一周忌はどのように進めたらよいのか、ほとんどの方は経験がなく、戸惑うことも多いでしょう。 特に挨拶を行うタイミングがたくさんありますが、どのように挨拶したらよいのか心配ですね。 今回の記事では、一周忌の挨拶について、タイミングや文例などを解説します。
一周忌はどのように進めたらよいのか、ほとんどの方は経験がなく、戸惑うことも多いでしょう。 特に挨拶を行うタイミングがたくさんありますが、どのように挨拶したらよいのか心配ですね。 今回の記事では、一周忌の挨拶について、タイミングや文例などを解説します。
一周忌法要の流れ
一周忌の法要は、通常、ご遺族や親族、故人の友人・知人など故人と親しかった人で行います。
一周忌が近づいたらお寺とも連絡を取りながら、早めに法要を行う日時や場所を決めましょう。
最近は、参列者の会葬の都合も考えて、一周忌の命日の直前の土曜か日曜に行う場合も多いです。
その後、お斎(会食)の場所・内容などを決め、招待する人への案内状の準備を進めます。
一周忌法要の当日の主な流れは、一般に次のようになります。
-
- ・僧侶入場
- ・施主挨拶
施主が法要開始の挨拶を簡潔に行います。 - ・読経
僧侶の方にお経をあげていただきます。 - ・焼香
焼香は最初に施主が行い、次いで故人に近いご遺族から順次行います。 - ・法話
僧侶から講話があります。 - ・僧侶退場
僧侶がお斎に出られない場合は、お布施とお車代、御膳料をお渡しします。 - ・施主挨拶
施主が法要終了の挨拶を行います。
お墓参りあるいはお斎の際にすることもあります。 - ・(お墓参り)
お寺や霊園などでの法要で、お墓が会場に近ければ、引き続きお墓参りをします。 - ・お斎(会食)
ご遺族・親族、会葬者で故人を偲び会食をします。これをお斎と言います。
一般に上記のような流れとなりますが、一周忌に合わせてお墓を建てて納骨することもあります。
その場合は、一周忌法要に引き続きお墓の開眼供養と納骨式を行ってから、お斎となります。
一周忌での挨拶のタイミングと例文
施主が一周忌で挨拶する場面は、葬儀のときと同様にかなり多くあります。
一周忌での挨拶のタイミングと例文をご紹介します。
一周忌法要の開始の挨拶
一周忌法要では、最初に施主が開始の挨拶をします。
次の例文のようにごく簡単な挨拶にした方がよいでしょう。
例文「本日は、皆様お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
これより故○○(戒名・法名)の一周忌法要を始めさせていただきます。
(住職に向い)それではご住職、よろしくお願いいたします。」
故人を法要の席で紹介するときは、戒名(法名)にするのが正式とされています。
しかし、身内の方などが中心の法要のときは、故人の生前の名前の方がよい場合もあると思います。
その場の雰囲気にもよりますが、迷われたときは事前にお寺に確認してみるとよいでしょう。
一周忌法要の終わりの挨拶
一周忌法要が滞りなく終わったら、施主から法要の終了の挨拶を行います。
施主の挨拶は、次の例文のように簡潔な挨拶がよいでしょう。
例文「本日は、お忙しい中にもかかわらずご出席を賜り、ありがとうございました。
お陰様で故○○の一周忌法要を無事終えることができ、故人も安心し喜んでいることと存じます。
皆様には今後も変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
ささやかではございますが、別室にお膳をご用意しております。
ご多忙とは存じますが、お時間が許します限り、故人を偲び、おくつろぎいただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。」
僧侶へお布施を渡すときの挨拶
次に、僧侶の方にお布施をお渡しするときの挨拶の例を紹介しておきましょう。
僧侶は、お斎に参加される場合と参加されない場合があります。
それぞれの場合に分けて説明しましょう。
僧侶がお斎に参加する場合
僧侶がお斎に参加される場合は法要のお礼を述べて、会食への案内をします。
僧侶がお斎に参加されるか否かは、事前に伺っておいた方がよいでしょう。
僧侶への挨拶は以下のようになります。
例文「本日はお忙しい中、ありがとうございました。
お陰様で一周忌法要を無事終えることができました。
心ばかりですが、別室にお膳をご用意させていただきました。
お忙しいところ恐縮ですが、お時間の許す限りごゆっくりなさっていって下さい。」
また、会食後に施主の締めの挨拶を済ませてから、僧侶にお布施とお車代をお渡しします。
その際の挨拶は以下のようになります。
例文「本日は長時間お付き合い頂き、誠にありがとうございました。
些少ではございますが、お礼の気持ちでございます。(ここでお布施を渡します。)
今後ともよろしくお願い申し上げます。」
僧侶がお斎に参加しない場合
僧侶がお斎に参加せずに帰られるときは、お布施とお車代、御膳料を一緒にお渡しします。
僧侶へお布施を渡すときの挨拶例文は以下のようになります。
例文「本日は、お心のこもったお勤めと法話を頂きまして誠にありがとうございました。
些少ではございますが、お納めください。(ここでお布施とお車代・御膳料を渡します)
今後ともよろしくお願い申し上げます。」
浄土真宗の場合
浄土真宗では、お布施は読経のお礼や代価ではなく、阿弥陀如来さまに捧げるものとされています。
そのため、お布施をお渡しするときも、お礼とは言わず、次のように言います。
例文「おことづけして申し訳ありませんが、ご本尊阿弥陀さまにお供え下さい。」
お布施を渡すタイミングは、最初の挨拶のときでも、法要の後でも、いずれでも構いません。
英語で挨拶・スピーチする場合
英語で挨拶するときの例文です。
Thank you for coming for the first anniversary of (my mother's) death.
