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最新の葬儀社の顧客管理手法・クラウド型顧客管理とは?内容と提供サービスを解説!

Jan 19 2021

企業の顧客情報を効果的に活用し、利益を生み出すためのツールとして近年活用されているのが「顧客関係管理(CRM)」です。

様々な業種の企業で導入されていますが、その中でも特に「葬儀社」に関してはどのような活用のされ方がしているのでしょうか?

実際のシステム名と合わせて、このCRMのメリット・デメリットなどをご紹介します。

 

進化する葬儀社の顧客管理

現在、葬儀社による顧客管理の方法は着々と進歩を遂げています。では具体的に、どのような形で顧客管理が行われているのでしょうか?

顧客管理から(CRM)顧客関係管理

葬儀社のみならず、これまでのビジネスにおいては「顧客管理」が行われていたことがほとんどでした。例えば、一度葬儀の事前相談に来た顧客情報を管理し必要に応じてDMなど送付する、というものです。

もちろんこれも全くの無駄ではありません。しかし、インターネットやSNSの発達により様々な情報を獲得できるようになった今、顧客自身が「自分に合う商品はどれなのか?」ということを容易に選択できるようになり、漫然と「DMを送付する」というような行為だけでは自社を選んでもらえる可能性が低くなっているのです。

そのため、新規顧客に選んでもらうだけでなく既存顧客の流出を防ぐためには、顧客の属性をさらに細かく見極めそれにふさわしいアプローチをする必要があります。例えば、先ほどの例でいくと「DMに反応があった顧客とそうでない顧客に分け、反応がなかった顧客に対しては個別で再アプローチを行い、ヒアリングをする」というような具合です。

このように、顧客の属性をさらに詳しく見極め、それぞれに合った展開をすることで利益を最大化するための手法を「顧客関係管理(CRM)」と呼んでいます。

最新の葬儀社の顧客管理手法

それでは、葬儀社に関してはどのような顧客管理手法が用いられているのでしょうか?
葬儀社に導入される顧客関係管理(CRM)においては、以下のような点を重点的にフォローすることが大切です。

現在の顧客状況を細かく把握し、それに応じた提案をする

故人の弔いというのは、葬儀を一度行って終わりというものではありません。その後の法事・法要や相続に関する相談、散骨の実施やお墓の建立など、アフターフォローすべき場面はいくつもあります。

そのような顧客の状況に合わせて葬儀社側が提案すべきものは当然変わってきます。できれば適切な時期に適切なアフターフォローを入れることで、再び自社を選んでもらいたいことでしょう。

そのためには「顧客は今どのような状況なのか?葬儀からどのくらい経っているのか?現在の悩みに対して提案できるサービスはあるのか?」などということを把握しておくことが不可欠。CRMの実施により、それらの細かい顧客情報を漏らさず管理することができるのです。

見積書のスムーズな発行

人の不幸は突然訪れます。その場合でも滞りなく葬儀を進める必要があるため、なるべく少ない工数で見積書を発行するということが重要です。CRMを活用することで、登録された顧客情報を基にミスなく定型化を行い、不足分は担当者が直接ヒアリングしたものを埋めることで完成させることができます。

スムーズな情報共有

先述の通り、人にいつ不幸が訪れるのかということを予想はできません。そのため葬儀社は、24時間365日体制で葬儀に対する準備をしておく必要があります。当然そこには正確性とスピード感が求められることとなり、スタッフが入れ替わったとしても滞りなく予定が進むように連携をしなければなりません。

例えば「事前相談の担当者」と「実際の施工担当者」が異なる場合、情報共有がしっかり行われていなければ顧客に対して同じ話をもう一度要求しなければならない時もあります。顧客側からすると何度も同じことを聞かれるのは手間ですし、それにより顧客が離れていく可能性もあるでしょう。

また、葬儀会館の予定を確認するためにいちいち事務所に確認を取ってもらうということもありました。しかしその度に作業は中断され、万が一埋まっていた場合再び全員の予定を合わせる手間も生まれます。

このようなことを無くしスムーズな引き継ぎや場所の確保等を実現するためにCRMが活用されているのです。

クラウド型顧客管理とは?

現在ではクラウドによって顧客管理を行なっている葬儀社も増えています。それでは具体的に「クラウド型顧客管理」とは、どのようなものなのでしょうか?

クラウド型顧客管理とは?

「クラウド型顧客管理」とは、外部のデータセンターを利用して顧客情報をまとめて管理するという手法です。インターネットを使える環境さえ整っていれば利用することができます。データ上で顧客情報を管理するので、よほどのことがない限りは膨大な量になっても問題ありません。

このまとめた情報は社内で共有可能です。顧客情報を検索することでメルマガの配信や電話での直接アプローチもできますし、かさばりやすい紙類(名刺など)をデータ化することもできます。また、登録してある情報を基に「この顧客にはいつどのようなアプローチをすべきなのか?」ということも管理することができるのです。

従来の顧客管理手法との違い

従来は「オンプレミス型」という顧客管理手法が主流でした。これはクラウド型とは異なり、システムに必要なサーバーを自社で購入し設置まで行うというものです。

オンプレミス型の場合は、CRMを構築する際にサーバーへシステムのソフトウェアをインストールすることまで自社でやらなければなりません。そのため初期費用が大きく、物理的にサーバーを設置する場所も準備しなければならないため、始めるためのハードルは若干高いと言えます。

また、ソフトウェアのアップデートに合わせて再度インストールする必要もあるため、そうしたことを手間だと考える葬儀社であれば活用は難しいでしょう。

ただ、自社内のサーバーを使うのでセキュリティ面は担保しやすくなります。また、一度ソフトウェアをインストールできれば基本的にはその後のライセンス料などがかかりません。

クラウド型顧客管理のメリット

クラウド型とオンプレミス型にはそれぞれ特徴があるため、どちらが良いというものでもありません。それでは具体的に、クラウド型顧客管理におけるメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?まずはメリットからです。

インターネットさえあればどこでも接続可能

クラウド型であれば、インターネット環境さえ整っていればどこからでも接続可能です。「社内でしか情報を閲覧できない」ということがないので、顧客先ですぐ見積書の修正を行なったり、急な問い合わせにも迅速に対応することができるでしょう。

初期費用を抑えられる

クラウド型の場合、すでに企業が提供しているデータセンターを使うだけなので初期費用はほとんどかかりません。クラウド型以外ではシステムの開発や管理、更新など諸々の費用がかかるので、最初にこうした金額を用意できる企業でないと使うのは厳しいでしょう。

また、サーバーの設置などに場所を取られることもありません。そのため、なるべく低コストで手間をかけずに顧客管理を始めたいと考えている葬儀社にはぴったりと言えます。

時間を捻出できる

クラウド上で必要な情報をあらかじめ共有しておけば、すり合わせのための時間を削減することができます。特に葬儀社の場合は24時間365日素早い対応が求められるので、限られた時間をメイン業務に使えるのは大きなメリットと言えるでしょう。

セキュリティ面も改善されている

以前であれば「自社サーバーの方が情報漏洩などの面で安心」という意見もありました。しかし最近では、通信の暗号化も行われ第三者認証の取得をしているクラウド型顧客管理システムなどもあり、セキュリティ水準は確実に上がっていると考えられています。特に最近では金融機関でもクラウド化を導入しているところもあるので、そうした心配はかなり解消されていると考えていいでしょう。

クラウド型顧客管理のデメリット

反対にデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

従量課金制であることが多い

クラウド型の顧客管理システムは「1アカウントにつきいくらかかる」という従量課金制であることが多いです。そのため利用アカウント数が多い企業の負担は増加し、これが毎月必要となるので使い方によっては想像以上に費用がかさむ恐れもあります。

先ほど「初期費用がかからない」と書きましたが、場合によっては「トータルで見るとサーバーを設置して自社で運用した方が安かった」ということもあり得るので注意しましょう。

カスタマイズ性が低いことがある

各企業によって提供されているシステムは、基本的に「どの企業が使っても差し支えない」ということを前提として作られています。そのため、自社の業態には合わないことがあるかもしれません。自社サービスではない以上、そのデメリットは考慮しておきましょう。

ただし、中には(後述しますが)葬儀業者向けのシステムを提供している企業もあります。そのため、あらかじめそうした面を確認しておくことが大切です。

 

 

主なクラウド型顧客管理システム

それでは、葬儀社にオススメなクラウド型顧客管理システムにはどのようなものがあるのでしょうか?

CEREX(セレックス)

「CEREX(セレックス)」は、ベーシック株式会社が運営している葬儀社専用業務支援システムです。遺影写真の加工業務・葬儀前の事前相談を行うスタッフの支援ツール・葬儀の演出事業など、これまで全国の葬儀社と様々な面で接点を持ってきた経験から作成されたシステムとなっています。葬儀施工単位での売上管理や直感的な操作ができる画面など、葬儀社が使いやすい工夫が満載です。

Infini One Funeral

「Infini One Funeral」は、FutureOne株式会社が運営している葬儀業務特化の基幹業務システムです。「終活からアフターケアサポートまで」を掲げ、葬儀関係における複数の状況に対応できるシステムを構築しています。

具体的には、「葬儀場ごとの収支」「顧客への施工履歴」「葬儀後の物品販売」などセグメントごとに情報を可視化することで、その都度必要なニーズに応えられるようなサポートを行なっているのです。

葬儀前の事前相談の段階から顧客情報の管理が始まりそこから情報を積み上げることで、葬儀が終わった後もワンストップで顧客に適切な提案することができますね。

船井ファストシステム for エンディングCRM

「船井ファストシステム for エンディングCRM」は、株式会社船井総合研究所が運営している葬儀社専用のクラウド型管理システムです。一つの顧客管理画面で、事前情報・実際の葬儀の施工・アフターフォローまで一元管理することができます。葬儀会館の空室情報や営業担当者の予定などもわかるため、事務所へ一度連絡する手間を省いて現場で即座に調整を行うことができるでしょう。

カスタマイズによっては、登録情報を基に自動で請求書を作成することもできます。また、担当者別の施工数や事前相談対応数などの情報も管理できるので、個々人の状況を把握し正しく評価することにも繋がるでしょう。

スマート葬儀CRM

スマート葬儀CRM」は、ライフエンディングテクノロジーズ株式会社が運営しているオンライン葬儀のプラットフォームです。葬儀や告別式、お別れ会などの様子をリモートで確認できるだけでなく、香典のキャッシュレス決済・弔電や供物、返礼品手配などのクレジット決済・タブレットから芳名帳への記帳など、葬儀に関するあらゆることをオンラインで行うことができます。

高齢化の進む日本では、「参列者も高齢者であるため体力的に会場へ行けない」ということも十分あり得ます。また感染症なども話題に上がる昨今では、なるべく人の接触機会を減らしたいと考えている方も多いことでしょう。そうしたニーズの増加に対応したサービスと言えます。

そして、このスマート葬儀CRMは2020年12月23日(水)〜CRM機能の追加も行いました。顧客のステータスを一元管理することにより、現在の状況にその都度合わせた効果的な提案が可能となっています。

Orange Works

「Orange Works」は、株式会社オレンジライフが運営している葬祭業支援システムです。家単位で起こったことを時系列に並べた上で管理することで、かつての関わり方やこれから提案すべきことなどをスムーズに把握することができます。担当者ごとの施工情報や予定をすぐ確認できるので関係者間の連携も取りやすくなるでしょう。

また、社内日報機能の活用により、各担当者の情報や抱える問題点を速やかに吸い上げ改善策の提示へと繋げることもできます。

Kintone

「Kintone」は、サイボウズ株式会社が運営する業務効率化のためのクラウドサービスです。これまでのクラウド型顧客管理システムとは異なり、葬儀社に特化したサービスというわけではありません。しかし、既存のアプリ自体のカスタマイズ性が高く「日報・交通費申請・案件管理・採用面接管理」など幅広い業務に対して活用することができるのです。

そのため、葬儀社での導入事例もあります。例えば、「受注時入電」「葬儀相談」「アフターフォロー」「施行情報」といったあらゆる場面で得た顧客情報をKintoneで管理することによって、必要な場面で登録情報を生かした営業活動ができるのです。

葬儀の顧客管理方法とサービスについてのまとめ

以上が葬儀の顧客管理方法やそのサービスに関する知識のご紹介です。では改めて今回ご紹介した内容をまとめて振り返りましょう。

◎新規顧客に選んでもらうだけでなく既存顧客の流出を防ぐためには、顧客の属性をさらに細かく見極めそれにふさわしいアプローチをする必要がある。そのための手法を「顧客関係管理(CRM)」と呼ぶ。

◎葬儀社に導入される顧客関係管理(CRM)においては、以下のような点を重点的にフォローすることが大切。

現在の顧客状況を細かく把握し、それに応じた提案をする

顧客の状況に合わせて葬儀社側が提案すべきものは変わる。そのためには「顧客は今どのような状況なのか?葬儀からどのくらい経っているのか?現在の悩みに対して提案できるサービスはあるのか?」などということを把握しておくことが不可欠。

見積書のスムーズな発行

滞りなく葬儀を進める必要があるため、なるべく少ない工数で見積書を発行するということが重要。

スムーズな情報共有

人にいつ不幸が訪れるのかということを予想はできない。そのため情報共有に正確性とスピード感が求められるため、滞りなく予定が進むように連携をしなければならない。

◎「クラウド型顧客管理」とは、外部のデータセンターを利用して顧客情報をまとめて管理するという手法。インターネットを使える環境さえ整っていれば利用することができる。

◎従来は「オンプレミス型」という顧客管理手法が主流だった。クラウド型とは異なり、システムに必要なサーバーを自社で購入し設置まで行うというものである。

◎クラウド型顧客管理のメリットとしては以下のようなものが挙げられる。

インターネットさえあればどこでも接続可能

クラウド型であれば、インターネット環境さえ整っていればどこからでも接続可能。

初期費用を抑えられる

すでに企業が提供しているデータセンターを使うだけなので初期費用はほとんどかからない。

時間を捻出できる

クラウド上で必要な情報をあらかじめ共有しておけば、すり合わせのための時間を削減することができる。

セキュリティ面も改善されている

通信の暗号化も行われ第三者認証の取得をしているクラウド型顧客管理システムなどもあり、セキュリティ水準は確実に上がっていると考えられている。

◎クラウド型顧客管理のデメリットとしては以下のようなものが挙げられる。

従量課金制であることが多い

クラウド型の顧客管理システムは「1アカウントにつきいくらかかる」という従量課金制であることが多い。

カスタマイズ性が低いことがある

各企業によって提供されているシステムは、基本的に「どの企業が使っても差し支えない」ということを前提として作られているため、自社の業態には合わないことがある。

◎主なクラウド型顧客管理システムとしては以下のようなものが挙げられる。

CEREX(セレックス)

ベーシック株式会社が運営している葬儀社専用業務支援システム。葬儀施工単位での売上管理や直感的な操作ができる画面など、葬儀社が使いやすい工夫が満載。

Infini One Funeral

FutureOne株式会社が運営している葬儀業務特化の基幹業務システム。「終活からアフターケアサポートまで」を掲げ、葬儀関係における複数の状況に対応できるシステムを構築している。

船井ファストシステム for エンディングCRM

株式会社船井総合研究所が運営している葬儀社専用のクラウド型管理システム。一つの顧客管理画面で、事前情報・実際の葬儀の施工・アフターフォローまで一元管理することができる。

スマート葬儀CRM

ライフエンディングテクノロジーズ株式会社が運営しているオンライン葬儀のプラットフォーム。葬儀や告別式、お別れ会などの様子をリモートで確認できるだけでなく、香典のキャッシュレス決済・弔電や供物、返礼品手配などのクレジット決済・タブレットから芳名帳への記帳など、葬儀に関するあらゆることをオンラインで行うことができる。

Orange Works

株式会社オレンジライフが運営している葬祭業支援システム。家単位で起こったことを時系列に並べた上で管理することで、かつての関わり方やこれから提案すべきことなどをスムーズに把握できる。

Kintone

サイボウズ株式会社が運営する業務効率化のためのクラウドサービス。既存のアプリ自体のカスタマイズ性が高く「日報・交通費申請・案件管理・採用面接管理」など幅広い業務に対して活用することができる。

現在、葬儀社が活用できるクラウド型顧客管理システムはいくつもあります。各社ごとに特徴も異なるので、自社はどのように使用したいのかということをきちんと考慮し、それぞれにマッチしたサービスを選ぶことで業務の効率化を図っていきましょう。

 

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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