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「財産目録」の書き方のポイントは5つだけ!簡単な作成のコツを解説

Jun 15 2022

財産目録を作れば、相続財産のすべてが分かり、遺産分割協議がしやすくなり、相続税の申告や相続に必要な手続きがスムーズになります。書式などは自由ですが、財産の調査にはテマと時間がかかるので、専門家に頼めばより効率的で正確な相続が実行できます。

「財産目録って必ず必要なもの?」
「自分でも書けるの?」
「専門家に依頼するといくらかかるの?」 

例えば、親が急逝した場合、葬儀の最中から「相続はどうする?」の声が聞こえてきます。

そんな時に役立つのが「財産目録」です。 

画像引用先:財産目録記載例|裁判所

財産目録は、被相続人(亡くなった人)の財産のすべてをまとめた書面で、相続を円滑かつ正確に実現させます。書き方や書式のルールは特になく、自分で書くこともできます。

自分で書くことで相続財産の内容を把握しやすくなり、相続人同士のトラブルを防いだり、遺産分割協議や相続税の申告などがスムーズに行えるメリットがあります。

しかし、記載内容を調べることにテマと時間がかかったりするため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼する人も多いです。

本記事では、財産目録を自分で書くときの5つのポイントや注意点、専門家に依頼する際の費用についてまで、わかりやすくご紹介します!

「財産目録の作成」について知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

財産目録の書き方の5つのポイント

自分で財産目録を書く場合の5つのポイントを説明します。

1.書式は自由でパソコンでもOK
2.プラスの財産もマイナスの財産も記載する
3.項目別に詳細に書く
4.パソコンで作成したら全ページに署名押印が必要
5.生前に財産目録を作る場合、自筆の遺言書とは別の紙に書く

書式は自由でパソコンでもOK

財産目録には、書き方や書式のルールは特になく、被相続人が生前に作成して遺言に添えることもできますし、遺言がない場合は、相続人が協力して被相続人の財産目録を作成することも可能です。

また、遺言の内容を正確に実現させるために必要な手続きを行う「遺言執行者(人)」がいる場合は、執行者が財産目録を作成しなければならないと法律で決められています。

財産目録はもともと手書きで作成する必要がありましたが、改正法によりパソコンなどでも作成できるようになり、よりカンタンに作れるようになりました。

プラスの財産もマイナスの財産も記載する

財産目録には、預貯金や不動産等のプラスの財産だけではなく、被相続人の借金・ローンの残額、未払いの税金・光熱費、保証債務等、支払い義務が生じるマイナスの財産も記載が必要です。

また、また被相続人の死後、葬儀をおこなった場合、葬祭費用もマイナス財産として記載できます。

項目別に詳細に書く

財産目録には手続きを迅速に進めるため、財産の項目別に詳細をまとめておく必要があります。

証拠書類を見ながら正確な財産の種類、内容、評価額などを書き込みましょう。項目ごとの記載内容は下記の通りです。

【財産目録に記載する6つの主な項目と記載内容】

1.銀行預金
銀行名、支店名、口座種別、口座番号、名義、最終確認日、預金残高、管理者
2.不動産
所在、家屋番号、種類、床面積・地積、地目・現況、持ち分、構造、評価額 等
3.有価証券(株式・投資信託等)
金融機関名(証券会社名)、取引支店名、有価証券種類、銘柄(会社名)、保有数、評価額
4.自動車・バイク、船舶、貴金属、骨董品
資産種類、資産を特定できる特徴、保管場所、評価額

例:「時計」と記載するだけではなく、「自室に保管している〇〇社の品名△△△(製造番号××××)の時計」といったような記載

5.みなし相続財産(生命保険等)
保険会社名、保険種類、証券番号、保険金額(受取額)、契約者、受取人
6.負債(借入金、保証債務等)
借入先名、負債の内容(住宅ローン・自動車ローン等)、借入日、残額、返済月額、備考(保証人名、連帯保証人の立場等)

すべての財産を合算した合計額まで記入すると財産目録は完成となります。

パソコンで作成したら全ページに署名押印が必要

財産目録は、手書きだけでなくパソコン等で作成してもかまいません。書式・様式の制限やルールはありませんし、印刷方法も自由です。

ただし、パソコン等で作った財産目録には、全てのページに署名・捺印する必要があります。特に、両面印刷にした場合も、必ず両面に署名押印をすることを忘れないようにしましょう。

生前に財産目録を作る場合、自筆の遺言書とは別の紙に書く

生前に財産目録を作る場合、遺言者が全文を手書きで書く「自筆証書遺言」の書面にまだ記入できるスペースがあっても、財産目録は別の用紙で作成しましょう。万一記載内容に変更が生じた際に便利です。

また、遺言書のスペースに書き込む場合も、同じく手書きにしなければなりません。

財産目録ができあがったら、遺言書本体に合わせてホッチキス等でしっかりとじます。遺言書と別々の場合、自筆証書遺言では要件を満たさない可能性があるため一体にして保管します。

財産目録の書き方の流れ

 

画像引用先:財産目録記載例|裁判所

流れは「財産を調査する」→「用意した書式に記載する」と、明確です。財産をしっかり調査してから作成を始めましょう。パソコンで作る場合、テンプレートの活用が便利です。

財産を調査する

財産目録を書くためには、一番重要なのは、どんな財産がどのくらいあるのかを調べることです。ここでは、被相続人が亡くなった後を前提に、項目ごとに調査のポイントをまとめます。

預貯金

通帳、キャッシュカードや銀行からの手紙から各金融機関に訊ねます。ネット銀行の場合は、PCやスマホの履歴をたどって取引を確かめられます。

取引銀行が判明したら、死亡の連絡をして、口座の凍結、預金残高証明書の発行を依頼します。

預金残高証明書の発行には、被相続人の除籍謄本・申請者と相続人との関係を証明する戸籍謄本など・印鑑登録証明書・銀行所定の申請書などの準備が必要です。

不動産

まず不動産の権利証や、固定資産納税通知書を探し、見当たらない不動産に関しては市町村ごとに不動産の情報をまとめた名寄帳を取得します。

名寄帳の取得には、被相続人の除籍謄本・申請者と相続人との関係を証明する戸籍謄本など・申請者の本人確認書類が必要です。

有価証券(株式・投資信託等)

預貯金と同様に、証券会社等からの手紙やメールを探し、金融機関に確認します。

配当金が出ている場合には、銀行口座に振り込みがありますので、預金通帳からも確認することが可能です。

自動車・バイク、船舶、貴金属、骨董品

現物の確認には時間はかかりませんが、自動車・バイク、船舶などは、名義人が被相続人であるかどうか、車検証などの書類の確認が必要です。

また、それぞれの物品の保証書や鑑定書も取りそろえます。

評価額は、それぞれの動産の買取査定業者等の査定額を記載しましょう。

みなし相続財産(生命保険等)

「みなし相続財産」とは、被相続人が亡くなったことによって受け取ることができた財産のことで、生命保険(死亡保険金)がこれに当たります。

保険証券を探したり、保険会社からの郵送物、銀行口座からの保険料の引き落としや確定申告書類を確認しましょう。

ただし、遺産分割の対象になるのは、受取人が被相続人本人の場合のみとなりますが、相続税の課税財産を考える際には必要になってくる財産です。

負債(借入金、保証債務等)

まずは、カード類や、金融機関・消費者金融からの請求書や督促状の確認し、銀行口座から返済の取引がないかどうかを調べ、抵当権のある土地がないかなど不動産の登記簿をチェック。さらに各信用情報機関への開示手続きを行ない、負債(借入金)がないかを調べます。

住宅ローンなどは、団体信用生命保険(団信)による特約でローンを完済できる可能性もあります。

書式を決める

調査が終わるといよいよ財産目録づくりです。手書きでもパソコンでも書き方・書式は自由です。ただし、見直した際の修正や追加を考えるとパソコンで作成することが便利です。

ただし、「生前に財産目録を作る場合、自筆の遺言書とは別の紙に書く」でもご紹介したように、生前の財産目録作りで、遺言書の用紙に書き込む場合には手書きにしなければなりません。

パソコン用のテンプレートを使うと便利!

 

引用先:財産目録記載例|裁判所

財産目録をパソコンで作るなら、必要項目が構成された既存のテンプレートを利用するのが効率的です下記のように裁判所が用意しているテンプレートもありますし、弁護士や行政書士のサイトから無料でダウンロードできるものもあります。

テンプレートはそのまま使うことも可能ですし、自分のケースに合わせてアレンジすることも可能です。また、テンプレートをプリントアウトして書き込むこともできます。

【テンプレート公開先】

家庭裁判所で使う書式|裁判所

財産目録(XLSX:21KB)をクリックでダウンロード可能

相続財産目録(簡易版)ひな形(Excelシート)|行政書士法人エベレスト

専門家に任せる場合の依頼先と費用

主な依頼先は、行政書士、弁護士、税理士、司法書士、信託銀行の5つ。もちろん、財産目録の作成を単独でも依頼できますが、相続の内容によっては、遺言執行者に選定して、相続に関わるすべての手続きを代行してもらう方が割安になるかもしれません。

