一日葬の流れを事前にしっかりと把握しておくことで、迷いなくスムーズな葬儀を執り行うことが可能です。本記事では、全体の工程はもちろん、タイムスケジュールと共に参列者や宗教者の方たちへの配慮も含めご紹介しています。ぜひお読みください。
「一日葬って何時から何時くらいまでかかるんだろう」
「一日で見送るとなるとバタバタするんじゃないの?」
一日葬を検討しているが、細かい流れがわからず、興味はあるけれど判断しかねている方もいらっしゃるでしょう。
また、
「慌ただしいと親族からの反応が不安......」
「自分たちだけで決めて良いものなのだろうか」
などなど、一日葬を選ぶまでには様々な不安もございます。
お通夜がなく、一日で葬儀を終える一日葬という葬儀スタイル。
一日葬で無事にお見送りするために注意すべきことは「菩提寺への相談」と「参列者の調整」の2つのみ!
2つのポイントを理解するだけで、一日葬でも落ち着いてスマートに、そして心をこめてしっかりとお見送りすることが可能です。
本記事では一日葬の詳しい流れとタイムスケジュール、そしてトラブルを避けるための注意すべき2つのポイントをご紹介していきます。
「後悔せずに、一日葬を最適な葬儀スタイルとして選びたい。」
という方は是非最後までご覧ください。
INDEX
一日葬全体の流れ
一日葬は一般葬と違い、前日の通夜は行いません。当日は一般葬と同様に火葬・骨上げまで執り行います。
葬儀前日までの流れとタイムスケジュール
葬儀前日までは「葬儀の準備」の日となります。
エンゼルケア [時間:1時間]
ご逝去後、故人様の安らかな旅立ちを願い、故人様に代わりご遺体を拭き清め、死化粧を施します。
病院であれば看護師が行いますが、希望すれば立ち会うことも可能です。
エンゼルケアについては、下記記事もご参考ください。
・エンゼルケアとは?聞いたことはあっても詳しくは知らないエンゼルケアについてその目的や内容を徹底解説!
葬儀社ヘ連絡
葬儀社へ逝去の連絡をします。
亡くなられてから数時間後というまだ実感がわかない中での依頼となるため、あらかじめ葬儀社を決めておくとスムーズです。
死亡診断書のお受け取り
担当医師より死亡診断書を受け取ります。
死亡診断書がなければ火葬や埋葬をすることができず、生存とみなされ、課税や年金支給も継続となってしまいますので、必ずお受け取りください。
荷物整理、入院代のお支払い
病室の荷物整理、そして入院代の支払いを済ませます。
搬送、安置
安置とは納棺までの間、故人様を保管しておくことです。
病院で亡くなった場合、病院の霊安室では約半日しか安置することができないため、一般的にはご自宅、斎場や葬儀社の安置所まで搬送いたします。
迎えの葬儀社によっては故人様が生前好きだった場所、思い出の場所に一緒に立ち寄ることも可能です。
葬儀社との打ち合わせ
搬送、安置がひと段落したタイミングで葬儀社との打ち合わせです。葬儀の費用、日時、場所、葬儀スタイルなどの詳細を決めていきます。
参列者へのご連絡
参列者へ連絡します。一日葬では参列者の数に限りがあります。
そのため可能であれば事前にどこまでお声がけするか、家族や親族、故人様と話し合っておけるとスムーズです。
また、参列者ではない方への訃報連絡の場合、一日葬で参列者を限定することもお伝えし、後日弔問などにお越しいただくようお願いしましょう。
訃報連絡の範囲や方法は、下記記事をご参考ください。
・訃報のお知らせはどうする?訃報を出すタイミングや知らせる相手から知らせる方法から記載すべきことまで徹底解説!
・【文例付き】訃報メールの送信・返信マナーで知るべき11選を解説!
納棺 [時間:30分〜1時間]
葬儀社のスタッフが安置場所に伺い、家族や親族の方と共に故人様が天国へ無事に旅立てるよう、旅支度をするための納棺を行います。
棺の中に思い出の品やお手紙などを入れることができますので、あらかじめ準備しておきましょう。
故人様との最期の夜
故人様が亡くなられてから悲しみに浸る間もないほど、あっという間に様々なことを決めていきます。
弔問客の対応もあるかと思いますが、ようやくここで少しゆっくりお過ごしいただけるでしょう。
お通夜がない分、故人様との最期の夜。
ご自宅に安置される場合は、ペットも一緒に…
隣に寄り添うように添い寝など、思い思いに大切にお過ごしください。
葬儀当日の流れとタイムスケジュール
葬儀当日の朝、告別式、火葬という流れになり、場合によっては初七日法要や精進落としの会食を行います。
告別式 [時間:1時間]
流れは一般葬と同様、下記の通りです。
-
- 1.受付(葬儀開始30分〜1時間前)
- 2.僧侶の読経
- 3.弔辞
- 4.参列者焼香
- 5.僧侶の法話
- 6.喪主挨拶
- 7.最後の挨拶
- 8.出棺
一日葬は縁の深い方々に参列いただくため、火葬にそのまま参加することも多いですが、不参加の方はここで解散となります。
火葬 [時間:約1時間]
こちらも流れは一般葬と同様下記の通りです。
-
- 1.僧侶の読経
- 2.参列者焼香
案内があるまでは併設されている控室で待機します。
告別式、火葬の順序は地域により異なる場合があるのでご注意ください。
骨上げ [時間:30分]
火葬場の係員の指示に従い、故人様と関係が深い方から順に2人1組となり、箸で骨を骨壷に納めていく骨上げを行います。
箸を使うことで故人様を無事にあの世へお送りするための「橋渡しをする」という大切な意味があるのです。
骨壷の中で生前同様頭が1番上に来るよう、足元から順に納めましょう。
初七日法要 [時間:30分]
故人様が三途の川を無事に渡り切れることを祈り行うのが初七日法要です。
昨今では葬儀の日と同日に火葬後繰り上げて行うことも多いため、火葬前の告別式後に執り行われることもあります。
流れは下記の通りです。
1.僧侶の読経
2.参列者焼香
3.喪主挨拶
初七日法要でおこなうことは「全8つ!初七日・四十九日までしてはいけないこと&すべきことを解説」をご参考ください。
精進落し
葬儀でお世話になった僧侶、参列者の方へ感謝の気持ちを伝える食事の席を設けます。
近年では一日葬では精進落としは省略され、参列者と縁が深かった方とのみ、ささやかに食事の時間を設けるという形が多いです。
精進落としについての詳しい流れ・マナーは下記記事をご参考ください。
精進落としとは?葬儀後に行われる食事の席の流れや内容から注意点やマナーまで徹底解説!
一日葬の注意点
一日葬でトラブルなく無事にお見送りするためには、以下の2つのポイントに注意しましょう。
-
- ・一日葬を行うためには菩提寺の許可が必要
- ・参列者が多い場合は非常に慌ただしい印象になる
一日葬を行うためには菩提寺の許可が必要
菩提寺とは先祖代々のお墓を管理しているお寺のことで、主に葬式や法事をお願いする場所です。
仏式での葬儀の場合、菩提寺はお通夜、告別式それぞれの意味を大切にしています。
トラブルを防ぐためにも、菩提寺がある方は必ず事前にお寺に相談しましょう。
参列者が多い場合は非常に慌ただしい印象になる
参列者が多いと非常に慌ただしい印象になります。
そのためゆっくりとお別れしていただくことが難しくなり、1日に詰め込んだという印象を与えかねません。
事前にどこまでお声がけするか、参列か弔問でお願いするかを家族間で話し合っておくと、参列者の目安ができ、判断しやすくなります。
また、弔問をお願いする方が多い場合、その対応も負担となることがありますので注意が必要です。
一日葬に向いている方
以上をふまえ、一日葬はこんな方にオススメする葬儀スタイルです。
-
- ・お通夜なしでも一日で心をこめて見送りたい方
- ・葬儀費用を少しでも抑えたい方
- ・身内・故人と親しかった人のみの少人数で行いたい方
- ・感染症対策として食事は省略したい方
お通夜なしでも一日で心をこめて見送りたい方
一日葬という言葉だけ見ると、必要なものが省かれた慌ただしい印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし少人数だからこそ、負担を最小限に抑え、ゆっくりと丁寧にお見送りいただくことができます。
お通夜はありませんが、葬儀社が入らない自由な時間の中で故人を偲ぶことができるのも、一日葬の魅力かもしれません。
葬儀費用を少しでも抑えたい方
地域や宗派などによりばらつきはあります。
一般葬の平均費用は150〜280万円前後に対し、一日葬の平均費用は約30万〜150万円前後が一般的です。
一般葬に比べると下記項目の費用を抑えることができるでしょう。
・式場費用
1日で葬儀、火葬を行う場合は式場代も1日分となり、費用を抑えることが可能です。
ただし、前日からの式場での準備などで費用が発生することもあるため、事前に葬儀社とよく確認しましょう。
・香典返しの返礼品
参列者が少人数となるため返礼品の費用や負担を抑えることができます。
・飲食費用
本来お通夜ではお通夜後の通夜振る舞いという食事の席が設けられ、僧侶や参列者へ感謝の気持ちを示します。
お通夜を行わないのでこちらの費用、負担が少なくて済みます。
身内・故人と親しかった人のみの少人数で行いたい方
「家族以外の知人にも参列してほしい」「火葬式よりももう少し偲ぶ時間を作りたい」など、理想の葬儀スタイルはそれぞれにあることでしょう。
少人数で、家族や親族以外の方とともにお見送りできる一日葬。
だからこそ知人の方にも火葬まで参列して、最期までお別れしていただけるということも大切な魅力の一つです。
感染症対策として食事は省略したい方
通夜振る舞いを省略するだけでなく、火葬後の精進落しも、参列者がご自宅で召し上がることができるお弁当やグルメギフトをお渡しするケースが増えています。
食事の省略が新しい配慮の形の一つにもなっているのです。
葬儀種類の正しい選び方4選
-
- ・予算から決める
- ・参列者の数で決める
- ・故人の遺志を尊重して決める
- ・「提案書」を事前作成してもらう
故人や遺族にとって最適な葬儀スタイルを選ぶのは大変です。
亡くなってから悲しみに浸るまもなく、あっという間に葬儀社へ連絡し、葬儀の詳細を決めていかなければならないのです。
後悔やトラブルなく選択するためには下記4点を参考に絞っていくとスムーズです。
予算から決める
葬儀は生活費や貯蓄を削ってまで無理に執り行うものではありません。そのためある程度の予算は立てておきましょう。
参列者の数で決める
予算と同様に参列者数も葬儀スタイルを選ぶ大切なポイントの一つです。
参列者が100名以上になると「一日葬」や「家族葬」では対応しきれないため、「一般葬」や「市民・区民葬」の検討が必要となります。
故人の遺志を尊重して決める
予算、参列者数だけではなく、故人様の遺志もプラン選びの重要なポイントです。
できるだけ故人様が望む葬儀とするために、事前に「終活」として葬儀のこと、死後のことなど話しておきましょう。
元気なときだからこそ、参列者やどんな式を望むかを家族に伝えておくことができます。
「提案書」を事前作成してもらう
予算、参列者数、故人様の遺志がまとまったら葬儀社に「提案書」を作成してもらいましょう。
事前に具体的な斎場や安置場所など細かい項目を相談、反映した提案書をもらうことで、葬儀準備もスムーズに行うことができ、葬儀内容や費用感の誤差も少なくなります。
より詳しい葬儀種類の“正しい”選び方は下記の記事をご参考ください。
・プロが教える葬儀種類の”正しい”選び方!6つの特徴〜費用の全情報
まとめ
一日葬の具体的な流れ
円滑に一日葬を執り行うために注意すること
・菩提寺への相談
・参列者は少人数に
葬儀を一日で終えることで、ご遺族の金銭的・精神的・肉体的な負担を軽減できます。
一日葬は少人数でささやかに行うからこそ、あたたかくお見送りできる葬儀スタイルです。
人生の最期に立ち会う大切な葬儀。少しでも心配事を減らし、悲しみに向き合う時間を作り、後悔のないようにしたいですね。
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・負担は軽くても心を込めた見送りができる!一日葬の内容を解説
・精進落としとは?葬儀後に行われる食事の席の流れや内容から注意点やマナーまで徹底解説!
・訃報のお知らせはどうする?訃報を出すタイミングや知らせる相手から知らせる方法から記載すべきことまで徹底解説!
・エンゼルケアとは?聞いたことはあっても詳しくは知らないエンゼルケアについてその目的や内容を徹底解説!
・全8つ!初七日・四十九日までしてはいけないこと&すべきことを解説
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール