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相続診断士とは?資格取得の方法と費用・年収・将来性を徹底解説!

Apr 14 2020

どの家庭も避けては通れない遺産相続。円満に遺産を相続できればよいのですが、遺産の分割で思わぬトラブルに発展し、親族同士で争いになることもあります。「相続診断士」はそんな相続を円満に解決するために、助言や相続の準備を行う職業です。

この記事では遺産問題を相談したい方、または診断相続士になりたい方に対して、どのような仕事なのか解説します。

相続診断士とは?

相続診断士とは、基本的な相続の知識をもち相続診断ができる資格をもった人のことをいいます。相続に関して問題が起こったり心配事があったりするお客様に対して相続診断を行います。また、状況によっては、お客様に弁護士や税理士などの専門家を紹介することもあります。

相続診断士には相続の基本的な知識をもつ相続診断士と、より専門的な相続の知識をもつ上級相続診断士があります。相続診断士の試験合格者は2019年10月1日の時点で39,000人

相続は大金もちだけの問題と思っている人もいるでしょう。じつは、相続問題の74%が相続税を課されない5,000万円以下の相続で起こってます。また、家庭裁判所に相談される相続関連の件数は約18万件。10年前と比べるとなんと2倍の件数に。

ひと口に相続といっても、家庭ごとにその内容は異なります。相続診断士はそれぞれの家庭と向き合い問題を早めに摘み取ることで、相続をより円滑に進めることを目的としています。

相続診断士の主な仕事

相続診断士の主な仕事は、相続で問題の発生したお客様に相続診断を行うことです。相続診断とは、相続の問題点を洗い出して指摘したり、必要な情報を提供したりすることをいいます。

ただし相続診断士は、紛議が生じていたり、生じる恐れがあったりする相続の案件は扱えません。その際は弁護士や司法書士、行政書士や税理士などの専門家を紹介し、問題の解決にあたります。専門家とのつながりも相続診断士の大事な要素のひとつです。

相続診断士は協会が作成したオリジナルのツールを使用して、お客様の相続に隠された問題点を浮き彫りに。円満な解決へと導きます。

相続診断士の仕事のステップ

ステップ1

まずはチェックシートを使い、10分ほど聞き取りを行います。相続診断協会のノウハウがつまったオリジナルのツールでお客様の潜在的な相続ニーズを引き出します。

ステップ2

続いて現在の財産について細かく確認し、現状を認識します。

ステップ3

これまでに確認した内容を基に、エンディングノートを作成します。

ステップ4

相続診断書を作成します。

ステップ5

遺言書を作成します。

ステップ4と5は相続診断協会が提携している税理士事務所や法律事務所に依頼して作成します。

相続診断士はお客様と法律や税の専門家の間に立ち、相続の道先案内人としてコーディネートを行います。お客様がかかえる問題点を明確にしたり必要な情報を提供したりして、エンディングノートや遺言作成の準備を促進。問題がはっきりしたところで、解決のために専門家へつなぎます。

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相続診断士の歴史

高齢化社会が進む中で注目される相続診断士ですが、その歴史は意外と浅いもの。相続診断士を育成する相続診断士協会は、2011年12月1日に設立されました。その目的は、相続の手続きを円滑にするために相続診断を行うことです。

また、相続診断士を育成するための活動も広く行っています。研究会やセミナーを実施して法律や税務に関する知識を深め、会報を発行しています。

また、各都道府県にはそれぞれ相続診断士会があります。この集まりは自主運営で、協会からは独立しているのが特徴。定期的に開催される勉強会には、相続診断士だけでなく、その地域に住んでいたり働いていたりする人ならば誰でも参加が可能です。

「教えることは学ぶこと」の志を胸に、利益を考えないボランティア精神で仲間同士研鑽する姿勢がある人々が組織を強固にし、相続診断士のつながりを守っています。

相続診断士関連の著書・映画

相続診断士がテーマの映画は2020年4月現在ありませんが、相続診断士が書いた本が出版されています。また、遺産相続をテーマにした著書や映画は数多く作られています。

著書『争族図鑑 相続で崩壊する39パターン』

カリスマ相続診断士を名乗る著者が、相続で問題になりやすい家族を39のパターンで紹介している本です。相続で崩壊する家族関係を「争族」と呼び、それぞれのエピソードと問題解決のためのポイントを文章の中で提示しています。

親子、夫婦、兄弟姉妹、親族とごく普通の家庭が相続をきっかけに争っていくショッキングな内容ですが、現実に起こっていることをモデルにしています。自分と似た家庭環境の事例を探して一読しておくと参考になるかもしれません。

 著書『カリスマ診断士が日本一やさしく教える 終活・相続の便利帳

全国相続診断士会・東京相続診断士会会長:一橋香織先生の著書。相続の基礎知識と節税対策、終活に関するノートが一つになった本。解説がわかりやすく、なかなか書くことが難しいとされる「エンディングノート」をどなたでも取り組める内容となっております。図も多く掲載されているため、文章が苦手な方でもしっかりと読み込むことができます。

 著書『女系家族』

『白い巨塔』や『大地の子』など多くのベストセラーを著作にもつ山崎豊子さんの『女系家族』。大阪の老舗を舞台に遺産の相続を通して人間のエゴや欲望を書き出した長編小説です。テレビドラマ化も何度も行われています。

『女系家族』には相続診断士が登場することはありませんが、時が経っても変わらない遺産相続に関わる人の感情が心に残る作品です。相続に関する難しい法律も作者が徹底的にリサーチして作品に生かされているので相続診断士として参考になる部分もあるでしょう。

相続診断士の資格を持っている有名人

2020年4月現在では相続診断士を取得したと公表している有名人はいませんでした。

相続診断士協会では、相続についての知識を深めるために全国でセミナーやイベントを行っています。その中でも人気なのが2014年5月に作られた「相続落語」。相続について意識していない方々に相続を啓蒙するためにわかりやすく相続について語ります。

このイベントは『笑顔相続落語試演会』と銘打ち、全国各会場で行われています。事前予約制ですが参加費は無料です。イベントの内容は、プロの落語家が相続落語を語る第1部、税理士と落語家が相続を解説する第2部、相続診断協会を案内する第3部と続きます。90分程でわかりやすく相続について学べますよ。

相続診断士の一般的な生活

試験に合格し、相続診断士になった人は普段どのような生活を送っているのでしょうか?相続診断士の資格を取得した人の多くは保険や不動産業界の人です。サラリーマンとして9時から17時以降まで勤務し、一般的な会社員として勤務している人もいれば、自ら事務所を構えて休みなく働いている人もいます。

業務中以外にも夜や休日に相続の相談があれば対応することもあるので、休める日も週に2日だったり、月に4日だったりと、人によって異なるでしょう。

常に動いている相続の現場に対応できるよう、オフの時間もセミナーに参加したり、Web講座を受けたりと研鑽している方も多いです。

相続診断士になる方法と費用

相続診断士の資格を取るには、相続診断協会が主催する資格試験に合格する必要があります。試験を受けるために学歴や年齢、国籍の条件はなく、誰でも挑戦することができます。試験は個人受験と団体受験があり、団体受験は10人以上の参加者が必要です。

相続診断士試験はどんなもの?

相続診断士の試験はCBTという方式を採用しています。CBTとはComputer Based Testingの略でコンピュータを使って全国にある会場で随時受験することができる試験です。これは全国約260ヶ所以上の会場から好きな場所、好きな時間を選べるので、勉強のスケジュールが立てやすいのが特徴です。

受験のための勉強は主に相続診断士協会が発行しているテキストを使用して独学するのが一般的です。受験勉強時間の目安はまったくの初学者なら3~6ヶ月、相続に関することに日頃から従事している方なら1~2ヶ月ほどです。

相続診断士の試験は○×方式や三択問題、穴埋めの形式で出題されます。制限時間は60分で全60問。100点中70点以上を取れば合格です。

相続診断士の試験で出題される内容は、協会発行のテキストで学べます。テキストの主な内容は、

・相続診断士とは
・相続法や遺言について
・成年後見制度
・相続税や贈与税
・相続する財産の評価
・事業の継承と取引相場のない株式
・相続対策
・コンプライアンスについて
・相続発生時の具体的な実務について

上級相続診断士の試験はマークシートを使った60問の選択問題か、CBT方式を利用した選択問題で行います。制限時間は90分で100点満点中70点以上を取れば合格です。

上級相続診断士の試験で出題される内容は、協会発行の知識編と実務編のテキストで学べます。知識編の主な内容は、

・相続診断士について
・相続や相続税の基礎知識
・相続税の納付税額の算出法
・贈与税について
・相続時精算課税制度について
・相続の対策
・財産の評価や土地対策
・継対策の基本的な知識と自社株を評価するポイント

などがあり、実務編の内容は全て以下のような項目の事例が記載されています。

・遺産分割
・納税資金
・相続財産の評価引き下げについて
・コンプライアンス

相続診断士の資格を取るのに必要な費用

相続診断士の資格試験を受験するには個人受験で38,500円、団体受験で33,000円かかります。試験代金には受験料や認定料の他にテキストや講義の動画を見るための受講IDがついています。

上級相続診断士の資格試験を受験するのに必要な費用は88,000円。合格すると登録代が11,000円、月費が1,018円必要です。試験代金には2種類のテキストや講義の動画の料金も含まれています。試験に一度合格すると、更新の必要はありません。

相続診断士も上級相続診断士も、再受験を行うには16,500円が必要です。再受験の代金にはテキストやweb講座は含まれていません。

個人受験の受験代は、クレジットカードやコンビニ支払い、Pay-easy(ペイジー)での決済と、3種類の支払い方法から選べます。団体受験では一括での銀行振込と個別での代金引換の2種類の支払い方法が選択可能です。

自分に合った支払い方法を選びたいところです。特に団体で受験する場合は、支払い方法について参加者で事前に相談をしておきましょう。決済が完了するとキャンセルはできないので要注意です。

相続診断士の試験はテキストがついているとはいえ受験するのに3万円以上が必要になります。もし勤めている会社に資格受験の補助制度があれば適用するかどうか確認して利用しましょう。

試験合格後について

相続診断士の試験に合格すると、試験を受けた2ヶ月後には認定証カードを含む一式が届きます。内容は、認定証カード、認定証、認定機関のお知らせ、笑顔相続ノートと笑顔相続ノート練習帳各1冊、相続診断士のための便利グッズカタログです。

試験合格後は認定日から3ヶ月の間協会主催のセミナーが無料で受講できます。まずは「相続診断士としての第一歩セミナー」などを受講して活動を始めましょう。セミナーは全国で定期的に行われていますが、動画でも同じ内容のものをみて学ぶことができます。

試験に合格した直後から名刺やプロフィールに相続診断士と記載できるので、タイミングをみて追記しておきましょう。資格の有効期限は2年で2年ごとに更新料が必要となるので執行しないように気をつけてください。

相続診断士の給与・年収

相続診断士の給与や年収は、相続診断士として独立しているケースが少ないため具体的な金額のデータは公表されていませんでした。相続診断士の資格取得者の多い業態の平均年収を参考にしてみます。

上場企業の有価証券報告書などを参考に業界の情報を反映している「業界動向サーチ」によると、保険業界の平均年収は817万円、不動産業界の平均年収は674万円です。こちらのデータは1部上場の大企業を中心にしており、企業に勤めているか独立して活動しているかによって収入の金額は異なります。

年収の具体的な金額を確認したい時には、相続診断士の集まりに参加したり口コミを参考にしたりするとよいでしょう。

相続診断士の将来性

高齢化社会が到来している日本では、相続の問題が起きる可能性が非常に高くなってきているといえます。親族同士では解決できない遺産の相続を、関係者が納得できるように円満に解決する相続診断士のニーズは、今後高まってくるでしょう。

平成27年1月1日に相続税法が改正され、これまで4%だった相続税対象者が8〜9%に増えました。今後の改正でさらに対象者が増える可能性もあり、不安は高まるばかりです。

相続診断士は気軽に相続のことが相談できるお客様の身近な存在として存在することで、多くの問題は解決できると相続診断士協会は考えています。

相続診断士として、相続にまつわる基本的な知識をつけることはもちろん税理士や弁護士、葬儀社などとのつき合いを普段から大切にすることで、相続の問題に対してより多くの選択肢をもつことができます。

相続診断士協会のサポート

相続診断士協会は、資格合格者に対して、相続診断士としての活動を行えるように多くのサポートを用意しています。これらのサポートを利用して相続に関する活動の幅を増やしていきましょう。

主なサポートの内容としては、

・相続診断士協会主催セミナー
・相続診断士協会メールマガジン(月刊 笑顔相続最前線)
・相続診断士マイページの活用
・プロフィールや名刺に相続診断士のマークがつけられる
・大事な方やお客様に資格取得の通知ハガキを送る

セミナーやメールマガジンで相続に関連する法改正や新しい制度を学ぶことができるので、基礎力の向上に繋がります。また、相続診断士マイページや相続診断士マークは新たなつながりを作るのに役立ちます。

別の業種と組み合わせても力を発揮する

相続診断士の資格を取得した約52%の方が金融・保険業関連の業種で仕事をしています。生命保険と相続は切り離せない関係があります。保険の知識と相続診断士の知識を組み合わせる事でお客様に提案する内容に幅が出ます。

家族のために加入する保険について、生前贈与や相続の対策などという視点でより親身になって提案することでよりお客様の信頼を得ることができるでしょう。

相続診断士の資格を取得した業種で次に多いのが不動産業界。相続は現金や貴金属の動産だけでなく、土地や建物などの不動産でも起こりえます。相続診断士として最新の税制の改正などを学ぶことで、お客様によりよい土地の運用や相続に関しての提案ができるようになるでしょう。

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相続診断士についてのまとめ

相続は、誰にでも起こりうる身近な問題です。遺産分割がどのようなことかは、なんとなくわかっている人は多いと思います。しかし、いざ自分がその立場に立たされると非常に難しく感じてしまい、誰に相談していいかわからないということになってしまうこともあるでしょう。

そんな時に頼れるのが相続診断士。相続に関する状況を聞き出して、相続診断を行い見えていなかった問題を明確にします。また、その後問題解決に合わせた専門家につなげるのも相続診断士の大切な役割です。

また、相続を他人任せにしないためにも相続診断士は相続に関する基礎知識を学ぶことができるいいきっかけになります。相続診断士について学び、エンディングノートや遺言書など具体的な相続の行動を起こしてみましょう。

高齢化社会が進む日本において、相続に関する問題はこれからも発生し続けるでしょう。心穏やかに相続を行うためにお手伝いをするのが相続診断士のお仕事です。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

プロフィール

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