【財産目録作成(調査込み)の報酬の目安】

※信託銀行以外は、調査内容・件数ごとに追加料金が派生する場合が多い

  報酬目安 メリット デメリット
行政書士 3万円〜30万円 ・比較的安価

・相続財産目録の作成以外にも遺言書や遺産分割協議書の作成等もOK

・戸籍謄本類の代理収集○

・紛争解決×

・不動産の名義変更申請×

・相続税の申告×

・ただし、外注して一括で請け負う場合アリ

弁護士 14万円〜30万円

調査料金1万円+目録作成料4万円前後

・相続人の間でもめ事になりそうな場合、紛争解決に強い ・財産調査や財産目録の作成だけで依頼を受けるケースは少ない

・不動産の名義変更申請×

・相続税の申告×

税理士 3万円〜30万円 ・相続税が派生する場合の申告ができる ・紛争解決×

不動産の名義変更申請×

司法書士 2万円〜30万円 ・不動産がある場合、名義変更申請ができる ・紛争解決×

・相続税の申告×

信託銀行 士業への外注料+手数料 ・どんな手続きも一括で引き受ける ・基本的には士業へ外注し、外注料+手数料がかかり

費用が割高になる

迷ったら「行政書士」がおすすめ!

 生前に財産目録の作成だけを依頼するなら、行政書士が便利です。

ある行政書士事務所の場合、財産調査の基本料金は5万円、調査先1件追加ごとに1万円が加算されます。

調査後の財産目録作成は20件までが調査料金に含まれ、21件目からは1件ごとに2千円が追加されます。

例えば、銀行・証券会社の調査が12支店、債務調査先が5件、市町村が違う不動産の所在地が7件ある場合、調査先はぜんぶで24件ですから…

5万円(基本料金)+23万円(追加調査件数)+(24-20×2千円)(財産目録追加料金)=28万8千円(税別)

となります。仮に調査先が1件の場合は、5万円(税別)で済みます。

まとめ:財産目録の作成でよりスムーズな相続を!

財産目録の書き方のポイントは5つ。

1. 書式は自由で、手書きでもパソコンでもOK。
2. プラスの財産もマイナスの財産も記載。
3. 銀行預金、不動産、有価証券(株式等)、自動車・バイク、貴金属、骨董品などの動産、みなし相続財産(生命保険)、負債(借入金や債務)など項目ごとに詳細に書きましょう。
4. パソコン等で作成したら全ページに署名押印
5. 生前に財産目録を作る場合、自筆の遺言書とは別の紙に。

財産目録の作成は、徹底的な調査からはじまります。

特に、被相続人が亡くなった後では、負債も含めてしっかりと調査して相続財産の全貌把握することが肝心です。

調査完了後は、書式を決めて財産目録を作成します。パソコンを使う場合は、既存のテンプレートを使うとテマなく便利です。

しかし、財産の調査方法や、財産目録の作成方法が分からない場合や十分な時間が取れない場合は、行政書士をはじめ専門家に相談するとよいでしょう。

【財産目録作成(調査込み)の報酬の目安】

※信託銀行以外は、調査内容・件数ごとに追加料金が派生する場合が多い

  報酬目安 メリット デメリット
行政書士 3万円〜30万円 ・比較的安価

・相続財産目録の作成以外にも遺言書や遺産分割協議書の作成等もOK

・戸籍謄本類の代理収集○

・紛争解決×

・不動産の名義変更申請×

・相続税の申告×

・ただし、外注して一括で請け負う場合アリ

弁護士 14万円〜30万円

調査料金1万円+目録作成料4万円前後

・相続人の間でもめ事になりそうな場合、紛争解決に強い ・財産調査や財産目録の作成だけで依頼を受けるケースは少ない

・不動産の名義変更申請×

・相続税の申告×

税理士 3万円〜30万円 ・相続税が派生する場合の申告ができる ・紛争解決×

不動産の名義変更申請×

司法書士 2万円〜30万円 ・不動産がある場合、名義変更申請ができる ・紛争解決×

・相続税の申告×

信託銀行 士業への外注料+手数料 ・どんな手続きも一括で引き受ける ・基本的には士業へ外注し、外注料+手数料がかかり

費用が割高になる

費用は3万円〜と表記されますが、財産の調査内容・件数ごとに追加料金が派生する場合が多いので、依頼する際には事前に見積もりなどで確認することをオススメします。

財産目録は、必ず作成しなければならない書類ではありません。しかし、被相続人の相続財産を明確にし、相続をスムーズにするために大変役に立つ書類でもあります。

この記事を読んで財産目録の作成に前向きになっていただければ幸いです。

【監修】高橋圭(司法書士・宅地建物取引士)

略歴
高橋圭 (たかはし けい)
青山学院大学法学部卒業。
2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。
司法書士法人中央ライズアクロスグループCEO代表社員

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