友人葬の費用は40~150万円前後で一般人の葬儀と変わりません。香典制度はありませんが僧侶やお布施、戒名が必要ないのが特徴です。僧侶ではなく導師という学会員が進行役を担いますが、葬儀の流れも一般の葬儀と大きな違いはないと思ってよいでしょう。
「友人葬の費用はどれくらいかかるの?一般の葬儀との違いはあるの?」
「親が創価学会員なので友人葬になるが、香典制度がないと聞き、費用が心配だ」
「友人葬には学会員以外も呼べる?特別なしきたりなどはある?」
創価学会信仰者の葬儀形式である友人葬は、学会員のための葬儀であるため、戸惑うことが多いかもしれませんね。
友人葬の費用は約40〜150万円となっています。
費用はその他の宗教・宗派の葬儀と同じように、参列者数(規模)や葬儀スタイルによって変わり、友人葬だから安くなるという訳ではありません。
【友人葬の費用相場】
相場費用 | 参列者数
の目安 |
特徴 | |
一般葬 |
150万円 |
30~100人 |
通夜・葬儀を行う最も一般的な葬儀 |
家族葬 |
100万円 |
~30人 |
通夜・葬儀を家族や近しい友人のみで行う |
一日葬 |
90万円 |
5~30人 |
通夜を省略し一日で終わらせる |
火葬式(直葬) |
40万円 |
〜10名 |
通夜・葬儀をせず火葬のみ |
費用参考:プロが教える葬儀種類の”正しい”選び方!6つの特徴〜費用の全情報
また学会員の参列者には「香典なし」が既成観念となっている人も多く、香典料が入らないことで費用面での不安を感じる方もいらっしゃいます。
しかし、友人葬では僧侶を呼びませんので、お布施や戒名などの費用は必要ありません。そのため総額を安く抑えることも可能です。
「友人葬」という名称から小規模な葬儀と捉える方もいますが、
・僧侶の代わりを学会員の導師が担う
・祭壇は「しきみ式」と呼ばれるものを使う
というだけで、その他の流れは一般の宗派との違いはありません。
参照:創価学会のお葬式
友人葬で大切なのは、故人を悼む「まごころ」であると考えられていますが、これは他の葬儀形式でも同じですね。
この記事では、友人葬の費用に関する不安を取り除き、流れや注意点などと共に他の宗教・宗派との違いについても書いていきます。
費用や全体像を把握することで、安心して友人葬を執り行うことができるようになるでしょう。
また友人葬に参列することになった場合のマナーや注意すべき点などについても書いていきますので、ぜひ参考にされてください。
INDEX
友人葬の費用(相場:40~150万円)
友人葬の費用は
- ・信仰している宗教が違う
- ・呼び名が違う
というだけで基本的には、一般の葬儀より安くなるという訳ではありません。
【友人葬の費用相場】
相場費用 | 参列者数
の目安 |
特徴 | |
一般葬 |
150万円 |
30~100人 |
通夜・葬儀を行う最も一般的な葬儀 |
家族葬 |
100万円 |
~30人 |
通夜・葬儀を家族や近しい友人のみで行う |
一日葬 |
90万円 |
5~30人 |
通夜を省略し一日で終わらせる |
火葬式(直葬) |
40万円 |
〜10名 |
通夜・葬儀をせず火葬のみ |
費用参考:プロが教える葬儀種類の”正しい”選び方!6つの特徴〜費用の全情報
ただし以下の違いによって、総体の費用が安くなる場合もあります。
- ・学会員の弔問客は、基本的に香典がない
- ・僧侶を呼ばないため、お布施がかからない
- ・戒名をつけないので、その費用がかからない
このように友人葬の費用を考える際には、一般の葬儀との違いなども考慮していく必要がありますので、注意して読み進めるようにしてください。
費用内訳
友人葬の葬儀にかかる費用の主な内訳は、「葬儀にかかる費用」と「参列者への飲食や返礼品」の大きく2つで構成されています。
葬儀全体の項目 | 具体例 |
葬儀にかかる費用
(約40~150万円) |
【葬儀に必要なもの】
・搬送費や安置室利用、ドライアイス、棺、枕飾り、線香、祭壇、遺影、骨壷、火葬料金など 【人件費】 ・葬儀スタッフや司会者 |
参列者への飲食や返礼
(約30~100万円) |
・通夜や葬儀後の会食(通夜振る舞い、精進落とし)
・香典返し ・会葬礼状 |
友人葬の費用が、規模(お呼びする参列者)と葬儀スタイルによって変わるのは、前述した通りです。ですので友人葬の費用を算出するには、まず以下を決める必要があります。
- ・参列者数の目安
- ・葬儀でどこまで行うのか
注意すべき点としては、友人葬には『創価学会のつながり』ということで、同じ信者の友人や支部の会員なども参列することがあり、遺族と面識のない学会員が来る可能性もあることです。
何人くらいが葬儀に参列する予定なのかを、事前に学会の支部などに確認しておきましょう。
おおよその参列者数を元に、葬儀会場や費用などを葬儀社の方と相談してください。
僧侶への「お布施」と「戒名料」は不要
友人葬の大きな特徴は「学会員が僧侶に代わる役を務める」ということです。それに伴いお布施・戒名料は必要ありません。
一般的な葬儀では、お布施と戒名料として約50万円かかるのが相場(※)ですので、この2つの費用がかからないのは、費用面での大きな違いとなるでしょう。
相場参考:第11回「葬儀についてのアンケート調査」|日本消費者協会
香典を頂いた場合は「香典返し」が必要
創価学会の方針として「友人葬では、儀礼的な意味での香典は持参しなくてもよい」とうたわれています。
学会員の弔問客には「香典なし」が慣例となっていますので、香典返しも必要ないということです。
ただし創価学会を信仰していない弔問客も訪れますし、その方たちの多くは香典を持参することが十分に考えられますね。
香典を頂いた場合は香典返しが必要となりますので、参列者数や費用の概算を考える際には、その点を留意するようにしてください。また香典返しは「お礼」ではあるものの不祝儀であるため、選ぶ品物にもマナーなどがあります。
一緒に添える例文などもまとめて確認しておきたいなら「香典返しのマナーを完全解説!相場・時期・挨拶状・例文・品物も紹介!」の記事がお役に立ちますので、併せてお読みください。
また、喪主には香典料が入ってきませんので、費用の面ではその点も考慮する必要があります。
友人葬で行うべき事前準備
喪主が用意すべきもの
友人葬であっても喪主が用意するものは一般的な葬儀と変わりません。ただし、お布施を包む袱紗(ふくさ)は、「僧侶をお呼びしない」友人葬では用意する必要はありません。
【準備しておく持ち物】
・喪服
・セレモニーバッグ
・念珠(数珠)
・無地の白いハンカチ
・夏場ならフォーマル用か黒い扇子
・冬場ならフォーマル用のひざ掛けや衣服貼付や靴用のカイロ
喪服(遺族)
友人葬の葬儀では喪主、参列者ともに一般的な葬儀と同じ喪服の着用で問題ありません。喪主は「正喪服」もしくは「準喪服」を着用しましょう。
セレモニーバッグ
プレックス ブラック フォーマルバッグ 3,100円(定価4,200円)
女性は黒いマットな質感の手提げタイプのフォーマルバッグを選びます。男性は手ぶらが多く、所持するなら小脇に抱えられるため、黒いセカンドバッグがオススメです。
念珠(数珠)
創価学会の木製数珠です。男女兼用ですので、性別問わず使用することができます。木でできている為、見た目も美しく軽いので長時間利用することも可能です。
上記は創価学会の数珠ですが、ご自身が持っている一般的な数珠を持参しても全く問題ありません。
無地の白いハンカチ
ハンカチ ホワイト 男女兼用 綿100% 3枚セット 999円
ハンカチは白いブロード生地のものが最良です。色は黒でも構いませんが、新たに購入するなら、神道らしさを感じる白がオススメで、カジュアルなタオルハンカチは避けましょう。
季節用品
夏場ならフォーマル用の黒い扇子、冬場ならフォーマル用のひざ掛けなど、季節用品は喪服に馴染む黒いアイテムを選びます。カイロは衣服貼付や靴用の隠すタイプがオススメです。
女性は替えのストッキングも用意しておくと便利
グンゼ サブリナ アクティブフィット ストッキング3足組 710~1,036円
お葬式は薄化粧のため、ファンデーションとリップのみの最小限のメイク用品を所有しましょう。ストッキングは20~30デニールの透け感があるものを選びます。
参列者が用意すべきもの