Thank you so much for attending the first anniversary of (my mother's) death.
(一周忌にご参列いただき誠にありがとうございました)
We are truly grateful for your friendship and support.
(ご厚情とご支援を心から感謝します)
Words cannot express how much we thank you for the expressions of sympathy, and all the help you provided.
(ご弔意とご支援に感謝の言葉もありません)
一周忌後のお斎(会食)の挨拶
一周忌後のお斎(会食)の際の献杯や締めの挨拶についても、説明しておきましょう。
食事前・献杯の挨拶
会食に先立ち、施主から法要参列に対するお礼と会食の案内を簡潔に述べます。
その後、献杯をお願いする人を紹介します。
例文「本日はお忙しい中、お越しいただき、ありがとうございます。
おかげさまで一周忌法要も滞りなく済ませることができました。
これより、時間の許す限りご一緒に故人を偲びたいと思います。
はじめに(父の友人である)◯◯様に献杯のご発声をお願いします。」
次いで、施主に指名された方が献杯の挨拶を行います。
献杯の挨拶は、故人との関係などを簡潔に述べたうえで、落ち着きのある声で静かに献杯をします。
この際、故人のご遺骨と位牌、遺影を正面に安置して位牌の前に杯を捧げます。
【献杯の挨拶の例文】
「ご紹介いただいた(故人の友人の)○○でございます。
(故○○様は、苦楽を共にした良き友人であり、また大変お世話にもなりました。)
今日は、皆様と故人の思い出を語りながら、故人を偲びたいと思います。
それでは、ご唱和お願いいたします。献杯」
献杯後、全員で合掌または黙祷をします。
その後、施主が「ありがとうございました。
それではどうぞお食事をお召し上がり下さい」と述べてから会食に入ります。
献杯の挨拶では何を話すべき?故人との関係別の文例や注意点を紹介
会食後・締めの挨拶
小1時間くらい経ったら頃合いを見て、施主が締めの挨拶をします。
例文「本日はお忙しい中、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
そろそろお開きとさせていただきたいと存じます。
これからも変わらぬご交誼とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
ささやかですがお手元にお礼の品を用意しました。
お気を付けてお帰り下さい。」
一周忌での参列者の挨拶文例
次に、一周忌での[emp1]参列者の挨拶の文例を見ておきましょう。
参列者も何度か挨拶するタイミングがあります。
参列者の挨拶では、ご招待への謝意、ご遺族へのいたわりの気持ちなどを手短に述べましょう。
また、「ご愁傷様」や「お悔やみ」、「ご冥福」などは、一周忌法要の際は使いませんので注意しましょう。
受付の時の挨拶
受付では、法要に招かれたことへの感謝の気持ちを、簡潔に述べましょう。
-
- ・本日はお招きをいただき、恐れ入ります。
- ・本日はご案内を頂き恐縮です。
- ・今日は心を込めて一緒にお祈りさせて頂きます。
香典を渡すときの挨拶
香典はできれば施主の方に直接お渡しした方がよいのですが、受付があるときは受付で渡します。
香典を渡すときの挨拶も、次のように一言添える程度で手短にしましょう。
-
- ・御仏前にお供えください。
- ・ほんの気持ちばかりですが…
親族や友人に向けての挨拶
親族や友人への挨拶では、率直にいたわりとねぎらいの気持ちを言葉にしてかけるとよいでしょう。
-
- ・ごぶさたしており申し訳ありません。
- ・もう一周忌とは早いものですね。
- ・この一年、大変でしたね。
- ・その後、皆様お元気にしておられましたか?
帰るときの挨拶
法事が終了し帰るときは、施主に一言挨拶してから退場するようにしましょう。
-
- ・本日はお世話になりました。
- ・お身体大切にお過ごしください。
一周忌の挨拶を手紙で行う場合
一周忌の挨拶を手紙で行う場合について、説明しておきましょう。
手紙では、一周忌に伺えない旨のお詫びと、故人への思いなどを、率直に述べるとよいでしょう。
弔電を送る
一周忌に参列できない旨を取り急ぎお伝えするときは、弔電を送りましょう。
【弔電の文例】
「一周忌のご案内ありがとうございます。
改めて故人のことが偲ばれます。
やむを得ない事情により参列できず、誠に申し訳ございません。
心ばかりのお花を送らせていただきましたので、ご仏前にお供えください。 」
手紙を御仏前にお供えする
時間に余裕があるときは、手紙を書いて御仏前にお供えしていただくとよいでしょう。
手紙には、参列できないことのお詫び、ご遺族へのいたわりの気持ちなどを書き添えましょう。
拝啓などの頭語や結語は用いず、忌み言葉に注意しましょう。
一周忌法要の前に届くように送りましょう。
【手紙での挨拶の文例】
「法事のご案内をいただき、ありがとうございます。
亡くなられて一年になるのですね。
ご家族の寂しさもひとしおであったのではと、お察しいたします。
○○さんには生前大変お世話になり、今でも深く感謝しております。
都合により一周忌法要に参列できず、誠に申し訳ございません。
心ばかりのものですが、ご仏前に御供えしていただければと思います。」
一周忌法要の挨拶状について
最後に一周忌法要の挨拶状について、説明しておきましょう。
一周忌の日時・場所を決めたら、ご案内する範囲を考え、挨拶状を送ります。
挨拶状の書き方
一周忌の挨拶状には、法事の内容、日時・場所、会食の有無などをはっきりと書きましょう。
挨拶状に盛り込まなければならないポイントとなる事項と書き方のマナーは、次のとおりです。
法要の内容(誰の何回忌法要)
故人の氏名と一周忌法要を行う旨を明示します。
一周忌法要に合わせて納骨式や墓参りを行うときは、その旨も明示しましょう。
日時・場所(会食の有無)
法要の日時と場所を明示します。
法要に引き続きお斎(会食)がある場合は、その旨と会場を明示します。
出欠の確認
返信用はがきを忘れずに同封して、出欠の連絡をお願いします。
返信の宛先(施主の氏名・電話番号)は明記しておきましょう。
書き方のマナー
一周忌法要の挨拶状を書くときの、書き方のマナーなどにも注意しましょう。
-
- ・句読点は用いない
法事の案内状では、通常、文中に句読点は用いません。 - ・頭語・結語と時候の挨拶
頭語・結語と時候の挨拶は通常どおりに書きます。 - ・余裕をもって送る
挨拶状は、一周忌の1ヶ月前までには送りましょう。 - ・封筒・はがき
手紙の場合は、2重封筒は縁起が悪いとされるので、用いないようにしましょう。
最近は手紙の代わりに往復はがきを使うことも多いです。
- ・句読点は用いない
はがきを受け取ったらすぐ返事をする
一周忌のご案内のはがきをいただいたら、都合がつく限りできるだけ出席したほうがよいでしょう。
案内を受け取ったら、早く出欠の返事をしましょう。
遅くとも法要の一週間前までには届くように出しましょう。
出席するときの、返事の例文は、次のとおりです。
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- ・ご法要の案内を頂きありがとうございます。必ず出席させて頂きます。
- ・ご丁重なご案内を頂き恐れ入ります。ぜひお伺いさせて頂きます。
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まとめ
この記事の要点は、次のとおりです。
-
- ・一周忌法要の主な流れ
法要は、喪主挨拶、僧侶読経、焼香、法話と進み、法要終了後、引き続きお斎となる。
法要後に墓参りする場合や納骨式が行われることもある。 - ・一周忌の挨拶をする人
挨拶は喪主が行う。喪主は、葬儀の喪主であった方が務めるのが一般的である。 - ・一周忌法要で挨拶するタイミングと文例
喪主が挨拶する場面は、法要の始めと終わり、僧侶にお布施を渡すときなど多い。
基本的に謝意を簡潔に述べるだけでよい。 - ・お斎の際の挨拶
喪主が会葬のお礼と会食の案内を簡潔に述べ、献杯に移る。
献杯の挨拶は、喪主に指名された方が手短に行う。 喪主は締めの挨拶もする。 - ・参列者の挨拶
受付、香典を渡すとき、親族への挨拶では、招待への謝意・弔意を手短に述べるとよい。 - ・挨拶を手紙で行う場合
一周忌に参列できないお詫び、故人の思い出などを書くとよい。 - ・一周忌法要の挨拶状の書き方
記載事項(法要内容、日時・場所・会食の有無など)やマナーに注意する。
- ・一周忌法要の主な流れ
一周忌の挨拶や対応は、不慣れなこともあり戸惑うかもしれません。
しかし、大切なことは、感謝の気持ちを持って故人を偲ぶことです。
この記事の挨拶の例文などを参考にしていただければ幸いです。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール