神棚を設置したいけれど、細かい配置場所や方角が分からず戸惑っている方も多いのではないでしょうか?本記事では神棚の歴史から基礎知識や注意事項。また、お札の並べ方や米、塩、お酒などのお供え物についても徹底解説しています。
皆さんのご自宅には神棚はあるでしょうか?なかには毎日家を出る前にかならず、神棚に手を合わせてから出発される方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?
一方で、いままで神棚を飾ったことはなかったけれど、結婚や引っ越しを機に新しく神棚を設ける人もいるかも知れません。
日本人に馴染みの深い神棚ですが、神様に関する神聖な場所であるだけに、その配置などには細かなルールがあります。なんとなくこんなものだろうと配置していると、家を訪れた人に非常識な人だと思われてしまうかもしれません。それに、神様に対して大変な失礼に当たります。
INDEX
- 03
- 神棚を設置する場所
神棚とは?
皆さんのお宅には神棚はあるでしょうか?
リビングの隅の方を見ると、そこにはひっそりと、しかし厳かに神棚が祭られているかもしれません。神棚は現代日本においても、様々なご家庭にあり日本の文化として根付いたものです。日本人にとって馴染みの深いものですから、なんとなくその存在を知っているし、なんなら家にもある人も多いかと思います。
それほどまでに身近な存在ですが、「そもそも神棚ってなに?」と問われると、「うーん、神様の居るところ……?」となってしまう方が多いのでは無いでしょうか。身近にあるからこそ詳しくは知らないものです。今回はそんな神棚について解説していきます。
まずは、「そもそも神棚とは何なのか?」「なぜ設けるのか?」といっ基本を歴史的な背景を踏まえてお話します。
神棚とはなにか?
神棚とは、神社でもらった御札などを家で飾っておくために設える棚のことを指します。神様を祀るための棚です。みなさんも神社で、お守りとは違うお札を受け取ったことがあるのでは無いでしょうか?
紙でできた薄い札のものもあれば、大きな木の板のものもあります。こうした神社からもらえる御札を、家の中で大切に飾っておくための空間が神棚というわけです。棚と言いましたが、一般的なものが棚であるだけであって、必ずしも棚の形状である必要ありません。どういう形であれ、神様をお祀りする空間であれば、そこが神棚となります。
ここでは、「飾っている」と表現しましたが、実際には神様が宿るところですので、祀(まつ)ると表現するほうが正しいかもしれません。神棚に御札を祀るケースもあれば、家に氏神様を祀る祠がある人もいるのではないでしょうか。
神棚は、神様を祀る場所です。神道に関係した空間ではありますが、特別に神道を信仰しているご家庭でなくとも神棚は設置できます。こうした面は、日本独特の文化であると言えるでしょう。
ちなみに、神道の形式に従っておこなう葬儀を「神式葬儀」といいます。神式葬儀については「神式葬儀の流れとは?仏式との違いや基本的なマナーについても解説」の記事もご参考ください。
神棚の歴史
神棚は江戸時代以降から
意外なことに、実は神棚を設けるという習慣が日本で根付いたのは江戸時代以降のことです。いまから数百年ほど前の時代になります。割と最近であることに驚かれる方もいるのではないでしょうか。
日本は古来より様々な神様を信仰していますが、神様を家で祀る空間である神棚は江戸時代以降の文化なのです。
お伊勢参りと神棚
江戸時代中期に「お伊勢参り」というものが大流行します。「お伊勢参り」とは、現在の三重県にある「伊勢神宮」にお参りすることを指します。当時は、人生に一度はお伊勢様に行きたいなどと言われていました。当時の交通手段は馬か徒歩、農民などは馬など使ってどこかに行くことはできないので、徒歩で伊勢神宮に向かうわけです。
今でこそ簡単に旅行の一環として訪れる事のできるところですが、当時の感覚で行こうとすると一生に一度の一大イベントだったはずです。当時の江戸から伊勢神宮まで歩いて約2週間かかったと言われています。考えるだけで足が痛くなってしまいますね。
このお伊勢参りの際に、伊勢神宮から御札を家に持ち帰り、家で大事に飾っておくという習慣から神棚が生まれたのです。「伊勢神宮」は神社庁の本庁あるなど、日本における神社のなかでも最も格式の高い神社であるとされています。格式の高い伊勢神宮でもらえる御札には、「ものすごい力が込められている!」と考えられているのです。それだけ絶大なパワーが見込めるのですから、家のどこかに大事に飾っておきたくなるのも頷けます。
現代の神棚へ
最初でこそ飾られたのは伊勢神宮の御札ですが、そこから神社から頂いてきた御札を家に飾るといったことが習慣となり、伊勢神宮以外の御札も飾られるようになったのです。こうして今日の神棚の基礎が完成したというわけです。