参列者が準備すべきものは下記4点です。「喪服」と「念珠」は必ず用意すべきものですので、重要度順にご紹介していきます。
【準備しておく持ち物】
・喪服
・念珠(数珠)
・供花(きょうか)
・香典(※学会員で無い場合)
喪服
創価学会の友人葬の紹介サイトでは、服装や持ち物については「一般的な喪服で参加される方が多く、通夜・告別式とも同じ服装で構いません」と書かれています。
気を付けたいのは、急に葬儀に参列することになった場合です。特に女性の喪服は、うっかりマナー違反になってしまっている可能性も高いものです。
「急な葬儀での服装はどうする?注意点の多い女性の喪服を徹底解説!」をお読みいただくことで、勘違いなどのないようにしておきましょう。
念珠
また「念珠をお持ちの方はご持参下さい」とのことですので、ご自分がお持ちの念珠を忘れずに持って行くようにしてください。
供花(きょうか)
友人葬での供花は、白い花や樒(しきみ)を用いるのがマナーとされています。樒とは常緑高木で、葬儀などの仏事で使われる植物です。
他の一般的な葬儀では、菊を中心に故人が好きだった花などを使って祭壇を作りますから、色とりどりな飾りになることが多いですね。
しかし友人葬では色を多用しない飾り付けが多くなっており、遺族によっては他の花を一切入れず、樒だけで祭壇を飾る場合もあります。花を送りたい方は、事前に遺族に確認を取ってから送るようにしましょう。
樒は普段の生活では馴染みのないものです。また榊と勘違いされる方も多いので、間違って送ることなどがないよう「樒とは?榊との違いは?仏事に必須の樒を解説!」の記事できちんと理解しておくことをおすすめします。
香典(※学会員で無い場合)
創価学会の友人葬では「儀礼的な意味での香典は持参しなくてよい」という方針ですので、基本的には「香典は必要ない」とされています。
しかし、お悔やみの気持ちを香典でお伝えしたいと思われたなら、香典を持参しても失礼にはなりません。
ただし、ご遺族によっては香典の受け取りを拒否する方もいます。その場合は無理に渡そうとせず、弔意だけお伝えすれば大丈夫です。
【香典の書き方】
友人葬は仏式に則った葬儀形式ですから、香典袋の表書きは薄墨で
- 上部に「御霊前」や「ご香料」
- 下部に自分の氏名
を記入します。
香典金額の相場は、2,000円〜3,000円です。
一般的な葬儀と比べると低い金額ですが、「香典なし」の考え方に基づいていますので、この金額が友人葬での相場となります。
香典は、単にお金を包めばよいというものではありませんよね。外せないマナーや注意点などもありますので「葬式の香典を完全解説!マナー・金額相場・書き方・渡し方を紹介!」の記事で確認しておきましょう。
まとめ
創価学会信仰者の葬儀形式である友人葬は、学会員のための葬儀ですが、費用はその他の宗教・宗派と同じように、参列者数(規模)や葬儀スタイルによって変わり、友人葬だから安くなるという訳ではありません。
友人葬の費用は約40〜150万円となっています。
【友人葬の費用相場】
相場費用 | 参列者数
の目安 |
特徴 | |
一般葬 |
150万円 |
30~100人 |
通夜・葬儀を行う最も一般的な葬儀 |
家族葬 |
100万円 |
~30人 |
通夜・葬儀を家族や近しい友人のみで行う |
一日葬 |
90万円 |
5~30人 |
通夜を省略し一日で終わらせる |
火葬式(直葬) |
40万円 |
〜10名 |
通夜・葬儀をせず火葬のみ |
費用参考:プロが教える葬儀種類の”正しい”選び方!6つの特徴〜費用の全情報
友人葬の葬儀規模を決める時の注意点として『創価学会のつながり』ということで、同じ信者の友人や支部の会員なども参列することがあり、遺族と面識のない学会員が来る可能性があります。
何人くらいが葬儀に参列する予定なのかを、事前に学会の支部などに確認しておくようにしましょう。
友人葬の葬儀にかかる費用の主な内訳は、以下となります。
葬儀全体の項目 | 具体例 |
葬儀にかかる費用
(約40~150万円) |
【葬儀に必要なもの】
・搬送費や安置室利用、ドライアイス、棺、枕飾り、線香、祭壇、遺影、骨壷、火葬料金など 【人件費】 ・葬儀スタッフや司会者 |
参列者への飲食や返礼
(約30~100万円) |
・通夜や葬儀後の会食(通夜振る舞い、精進落とし)
・香典返し ・会葬礼状 |
【喪主】友人葬と他の葬儀との主な違い
友人葬 | その他の一般的な葬儀 |
・葬儀の進行は儀典長〔ぎてんちょう〕と呼ばれる学会員が導師〔どうし〕として担い、僧侶は呼ばない=お布施が必要ない | ・僧侶を呼び読経などをお願いする=お布施が必要 |
・戒名が必要ない=戒名費が必要ない | ・一般的には僧侶に戒名をつけてもらう=戒名費がかかる |
・香典制度がない=香典を持ってきた弔問客にのみ香典返しが必要
・遺族には、学会員の参列者からの香典が入ってこない |
・香典制度あり=ほぼ参列者の数だけ香典返しが必要
・遺族には、香典料が入ってくる |
・祭壇は「しきみ式」と呼ばれ、主に白い花としきみ(樒)だけで飾られる | ・祭壇は菊を中心に色とりどりの花で飾られることが
多い |
※儀典長は『喪主が創価学会の幹部に頼む』ことになっているので、友人葬で葬儀を行う場合には、支部などにお願いする。
※参列者で供花を送りたい場合は、事前に遺族に確認を取る。
友人葬の流れは、一般的な葬儀と変わりません。通夜・告別式を行う葬儀スタイルの流れは以下となります。
1.臨終〜ご遺体の安置 | 医師により死亡確認後、亡くなった場所からご遺体を移動し、自宅や安置所にて葬儀までの間、安置する |
2.通夜 | 学会員である導師(どうし)による儀式。読経・唱題、焼香などを行う |
3.告別式・出棺 | 導師による儀式。読経・唱題と焼香を行い、その後、最後のお別れを行う |
4.火葬 | ご遺体を火葬し、骨壷に納める |
友人葬に参列する場合、創価学会の信仰者である必要はありません。また葬儀は、他の宗派の葬儀とほぼ変わりません。
【参列者】友人葬と他の葬儀との主な違い
友人葬 | その他の一般的な葬儀 |
【装い】
・参列者は一般的な喪服で参加。念珠を持参する |
【装い】
・参列者は一般的な喪服で参加。念珠を持参する |
【香典】
・学会員は香典なしが慣例となっているため香典を持参しない ・学会員以外は、香典を持参してもよい |
【香典】
・一般的には香典を持参する |
【供花】
・白い花や樒(しきみ)が使われることが多いため、送る時には事前に確認をする |
【供花】
・菊を中心に、故人が好きだった花などを飾ることが多く、あまり縛りはない |
【葬儀の流れ】
・導師による儀式だが、流れは読経・唱題、焼香と続き一般的葬儀と変わらない ・唱題では「南無妙法蓮華経」の題目を唱える(分からなければ唱える必要なし) |
【葬儀の流れ】
・僧侶による儀式。読経・唱題、焼香と続く ・唱題では、各宗派ごとで題目が違う(別宗派などで題目が分からなければ唱える必要なし) |
これら友人葬の考え方やマナーなどは、創価学会に公式サイトや動画が掲載されていますので、目を通しておくことをおすすめします。
友人葬を依頼する時の注意点ですが、信仰する宗教の違いというだけなので、多くの葬儀場で友人葬への対応が可能です。
ただし、執り行う葬儀の規模(参列者数)や葬儀スタイルによっては、対応していない葬儀社もあるので、できるだけ事前に確認しておくことをおすすめします。
友人葬の費用は、参列者数(規模)や葬儀スタイルによって変わり、友人葬だから安くなるという訳ではありませんが、その点は他の葬儀と同じと考えてよいでしょう。
「香典なし」が慣例となっているなど、不安な点もあるかもしれませんが、僧侶に払うお布施や戒名費がかからないなど、費用を低く抑えられる点があることも分かりました。
葬儀の流れも他の宗派の葬儀と変わりませんので、多くの葬儀社で対応が可能です。
いずれにしましても、友人葬を執り行う可能性があるのでしたら、早めに葬儀社に相談しておくことが懸命な判断だと思います。
ぜひ、この記事を参考にされて友人葬だからと慌てることなく、余裕を持った葬儀が執り行えることを祈っております。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール