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戒名の居士とは?他の戒名との違いから戒名の決め方、生前戒名まで完全解説!

Mar 27 2021

居士という言葉をご存知でしょうか?。読み方は居士(こじ)で戒名の一つです。本記事では、居士を含めた戒名の由来や意味や値段だけでなく、混同しがちな信士(しんじ)との違いについてなどについても解説していきます。

みなさんは戒名についてどこまでご存知でしょうか。実は戒名にはいくつかのランクがあるのです。そのうちの一つが居士と呼ばれるものです。

今回は、そんな戒名の種類の1つである居士について解説してまいります。

戒名(かいみょう)とは?

みなさんは戒名という言葉を聞いたことがあるでしょうか。葬儀や法事の際に、故人の遺影と一緒に並べられた漢字の並びがこの戒名にあたります。

今回は、この戒名の一つの種類である居士について解説してまいります。

戒名とは?

戒名とは、仏の弟子になったことを示す名前のことです。戒名の「戒」という字は、戒めを表します。僧侶などが仏の弟子になり、悟りを開くために守るべきルールのことです。仏教で修行をする際には、このルールを守らなければなりません。こうしたルールを戒律と言います。

戒名の由来

昔、中学校の社会科の授業で鑑真が日本に戒律をもたらしたといったことを習ったことがあるのでは無いでしょうか。

戒律をしっかり守って、はじめて正しい僧侶、きちんとした仏の弟子になることができるのです。こうした意味では、中国から鑑真がやってきたのは、日本仏教にとってとても大切な出来事だったのです。

この戒律のうち「戒」の部分は、先程お話したように、悟りを開くためのルールです。一方で「律」の部分は、日常生活の中で守らなければならないルールを指します。みなさんもこの律に関しては、「自分を律する」といったように使ったことがあるのでは無いでしょうか。

少し話が膨らみましたが、このように、戒名とは、戒律を守って仏の弟子になる際にもらう、仏教徒としての名前のことを指します。

俗名とは?

一方で、仏教徒としてではなく、普通に生きる人としての名前を「俗名」と呼ぶ場合があります。お坊さんなどはこの「戒名」と「俗名」を上手に使い分けているわけですね。

法名とは?

ちなみに、浄土真宗には戒名が存在しないため、「法名」と呼んでいます。この「法」については、法律ではなく、仏の教えのことを法と呼ぶのです。

>>「法名(ほうみょう)」とは?戒名との違いや料金の相場とは

聖徳太子が十七条の憲法で説いた「仏法僧を尊ぶべし」の仏は仏そのもの、法は仏の教え、僧は仏の教えの実践者を意味しているのです。

居士(こじ)とは?

さて、続いて居士について説明してまいります。実はこの戒名には、ランクのようなものが存在しています。このランクの1つが居士なのです。

居士の由来

居士は、出家をすることなく、家庭の中で修行を行っていた人のことを指します。家に居るので居士というわけです。出家はしておらず、僧侶にはなっていないものの、しっかりと修行をしているわけですから、一般的な仏教信徒よりは知識量も多く、格が上になります。

歴史上の人物だと、千利休などがこの居士として有名になります。また、昔は、武士など上流階級の人の戒名に使われることが多く、一般市民で居士の付く人は多くありませんでした。

これは、本来の戒名のランクは、お寺への貢献度によって決まっていたからです。現在は多くのお布施を渡す=お寺へ貢献していると考えられているため、ある程度のお布施を準備すると居士の戒名をもらうこともできるようです。

お布施については、こちらの記事もご参考ください。
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居士と信士(しんじ)の違い

続いて、居士と信士の違いについて説明してまいります。この信士も同様に、戒名のランクの一つであると言えます。

居士よりは格が下がり、より一般化されたものです。意味としては、修行を積んでいたわけではないものの、仏教に帰依した信者といった意味になります。

一般的な戒名の構成

戒名は、それぞれ意味のある漢字を並べたものになります。ここでは、そんな戒名の構成についてお話してまいります。

ただの漢字の羅列に見えた戒名も、その構造を理解すれば、また違ったものに見えてくるかもしれません。ご先祖の戒名に隠された意味なども渡ってくるでしょう。ぜひ、ご自身の戒名をつける際にも、自分で構造について理解していれば、少し違った思い入れのある戒名を授かることができるかもしれません。

加えて、戒名というものは、宗派によってその構造が違うものです。ここでは複数の宗派についてご紹介しますが、自分の宗派をしっかり確認してみることをおすすめします。

真言宗の場合

さて、まず真言宗の場合についてご説明してまいります。

真言宗の場合は、戒名の前に「梵字(ぼんじ)」と呼ばれる文字が付くことが一般的です。梵字とは、古代のインドなどで使われていたサンスクリット語の文字になります。

御経などは、漢字で書かれているものをイメージされる方が非常に多いように感じます。なかには、仏教自体中国の発祥であると思われている方もいらっしゃるかもしれません。

実際は、古代インド周辺で生まれたブッダから始まった宗教が、仏教になります。ですからその教えである御経なども、もともとは、その当時インドで使われていたサンスクリット語で書かれているものになります。

現在の日本に伝わった仏教文化は、中国や朝鮮半島を経由して入ってきているわけですから、一度中国語に翻訳された教えが伝来しているのです。

戒名の構成としては、「院号(いんごう)→道号(どうごう)→戒名→位号(いごう)」といった構成となっています。

天台宗の場合

続いて、天台宗の戒名の構造に関してですが、これは、ほとんど真言宗と同じものとなっています。

みなさんも社会科の授業で習ったことを覚えていらっしゃるかもしれませんが、天台宗も真言宗も「密教」と呼ばれる同時期に同じ場所から伝わった宗教になります。

浄土宗の場合

続いて、浄土宗の戒名の構造に関してですが、「誉号(よごう)」とよばれる漢字が入ることが特徴としてあげることができます。加えて戒名の先頭に、「キリーク」と呼ばれる文字が入ることも特徴の一つとしてあげることができます。

浄土真宗の場合

次は、浄土真宗についてです。なかには混同される方もいらっしゃいますが、浄土宗と浄土真宗は開祖も違う、別の宗教になります。そのため、戒名に関するルールも全く異なるため注意が必要です。

まず、浄土真宗には「戒名」と呼ばれるものが存在しません。記事中でも少しご紹介したとおり「法名」と呼ばれるものがそれにあたります。これは、他宗派のような「戒律」が存在しないためです。

加えて、法名に格式はなく、男性の場合は釋(しゃく)、女性の場合は釋尼(しゃくに)のいう文字が最後に付きます。これは、仏のもとでは皆平等であるという考え方を表しているのです。

禅宗の場合

続いて、禅宗における戒名の構造についてご紹介致します。禅宗の戒名も「院号・道号・戒名・位号」で構成されています。

禅宗のみに見られる特徴としては、位牌の一番上の部分に、「新帰元(しんきげん)」という文字を入れる場合があります。一方で、これは白木の場合のみで、本位牌の場合には、この文字は付きません。

日蓮宗の場合

最後に、日蓮宗における戒名についてお話致します。日蓮宗の場合も、浄土真宗と同様に戒名はなく、「法号」と呼びます。

日蓮宗の法号の特徴としては、他宗派の道号の部分に「法」や「妙」といった文字が入ることが挙げられます。また、他宗派の戒名の部分には、「日」の文字が入ります。

各宗派では法要も変わってきます。詳しくは「四十九日法要のお布施を完全解説!相場・地域・宗派を詳しく紹介!」をご覧ください。

戒名の順位とお布施の目安

ここまで、戒名の構造などについてお話してまいりました。ここからは、実際に戒名を授けて貰う場合のお布施の目安や、戒名の順位について解説してまいります。

戒名には順位がりますが、もちろん格式が高くなればなるほどお布施も高くなってきます。しかしながら、単に順位が高ければ良いという話でもありません。自分に適した戒名を授けてもらえるように、じっくりと考えるようにしましょう。

院殿号(いんでんごう)、院号

まずは、院殿号や院号と呼ばれるものになります。これは戒名の中で最も格式が高いものになります。

冒頭で、戒名のランクは、お寺への貢献度で決まっていたとお話しましたが、この位のものですと、本来その宗派や宗教全体に及ぶほど大きな貢献をした人に授けられるものになります。お布施も非常に高く、200万円程度必要になってきます。

居士

続いて、居士と呼ばれるランクについて解説してまいります。これは冒頭で説明したとおり、在家で仏教の修行をしていた人に授けられるものになります。

一般的な人より少し格式が高くなったものです。こちらに関しては50万円ほどのお布施が必要になるようです。一般の人から見れば十分に高いですよね。

信士

次は、信士と呼ばれるランクについて解説致します。こちらに関しても、冒頭でご説明したとおり、修行などは行っていないものの、仏教に対して帰依した人に授けられるものになっています。

一般的な信者に対して授けられるランクですが、それでもお布施は20万円ほど必要になってきます。

子供

最後に、子供につけられる戒名について解説してまいります。一般的に子供につけられる戒名は成人につけられるものとは異なります。例えば死産してしまった子供の場合は「水子」とい呼ばれるような戒名をつけることになります。

みなさんも、もしお墓参りなどで、先祖のお墓に「水子」の文字が入っていれば、それは昔死産してしまったお子さんのお墓であると判断することができるでしょう。

このように、戒名につけられる漢字の意味がわかれば、先祖のことも少しずつわかるようになり、葬儀だけでなく、自分のルーツを辿るきっかけになるかもしれません。

戒名の決め方

次は、戒名の決め方についてご説明致します。戒名はお寺で授けてもらいますが、そこに使われている漢字などには、一定のルールがあります。

このルールを自分たちで意識することはあまりないかもしれませんが、教養として身につけておくと良いでしょう。もしかしたら何かの際に、役に立つかもしれません。

戒名にふさわしくない文字

まずは、戒名にふさわしくない文字をいくつかご紹介します。これらの文字は、使っては行けないわけではありませんが、ふさわしいとは言えません。できることであれば使わないことが望ましいでしょう。

