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公正証書遺言の費用はこれで完璧!計算方法と費用を抑える3つのコツ

Mar 01 2023

公正証書遺言の作成費用は、公証人に支払う手数料が大部分を占めます。具体例を交えながら、手数料の計算方法を分かりやすく紹介します。また、費用を抑える3つのポイントや他遺言形式との費用比較など、公正証書遺言の作成費用の全てを徹底解説!

「公正証書遺言に興味があるけれど、費用がわからなくて不安・・・」

「費用に個人差があるのはわかったが、おおよその金額だけでも知りたい」

公正証書遺言の費用についてこのようなお悩みを抱えている方は多いでしょう。

公正証書遺言の作成には、必要書類の発行手数料の他に「公証人手数料」というものが発生します。この手数料金額は、「財産や相続の内容」によって変動する仕組みとなっており一律ではありません。

そのため、公正証書遺言にかかる費用は、「絶対に発生する費用」と「必要に応じて発生する費用」に分けると、理解や計算がしやすくなるでしょう。

【公正証書遺言の作成にかかる費用内訳】

絶対に発生する費用 必要に応じて発生する費用
・公証人手数料(相場:5万円~)

 財産や相続の内容により変動、個人差が 大きい

・必要書類の発行手数料(相場:2千円)

・証人の日当(相場:5千~1万円)×人数

・公証人の交通費+日当(目安:公証人手数料の50%分)

・専門家への相談料、依頼料(相場:5万円~)

・遺言書の追加発行(250円/1部)

自分の財産や相続内容だと、「絶対に発生する費用」はいくらになるのかを考えた上で、「必要に応じた費用」をプラスしていけば、大体の費用目安を算出することができます。

とはいえ、専門家への依頼は必要か・相続内容に応じた手数料計算など考えるべき課題は多く残ります。これが「公正証書遺言の作成にかかる費用が知りたい!」と思っても、なかなか簡単には具体的な金額を知ることができない理由なのです。

そこで当記事では、公正証書遺言の費用に関する情報を分かりやすく解説しています。個人差の大きい「公証人手数料」については、具体的な例を交えながら計算方法をレクチャーしていきます。

自分や家族が公正証書遺言をいったいいくらで作成できるのかを、計算してみましょう。その上で、費用を抑えるコツや他遺言形式との費用比較など、自分にあった遺言形式をえらぶための有益な情報を紹介しています。

「公正証書遺言にかかる金額を知った上で検討を進めたい」

「少しでも公正証書遺言にかかる費用を安くおさえたい」

このようなお悩みを解決できる記事内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

内容不備や記載漏れのリスクを最小限に抑えることができる公正証書遺言の作成手順やポイントについては「「公正証書遺言」は1番おすすめの遺言形式!費用・効力と書き方を解説」の記事でしっかりとご紹介しています。ぜひ合わせてお読みください。

公正証書遺言の費用内訳(相場:5万円~)

公正証書遺言の発行には、様々な手数料がかかります。

すべての人が支払う必要のある「必ずかかる費用」と、出張サービスなど制度を利用することでの「必要に応じて発生する費用」と分けて考えると費用目安が算出しやすいでしょう。

【公正証書遺言の作成にかかる費用内訳】

絶対に発生する費用 必要に応じて発生する費用
・公証人手数料(相場:5万円~)

 財産や相続の内容により変動、個人差が 大きい

・必要書類の発行手数料(相場:2千円)

・遺言書の追加発行(750円~)

・証人の日当(相場:5千~1万円)×人数

・公証人の交通費+日当(目安:公証人手数料の50%分)

・専門家への相談料、依頼料(相場:5万円~)

それぞれの項目について、相場の金額も含めてより詳しく紹介します。

必ずかかる費用(相場:5万円~)

公正証書遺言を作成するにあたっては、以下の2つの手数料が必ず発生します。金額は、相続人の数や財産の状況によって変動しますが、合計で「5万円?」が相場です。

重要度の高い順に、内容を解説します。

項目 相場 概要
公証人手数料 5万円~ 一緒に遺言書を作成してくれる公証人に対して支払うお金
遺言書発行手数料 750円 原本、正本など最低3部の発行が必須
必要書類の発行手数料 300円/1種 遺言書の作成に必要な諸公的書類を発行するための費用

公証人手数料(相場:5万円~)

公証人に遺言書の作成を依頼するにあたっての手数料で、公正証書遺言の作成費用の中でも大部分を占めます。

遺言者の財産総額・相続内容によって金額が大きく変動する項目ですが、平均すると「5万円?」が相場となるでしょう。

具体的な計算は足し算のみでできるシンプルなものなので、専門知識がなくても「自分が公正証書遺言を作成した時にいくらかかるのか」を算出することが可能です。


引用元: 日本公証人連合会

詳しい計算方法は、当記事の「専門知識不要!公証人手数料の計算方法」を参考にしてください。

遺言書の発行手数料(費用:750円)

最終的に遺言書を完成させる際には、「原本」「正本」「謄本」など合計3部の発行が必須です。1部あたり250円の発行手数料がかかるので、合計で750円の費用が発生します。

原本(げんぽん) 作成された3部の中で一番最初に作成された遺言書。すべての書類作成の基本として法的な効力を持つ。
正本(せいほん) 公証権限を持つ公証人だけが発行できる、原本の写し。法令によって原本と同じ効力が与えられている。
謄本(とうほん) 原本に基づいて作成された原本の記載内容全部の写し。複数の作成が可能。

参考画像:謄本(とうほん)


参考画像:正本(せいほん)


この内「原本」は公証役場で保管され、「正本」と「謄本」は遺言者が持ち帰ることができます。また、希望があれば「控え」として持ち帰る冊数を追加することができ、その際も1部250円の発行手数料が発生します。

必要書類の発行手数料(相場:2千円)

公正証書遺言の作成にあたっては、「戸籍謄本」や「登記事項証明書」といった役場の発行する諸書類が必要です。

必要書類 申請先
3ヶ月以内に発行された印鑑登録証明書 居住地の市区町村役場
本人確認書類 免許証、マイナンバーカード、パスポート等
遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本 本籍地の市区町村役場
(相続人以外に相続する場合)

相続相手の住民票

相手の居住地の市区町村役場
(遺贈先が法人の場合)

登記事項証明書

法務局(所在地に関わらず、どこでも取得可)
(財産に不動産がある場合)

登記事項証明書

固定資産評価証明書

固定資産税・都市計画税課税明細書

登記事項証明書・・・全国の法務局

固定資産評価証明書、固定資産税・都市計画税課税明細書・・・不動産が所在する市区町村役場

書類の種類によっても異なりますが、1つあたり数百円程度の発行手数料がかかり、全ての書類を揃えるのに「2千円程」かかるでしょう。なお、事案に応じて、他にも資料が必要となる場合もあります。詳しくは担当の公証人や公証役場に確認してください。

必要に応じてかかる費用

必要に応じてかかる費用は、制度を利用した人だけが支払うものです。より便利に公正証書遺言を作りたい方は、どのような制度があるのか確認する意味も含めて内容を把握しましょう。

項目 相場 概要
証人の日当 5千~1万円/1人 遺言書作成時に必要な証人を、公証役場に用意してもらう際に必要
公証人の出張費 交通費:実費

日当:公証人手数料の50%分

自宅や病院など、公証人に出張を頼む際に発生する
専門家への依頼料 5万円~ 弁護士や行政書士などに遺言内容を相談する際の依頼料

利用する人の多い順に、解説していきます。

証人の日当(相場:5千~1万円)

証人を自分で用意できない場合には、公証役場に手配を依頼することができます。この際、証人1人あたり5千?1万円の日当を支払わなければなりません。

この日当の額については、各公正役場によって多少の違いがあります。証人の手配を検討している場合には、一度最寄りの公証役場に日当について問い合わせてみましょう。

公証人の出張費(相場:公証人手数料の50%分)

公証人に出張を依頼すると、出張料として「公証人手数料の50%分」+「日当」+「交通費(実費)」の費用が発生します。

公証人手数料が5万円・出張時の日当が1万円であった場合、「25,000円+1万円+交通費実費」の出張費が、本来の作成費用とは別途で発生することになります。日当については公証人の拘束時間や公証役場によって違いがありますので、事前に確認するとよいでしょう。

専門家への依頼料(相場:5万円~)

弁護士や行政書士に対して遺言内容・相続内容についての相談をした場合にかかる費用です。相談回数や時間にもよりますが、「5万円?」が相場です。

公正証書遺言を作成する際は、公証人に対して遺言内容についての相談や相続のアドバイスなどを受けることはできません。遺言内容については、事前に遺言者側で決めておく必要があります。

そのため、事前に専門家に相談した上で遺言内容を決めてから公正証書遺言の作成にとりかかるという例も少なくありません。当記事の最後でも「6.遺言に関する3つの相談先」として遺言に関しての相談先を紹介していますので、参考にしてください。

専門知識不要!公証人手数料の計算方法

公正証書遺言の作成にかかる費用を具体的に知るために、「公証人手数料」がいくらになるかを計算しましょう。

公証人手数料の金額については、公証人手数料令という政令によって以下のように定められています。

表1


引用元: 日本公証人連合会

一般的には「財産が多い方ほど、手数料も高額」「財産額が少なければ、手数料も少額」となる傾向にありますが、相続の内容によって機微があるため必ずとは言い切れません。

加えて、全体の財産が1億円以下の場合には「遺言加算」として1万1千円が加算されます。これは、財産が1億円を越える場合には加算は免除されます。

金額を算出する上での重要な要素や、具体的な金額の計算方法を確認しましょう。

金額を左右する2つのポイント

公証人手数料は、『相続させる金額』に応じて変動します。この「金額」とは、相続相手1人に対して相続させる金額のことを意味しており、遺言者の財産の総額ではないので注意しましょう。


このように、相続させる金額に応じて算出された手数料(表1参照)の合計に、遺言加算を足すことで「公証人手数料」を算出できます。

「相続相手の数」と「相続させる金額」が、手数料の総額を左右する重要なポイントとなります。そのため、「自分の遺産がいくらあり、誰にどのくらい相続させようか」という遺言の内容が大まかにでも決まっていないと、手数料を計算することはできません。

公正証書遺言の作成にかかる費用を具体的に計算する場合、まずは自分の財産を把握し、「相続相手の数」と「相続させる額」という2つのポイントを考えま

しょう。

相続相手の数

相続させる人数が多いほど、手数料も割高となります。2,000万円を相続させる場合を例に考えてみましょう。

  相続内容 手数料 推定公証人手数料
パターンA 全額を妻に相続

23,000円

+遺言加算

34,000円

パターンB 妻に1,000万円

子1に500万円

子2に500万円

17,000円

11,000円

11,000円

+遺言加算

50,000円

パターンC 妻に500万円

母に500万円

子1に250万円

子2に250万円

弟に250万円

妹に250万円

11,000円

11,000円

11,000円

11,000円

11,000円

11,000円

+遺言加算

77,000円

このように、財産の額が同じでも相続人の数が多くなるほど公証人手数料も高くなります。公証人手数料を節約したい場合には、相続人の数を絞ることも有効です。

相続させる額

相続させる金額が大きいほど、手数料も割高となります。妻と子2人にそれぞれ同じ割合で相続させると仮定して、金額による手数料額の差を確認しましょう。

  相続額 手数料 推定公証人手数料
パターンA

(6,000万円)

妻に3,000万円

子1に1,500万円

子2に1,500万円

23,000円

23,000円

23,000円

+遺言加算

80,000円

パターンB

(4,000万円)

妻に2,000万円

子1に1,000万円

子2に1,000万円

23,000円

17,000円

17,000円

+遺言加算

68,000円

パターンC

(2,000万円)

妻に1,000万円

子1に500万円

子2に500万円

17,000円

11,000円

11,000円

+遺言加算

50,000円

このように、相続させる金額が大きくなるとそれに比例して公証人手数料も高額になります。また、パターンAのように妻と子で相続させる金額は違うのに手数料額は同じとなる事もあります。これは表1の基準で定められた範囲内には同じ手数料額が適用される為です。

公証人手数料を節約したい場合には、500万、1,000万、3,000万のように基準の上限ギリギリを狙って相続を考えるのも有効な手立てです。

具体例を用いて計算してみよう

公証人手数料の計算方法が分かった所で、実際に自分のケースに当てはめて計算できるよう具体例を用いて練習してみましょう。

【計算の仕方】

1.自分の財産状況を把握し、相続内容(誰にいくら相続させるか)を考える

2.相続人1人あたりの手数料額を(表1)を用いて調べる

3.(表1)で調べた手数料金額を合算する

4.遺言加算の適用がないかを考える

この順番で計算をすれば、公証人手数料がいくらになるかを算出することができます。

例1 財産の総額:5,000万円 妻に半分、子2人で残りを折半してほしい
相続人の人数は「3人」相続させる金額は「2,500万円、1,250万、1,250万」です。

表1に当てはめると、1,000万円超?3,000万円の手数料は23,000円であるため「3人とも23,000円」の手数料がかかります。また、総額が1億円未満のため遺言加算の対象です。

23,000円×3人+遺言加算11,000円=80,000円

この場合の公証人手数料は「80,000円」です。

 

例2 財産の総額:3,000万円 妻と母に1,000万円ずつ、子4人で残りを折半してほしい
相続人の人数は「6人」相続させる金額は「1,000万円が2人、250万円が4人」です。

表1に当てはめると、「1,000万円・・・17,000円、250万円・・・11,000円」の手数料がかかります。また、総額が1億円未満のため遺言加算の対象です。

17,000円×2人+11,000円×4人+遺言加算11,000円=89,000円

この場合の公証人手数料は「89,000円」です。

自分での計算では不安が残るという方は、公証役場に相談して手数料金額の目安を算出してもらうことも可能です。

より計算の精度を上げるためにも、財産状況と遺言内容をまとめて相談してみましょう。費用の目安やその他相談は、無料で対応してもらえます。

公正証書遺言にかかる費用を少しでも抑える3つのポイント

公正証書遺言の作成にかかる費用を抑えるためには、「必要に応じてかかる費用」を少しでも抑えることが有効です。

ポイント 概要 費用対効果
1.証人は自分で用意する 友人など身内以外の知り合いに証人を頼んでみる

1万~2万円

2.公証役場に出向く 公証人に出向いてもらうのではなく、自分で役場に足を運ぶ

数万円

3.無料相談を活用する 専門家への依頼に踏み切る前に、無料相談等を活用する

5千~1万円

必ずかかる費用についても、相続人の数や相続させる金額を調整することで手数料軽減につなげることはできますが、「遺言書作成時の手数料を減らしたいから、相続相手を絞る」というのはあまり現実的ではありません。

そのため、まずは「必要に応じてかかる費用」をなるべくかけずに作成出来るよう無理のない範囲で取り組んでみてください。比較的取り組みやすいものから順に、3つ紹介します。

証人は自分で用意する

公正証書遺言作成時に必要となる「証人」を、知人に依頼することで証人に払うべき日当を節約できるため、最大で2万円近く作成費用を抑えることが可能です。

公正証書遺言は、「遺言者」「公証人」に加えて2名以上の「証人」立ち合いの元で作成されます。この証人は、公正役場に依頼して手配してもらうことも可能で、その際は証人1人あたり5千?1万円の日当を支払う必要が出てきます。

証人を依頼できる人の条件は、いくつかありますがそこまで厳しいものはありません。

・遺言者の推定相続人と受遺者(遺言によって財産を取得する人)

・未婚の未成年者

・公証人の配偶者や4親等内の親族

・公証役場の関係者

「相続に関係のない知人」であれば依頼が可能です。相続の内容を知られることに抵抗感がなければ、依頼をしてみるとよいでしょう。

公証役場に出向く

自ら公証役場に出向くことで、公証人の「出張料」や「交通費」といった諸費用の発生をおさえましょう。

公証人に相続等の希望を伝え遺言内容を決めていく時や最終的に遺言書を作成する際、公証人に出張を依頼することができます。主に、病気など身体的理由から公証役場に出向くことができない人を対象としたサービスですが、費用を払えば誰でも利用可能です。

サービスを利用した場合、公証人手数料が50%加算される他、公証人の日当・現地までの交通費などの負担が発生します。無理は禁物ですが、体力や時間に余裕のある方は、公証役場に出向いて手続きすることで、費用を節約できます。

無料相談を活用する

遺言内容などの相談は、専門家や仏事のプロへの無料相談を活用することで相談料の負担を軽減できます。

公正証書遺言の作成にあたっては、「自分が誰に何を相続させたいか」という意思は遺言者側で決める必要があります。遺言内容が複雑になりそうな場合など、弁護士や行政書士に相談して意思を決めてから公正証書遺言の作成に取り掛かるという方も少なくありません。

遺言に関する3つの相談先」でも紹介していますが、専門家への相談は時間ごとに相談料が発生します。初回のみ無料など、無料相談サービスを行っている事務所を活用して費用負担を減らしましょう。

他遺言形式との費用比較

公正証書遺言にかかる費用について理解が深まった所で、他の遺言形式と費用や特徴を比較してみましょう。比べることで、より自分や家族にあった遺言形式について考えるきっかけにもなります。

【遺言書の種類と特徴】

  公正証書遺言 秘密証書遺言 自筆証書遺言 自筆証書遺言

保管制度

概要 公証役場で公証人と一緒に作成する遺言。保管をしてもらえる。 自作の遺言書の存在だけを公証役場で証明してもらう遺言。 遺言者が自筆で作成した遺言 2020年より始まった「自筆証書遺言」を保管するための制度
費用 財産の価値に応じた手数料 11,000円 0円 3,900円

※各項目をクリックすると詳細記事が表示されますので、合わせてご参考ください。

公正証書遺言は、他の遺言形式と比べて「作成費用が一番高額」です。費用を安く抑えたいという方にとっては大きなデメリットとなりますが、その分他の遺言形式にはないメリットが多々あります。

内容をより細かく比較してみましょう。

費用とメリットを比べる

まずは、それぞれの遺言形式がもつメリットと作成費用を比較しましょう。自身が遺言書の作成に対して、何を重要視したいかによって最適な遺言形式は異なるため一概には言えませんが、メリットが多い形式ほど費用も高額になる傾向にあります。

  メリット 費用
公正証書遺言 ・公証人が作成

・法的不備はほとんどない

・保管は「公証役場」が担う

高い

安い

秘密証書遺言 ・遺言内容は誰にも知られない

・自己保管だが改ざんリスクはない

自筆証書遺言保管制度 ・遺言内容は誰にも知られない

・保管は「法務局」が担う

自筆証書遺言 ・作成に費用がかからない

公正証書遺言は、「公証人が作成するため法的不備がない」ことに加えて「保管は役場に任せられる」という大きな特徴があります。費用が高額になるというデメリットを補って余りあるメリットがあるため、毎年多くの人が公正証書遺言を作成しているのでしょう。

「法的不備なし」と「保管」を両立させる方法

公正証書遺言の持つ2つのメリットは、「専門家への依頼+自筆証書遺言保管制度」でも実現が可能です。

弁護士や行政書士など法律のプロと一緒に作成した遺言書を、自筆証書遺言保管制度を使って保管すれば、「法的不備なし」と「保管」を両立できます。

公正証書遺言を作成した場合と、費用や内容を比較しましょう。

  公正証書遺言 専門家+自筆証書遺言保管制度
遺言者がやること ・財産状況の整理

・遺言内容の検討

・必要書類の準備

・公証役場に連絡

・依頼先の専門家の検討

・財産状況の整理

・遺言内容の検討(相談可)

・必要書類の準備(依頼可)

・自筆証書遺言保管制度の利用

主な違い ・証人が必要(依頼可)

・遺言内容の相談は不可

・依頼先は慎重に探す必要あり

・証人不要

費用 相場:6万円~

(財産状況、遺言内容による)

相場:10万円~20万円

(依頼先、相談回数による)

どちらの方法も、法律のプロのサポートを受けられるため、残された遺言書が法的に不備のあるもので相続トラブル等のリスクは大幅に回避できます。専門家を利用した場合は、遺言内容の相談ができますが、信頼できる事務所選びに苦戦するという声も聞かれます。

費用は、公正証書遺言の方が安価に抑えられるケースが多いです。納得した内容の遺言書が残せるよう、遺言形式の選択は慎重に行いましょう。

弁護士への遺言書の依頼については「 知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備」という記事があります。金額の相場についても詳しく書かれていますので、参考にしてください。

公正証書遺言の費用に関するよくある3つの質問

公正証書遺言の費用についてのよくある質問をQ&A方式で紹介します。

質問 答え
1.遺言書を作り直したい場合、また手数料がかかるの? 一から作成し直す場合には、再度手数料が発生する。軽微な修正は、規定額の半額程度で済むこともある。
2.作成後に財産額が大幅に変わった場合、追加徴収などはある? 追加徴収はないが、正しく相続ができないリスクがある。
3.公正証書遺言を自分で書けば手数料は抑えられる? いいえ。自筆しても費用には影響しません。

それぞれの内容について詳しく確認しましょう。

遺言書を作り直したい場合、また手数料がかかるの?

一度完成させた公正証書遺言であっても、「作り直し」と「一部変更」を行うことができます。原則としては、旧遺言書を撤回した後に再度一から作成しなおす必要があり、新しい遺言内容に応じた手数料を再度支払うことになります。

変更が軽微であった場合には、「更生証書」「補充証書」という既定の書類を作成することで内容を一部変更することも可能です。この際の手数料は、規定額の10分の5と定められています。

作り直しが必要なのか・一部変更で対応できるかは、変更の度合いや内容により異なります。旧遺言書を作成した公証役場に相談してみましょう。

作成後に財産額が大幅に変わった場合、追加徴収などはある?

公正証書遺言の作成にかかる費用である「公証人手数料」は、財産額や相続内容によって変動します。

しかし、あくまでも作成時の内容に応じて発生する費用であるため「後から財産が500万円増えたから、追加で手数料を払う」といった追加徴収はありません。

しかし、財産額が大幅に変わった場合や相続させる不動産の状況に変化があった場合など、遺言書の書き方によってはスムーズに相続ができなくなるリスクがあるため注意が必要です。死後に親族トラブルが予想される場合は、遺言書の作り直しも検討しましょう。

公正証書遺言を自分で書けば手数料は抑えられる?

公正証書遺言は、署名のみ遺言者本人が自筆しますが、その他の部分は公証人がパソコンを使って作成します。この工程を自筆に変えても、費用には影響しません。

尚、公正証書遺言遺言は公証人が作成することが基本となっているため、自筆を不可とするケースもあります。自筆による遺言書を残したい場合には、他遺言形式を検討しましょう。

遺言に関する3つの相談先

専門家への依頼料」でも解説したように、公正証書遺言では、遺言内容を公証人に相談することはできません。「財産の分配、整理」といった相続・遺言全般についてのアドバイスをもらえる相談先を3つご紹介します。

1.弁護士(費用相場:5,000円~/30分 ※初回相談のみ無料の事務所もある)

2.行政書士(費用相場:5,000円~/60分 ※初回相談のみ無料の事務所もある)

3.無料相談を利用して専門家を紹介してもらう

いずれも遺産や相続といった法律関係のプロですので、個々の状況に合わせた適切な相続や財産の整理についての助言を受けられます。

「緊急度の高い順」にご紹介しています。相談を上手に活用して、遺言書作成を正確に進めていきましょう。

弁護士(費用相場:5,000円~/30分)

相続の内容が複雑な場合は、弁護士の力を借りるのがおすすめです。プラスの財産もマイナスの財産も、亡くなった人の名義であれば全て相続財産となるため、遺産の種類や金額が多ければ多いほど、相続終了までの道のりは長くなります。

弁護士に相談したからといって必ず依頼しなければならないということはありません。特に相続について不安や悩みがあれば、早めに相談して適切なアドバイスをもらいましょう。

アドバイスを踏まえた「法的に有効な遺言書」を残すことで、残された家族の間で相続トラブルが起こるリスクを大きく軽減させることができます。

相続に強い弁護士の選び方や、選び方のポイントなどは、「 知らないと損をする!相続弁護士を選ぶ9つの要点と費用を抑える準備」に詳しく解説しています。参考にしてください。

行政書士(費用相場:5,000円~/60分)

現在は司法書士や行政書士も積極的に遺言書作成業務を行なっています。弁護士に比べ、費用が安く、気軽に遺言書作成を行いたい方は弁護士よりも相談しやすいというメリットがあります。

国家資格者だからといって、すべての行政書士が遺言書作成の実務に精通しているとは限りません。依頼を検討する場合には、「専門性」を確認し、相続や遺言に詳しい先生を選ぶことが大切です。

専門性を確認するためには、事務所のホームページのチェックが有効です。遺言作成業務をよく受ける事務所の場合は、遺言に関する記事や解決事例が豊富に掲載されています。また、直接電話で問い合わせして確認してみるのもよいでしょう。

無料相談を利用して専門家を紹介してもらう

弁護士や行政書士の伝手がない人や、不安がある人は「無料相談」を利用してみるのもオススメです。

どの専門家にお願いすればいいのかなどの疑問も『 やさしい相続』の24時間365日無料相談で承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。しつこい勧誘等も行いません。

大切なことだからこそ、丁寧に・確実に進めていきましょう。

まとめ

当記事では、公正証書遺言の「費用」について詳しく解説してきました。

公正証書遺言の作成にかかる費用相場は5万円?となっており、「必ずかかる費用」と「必要に応じてかかる費用」で分けて考えるのがおすすめです。

必ずかかる費用 必要に応じてかかる費用
・公証人手数料

・遺言書の発行手数料

・必要書類の発行手数料

・証人の日当

・公証人の交通費+日当

・専門家への相談料、依頼料

公証人手数料の計算方法
式)

相続させる金額に応じた手数料(人数分)+「遺言加算」の有無

1.財産状況を把握し、相続内容を考える

2.相続人1人あたりの手数料額を調べる

3.調べた手数料金額を合算する

4.遺言加算の適用がないかを考える

作成費用を抑えるポイント ・証人は自分で用意する

・公証役場に出向く

・無料相談を活用する


引用元: 日本公証人連合会

公証人のサポートを受けて作成する遺言形式である以上、一定の手数料の発生は避けられません。弁護士や行政書士といった専門家に相談しながら作るよりは安価に抑えられる傾向にありますが、それでも5万円以上の費用がかかってしまうのが一般的です。

公正証書遺言の持つメリットと費用を見比べて、自分や家族にあった遺言形式を検討していきましょう。

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【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

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