺言書」としての制約が守られていれば「遺言書」として有効となるのです。
「遺言書」の書き方に関しては「遺言状を完全解説!種類・書き方・扱い・効力を紹介!」もご覧ください。
エンディングノート
「エンディングノート」は自分史であり、そして葬儀やお墓に対する希望などをわかりやすくまとめておくものです。ただしこちらは法的効力が一切ないので効力はなく、あくまでも「要望」という形になります。
エンディングノートには下記項目を書いておきましょう。
・資産|現在の資産・老後に向けたマネープラン
・親|かかりつけ医・両親の介護や葬儀などへの希望
・親族・親戚|家系図・連絡先
・医療・介護|かかりつけ医・既往歴・医療や介護などへの希望
・葬儀・お墓|葬儀の希望・先祖含めたお墓の管理状況と希望
・データ整理・準備|パスワードや写真動画の整理・遺影の写真準備
「遺言書」に比べると、死後困らないように知っておくと助かることをまとめたものが「エンディングノート」です。
エンディングノートの書き方に関しては「【日本男性の平均寿命は81歳】家族と自分の為にやるべき7点の整理」の記事でも詳しくご紹介しています。
「遺書」作成のサービス
「遺書」を作成するには現在いくつかのサービスがあります。上手に使い分けていきましょう。
「ITAKOTO」
前述のロンドンブーツ1号2号の田村淳さん発案の日本初となる遺書動画共有サービスとなり、「この世から、心のこりをなくしたい。」というテーマのもと、よりカジュアルに「死」を考えて、明日を生きる力に変えていこうというものです。
アプリ内のガイドに沿っていけば、大切な人に向けての動画撮影を進めることができ、遺書URLを使用し、いつでも相手に遺書動画を届けることができます。
「Will-遺書-」
「遺書」をテーマに大切な人ごとにメッセージを書くことができるアプリです。
移動時間や休憩時間など、ふとしたときに気軽に書くことができるだけでなく、思いついたときに定期的に読み返して書き直すこともできます。
また、画面ロックやメッセージロック機能もあるので安心できる上、メッセージを画像化して保存したり、シェアできる機能もあるので、書いたものを送ることも可能です。
少しずつ「生前整理」を進めよう!
自分の死後、家族が困らないようにまとめることは、「自分がどう生きたか」を見つめ直すことでもあり、家族のために遺せる大きな愛情の一つでもあります。
「遺書」「遺言書」「エンディングノート」を使い分け、できるところから少しずつ取り掛かっていきましょう。
生前整理は「終活」に向けた準備でもあり誰にでもあり得る「いざ」というときでも、後悔せず自身の財産や想いを残す事ができます。本人はもちろん、残された家族の為にも常に意識しておくべきでしょう。
生前整理のコツや具体的なタイミングや方法については「生前整理とは?意外と大事な生前整理の方法やコツ、行うべきタイミングを完全解説!」をご参考下さい。
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まとめ
「遺書」は法的な効力はなく、自由に書ける大切な人への手紙のようなものです。30代という元気なうちに「遺書」で自分の気持ちを伝えることを考えていきましょう。
<スムーズな書き方>
1. 書く相手を決める
2. 何でまとめるかを決める
3. 伝えておくべき「事実」をまとめる
4. 伝えておきたい「想い」をまとめる
5. 大切に保管する
<まとめる3つの方法>
1. 直筆で書く|手書きの温度感も伝えられる
2. アプリやデジタルでまとめる|書き直ししやすい
3. 動画を撮る|受け取った人により想いを伝えやすい
<「遺書」を30代で書いたほうがいい6つの理由>
1. 万が一のときに想いを伝える手段になる
2. 遺言書やエンディングノートの存在を伝えることができる
3. 周囲への不満や感謝を整理できる
4. 自分の今の環境、状況を客観視できる
5. 大切な人の「これから」を考えることができる
6. 自分の「これから」を考えることができる
<「遺言書」「エンディングノート」との違い>
・遺言・遺言書|誰にどの財産をどう遺すかを法的に有効となるような書式でまとめたもの
・エンディングノート|自分史のように自分のことや希望をまとめたもの
「遺書」を書こうとするとどこから書いていいか、そして何を書いたらいいかわからなくなってしまいます。
さらに、年を重ねると日頃の不満なども重なり、見えなくなってしまう気持ちもたくさん増えてきますよね。
自分が万が一のときに家族が困らないようにと書き進めることで、今の自分や自分の周りの環境を整理することができ、思っていることを吐き出すことでスッキリして、これからの目標を見つけるきっかけにもなるでしょう。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
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