例えば、「争・敵・病」といった不穏な文字になります。他にも、あまりにも難解な文字は読めないので使わないほうが良いでしょう。

戒名には避けるべき文字

続いて、戒名には避けるべき文字です。こちらも同様に、使っていけないわけではありませんが、様々な理由から使うことは避けたほうが良い文字になります。

例えば、歴代の天皇の尊号や年号、開祖など偉い方の戒名とかぶるような文字、動物の名前などは避けたほうが良いとされています。天皇など目上の人と同じ文字を使うことを避けたほうが良いことは、なんとなくわかる気がしますね。

戒名は、自分でこれが良い!と決められるものではありません。あくまでお寺から適切なものを授けてもらうものになります。しかし、希望を聞いてくれる場合もあります。そうした場合には、こうした文字を使わないようにする配慮ができると、お坊さんからしても、この人はわかっているという評価になり、少し良い戒名が授けてもらえるかもしれません。

戒名についての疑問点はやさしいお坊さんでもご相談を受け付けております。

戒名が使われるタイミング

次は、戒名が使われるタイミングについてご紹介してまいります。みなさんが真っ先に思いつくタイミングは、「葬儀」など亡くなった後ではないでしょうか。確かに、葬儀の際やお墓、位牌など様々なタイミングで戒名は用いられます。

みなさんも、実際に戒名を目にするタイミングとしては、お葬式や仏壇の位牌、お墓参りに行った際の墓石などでしょう。一般生活の中で、そうした時以外に戒名を見かける機会はそうそうにありません。

しかしながら、戒名は決して死後の名前というわけではないのです。

冒頭でもご紹介したとおり、戒名とは、仏の弟子になった際に授けてもらう、仏教徒としての名前です。ですから、お寺などでお坊さんが修行などする際に用いる名前は戒名になります。

ですから、戒名を持っている人は、生きている間でも、仏事に関してなにか行うときは、戒名を使うことが適切であると言えるでしょう。このように、戒名は死後につけられるイメージがありますが、決してそうではないということを頭の片隅においておけると良いでしょう。

生前戒名

先程お話したとおり、もともと戒名とは死後に授けられるものではなく、生前に、仏教徒としての名前として授けられるものでした。これは今でも変わりません。ただ、時代の流れの中で、死後につけられることが多くなっただけです。

ですので、現在でも、生前に戒名を授けてもらうことは可能です。このことを「生前戒名」と呼ぶ場合があります。

生前戒名を付けるには?

家でいつもお世話になっている菩提寺がある場合は、仏事全般に言えることですが、まずその菩提寺に相談するようにしましょう。

菩提寺に無断で、別のお寺と話を進めてしまうと、後々大変なトラブルに繋がる場合があります。菩提寺がある場合には、そこの住職に生前戒名をつけてもらう旨を伝えると良いでしょう。住職が丁寧に相談にのってくれます。

もし菩提寺がない場合は、新たに菩提寺を探す必要があります。基本的にお墓があるお寺が菩提寺となります。

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戒名の居士についてのまとめ

さて、今回は戒名について詳しく説明してまいりました。戒名には様々な順位があり、それによってお布施の金額も大きく違います。

「戒名」について重要となるポイントを下記にまとめました。

【戒名とは?】
仏の弟子になったことを示す名前のこと

【居士(こじ)とは?】
●戒名のランクの一つ
家庭の中で修行を行っていた人のことを指す

【戒名の構成】
●真言宗・天台宗
戒名の前に「梵字(ぼんじ)」と呼ばれる文字を付ける
・「院号(いんごう)→道号(どうごう)→戒名→位号(いごう)」

●浄土宗
・「誉号(よごう)」と呼ばれる文字を付ける
・戒名の先頭に、「キリーク」と呼ばれる文字が入る

●浄土真宗
「戒名」はなく「法名」と呼ばれる
男性の場合は釋(しゃく)、女性の場合は釋尼(しゃくに)のいう文字が最後に付く

【禅宗】
●位牌の一番上の部分に、「新帰元(しんきげん)」という文字を入れる場合がある
●「院号・道号・戒名・位号」

【日蓮宗】
「法号」と呼ぶ
●他宗派の道号の部分に「法」や「妙」といった文字が入る
●他宗派の戒名の部分には、「日」の文字が入る

【戒名の順位とお布施の目安】
●院殿号(いんでんごう)、院号
200万円程度

●居士
50万円程度

●信士
20万円程度

【戒名が使われるタイミング】
お葬式や仏壇の位牌
●お墓の墓石

【生前戒名について】
生前に戒名を授けてもらうことは可能
●生前戒名を付けたい場合は、菩提寺に相談する

また、現在でも生前に戒名を付けてもらうことは十分に可能です。家族に大きな負担をかけないためにも、生前に自分で戒名をもらっておくことは一つの手段であると言えるでしょう。

また、どのような仏事に関しても言えることですが、仏事に関して相談がある場合は必ず菩提寺に相談するようにしましょう。後々トラブルになる可能性も十分にあります。様々な点に気をつけながら、良い戒名を授けてもらえるようにしましょう。

【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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