いまでもお伊勢参りといった言葉は残っており、実際に伊勢神宮に参拝することをお伊勢参りと呼んでいます。たまに三重県への旅行のパッケージプランにお伊勢参りの文字を見かけることがあります。伊勢神宮周辺は観光地化しており、たくさんのホテルや旅館、土産物店が並びとても賑やかです。
また、このお参り自体は、日本史の教科書などにも載っているほど有名です。もしかしたら歴史が好きな人はよくご存知かもしれません。そんな身近な歴史が、今回ご紹介する神棚の起源につながっているとは、なんとも不思議な気分になりますね。
神棚は古来より、日本人が神様とのつながりを生活の中で感じるとても大事なところです。日本人は「八百萬信仰」と呼ばれるように、生活の様々なところに神様がいると考えています。そうした神々との主たる接点と位置づけられるのです。こうした神聖なところを家の中に置くことによって、雑念を取りはらた落ち着いた気持ちを生み出すといった効果もあるのです。そのぐらい日本人の生活に密着していると言えます。
神棚の種類
さて、ここからは種類をご紹介していきます。「神棚の種類?」と思われる方も多いかもしれませんが、実はたくさんのかたちがあるのです。みなさんも機会があればぜひ、見比べてみてください。よく観察すると、いろいろな違いがあることに気付けるかもしれません。
特に代表的である「三社造り」と「一社造り」をご紹介していきます。
三社造り(さんしゃづくり)
まずご紹介するのは「三社造り」です。三社造りとは読んで字の如く、お社が3つある形の神棚のことを指します。お社(おやしろ)とは、御札を納める部屋のようなものです。神棚のお社は、基本はどれも偶数となっています。
三社造りだと、お社ごとに納める御札が違うので注意が必要です。神社ごとに御札を納めていきます。
最も一般的な神棚は、この「三社造り」と呼ばれる形の神棚になります。よくホームセンターでもこのタイプの神棚を見かけますよね。
一社造り(いっしゃづくり)
続いて、「一社造り」と呼ばれるものについてご紹介していきます。一社造りとは、御札を入れる部屋が1つのものを指します。お社が1つのみなので「一社造り」となります。
三社造りの神棚に比べてコンパクトなので、一人暮らしやアパート、マンションなど狭めのおうちであっても、空間を取ることなく設けることができます。置き場所のスペースが不安な方にもおすすめなタイプです。こちらもホームセンターなどで販売されています。
神棚を設置する場所
ここまでそもそもの神棚の意味や種類など基本的な項目を解説してまいりました。ここからは実際に配置する際に必要になる具体的なルールをご紹介します。
神棚を設ける際に気をつけたいポイントは3つです。
方角
まず1つ目は、方角です。設ける際は、正面が「東向き」になるか「南向き」になるように設けるのが良いとされています。
目線より高く、人が通らない場所
2つ目ですが、なるべく高く人が通らないところにすること。一般的に二階建の場合でも、一階部分のリビングやダイニングルームに設けることが多いようです。しかし本来であれば、神様の上を人が歩かないようにする必要があります。神様の頭上を人が行き来することが失礼に値すると考えられているためです。また、トイレ下になるような設置も避けましょう。
私達も、自分の頭上を歩かれたり、自分の頭上で用を足されたりしては嫌ですよね。神様であっても自分の頭上でいろいろされるのは嫌なものです。
仏壇の向かいにならないように設置する
3つ目は、仏壇の向かいにならないような場所に設置することです。日本では多宗教や無宗教が多いため、一つの家に仏壇(仏教)と神棚(神道)があることは珍しくありません。一つ屋根の下にいくつかの宗教のものがあるのは問題ありませんが、向かい合わせにはならないように配慮は必要です。
設置する際は、こういった注意点に気をつけながら場所選びをするようにしましょう。
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御札の並べ方
続いては、御札の並べ方です。先程お話したように、神棚にはお社と呼ばれる御札を納める部屋がついています。神棚によって、そのお社への御札の納め方が大きく異なるので注意が必要です。間違った納め方をしないように十分に注意しながら、神棚に御札を納めるようにしましょう。
一社造りの場合
一社造りのケースでは、御札はどのように納めるのでしょうか。
一社造りは部屋が一つしかありませんが納める御札は3枚になります。3枚のお札を重ねて1つの部屋に納めるのです。順番としては「神宮大麻」を表にし、その後ろに「氏神神社」の御札、最後に「崇拝神社」の御札といった形で重ねます。このケースでも、崇拝神社が無いときは、氏神(うじがみ)様の御札を2枚重ねます。
手前から、
②氏神神社
③崇敬神社
の順に重ねていきます。「神宮大麻」が一番表に来ると覚えておきましょう。
神宮大麻(じんぐうたいま)とは?
三重県伊勢市にある伊勢神宮の御札を「神宮大麻」と呼びます。伊勢神宮は日本全土を守る「天照大御神様(あまてらすおおかみ)」を祭っており、神宮大麻も神棚にお祀りします。この神宮大麻は、伊勢神宮に足を運ばずとも全国の神社で手に入れることができます。
氏神神社とは?
その地域の中心となる神社で、初詣などで訪れるような神社のことを指します。
崇拝神社とは?
崇拝神社とは、地域の神社とは別に個人的に崇拝している神様がいる神社のことです。神棚には崇拝神社の御札も納めます。
三社造りの場合
三社造りでは、まず中央のお社には、神社のトップである伊勢神宮のお守りである「神宮大麻」を納めます。次に向かって右側には、「氏神神社」の御札を納めます。最後に左側のお社には「崇拝神社」の御札を入れます。もし、崇拝神社がなければ、氏神神社の御札を左右それぞれに納めても大丈夫です。
順番をまとめると、
●向かって右→氏神神社
●向かって左→崇敬神社
となります。
神棚を設置する際に準備するもの
神棚のお社以外に準備する必要があるものについて解説していきます。みなさんも神棚をイメージしたときに、お社の周りに様々なものが飾られているイメージをお持ちかと思います。そういった小物の準備の仕方を説明します。
また、神様の道具はきちんと専用のものを用意するようにしましょう。普段、自分たちが使用している物を使いまわすのは、神様に対して大変失礼な行為となります。
水器(すいき)
まずは、水器と呼ばれる器です。これは、字のまま水を入れる器になります。別名「水玉」と呼ばれることもあります。
一般的には白い陶磁器であったり、素焼きであったりすることが多いです。また、丸い形状をしており、蓋がついているといった特徴もあります。
水器の蓋は閉めない
蓋があるからといって、蓋を閉めてお供えしないように注意しましょう。蓋がしまったままでは、神様が水を飲むことができないためです。必ず蓋を開けた状態でお供えします。この水器以外にも、「御神前」と書かれたコップを置くケースもあります。
徳利(とくり)、瓶子(へいし)
次に、徳利と瓶子です。これらは、神様にお酒をお供えするための道具になります。徳利は聞いたことがあるかも知れませんが、瓶子は初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
徳利は首が細長くなっている酒の容器。一方の瓶子は、徳利ができる前にお酒の器として古代から使われてきた器になります。入り口が小さく、上部が広がった特徴的な形をしています。
利便性としては徳利が好まれますが、神様の道具として瓶子が好まれる傾向にあるようです。神様はとてもお酒が好きなので、様々な徳利や瓶子をから良いものを選んで使うようにしましょう。
こうしたものは少しこだわってみると、神様にも喜んでいただけて、少しだけより良いご利益、ご縁があるかもしれません。ただし、自身も使ってしまうのはNGです。あくまで神具は神様の道具であることをしっかりと理解しましょう。自分の食器を勝手に人に使われたら不快な気持ちになるのは、神様も同様です。
皿
続いては、お皿です。皿は、お米や塩といったものをお供えするために使われます。これも水器と同様に白い陶磁器や素焼きが多いです。
大きさも様々ありますが、神棚の広さやお供えする予定のものをよく考えて、適した大きさの皿を用意するようにしましょう。日常使いしているようなお皿とは分けて用意するようにしましょう。
三方(さんぼう)、折敷(おしき)
4つ目は、三方と折敷です。これは、お供えを並べるためのお膳のような役割をもちます。
三方は、折敷の下に台がついたもので、台座には3つの穴が会いています。一方で折敷は、台のついていない平たいお盆のようなものです、
これらの道具は、神事などで使われる他に懐石料理などでも食事に使われることがあります。名前自体はなかなか聞くことのない三方や折敷ですが、神様が関係する行事ごとでは必ず出てきます。お月見の団子をお供えする際に器が最もイメージしやすいかもしれません。
しめ縄
しめ縄についてです。まず、しめ縄は、神棚の前の部分に掲げるもので、神聖な部分と外の世界を隔てる役割を持っています。また、しめ縄には紙垂と呼ばれる紙を下げて、太い方は右側に、細い方は左側にして飾ります。
神鏡(しんきょう)
最後に神鏡ですが、これは神様の依代(よりしろ)になります。飾る場所としては、神棚のお社の中央の扉の前に置くようにしましょう。依代とは、神様や宿るための媒介のことを指します、神様が宿るものですから、ホコリがかぶった状態にならないように常に清潔にしておくと良いでしょう。
神棚にお供えするもの
さて、ここまでは様々な道具についてご紹介してきました。ここからは実際に、道具を使ってお供えするものについてご紹介していきます。
みなさんも、神棚をイメージしたときにお米などが盛ってあるイメージがあるかと思います。こうしたお供え物には実は細かなルールがあるのです。きちんとルールを守って正しく神棚にお供えしましょう。
お水
まずは、お水になります。水器などに入れてお供えすることになります。
初水を供える
注意点は、その日で一番最初に使う水でお供えしなければならないことです。正式にはこの水のことを「初水(はつみず)」と呼びます。もちろん料理や洗濯、歯磨きもお供えする前には控えましょう。
もし初水が用意できなかった場合は、しっかりと気持ちを込めて水を汲みお供えするようにしましょう。ミネラルウォーターなどで代用することも可能です。
お塩(粗塩)
次に用意するお供え物は「お塩」になります。
塩は粗塩を用意する
ここでも一つ注意点があります。それは、お供えに用いるお塩は粗塩であるということです。粗塩は「海水を煮込んでつくる」ものなのですが、この「水と火」という組み合わせに重要な意味を持っています。
神道においては、水と組み合わせが生命の源になると考えられており、そこから生まれる塩が重要であるということは道理であるといえます。故に、同様な塩であっても「食塩」は、海水を煮込んで作られているわけではないのでお供えには適さないのです。
少し面倒ではありますは、粗塩自体の入手はさほど難しいことではありません。ですので、神様に元気に過ごしていただくためにも、しっかりと粗塩を用意するようにしましょう。
粗塩が手に入らない場合
どうしても食塩しか手に入らないという場合は、一度水に溶かしてから、火を使って煮込んで自分で粗塩を作るなんていう工夫をしてみても良いかもしれません。
お米
続いて用意するものは「お米」になります。お米は日本において古来より非常に大切にされてきた穀物です。その歴史は弥生時代までさかのぼります。いまでこそ日本人に一般的な主食ですが、当時はとても貴重なものでした。
お米は洗って乾かしてから供える
神様へのお供えは「汚れていないもの」である必要があります。もしフンや尿などが肥料として用いられている田んぼで育てられたお米であれば、必ず洗って乾かしてからお供えするようにしましょう。実際には、どのような肥料で育てられたのかわからないことが大半だと思いますので一度洗うことをおすすめします。
炊いたお米でも可
また、お米は炊いた状態でお供えしても大丈夫です。しかし、まだ誰も手を付けていない一番最初のお米でなければいけません。この点には十分に注意が必要です。これは、先程お話したお供えの水と同じですね。お米を炊いたら一番最初に神様用のご飯を盛り、神棚に供えてから食卓に着くと良いでしょう。
毎月1日と15日にお供えするもの
「1日と15日」はお供え物をいつもより豪華にすることが一般的です。具体的には、いつものお水・粗塩・お米に加えてお酒をお供えします。お酒をお供えするときは、徳利や瓶子に入れ直してからお供えするようにしましょう。神様はお酒をとても好まれますから、ここで一工夫入れると、良いご利益やご縁に巡り会えるかもしれません。
また、こうした1日・15日といった月次祭の時以外にも、家庭の中で喜ばしいことがあった際にもこうしたお供えをすると良いでしょう。子供が生まれた際や、人生上の大きな節目にあったときは、「良いご縁をありがとうございます」「これからもよろしくおねがいします」といった気持ちを込められると良いでしょう。加えて、誰かから贈り物を頂いた際などには、一度神棚にお供えしてからいただくことが望ましいです。
お酒以外のお供え物
その他にも、魚や野菜、果物をお供えする場合もあります。
魚をお供えする場合
もしお魚をお供えする場合は、川のお魚であれば背びれ部分を神様に向けて、海のお魚であればその逆でお供えするようにしましょう。
野菜・果物をお供えする場合
加えて、野菜や果物をお供えする場合は、それぞれの野菜や果物の頭を正中向きにお供えするようにします。また、もし右にお供えしたときは、やや左向きに。逆の場合はやや右向きにします。
野菜や果物の鮮度はなるべく高いものにしましょう。見るからに鮮度の悪いものを神様にお供えすることは神様に対して失礼に当たりますので注意しましょう。加えて匂いの強いものもお供えしないようにしましょう。
私達も、腐りかけの食べ物や極端に匂いの強いものを、自分のデスク上に置かれていたらとても嫌な気持ちになりますよね。神様だって同じなのです。
神棚以外でのお供え物については、「一周忌とは?意味・香典・お布施・お供え・マナーを完全解説!」「初七日とは?意味・数え方・お供え・お経・知っておきたい常識とマナー」もご参考ください。
お供え物の配置
ここまでお供えするものについて解説してきました。ここからは、お供え物の具体的な置き方について解説していきます。
神棚のお供え物は、並べておけば良いというものではありません。どのように置けばよいのか、しっかりとしたルールと理由が存在します。神聖な神棚ですからルールは意識して守るようにしましょう。
正方形の三方、折敷の場合
まずは、形は正方形の三方や折敷を用いるケースの置き方です。
お供え物を重要度で並べると「お米・お酒・粗塩・お水」の順番になります。この順番で神様に近く配置していくことが基本となります。神棚に向かって奥側の中央に、最も大切なお米を、その左右にお酒、手前右側に粗塩、手前左側にお水をお供えするようにしましょう。
また、この時、お酒はバラバラの容器を使うのではなく対になったものを使うことが好ましいでしょう。
●お米の左右→対の容器に入れたお酒
●手前右側→粗塩
●手前左側→お水
長方形の三方、折敷の場合
続いて、三方や折敷の形が長方形のケースの置き方です。
このケースでは、横一列にお供え物を並べていきます。しかしながら、右から順番に並べるわけではありません。神様に近い順に大切なものを並べていくようになります。
具体的には、中央にお米、その左右にお酒、更にその左右にお水と粗塩といった具合に並べていきます。
つい右から順番に並べたくなってしまいますが、「真ん中から」としっかりと意識しながらおいていくようにしましょう。
●お米の左右→対の容器に入れたお酒
●お酒の左側→水
●お酒の右側→粗塩
榊(さかき)の場所
続いて、榊の配置になります。榊をお供えする場合は、そのまま直に置くのではなく、「榊立て」と呼ばれる神具を用意してお供えするようにしましょう。榊は神棚の左右に1つずつ置くことになるので、榊立ても2つ用意するようにしましょう。
しかしながら、地域によっては複数の榊をまとめて、左右のどちらかに配置する場合もあるので地域の風習に習うようにすると良いでしょう。
榊は枯れたまま放置しない
また、榊に関しては、枯れた榊をそのまま放置しないように注意しましょう。榊自体はホームセンターなどで販売されています。また、簡単に枯れるようなものではないので神経質になる必要はありません。ただしお水はこまめに入れ替えるようにしましょう。水は常温で放置すると腐るためです。腐った水は異臭の原因にもなります。頻繁に交換することをおすすめします。
榊については「樒とは?榊との違いは?仏事に必須の樒を解説!」もご覧ください。
神棚の配置に関する注意点
さて、ここまで神棚の置き方のお話をしてきました。正しく神棚を設置するためにはいくつか注意すべきことがあります。
お供え物を上げっぱなしにしない
まず1つ目は、お供え物を上げっぱなしにしないということです。どうしても忙しい毎日を送っていると、お供えしたものをそのまま放置してしまうことがあるかもしれません。とくに、飲食物をお供えしている場合は神様に大変失礼になりますし、食べ物も無駄にしてしまうことになります。
また、お供え物にカビが発生すると、神聖な神棚を穢(けが)すことにつながります。神棚がカビまみれになっている光景を想像するだけでゾッとしますよね。お供え物は上げっぱなしにしないよう注意しましょう。
お皿や器を使い回さない
2つ目は、お皿や器についての注意点です。お供えに使うお皿や器は、あくまで神様のものになります。ですから、普段の生活で使っているようなものを使い回さないようにしましょう。人によっては、洗い物自体もしっかりと分ける人もいます。
神様と同じものを使おうというのは恐れ多い話です。そもそも神具は、普段遣いとして用いるには、大きさが小さかったり形が特徴的だったりするので普段使いには適さないことがほとんどです。
おろしたお供え物はなるべくいただく
最後に3つ目は、お供えからおろした飲食物はなるべくいただくようにすることです。これは神棚にお供えしたものは、神様からの「いただきもの」となるからです。
昔から、神様のお供え物にはご利益があると考えられています。筆者も子供の頃に「おぼくさま(神様にお供えしたご飯)を食べると頭が良くなる」とおばあちゃんに言われながら育ってきました。実際に頭が良くなったかどうかはわかりませんが、冷たくなったご飯を沢山食べていた思い出があります。
食べらない場合の処分方法
どうしても食べられない場合は、
●川に流す
●白い紙などで包んで、さらに塩で清めてから捨てる
のいずれかの方法で処分するようにしましょう。
神棚の配置についてのまとめ
さて、ここまで神棚の配置について解説してきました。神棚の意味や種類、飾るものやお供え物の種類、そして最後に注意点をご紹介しました。
「神棚の配置」について重要となるポイントを下記にまとめました。
【神棚とは?】
●神棚とは、神社でもらった御札などを家で飾っておくために設える棚
●神棚は日本独特の文化である
【神棚の種類】
●三社造り(さんしゃづくり)
→御札を納めるお社が3つある神棚のこと
●一社造り(いっしゃづくり)
→お社が1つだけの神棚のこと
【神棚を設置する場所】
●正面が「東向き」になるか「南向き」の方角
●目線より高く、人が通らない場所
●仏壇がある場合は向かいにならないようにする
【御札の並べ方】
●一社造り
①神宮大麻
②氏神神社
③崇敬神社
の順に重ねる。
●三社造り
・向かって右→氏神神社
・向かって左→崇敬神社
【神棚を設置する際に準備する道具】
●水器(すいき)
→水を入れる器
●徳利(とくり)、瓶子(へいし)
→お酒を入れる器
●皿
→お米や塩を入れる
●三方(さんぼう)、折敷(おしき)
→お供えを並べるためのお膳
●しめ縄
→神棚の前の部分に掲げるもの
●神鏡(しんきょう)
→神様の依代(よりしろ)
【神棚にお供えするもの】
●お塩(粗塩)
●お米
●魚
●野菜、果物
【お供え物の配置】
●正方形の三方、折敷の場合
・お米の左右→対の容器に入れたお酒
・手前右側→粗塩
・手前左側→お水
●長方形の三方、折敷の場合
・お米の左右→対の容器に入れたお酒
・お酒の左側→水
・お酒の右側→粗塩
【神棚の配置で気を付けるべきこと】
●お供え物を上げっぱなしにしない
●お皿や器を使い回さない
●おろしたお供え物は食べる
みなさんはどれくらい神棚についてご存知だったでしょうか?
古くから神棚をおいていて、「全部知っていたよ」という方もいれば、これから新居に新しく神棚を用意するから「知らなかった」という人もいると思います。
神棚には細かなルールがあり、特にお供え物に関するルールはやや難しいかも知れません。覚えきれないと思う方もいらっしゃると思いますが、「神様に失礼が無いようにする」という点を守れば問題ありません。神様をしっかりと敬う気持ちを持てば、理解しやすいと思います。
神棚は一度おいてしまえば、後は丁寧に掃除をするだけです。お供え物に関しても慣れればさほど難しいことではないでしょう。普段の生活の中で、日常的に神棚を設置・維持できると良いですね。
正しいルールをしっかりと守って神様に対して失礼のないように心がければ、よいご縁に巡り会えるかもしれません。せっかく自宅に神棚を設けるのであれば、きっちりとお祀りするようにしましょう。
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超高齢化多死社会を迎える中、今の時代に必要なのは、ご遺族の状況に応じたプランをご提案することです。
厚生労働省認定1級葬祭ディレクターとして、これまでの画一的な「一般的な葬儀」を一から見直し、必要な人に、必要なお葬式を自由に選んでもらうためのプランを作成しました。
後悔のないお葬式を執り行いたいけど、シンプルなお葬式でいい。そんな方はぜひお気軽にご相談ください。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール