どんなに、質の高い葬儀をご提供できる技術を有していたとしても、見積もりの内容や対応が雑だと、サービスの提供までたどり着くことができません。本記事では葬儀の見積もりシステムについて具体例を挙げながらご紹介していきます。
みなさんは、葬儀の見積もりをどのように行っているでしょうか。葬儀費用は100万円を超える場合も多く、葬儀社を決めるにあたり見積書の内容や発行のスムーズさ、修正のスムーズさなどは非常に大きな要素となっています。
どんなに、質の高い葬儀をご提供できる技術を有していたとしても、見積もりの内容や対応が雑だと、サービスの提供までたどり着くことができません。
一方で、従来の紙ベースでの見積もりの管理では、その質に限界があることは事実です。そんな場合に、有効な手段がわかりやすい見積もりシステムの導入でしょう。
今回は、この重要な見積もりを簡単に行うことが出来るシステムについて説明してまいります。みなさんも上手にシステムを利用して、コストを下げつつ、より質の高い葬儀を提供できると良いでしょう。
INDEX
葬儀での見積もり
冒頭でもお話したとおり、葬儀にかかる金額の相場は、火葬のみで行う場合は50万円以下まで抑えることが可能ですが、お通夜や告別式を行う一般的な葬儀では、150万円程度かかることが多いようです。
このように、多額の費用がかかる葬儀では、一般的に喪主や施主は、事前にしっかりと葬儀社から見積もりを取り、どの葬儀社を利用するのか、どのような内容にするのか検討します。
この見積もりでは、どれくらいのコストがかかるのかだけでなく、その内容をしっかりとイメージできることが大切になります。見積もりをしっかりと提供できなければ、喪主や施主は、その葬儀社を選んではくれないでしょう。
まずは、そんな見積もりはこれまでどのように行われてきたのか、どのような点が不便だったのかについてご説明してまいります。
これまでの見積もりの取り方
これまでは、喪主や施主が葬儀社に葬儀を行いたい旨や大まかな要望を葬儀社に伝えると、葬儀社の担当が紙媒体である資料(カタログやプラン表)などからいくつかの最適なプランを考案し、喪主や施主に提示する形で見積もりが行われていました。
これまでの見積もりの特徴としては、資料はおおよそ紙媒体で存在していることや、葬儀社がある程度の時間をかけて作成したプランの見積書が提示される(原則として、プランから選ぶ)ことが挙げられます。
これまでの不便な点
さて、このような見積もりの形だと、いくつかの不便な点が存在します。ここでは、見積もりを作成する側の視点と見積もりを提示される側の視点でそれぞれご説明致します。
まず、見積もりを作成する側、つまり葬儀社側の視点では、大きく3つの不便な点が挙げられます。
●葬儀社側
まず1つ目は、見積もりのもととなるカタログなどが紙媒体で存在するために、少しでも特殊な要望があると、それに合致する備品や組み合わせを探すことが非常に大変な点が挙げられます。
2つ目は、従来の見積もりでは、手書き、もしくはエクセルを用いて見積書を作成していたために、見積書から受注書を作成したり、請求書を作成したりする場合に、一々書類を作り直す必要があります。
最後に3つ目は、見積書のもととなる資料が紙媒体で存在するために、その全容の把握が難しく、新人社員と熟練社員でその内容に斑が生まれてしまう可能性が大きいなどの不便な点が存在します。
●施主側
続いて、見積書を受け取る側、つまり喪主や施主側の不便な点としては2つほどあげることができます。
まず1つ目は、従来の見積書は、ほとんどが文字で記入されているために、その内容がイメージしづらいです。例えば、見積書に「祭壇A(白)」と書かれていてもなんのことがわかりませんよね。見積書のわかりやすさは、喪主や施主にとって重要な判断材料になります。
次に2つ目は、見積もりの変更が大変であるという点です。これは、先程の作成者側視点でもご説明したように、一部備品などを変更しようとすると改めて見積書を再作成する必要があるため、ある程度の時間がかかってしまします。また、比較検討も難しいため、ある程度決まったパターンでの葬儀の実施になってしまう場合もあります。
このように、見積書の作成に時間がかかったり、柔軟な変更がすぐにできなかったりすると、喪主や施主にとってもストレスとなり、大きなクレームに発展する場合もあります。
葬儀社が見積もりを作成する場合には、こうした点にしっかりと気をつけなければならないのです。
葬儀のシステム化については「葬儀に関するシステム化が進んでいる?葬祭関連システムの実例を完全解説」「葬祭管理システムとは?葬儀社の負担を軽減する最新の管理システムを完全解説!」の記事もご参考ください。
葬儀の見積もりを簡単にする見積システムとは?
ここまで、従来の見積もりの取り方では、どうしても発生してしまう不便な点についてご説明してまいりました。
これらの不便な点は、大きくまとめると、
(他の帳票と連動していない)
②見積もりを作成するための資料にアクセスすることが難しい
(紙媒体で存在しているために、探している情報にすぐたどり着かない)
などとなります。
現代では、IT技術の進化もあり、こうした不便な点を解消できるシステムが多く開発されています。
ここからは、そうしたシステムの具体例をご紹介して参ります。
葬儀に関する見積システムの例
さて、ここからは、葬儀に関する見積もりシステムの例をご紹介してまいります。こうしたシステムには、見積もりに特化したソフトウェアから、葬儀そのものの業務を管理する統合的なシステムまで幅広く存在しています。
それでは、その具体例をいくつかご紹介してまいります。
iPad見積もりシステムRAXIS
はじめにご紹介するシステムは、キッセイコムテック株式会社が提供する「iPad見積もりシステムRAXIS」です。
iPad見積もりシステムRAXISの特徴
このシステムは、葬儀担当者が、顧客にiPadを用いて、画像や動画を活用しながら商品やサービスについて紹介し、顧客が求めている葬儀を素早く選択することが出来るシステムとなっています。
このサービスで特筆的なものが、iPadという小型で携帯性の高い端末を用いて、簡単に商品やサービスの写真などの情報を顧客に提示でき、その場ですぐに見積書に反映が出来ることです。これまでの見積もりの取り方だと難しかった、柔軟なプランの選択や変更が可能になります。
東海シティネット
次にご紹介するシステムは、東海シティネット株式会社が提供する「葬儀社向けリアルタイム見積もりシステム」です。
東海シティネットの特徴
このシステムは、夜間などの急なお問い合わせであっても、タブレットやPCで簡単に画像を交えた商品の説明から見積書の作成、発注まで全て行うことができるシステムとなっています。
加えて、このシステムではデータはクラウド上で管理され、葬儀社の営業担当だけでなく、バックオフィス業務の担当も交えたスムーズな情報の共有をすることができます。
葬祭会館業務システム葵
続いてご紹介するのは株式会社ネットシステムが提供する「葬祭会館業務システム葵」です。
葬祭会館業務システム葵の特徴
このシステムは、その名前の通り葬祭会館の業務を包括支援するものとなっています。基本的な見積書などの帳票の管理から、他の帳票との結びつけなど一括したデータ管理で、葬祭会館の業務を支援します。
また、このシステムでは、予め備品などのプランを「セット登録」しておくことが可能で、見積書の作成などを行う際に簡単にデータを呼び出すことが可能となっています。
トータルセレモニーシステム葬儀プレゼンテーション葬明
次にご紹介するのは有限会社米桂が提供する「トータルセレモニーシステム葬儀プレゼンテーション葬明」です。
>>公式サイト「トータルセレモニーシステム葬儀プレゼンテーション葬明」
トータルセレモニーシステム葬儀プレゼンテーション葬明の特徴
このシステムでは、PCやタブレットで運用することができ、プラン一覧からプランの選択、そのまま見積もり業務まで行うことが可能となっています。
また、見積もりだけでなく他の帳票の発行にも対応しているほかに、送り先によって違ったレイアウトの見積書が必要な場合にも、簡単にレイアウトの違った複数の見積書を作成することが可能です。
KitFint
続いてご紹介するのは、都築電気株式会社の提供する「KitFintセレモニー」というシステムです。
KitFintの特徴
このシステムでも、他のシステムと同様に、電子カタログを利用した簡単な商品やサービスの説明から、見積書や請求書の作成まで簡単に行うことができます。
また、施工実績を蓄積管理することが可能なので、以前の葬儀や法要の情報から、そのご家庭にあったプランなどを簡単に提案することが可能となっています。
クラウド版葬儀見積受注システム
続いてご紹介するのは、株式会社デジタルスペースワウの「クラウド版葬儀見積受注システム」です。
クラウド版葬儀見積受注システムの特徴
こちらは、クラウド版のシステムとなっており、アプリのインストールなどが不要なシステムです。タブレット一つで、電子カタログの閲覧から、見積書などの必要書類の印刷、受注書の作成まで簡単に行うことができます。
スマート葬儀
最後にご紹介するのは、ライフエンディングテクノロジーズ株式会社が運営するオンライン葬儀システムのスマート葬儀です。
>>公式サイト「スマート葬儀」
スマート葬儀の特徴
クラウドでの見積共有はもちろん、CRM(顧客管理システム)を使った業務改善をおこなうことで、現場、経営、管理の全ての担当者が抱える課題を解決に導きます。また、受発注もワンクリックで行うことができ時間短縮に繋がりコスト削減、⼈員⼯数削減が可能に。相談内容はすべてクラウド管理されているので、必要な情報を適宜呼び出すこともできます。
また、スマート葬儀では葬儀や法要への参列から芳名帳への記帳、香典、供花、供物、香典返しのネット決済と手配、焼香なども全てオンラインで行う「オンライン葬儀」も導入することができます。
スマート葬儀の取材・放映情報は下記記事をご覧ください。
・オンライン葬儀参列システム「スマート葬儀」をテレビ朝日:スーパーJチャンネルに取材・放映頂きました。
・NHK:ニュースシブ5時にオンライン葬儀参列システム「スマート葬儀」を取材・放映頂きました。
・オンライン葬儀参列システム「スマート葬儀」を毎日新聞に掲載頂きました。
スマート葬儀を含め、各種葬儀についての不明点や疑問は『やさしいお葬式』から24時間365日無料相談も承っています。電話でもメールでも行えますのでお気軽にご連絡下さい。
葬儀の見積システムについてのまとめ
「葬儀での見積もり」について特に重要となるポイントを下記にまとめました。
【これまでの見積もりの取り方】
●紙媒体である資料(カタログやプラン表)での提供
【これまでの不便な点】
●葬儀社側
・備品や組み合わせを探すことが非常に大変な点
・見積書から受注書を作成したり、請求書を作成したりする場合に、一々書類を作り直す必要がある
・新人社員などだと全容の把握が難しい
●施主側
・内容がイメージしづらい
・見積もりの変更が大変
【葬儀に関する見積システムの例と特徴】
●iPad見積もりシステムRAXIS
・葬儀担当者が、顧客にiPadを用いて、画像や動画を活用しながら商品やサービスについて紹介し、顧客が求めている葬儀を素早く選択することが出来るシステム
●東海シティネット
・夜間などの急なお問い合わせであっても、タブレットやPCで簡単に画像を交えた商品の説明から見積書の作成、発注まで全て行うことができるシステム
●葬祭会館業務システム葵
・基本的な見積書などの帳票の管理から、他の帳票との結びつけなど一括したデータ管理で、葬祭会館の業務を支援する
●トータルセレモニーシステム葬儀プレゼンテーション葬明
・PCやタブレットで運用することができ、プラン一覧からプランの選択、そのまま見積もり業務まで行うことが可能
●KitFint
・電子カタログを利用した簡単な商品やサービスの説明から、見積書や請求書の作成まで簡単に行える
●クラウド版葬儀見積受注システム
・タブレット一つで、電子カタログの閲覧から、見積書などの必要書類の印刷、受注書の作成まで簡単に行うことができる
さて、今回の記事では、最新の葬儀の見積システムについてご紹介してまいりました。これまでは、分厚い葬儀カタログをもとに、作成する側も受け取る側も大変だった見積書の作成ですが、現在ではIT技術の進化により、わかりやすく簡単に見積書を作成できる様になりました。
大切な人を無くしたばかりで、精神的にも身体的にも非常に厳しい時期にある喪主や施主にとって、見積書のわかりやすさや丁寧さ、寄り添ってくれる柔軟さは、葬儀社を決めるにあたって非常に重要な判断材料になります。
顧客にストレスなく、しっかりと自らの提案をお伝えするためにも、ぜひこうした見積もりシステムを導入してみてはいかがでしょうか。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール