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ご尊父の意味は?使い方から他の続柄の方の敬称まで徹底解説!

Feb 28 2021

ご尊父は弔電や弔辞で使われる父親の敬称で読み方は「ごそんぷ」です。また義父を意味するご岳父(ごがくふ)という言葉もあります。本記事では、ご尊父の使用する場面やご母堂、ご岳母など他の続柄の敬称についてもご紹介致します。

お葬式などの弔事で、故人の死をいたみ、冥福を祈るために送る弔辞や弔電を読む際などに、「ご尊父(ごそんぷ)」という言葉が出てくることが多々あります。日常では聞きなれないご尊父という言葉ですが、実際にどういう意味を持つのかご存知でしょうか?

この記事では、ご尊父の意味や使用シーン、その他の続柄における敬称など徹底的に解説して行きます。

ご尊父(ごそんぷ)とは?

ご尊父という言葉をご存知でしょうか?

なかなか日常では触れる機会は少なく、弔辞や弔電を読み上げられる際に、耳にしたことがある人もいるかもしれません。まずはじめに、ご尊父とはどういう意味で、どのような場面で使用するのか、またご岳父(ごがくぶ)との違いや英語表記についてご紹介していきます。

ご尊父とは?

ご尊父は「ごそんぷ」と読み、第三者の実の父親を呼ぶ際、より敬意を示したい場合に使用します。もともと尊父だけでも相手を敬う表現ではありますが、接頭語の「ご(御)」を付けることで敬意を強調しています。弔事やビジネスシーンで使用することが一般的ですが、特にお葬式のときなどに、ご遺族の父親や夫・妻の父親が他界した際に使用することが多く見受けられます。

また、別の表現として、「お父上」や「お父様」という表現がありますが、フォーマルな場面ではご尊父を使用します。日常の会話で使用することはほとんどありませんが、最低限の一般常識として根付いています。知らないと相手に失礼だと感じさせたり、不快な気持ちにさせてしまう危険性もあるため注意が必要です。

ご母堂(ごぼどう)とは?

ご尊父の類語としてご母堂(ごぼどう)という言葉があります。ご母堂は第三者の母親の呼称であり、「お母様」と意味合いとしては同じです。たとえば、会社の上司や、あるいは取引先の人の母親が亡くなった際など、改まった言い方が求められるケースでは、お母様ではなく、ご母堂と表現することが一般的です。なお、ご母堂に関しても、母堂だけで丁寧な表現ではありますが、「ご(御)」を頭に置くことで、敬いのニュアンスをさらに助長させています。

普段使いではなく特別なシーンでの特有の表現ではあるため、使いづらいという印象を持つ人もいるかもしれません。ただ、お葬式などのフォーマルな場においては、細かいルールや暗黙の了解なども存在するため、言い方ひとつで礼節をわきまえているか否かが相手に伝わってしまいます。

相手が不快な気持ちになったり、失礼だと思わせたりしてしまわないよう、最低限表現として頭にいれておくとよいでしょう。ちなみに、受取側の妻の母親(義母)がなくなった場合には、「ご岳母(ごかくぼ)」を使用するので別途覚えておくことをおすすめします。

ご尊父とご岳父(ごがくぶ)の違い

ご尊父のほかに、ご岳父(ごがくぶ)という表現もあります。ご尊父同様「父」という文字が入っていることからもわかるように、父親を表す言葉です。また、ご岳父もご尊父と同様に、第三者の父親に対して使用します。

ただし、ここで注意しなければならないのが、ご岳父という立場に当たる人物としては、妻の父親のみであるということです。つまり、たとえば「田中さんのご岳父がお亡くなりになった。」という文章があったとすると、「田中さんの”奥様の”お父様が亡くなった。」という意味になります。妻の父親であるため、義父という言葉よりも限定的な表現となります。

喪中のはがきや弔電を送る際などに使用しますが、自分が夫である立場であり、妻の父親が亡くなったケースでは、「岳父」と書き、「ご岳父」とは書かないので注意が必要です。関係性や立場によって表現を変更しなければならないことを忘れないようにしましょう。

ご尊父の英語表記

ご尊父を英語で表記すると、「your (honoured)father」となります。英語には日本語のように、相手との関係性で単語が変わるということはなく、シンプルに「あなたの父親」という意味の「your father」で表します。ただし、場合によっては「your(あなたの)」の箇所を、「彼の(his)」「彼女の(her)」と使い分ける必要があります。また、「honoured(名誉ある)」はつけてもつけなくても問題ありませんが、つけることでより一層敬意を示すことができます。

仮に文章で表すのであれば、「ご尊父の死に謹んでお悔やみ申し上げます。」という文章として、「Please accept my condolence on the death of your honoured father.(プリーズ アクセプト マイ コンドランス オン ザ デス オブ ユア オナード ファザー)」といった例が挙げられます。

condolenceが哀悼を意味する単語なので、直訳すると「ご尊父の死への哀悼の意を受け取ってください。」となり、哀悼の意を伝える場合には基本的に使用する単語ですので覚えておくと良いでしょう。普段から親交のある、英語話者の知り合いの人の父親が亡くなった際など、取り急ぎ弔電やお悔やみのメッセージをメールなどで送ることがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

ご尊父の使い方や使われる場面

ご尊父は一体どのような場面でどのように使用されるのでしょうか?

ここからは、具体的なシーンや使われ方についてご説明します。

弔辞や弔電を読む際

弔辞や弔電を読む際に、父親に当たる方が亡くなられた場合には、お父様よりもご尊父という言葉を使うことが一般的です。そもそも弔辞や弔電とは、喪主宛に故人への弔いの気持ちや冥福を祈る言葉を書き綴ったり、電報で送ったりすることです。お通夜やお葬式に参列する場合には弔辞を、もし何かしらの理由で参列が難しい場合には、弔電サービスを利用するのが基本です。それぞれについて下記にご紹介します。

弔辞の書き方

弔辞は和紙などでできた奉書紙などに、薄墨の筆やボールペンなどで弔いの言葉を書くもので、表の中央に弔辞と記載されています。

弔事・弔電を読む流れ

また、この弔辞や弔電は、特に親しかった人からのものであればお葬式で読み上げられることが多いです。お葬式の規模によっても異なりますが、3〜4名ぐらいの人が事前に選ばれます。

弔電を読み上げる際は以下のような手順で行います。

①進行者から名前を呼ばれたら、起立をし、遺族側にいる人にお辞儀をしてから、祭壇に上がる。

②弔辞と書かれた面が上にくるように左手で封筒を持ち、逆の右手で文章の書かれた紙を取り出し、封筒が下になるようにしながら、紙を広げる。

③故人の遺影に向かい合い、お辞儀をし、弔辞を両手で少し高く持ち上げて、そこからゆっくりと読み上げる。

④全て読み終えたら、表書きを遺影の方向になるようにして、弔辞を捧げる。

⑤遺影と遺族にお辞儀をしてから席に戻る。

ちなみに、弔電を読み上げる際の注意点としては、弔辞を読み上げる人は数名いることから、一人が長々と読み上げるのはNGです。長くても1000文字程度で収められるようにします。

弔辞や弔電においてご尊父が使われるケースとしては、「ご尊父様のご逝去を悼み、心からお悔やみ申し上げます。」や、「ご尊父様のご逝去に謹んで哀悼の意を表し、心よりお悔やみ申しあげます。故人のご冥福をお祈りいたします。」など、文例は豊富にあります。相手との関係や周囲の状況などを鑑みながら、適切な言葉選びをしましょう。

弔辞に関しては、「弔辞の例文10選!書き方・話し方・マナーを完全解説!」の記事もご参考ください。

お悔やみの言葉やメールを送る際

弔辞や弔電の他に、お悔やみの言葉をメールなどの手段で送ることもあると思います。メールでお悔やみの言葉を送る相手としては、親しい友人や、会社の人など、普段から特別仲が良い人などが予想されます。

メールというカジュアルな手段であっても、送り先の父親にあたる人が他界された際には、基本的にはご尊父と記載しましょう。ただし、相手との関係性によっては、必ずしもご尊父と表記しなければならないというわけではありません。例えば、故人やその家族と親交が深かったり、家族ぐるみで関わりがあったなど、特別な関係であったのならば、普段の愛称や呼び方でも問題ありません。

ご尊父という言葉にも言えることですが、そもそもそういった丁寧な言い回しが使われるのは、相手への敬意や弔意を最大限に表現することが目的としてあります。したがって、弔辞など比較的大勢の前で読み上げるような場面ではなく、個人的にお悔やみの言葉を送るといった場合なのであれば、かしこまりすぎるのも、かえってよそよそしい印象を与えてしまうこともあるでしょう。

重要なのはあくまでも、故人や周囲の遺族への弔いや、労りの気持ちを言葉にすることであるため、相手によって敬称を使用するかどうかは自分で判断することをおすすめします。

祖父や祖母などほかの方の敬称

ここまで父親を指す、ご尊父・ご岳父、そして母親を指す、ご母堂・ご岳母といった敬称についてご紹介してきましたが、以下のように祖父や祖母など、ほかの人を表す敬称があります。

【祖父母】
祖父:ご(御)祖父様、祖父君、おじい様
祖母:ご(御)祖母様、祖母君、おばあ様

【子ども】
息子:ご(御)子息様、ご(御)令息様
娘:ご(御)令嬢様、お嬢様
孫:ご(御)令孫(れいそん)様、お孫様

【兄弟】
兄:ご(御)令兄(れいけい)様、お兄様
弟:ご(御)令弟(れいてい)様、弟さん
姉:ご(御)令姉(れいし)様、お姉様
妹:ご(御)令妹(れいまい)様、妹さん

【親戚】
父or母の兄(伯父):伯父上様、伯父様
父or母の弟(伯母):伯母上様、伯母様
父or母の姉(叔父):叔父上様、叔父様
父or母の妹(叔母):叔母上様、叔母様
甥:ご(御)令甥(れいせい)様、甥御(おいご)様
姪:ご(御)令姪(れいてつ)様、姪御(めいご)様

令という漢字には、敬う気持ちが込められているため、続柄を表す言葉につけることで、丁寧な表現になります。

弔電やお悔やみの手紙・メールで気をつけたいこと

弔電やお悔やみの手紙、メールを送る際に気をつけなければならないことが数点あります。場合によっては相手を傷つけてしまう可能性もあるため、頭に入れておきましょう。

忌み言葉をつかわない

弔事の際に使用することを避けられている、不幸なことを連想させる言葉のことです。お祝いの席と弔事では忌み言葉の種類も変わってきます。今回の弔電やお悔やみの手紙・メールを送る際に該当する忌み言葉としては、直接的に生死を表現する言葉であったり、不吉な数字などが挙げられます。たとえば、「死」や「苦しむ」などの言葉であったり、それらを連想させる「四(死)」や「九(苦)」の数字も使用してはいけません。

重ね言葉にも注意

他にも、「たびたび」「かさねがさね」などの「重ね言葉」は、繰り返すことを連想させるため、二度と繰り返したくないお葬式などの弔事の場面では使用するのはタブーです。相手の気持ちに寄り添い、忌み言葉は基本的に使わないということを頭に入れておきましょう。

遺族の心情に配慮する

ご尊父などの敬称を使用することに気を遣ったり、忌み言葉を使用したりしないなど、心配りを怠らないように振舞う背景には、遺族の心情に配慮するという目的があります。お葬式では、特に遺族側は精神的にも肉体的にも憔悴していることが容易に想像できます。もちろん、故人への弔いやいたむ気持ちを表現するためにも、弔電やお悔やみメールでの言葉遣いは気をつけなければなりませんが、遺族へ労りの気持ち伝えたり、配慮の気持ちを持って接することも、同じくらい必要な姿勢なのです。

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遺族側を不快にさせるような軽はずみな言動は絶対控えるべきですし、適切な言葉を用いてお悔やみの言葉を伝えるというちょっとした配慮を意識することは大変重要な点だと言えます。相手の気持ちに寄り添ったコミュニケーションを心がけましょう。

葬儀についてのマナーは「今更聞けない葬儀・告別式のマナーと費用を地域別に徹底解説!」もご参考ください。

仏教以外の宗教にも配慮する

日本では圧倒的に仏教の人が多いですが、仏教上では使用しても特に問題ない言葉が、他の宗教では失礼にあたることもあるため注意が必要です。宗教はそれぞれ死生観も随分と違いがあり、場合によっては相手に無礼と捉えられてしまうこともあります。

たとえば、「ご冥福」という言葉は、故人の死後の幸せを願うという意味ですが、実はこれは仏教特有の表現なのです。そもそも死後、故人の魂があの世に行くという考え方自体が他の宗教では通用しないことがあります。具体的には、キリスト教や神道、仏教でも浄土真宗においては基本的に使いません。

したがって、弔辞やその他メールなどの手段でお悔やみの言葉を捧げる場合には、相手がどの宗教を信仰しているのか、あらかじめ確認しておくことは大変重要なポイントです。

仏教以外の宗派に関しては、「前もって理解しておこう!葬儀の種類や宗教ごとの違いを解説」もご参考ください。

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ご尊父の意味についてのまとめ

ご尊父という言葉の意味についてご紹介してきました。

下記に、特に重要となるポイントをまとめました。

【ご尊父(ごそんぷ)とは?】
第三者の父親を呼ぶ際に敬意を示したい場合に使用する
弔事やビジネスシーンで使用することが一般的

【ご尊父以外の呼称】

【父親】
●義理の父親:
ご岳父(ごがくぶ)

【母親】
母親:ご母堂(ごぼどう)
義理の母親:ご岳母(ごかくぼ)

【祖父母】
祖父:ご(御)祖父様、祖父君、おじい様
祖母:ご(御)祖母様、祖母君、おばあ様

【子ども】
息子:ご(御)子息様、ご(御)令息様
娘:ご(御)令嬢様、お嬢様
孫:ご(御)令孫(れいそん)様、お孫様

【兄弟】
兄:ご(御)令兄(れいけい)様、お兄様
弟:ご(御)令弟(れいてい)様、弟さん
姉:ご(御)令姉(れいし)様、お姉様
妹:ご(御)令妹(れいまい)様、妹さん

【親戚】
父or母の兄(伯父):伯父上様、伯父様
父or母の弟(伯母):伯母上様、伯母様
父or母の姉(叔父):叔父上様、叔父様
父or母の妹(叔母):叔母上様、叔母様
甥:ご(御)令甥(れいせい)様、甥御(おいご)様
姪:ご(御)令姪(れいてつ)様、姪御(めいご)様

【ご尊父を使う場面】
●弔辞や弔電を読む
●お悔やみの言葉やメールを出すとき

「ご尊父」という漢字からも「父親」であることは、おおよそ見当がつきそうではありますが、普段のコミュニケーションの中では使用する機会はなかなかない言葉です。日本では、特に冠婚葬祭などのフォーマルな場面においてのみ根付いている言葉です。昔ながらの礼節や文化を重んじる人が多い場面では、弔辞や弔電の書き方のマナー一つで恥ずかしい思いをしてしまうこともあります。

また、敬称も使う相手によって言葉が変わることも多いため、ご尊父をはじめ、ご岳父やご母堂などの敬称を使用する場合には、伝える相手との関係性などをきちんと確認してから、正しいものを使わなくてはなりません。

「ご尊父」の敬称は馴染みのない言葉であることから、全く知らなかったという人もいるかもしれません。しかし、相手への弔いの気持ちや敬意を示すためには、ご尊父をはじめ敬称を正しく使えることは重要なポイントとなります。

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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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