【PR】「丁寧なお葬式を適正価格で」驚きの理由とは?

【成年後見人の手続き】流れから必要書類・期間・費用・注意を全解説

Jul 25 2022

成年後見人の手続きとしては、所定の書類一式を家庭裁判所に提出する必要があります。ただし後見人の種類によって、必要な書類や事前手続きが異なります。記事では書類や手続きの詳細、かかる期間や費用、手続きは自力で行えるのかといった点をご紹介します。

「後見人になるにはどんな手続きや書類が必要なの?」

「自力でできるのかな…?」

「大変そうなら専門家に頼みたいけど…高い?」

後見人が本人に代わって財産管理や契約行為を行える『成年後見人制度』。

認知症などで判断する力が衰えた方のサポートをするためにとても有効な制度です。また手続きに必要な資格などもなく、自分でもできます。

その「後見人になるための手続き」ですが、実は後見人の種類によって違うんです。

具体的には、「法定後見人」と「任意後見人」の2種類があり、それぞれに必要な手続きは次の通りです。

種類 やるべきこと
法定後見人

1.申立て先と申立ができる人を確認する

2.必要書類の収集・診断書の取得

3.申立書類を作成する

4.家庭裁判所に連絡して面接日を予約する

5.家庭裁判所への申立てを行う

6.審理開始

7.後見人の選任

8.後見の登記

9.成年後見人の仕事開始

任意後見人

1.本人と後見人となってほしい人の間で契約内容を決定

2.公正証書による任意後見契約の締結・作成

3.公証人から法務局への登記依頼

4.家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行う

5.任意後見監督人の選任

6.任意後見人の仕事開始

そのため必要書類やかかる時間、費用も変わります。また、手続きに入る際の大きな注意点もあります。

そこで今回は、成年後見人になる際の手続きとともに、必要な書類や時間、費用をご説明します。併せて注意点や、自力でできるのかといった疑問にもお答えします。

「こんなはずじゃなかった」といった思いをしないためにも、本記事を手続きに入るか否かの判断にお役立てください。

また、成年後見人がやるべきことや、気をつけるべきことについては、「成年後見人制度の役割を解説!手続きと費用・メリットとデメリットも紹介」の記事を合わせて参考にしてください。

法定後見人と任意後見人との違い

「法定後見人」とは、既に判断能力が衰え始めた人について、本人に代わって財産管理や契約管理、入院や介護に関する手続きを行ってサポートする事を目的に、家庭裁判所へ選任を申立てた結果、選任された後見人の事です。

一方、「任意後見人」とは、将来的に判断能力が衰えることに備え、本人から後見人を依頼され、契約を取り交わす事で定められた後見人を言います。

  法定後見人 任意後見人
始動のタイミング 本人の判断能力が衰えた時 将来的に備えたい時
後見人を選ぶ人 裁判官 本人(被後見人)
後見人の裏付け 裁判官の選任 任意後見契約

法定後見人の手続きについて

法定後見人の手続き
かかる期間 約2カ月半~4カ月(長いと半年程度)
費用 総額で7〜13万程度
手続き 必要書類一式を家庭裁判所に提出し、申立てる。裁判官が後見人を選任し、業務開始。

手続きにかかる期間(目安:約2カ月半~4カ月)

本人(被後見人)の障害の程度などによって異なりますが、裁判所への申立から成年後見人として仕事を開始するまでは約2カ月半〜4カ月が目安です。

ただし審理に時間がかかった場合は、半年程度かかる場合もあります。

手続きにかかる費用(目安:7~13万円)

申立手続きを全て自力で行ったとして、手続き自体に必要な費用は診断書や戸籍謄本の取得、申立や登記時の手数料など合計で約2万円程度です。

また申立後に行われる審理では本人の状態を医師が鑑定をする事が多く、その際の鑑定料も申し立てた側の負担になります。この費用が5万〜10万程度かかりますので、総額で7〜13万程度と見積もっておきましょう。

手続きの詳細

種類 やるべきこと
法定後見人

1.申立て先と申立ができる人を確認する

2.必要書類の収集・診断書の取得

3.申立書類を作成する

4.家庭裁判所に連絡して面接日を予約する

5.家庭裁判所への申立てを行う

6.審理開始

7.後見人の選任

8.後見の登記

9.成年後見人の仕事開始

申立て先と申立ができる人を確認する

はじめに、申立先と申立ができる人を確認しておきましょう。

申立て先 本人の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所
申立てができる人 本人・配偶者・※4親等内の親族・市区町村長

※4親等以内の親族:親・祖父母・子・孫・ひ孫・兄弟姉妹・甥・姪・叔父・叔母・いとこ等

必要書類の収集・診断書の取得

次に、必要書類を集め、診断書を取得しましょう。必要な書類は以下の通りです。

必要書類 入手先
〇申立書類一式

 ・後見開始申立書

 ・申立事情説明書

 ・親族関係書

 ・財産目録

 ・収支状況報告書

 ・後見人等候補者事情説明書

 ・親族の同意書

〇申立先の家庭裁判所の窓口(郵送も可能)

または

〇申立先の家庭裁判所のホームページから

ダウンロード

裁判所ホームページ

〇本人に関する資料(健康状態、収入、支出、財産が分かるもの)  
〇戸籍謄本(本人ならびに後見人等候補者の分) 〇各市区町村役場の担当窓口
〇住民票(本人ならびに後見人等候補者の分)
〇本人が後見登録されていない事の証明書 〇法務局本局
〇成年後見用の診断書、診断書付票 〇病院・診療所
〇(本人が知的障がい者の場合)愛の手帳の写し  

なお、申立書類一式については家庭裁判所ごとで書式が異なりますので、必ず申立て先の裁判所の物を準備してください。

申立書類を作成する

画像引用元:後見開始申立書|裁判所

家庭裁判所から取得、ないしは裁判所のホームページからダウンロードした申立書類に必要事項を記入し、書類を作成します。

書類の中には財産目録や収支状況報告書など、元となる資料が必要な物もありますので、予め記入事項を確認し、資料も用意しておきましょう。

また、申立てに必要な収入印紙や郵便切手も忘れずに用意してください。

家庭裁判所に連絡して面接日を予約する

書類作成の目途がついたら申立て先の家庭裁判所に連絡し、面接の予約を取って下さい。

申立後、申立人などから詳しい事情を聴くため、家庭裁判所で面接を行います案件が立て込むなどして2週間〜1か月先からしか予約が取れない場合があるので、前もって予約を取っておいてしまうのです。

ただし、予約の3日〜1週間前には申立て書類一式が裁判所に提出されている必要があるので、注意してください。

家庭裁判所への申立てを行う

申立書類一式をまとめて家庭裁判所に持参あるいは郵送する形で提出し、申立てを行います

審理開始

申立を受け付けたのち、審理が開始されます。具体的には次のようなことが行われます。

・申立人ならびに後見人候補者との面接

・本人との面接

・後見申立てや後見人候補者についての親族への意向照会

・医師による本人の判断能力等の鑑定

後見人の選任

裁判官が審理の内容や提出書類に基づいて、最も適任と思われる人を成年後見人に選任します

その際、複数人が後見人として選任されたり、後見人の監督・指導を行う「成年後見監督人」が併せて選任されるケースもあります。

その後、それらの内容を書面にした「審判書」が申立人や本人、成年後見人らに送付されます。もし申立人や利害関係人がその内容への不服申立てをしたい場合は、書面の到着後2週間の間に手続きをとらなければなりません。

後見の登記

審判書の内容確定後、裁判所が東京法務局に審判内容を登記するように依頼します。依頼から1か月程度で登記は完了し、後見人へ登記番号が通知されます。

その登記番号をもとに後見人は、様々な手続きの際に必要となる登記事項証明書を法務局で取得することができるようになるのです。

成年後見人の仕事開始

また、審判の内容確定後1か月以内に、後見人は本人の財産を調べて一覧にまとめた「財産目録」を作成し、裁判所に提出する必要がありますこの様に成年後見人の仕事は始まっていきます。

なお、「財産目録」は相続手続きを行う際にも役立つ書類です。そのメリットや書き方についてもっと詳しく知りたい方は、「相続をよりスムーズに!「財産目録」の目的と知るべき3つのメリット」「「財産目録」の書き方のポイントは5つだけ!簡単な作成のコツを解説」の記事をご覧ください。

任意後見人の手続きについて

任意後見人の手続き
かかる期間 約1カ月
費用 3万円程度
手続き あらかじめ本人と後見人をしてほしい人の間で、任意後見契約を結び、登記しておく。必要になった際に必要書類一式を家庭裁判所に提出し、任意後見監督人の選任を申し立てる。裁判官が任意後見監督人を選任し次第、後見人は業務を開始できる。

手続きにかかる期間(目安:約1か月)

後見人を誰にするかから慎重に審理する必要のある法定後見人の時と違い、任意後見人の場合は締結した任意後見契約に基づいて後見人が既に決まっています。そのため、審判が下りるまでの時間はかなり短くなり約1か月程度で任意後見監督人が選任され、後見人としての業務が開始できます

手続きにかかる費用(目安:約3万円)

こちらも医師に支払う鑑定料などが発生しないため、手続きの費用としては任意後見契約書を作るところから法務局への登記までにかかる3万円程度となります。

手続きの詳細

種類 やるべきこと
任意後見人

1.本人と後見人となってほしい人の間で契約内容を決定

2.公正証書による任意後見契約の締結・作成

3.公証人から法務局への登記依頼

4.家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行う

5.任意後見監督人の選任

6.任意後見人の仕事開始

本人と後見人となってほしい人の間で契約内容を決定

はじめに、本人と後見人になってほしい人(任意後見受任者)の間で、将来判断能力が衰えた際に支援してほしい内容を取り決め、契約としてまとめていきます具体的には次のようなことが挙げられます。

・任意後見開始後の介護や生活はどうするか

・財産の利活用について

・任意後見人に支払う報酬や業務上の経費について

・任意後見人が本人に代わって行う業務(代理権)の範囲について

公正証書による任意後見契約の締結・作成

契約内容がまとまったら、その原案を公証人役場に持ち込み、公証人に「任意後見契約」と呼ばれる公正証書を作成してもらいます。

任意後見契約は、公正証書として作成することが法律で定められています公正証書とは公証人役場という法務省に属する役所で作られる公文書のことで、記載内容は高い証明力を持ちます。

公証人から法務局への登記依頼

締結された任意後見契約は、公証人が法務局に登記の依頼をします。法務局に登記されれば、契約の内容が公的に証明できます。

登記は公証人が依頼してから2〜3週間で完了し、この登記された内容が「登記事項証明書」として書面化されます。

家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行う

その後、本人の判断能力が不十分となり後見人の補助が必要となった時に、必要書類一式をまとめて、家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てを行います

「任意後見監督人」とは、任意後見人が契約どおりに後見に関わる業務を行っているか監督する人のことです。裁判官の職権で選任され、多くの場合司法書士や弁護士が選任されます。

なお、申立て先と申立てできる人は以下の通りです。

申立て先 本人の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所
申立てができる人 本人・任意後見受任者・4親等内の親族

また、必要な書類は以下の通りです。

必要書類 入手先
〇申立書類一式

 ・任意後見監督人選任申立書

 ・本人の事情説明書

 ・親族関係書

 ・財産目録

 ・収支状況報告書

 ・任意後見受任者の事情説明書

〇申立先の家庭裁判所の窓口(郵送も可能)

または

〇申立先の家庭裁判所のホームページから

ダウンロード

裁判所ホームページ

〇本人に関する資料(健康状態、収入、支出、財産が分かるもの)  
〇戸籍謄本(本人の分) 〇各市区町村役場の担当窓口
〇住民票(本人の分)
〇本人が後見登録されていない事の証明書 〇法務局本局
〇後見登記事項証明書
〇成年後見用の診断書、診断書付票 〇病院・診療所
〇公正証書で作成した任意後見契約のコピー  

任意後見監督人の選任

申立てをうけ裁判官が審理し、任意後見監督人を選任します。審理の結果は、家庭裁判所から任意後見人あてに、書面で郵送されてきます。

また同時に家庭裁判所は、任意後見監督人の情報や任意後見が開始したことの登記を、法務局に依頼します。

任意後見人の仕事開始

任意後見監督人が選任されれば、任意後見人は法定後見人同様、財産目録を作成し裁判所に提出するなど仕事を開始することになります。

手続きを行う際の注意点

家庭裁判所に申立を行うと、取り下げはできない

法定後見人も任意後見人も、一度家庭裁判所に行った申し立てを取り下げるには裁判所の許可が必要になります。

ただ、本人(被後見人)の利益を考え、容易に取り下げはできないとしていますので、まず取り下げは無理と考えておいた方がいいです。

法定後見人は必ずしも後見人候補者が選ばれるとは限らない

法定後見人の場合、後見人を選任する権限はあくまでも裁判官にあります。

そのため、例えば親族間で意見の相違があるなどした場合、申立人が指定していた後見人候補者ではなく、司法書士や弁護士などの専門家を後見人として選任するケースがあります

またそれを理由として不服申し立てを行っても、認められることはまずありません

専門家に頼んだ場合の相場・期間・注意点

後見人申立てに必要な書類には、専門的な書類や作成に時間のかかる書類も含まれています。

そのため、弁護士や司法書士といった専門家に依頼し、手間を省きたいという方もいるでしょう。ここで、その時支払う報酬の相場やかかる期間、注意点についてご紹介します。

○報酬の相場

法定後見人の申立て書類作成 10~20万円
任意後見人の申立てて書類作成 10~15万円

○期間

申立てから選任までにかかる期間については、自力で行った場合と変わりません。

○注意点

本人(被後見人)の持つ財産額によっては、それに見合わない高額な報酬を支払うことにもなりかねないため、慎重に判断してください。

成年後見人の手続きについてのご相談は『やさしい相続』でも無料で承っています。24時間365日無料で専門オペレーターが対応致します。しつこい勧誘などもおこないませんので、お気軽にご連絡ください。

 

まとめ

成年後見人になるための手続きについてご紹介してきました。ポイントを整理します。

・法定後見人と任意後見人で必要な手続きが違う。

・法定後見人の場合、かかる期間は約2カ月半~4カ月。手続きにかかる費用は7~13万円が目安。

・法定後見人の手続きとしては、必要な書類を収集・作成し、管轄する家庭裁判所に提出する。面接や審理を経て、裁判官が後見人を選任する。

・任意後見人の場合、かかる期間は約1カ月。手続きにかかる費用は3万円が目安。

・任意後見人の手続きとしては、予め任意後見契約を公正証書で作成し、登記しておく。そして後見業務を開始する際、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立て、選任後に業務を開始する。

・法定後見人と任意後見人とも、一度家庭裁判所に行った申立ては取り下げることはできない。また、法定後見人の場合は必ずしも後見人候補者が選ばれるとは限らない。

・書類作成を含めた手続きを専門家に依頼する場合、報酬の相場としては法定後見人の時で10~20万円、任意後見人の時で10~15万円が目安。申立てから選任までにかかる期間については、自力で行った場合と変わらない。本人(被後見人)の持つ財産額と支払い報酬が不釣り合いになりかねないので注意。

ぜひ今回の記事を参考になさってください。

【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

プロフィール

ジャンル一覧

同じジャンルのコラム

新着コラム