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お墓の相続の流れと費用・引き継ぎたくないときの対処法まで徹底解説

Nov 09 2022

お墓の相続は遺言、または話し合いで決められた人が引き継ぎます。相続税はかかりませんが、引継ぎには手続きや管理費といった費用が発生します。金額は墓地形態によって変わります。お墓の相続人を決める基準や手続きの流れ、かかる費用などを詳しく解説致します。

「誰が墓を相続するのか兄妹で決めてほしい」

こんなことを急に言われても、何をすればいいのかまったくわかりませんよね。

墓を相続するとどんなことが必要になるのか?費用はかかるのか?いろいろな疑問が湧いてきます。

何よりも、お墓を相続することで思わぬ出費や手間を増やしてしまうことは避けたいですよね。

実は、墓は出自に関わらずだれでも相続することができ、例え血の繋がりがなくても霊園やお寺に規定が無い限り、友人でも引き継ぐことが可能です。

ですので、自分が長男だから、結婚していないから…といって、必ず引き受ける必要もありません。

しかし、継承したくないのに遺言書などで指定された場合は、拒否することはできず、さらに相続放棄もできない為、慎重に判断する必要があるでしょう。

そこで、本記事では、墓の相続人が決まらない場合の対処法や、相続手続きの流れやかかる費用の概算など、お墓の相続に関して必要な情報を詳しく解説いたします。

また、どうしても管理しきれないお墓を相続することになった場合の対処法として、お墓を解体・撤去する「墓じまい」についてもご紹介していますので、いざお墓の相続人を決めるとなったときにも、慌てることはありません。

この記事を読んで、スムーズにお墓の相続を進めていきましょう。

お墓は誰が相続してもよい

結論から申しますと、お墓は誰が相続してもよいことになっています。

以下に民法を引用して解説いたします。難しい用語は解説を付けますので安心して下さいね。

祭祀(さいし)財産(亡くなった人が残した遺産のうち、お墓など祭祀に用いるもののこと。)の相続を規定する民法の条項では、相続すべき人を以下のように定めています。

慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき物が承継する。

相続オールサポート大阪|民法第897条「採否に関する権利の承継」

「祭祀財産」とは、宗教上のおこないで使う道具のことです。例えば、お墓や仏壇、位牌が挙げられ、「祭祀」とは宗教上の儀式を指します。例えば、法事や葬式、年末年始のお祈りなどが例に挙げられますね。

「慣習」というのは、一族や地域で伝統的におこなってきた方法のことを指します。例えば、お墓は代々、本家の子どもが継いでいた…など。

つまり、血のつながりがあってもなくても民法上はお墓を相続できるということですね。

とはいえ、「誰でもよい」と言われても、お墓を誰が相続するか決めるときには「誰がもっとも相続にふさわしいのか」を判断する明確な基準が必要になるでしょう。

続いて、お墓の相続を優先しておこなうべき人の判断基準を3つご紹介します。

相続の優先順位3つ

お墓を相続する人として優先されるのは以下3つのいずれかにあてはまる人です。

1番目がいなければ2番目…という風に、当てはまる人を探していきましょう。

1.亡くなった人の遺言で相続人として指名されている人

2.一族や地域の慣習により決められた人

3.過程再暗所の調停か審判

それぞれ詳しく解説いたします。

1.死亡者の遺言

相続人のうちもっとも優先されるのが、亡くなった人の遺言で相続人として指名された場合です。

この場合、有効な遺言書として取り扱うために以下の条件を満たした遺言書であることが必要です。

1.被相続人自身が手書きする

2.必ず作成年月日を記載する

3.必ず署名と押印をする

4.訂正する時のルールに注意する

5.遺言書が複数枚になった場合は契印する

6.ボールペンなど消せないペンで書く

上記は遺言書の中でも主流といえる自筆証書遺言を書く際の注意事項です。

他にどんな遺言書が書けるか知りたい方や、遺言書の書式や保管方法などより細かな注意点を知りたい方は「遺言書の書き方を完全解説!効力・有効な遺言書の書き方を紹介!」をご覧ください。

2.一族や地域の慣習

亡くなった人が遺言書でお墓の相続人を指定していない場合、一族や地域の慣習に従って決めます。

一族や地域の慣習といっても、近年は「家督を継ぐ長男だから」「本家の娘だから」といった昔気質の考えは薄れつつあるでしょう。

そこでおこなわれるのが「親族会議」です。

お墓を相続する可能性のある人が集まり、誰が最適なのかを話し合ったうえで決めます。

注意しておきたいのが、個人的な理由でお墓の相続を辞退はできないということ。

例えば、お墓から遠い場所に住んでいたり、他の家に嫁いだり婿入りしたりといった理由は相続を断る理由になりません。

お墓の相続について、事例別にどのような結論に至ったかを知りたい方は「事例別に解説!お墓の相続に関するQ&A」をご覧ください。

3.家庭裁判所の調停か審判

亡くなった人の遺言書に相続人が示されておらず、親戚で話し合ってもめごとに発展してしまった…

この様な場合に利用するのが、家庭裁判所の調停または審判です。

まずは「祭祀承継者指定調停」を行い、相続人同士で話し合いを行います。合意できない場合のみ「審判」をおこない、相続人を強制的に決めます。

審判で相続人を決める具体例をみてみましょう。

【具体例】

Aさんは妻と子どもと三人暮らし。3人兄弟の次男であり、上は兄、下に妹がいる。兄は金銭管理に苦労しており、自分と妹でたまに援助している状況。

実家の父が危篤との知らせを聞き、お墓を継ぐ話になった。正直自分は実家から離れた土地に住んでいるし、お墓にも興味はないので継ぐ気持ちは特にない。

一方の妹は先祖代々の供養が必要と感じており、婿入りしている旦那と共に実家に戻ることも視野に入れているができれば継ぎたくない。

両親は兄妹のうち誰でもいいのでお墓を継いでもらいたいと考えている。

この場合、お墓を継ぐのは三人兄弟の末っ子である妹になると考えられます。

金銭面で苦しい長男に管理能力はなく、次男はお墓からの距離もあり継ぐ気持ちもない。一方の妹は墓を継ぐ気持ちはないが、金銭能力もお墓からの近さもあり、両親の意向にも沿っていますよね。

このように、亡くなった人が指定したであろう人物を相続人として指名します。

お墓の相続は拒否や相続放棄ができない

遺産のように相続拒否をすればよいのでは?とお考えかもしれませんが、お墓の相続拒否はできません。

相続拒否をして免れるのは「相続財産」の継承であり、お墓や仏壇といった宗教関連の品々を指す「祭祀財産」の継承は免れることが不可能だからです。

「じゃあ、お墓の名義変更をしないまま放っておけばいいんじゃない?」

と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「前名義人の死亡から〇カ月以内に名義変更すること」と決められている墓地もあり、放置するとお墓そのものが「無縁仏」として処理され、先祖のお骨に二度と会えなくなる可能性があります。

無縁仏とは、「誰からも供養や管理をされていないお墓」を指し、近年は社会問題にもなっています。「無縁仏にならないために!無縁仏の意味や対策方法について解説」の記事では社会背景だけではなく、対策方法についても詳しく解説していますので、ぜひご一読下さい。

どうしても管理できない場合は「墓じまい」を検討する

いったん墓地を相続したものの、親族の意向や後継者がいないことで、墓じまいを検討しましょう。

墓じまいとは現在のお墓を撤去して更地にし、元の状態に戻して土地所有者に返還することで、以降、墓地管理費を支払ったり、法事の度にお布施を包む必要はありません。

とはいえ、墓じまいには親族一同とよく話し合い、意見を聞いたうえでおこなうことが大切です。

墓じまいする場合の費用

墓じまいにかかる費用はかなり幅があり、総額でいいますと100〜250万円ほどになります。

【墓じまいの費用一覧】

墓じまいの費用相場 100〜250万円程度
費用内訳例 相場
改葬許可証 無料~500円
墓石撤去費用 10〜20万円/1㎡あたり
閉眼供養お布施代 2万円~5万円
離檀料 3万円~5万円
新しい改葬先費用 3万円~300万円(改葬先によって異なる)

・一般墓:100万円~300万円

・合祀墓 :3万円~10万円

・樹木葬:5万円~80万円

・手元供養:5,000円~40万円

・散骨:0円~90万円

開眼供養お布施代 3万円~10万円

価格に差がある理由は、墓じまいを行うには、お墓の撤去だけでなく新たな納骨先を用意する費用がかかるからです。

例えば、お墓を選択した場合もお墓の設置場所や広さによっても費用は大きく変わっていきますよね。

いざ墓じまいをするとなって予想外の出費に苦しんだり、過去にお墓の相続人を引き受けたことを後悔しないためにも「墓じまいで失敗しないために。墓じまい費用の内訳から費用を抑える方法まで!」をご覧ください。

お墓を相続したらやるべきこと3つ

実際にお墓を相続した場合、どのようなことをする必要があるのでしょうか?

本項目では、お墓の相続人がすべきことを3つに分けて解説いたします。

常日頃行うべきことから、必要時に準じて用意すべきことなどいろいろありますのでしっかり押さえておきましょう。

1.お墓の維持管理をする

2.法要を主宰する

3.遺骨やお墓の行方を決める

特に、1と2は定期的に費用が発生する内容ですので早めに内容を確認すべき項目です。

1.お墓の維持管理をする

お墓の相続人はお墓を維持管理していきます。

・墓周りの掃除

・水替え

・お供えものの管理

・墓地の管理費用

特に後半の「墓地の管理費用」はお墓を相続した人が負担するのが一般的です。

墓地を管理するのがお寺か自治体か、または民営の霊園かにより地代も変わります。詳しくは「墓地の維持管理費用」をご覧ください。

2.法要を主宰する

お墓の管理人は周忌にあわせて法要を主宰する必要があります。

葬儀後にも数え方に基づき、法要を執り行う必要がありますので、

・僧侶への依頼・参列者をどうするか?

・法要を行う場所

・法要の案内状の準備と発送

・法要後の食事の席の有無

を取りまとめていきます。

法要をおこなう日程は下記の通りとなります。

法要名 数え方(逝去後から数えます)
初七日 7日目
四十九日 49日目
百箇日 *省略されることもあります 100日目
一周忌 1年後
三回忌 2年後
七回忌 6年後
十三回忌 12年後
十七回忌 16年後
三十三回忌 32年後

※法要名をクリックすると、詳細記事が開きますので、合わせてご参考ください。

時間とともに喪主も年齢を重ね、気がつけば法要を行うタイミングが忘れ去られてしまうことも多くありますので、家族内で共有しておくことが大切です。

3.遺骨やお墓の行方を決める

お墓の相続人は、遺骨やお墓の行方を決める決定権を持ちます。以下に例を挙げました。

具体例 タイミング
お墓の建て替え(改葬)やリフォーム お墓が古くなってきたとき、お墓の場所を移すとき
合葬、墓じまい お墓を継ぐ人が見つからず、今後の管理が難しくなってきたとき
分骨 遺骨の一部を手元に置いておきたいとき、複数の墓にわけて納骨したいとき

分骨や改葬には祭祀承継者の同意が必要!

実の両親の分骨をしたいなど、直系の家族からの申し出であってもお墓に関することがらは祭祀承継者の同意が必要です。

特に墓じまいをする際に祭祀承継者の同意が得られず手続きが滞るケースがありますので、選ぶ際には十分注意しておきましょう。

墓じまいは一般的に遺族が均等に金額を負担します。親戚一同へしっかりと事前確認をとることが問題を起こさない一番の近道です。

墓じまいの大まかな流れを知り、早めの対策をしたい方は「墓じまいで失敗しないために。墓じまい費用の内訳から費用を抑える方法まで!」をご覧ください。

お墓を相続するのに必要な手続きと流れ

お墓を相続するのに必要な手続きの流れは以下の通りです。

1.墓地の名義変更手続き

手続きに必要な書類は以下4点です。

書類名 書類例 入手できる場所
1.墓地使用権を取得した際に発行された書類 ・墓地使用許可証

・永代使用承諾証

など

自宅に保管
2.承継の理由がわかる書類 墓地使用者の死亡が記載された戸籍謄本など 役所
3.承継者の戸籍謄本や住民票 - 役所
4.印鑑登録証明書 - 役所

2.必要書類を手数料と共に霊園やお寺の管理者へ提出

管理団体別の手数料は以下の通りです。

運営形態 手数料 備考
公営墓地 500円から数千円程度 墓地の中では最も安い
民営墓地 1万円程度 特になし
寺院墓地 3千円から1万円程度 お布施や檀家名義変更手数料がかかることも

それぞれ詳しく説明していきます。

1.墓地の名義変更手続き

お墓を相続するためには、お墓の管理人に対して墓地の名義変更手続きをおこなう必要があります。

この手続きをしてはじめて墓地の管理代の請求先が変わります。

手続きをしないと、支払いが滞り延滞料を請求されることや、最悪の場合無縁仏として墓地そのものを撤去されてしまう可能性があります。

まずは、墓地を管理する団体に連絡し、必要書類を揃えたうえで名義変更の手続きへ進みましょう。

手続きに必要な書類4つ

墓地の名義変更の手続きに必要な書類を4点ご紹介します。

ご契約されている墓地により必要書類は異なりますので、詳しくは墓地の管理人にお問い合わせいただくことをおすすめします。

書類名 書類例 入手できる場所
1.墓地使用権を取得した際に発行された書類 ・墓地使用許可証

・永代使用承諾証

など

自宅に保管
2.承継の理由がわかる書類 墓地使用者の死亡が記載された戸籍謄本など 役所
3.承継者の戸籍謄本や住民票 - 役所
4.印鑑登録証明書 - 役所

1.墓地使用権を取得した際に発行された書類(墓地使用許可証、永代使用承諾証など)

はじめて墓地を取得したときに発行される書類です。

名義変更の際には提出が必要になります。墓地の管理人に伝えれば再発行可能ですが、数百円〜数万円程度の手数料がかかるので注意してください。

2.承継の理由がわかる書類(墓地使用者の死亡が記載された戸籍謄本など)

旧名義人(亡くなった方)の死亡の記載のある戸籍が必要です。

これを「除籍謄本」といい、死亡してから10日前後で戸籍に反映されます。死亡届を出すタイミングでは発行できない書類になりますので、注意してください。

3.承継者の戸籍謄本や住民票

旧名義人と新名義人(墓地を相続する方)との関係がわかる戸籍謄本を用意します。

お住いの役所で数百円程度の手数料を支払って発行できますよ。郵送で依頼することも可能です。

一般的に、戸籍謄本の有効期限は発行日から3カ月〜6カ月以内とされていることが多いため、発行の時期には注意してください。

4.承継者の実印と、印鑑登録証明書

名義変更の際には、お墓を相続する人の実印と印鑑登録証明書が必要です。

印鑑登録証明書はお住いの役所で数百円程度の手数料を支払って発行できます。郵送での依頼もできます。

印鑑登録証明書についても、戸籍謄本と同じく有効期限は発行日から3カ月〜6カ月以内とされていることが多いため、発行の時期には注意しておきましょう。

2.必要書類を手数料と共に提出

必要書類を揃えたら、手数料と共に墓の管理人へ提出しましょう。

運営形態 手数料 備考
公営墓地 500円から数千円程度 墓地の中では最も安い
民営墓地 1万円程度 特になし
寺院墓地 3千円から1万円程度 お布施や檀家名義変更手数料がかかることも

手数料は墓地の運営形態により変わる

手数料は墓地の運営形態により異なりますので、事前に管理人へ代金を確認しておいてください。

・公営墓地の場合

500円から数千円程度で済みます。墓地の中では最も安い部類に入りますね。

・民営墓地の場合

1万円程度になることは覚悟しておきましょう。

・寺院墓地の場合

3千円から1万円程度になります。

寺院の場合、手数料とは別にお布施を包んだり、檀家の名義変更手続きをおこなうことがありますので、費用感でいうと最も高くなる可能性があります。

お布施は封筒で代用することもできますが、可能であれば奉書紙(ほうしょがみ)という専用の入れ物に包んで渡すようにしましょう。

お布施の包み方や渡すタイミングなどを誤ると、気遣いのつもりが相手に不快な思いをさせてしまうことがあります。お布施に関するマナーは「【令和4年最新】葬儀時の僧侶お布施相場〜抑えるべきマナーのすべて」をご覧ください。

お墓の相続で発生する2つの費用

お墓を相続することになった場合、諸々の手続きやその後の管理方法により、どのような費用が発生するのでしょうか?

お墓を相続するにあたって発生する費用は主に以下の2点です。

名称 費用(目安)
墓地の名義変更手数料 500円~1万円
墓地の維持管理費用 2千~1万5千円程度

詳しく説明いたします。

1.墓地の名義変更手数料

お墓を相続した場合、墓地の名義変更をおこないます。

名義変更には手数料が必要になります。墓地の運営形態にもよりますが、以下のような金額となるでしょう。

運営形態 手数料 備考
公営墓地 500円から数千円程度 墓地の中では最も安い
民営墓地 1万円程度 特になし
寺院墓地 3千円から1万円程度 お布施や檀家名義変更手数料がかかることも

まずは墓地の管理人に問い合わせてみるのがおすすめです。

2.墓地の維持管理費用

お墓の相続人は霊園や墓地の管理者に対して年間管理費を支払います。

一般的には年間2千〜1万5千円程度が相場です。

年間管理費は、主に以下のような目的に使用します。

・墓地全体の清掃

・道具の手入れ(手桶やひしゃくなど)

・トイレなど水道料金の支払い

民営墓地で送迎バスがあったり、無料休憩所のようなものを運営していたり、設備が豪華になればなるほど年間管理費が上がる傾向にあります。

事例別に解説!お墓の相続に関するQ&A

お墓の相続をすることになった!「こんなとき、どうしたらいい?」を事例別に解説します。

1.墓の相続は被相続人が亡くなった後におこなうのが正しい?

2.墓から遠く離れた場所に住んでおり、維持管理が難しい場合墓の相続はしなくてよいか?

3.相続放棄をしたが墓は引き継げるのか?

4.墓の相続を決める会議に、将来引き継ぐ可能性のある子どもも参加してよいか

5.墓の管理をしていた実父が亡くなった。この場合、娘である自分が墓を相続する必要があるのか

6.お墓の相続に相続税はかかる?

お墓の相続をするときに、よく質問として上げられるものを順にご紹介します。いざというときにスムーズな対応ができるように、確認しておきましょう。

墓の相続は被相続人が亡くなった後におこなうのが正しい?

特段の事情がない限り、墓の相続は被相続人が亡くなった後におこないます。

理由は、お墓はあくまでその土地を借りて使用している以上、土地や不動産のように転売や譲渡ができないものだからです。

被相続人が生きていても相続ができる特段の事情として、以下のような例が挙げられます。

・現使用者の高齢化、病気などから、お墓の適正な管理ができなくなった。

・現使用者が結婚、離縁によって氏が変わった。

・帰化などで日本国籍を失った。

上記の場合でも生前相続を認めない墓地もあるため、まずはご契約されている墓地の管理人に問い合わせるのがおすすめです。

墓から遠く離れた場所に住んでおり、維持管理が難しい場合墓の相続はしなくてよいか?

お墓の相続は原則断れないため、どれだけ墓から遠く離れた場所に住んでいたとしても指名されれば相続しなくてはいけません。

「相続財産」を受け取らない相続放棄の手続きをしたとしても。お墓や仏壇といった宗教用具は「祭祀財産」となるため承継する可能性が出てきます。

お墓の相続人は、遺言書、一族や地域の慣習、家庭裁判所の判断の順に優先して決められます。

お墓の相続の優先順位について詳しく知りたい方は相続の優先順位3つをご覧ください。

相続放棄をしたが墓は引き継げるのか?

相続放棄をしてもお墓を引き継げます。

なぜならば、相続放棄で権利を放棄するのは「相続財産」であるからです。

お墓や仏壇といった宗教用具は「祭祀財産」という別物であり、相続放棄の対象にはなりません。

よって、相続放棄をしてもお墓をはじめとした祭祀財産を引き継がされる可能性もあります。

墓の相続を決める会議に、将来引き継ぐ可能性のある子どもも参加してよいか

参加可能です。

参加者が法律で定められているのは、家庭裁判所の取り決めのもとに行う遺産分割調停ですので、墓の相続を決める会議に出席者の縛りはありませんので、誰でも参加が可能です。

墓の管理をしていた実父が亡くなった。この場合、娘である自分が墓を相続する必要があるのか

ありません。

お亡くなりになった実父の遺言書に指定されている人が相続、いなければ話し合いの場を設けて相続人を選出する必要があります。

祭祀財産(亡くなった人が残した遺産のうち、お墓など祭祀に用いるもののこと。)の相続を規定する民法の条項では、相続すべき人を以下のように定めています。

慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき物が承継する。

引用先:相続オールサポート大阪|民法第897条「採否に関する権利の承継」

つまり、慣習に従えば血のつながりがあってもなくても民法上はお墓を相続できるということですね。

よって、実父が墓守だったからといって、その娘が墓を相続する義務はありません。

お墓の相続に相続税はかかる?

「相続税を取られるので墓地を相続するのは避けたい」とお考えではありませんか?

実は、墓地の相続に相続税はかかりません。

理由は、お墓や仏壇といった宗教的なモノは「祭祀財産」といい、税金がかかる「相続財産」とは別物として扱うためです。

よって、相続拒否した方でもお墓や仏壇を相続することができるということですね。

まとめ

お墓の相続について、相続人の決め方から具体的な手順までを解説してきました。

結論、墓の相続は遺言、または話し合いで決めた者が継げばよいとされています。

要は、条件さえ満たせば(遺言書に相続人の指定がなければ)誰が相続してもよいということです。

お墓の相続で押さえておきたいポイントは、以下4点です。

1.誰が相続するかと優先順位

2.相続したらやるべきこと

4.手続きの流れ

3.相続するときと以降の費用感

お墓の相続人を決める優先順位を以下にまとめました。

1.亡くなった人の遺言で相続人として指名されている人

2.一族や地域の慣習により決められた人

3.過程再暗所の調停か審判

相続したら、以下3点のような作業が必要になります。

・お墓の維持管理をする

・法要を主宰する

・遺骨やお墓の行方を決める

お墓を相続するには、墓地管理者に名義変更を申請し、手数料を支払います。

注意したいのが、お墓の相続に相続税はかからないものの、墓の維持管理費や手数料が別途かかるということ。

かかる管理費や手数料は墓地の運営形態により異なります。墓地の名義変更にかかる手数料を例に挙げますと、以下のように価格の差があることがわかります。

運営形態 手数料 備考
公営墓地 500円から数千円程度 墓地の中では最も安い
民営墓地 1万円程度 特になし
寺院墓地 3千円から1万円程度 お布施や檀家名義変更手数料がかかることも

お墓を無事相続し、一件落着に見えたとしても覚えておきたいのが「遺骨やお墓の行方を決める権利はお墓の相続人にある」ということ。

本家の娘や実の両親のことであっても、分骨や改葬をおこなうには墓の相続人の承認が必要になることに注意してください。

被相続人の死後にもめないためにも、生前にきちんと話し合いの場を設けてスムーズなお墓の相続ができるようにしておきましょう。

 

【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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