故人が亡くなられた後は、葬儀や法要が行われます。法要の1つである初七日に参列する場合、持参する香典の表書きはどう書けばいいのかご存知でしょうか。この記事では、初七日の香典の表書きなどを中心に解説していきます。
故人が亡くなられた後は、葬儀や法要が行われます。法要の1つである初七日に参列する場合、持参する香典の表書きはどう書けばいいのかご存知でしょうか。この記事では、初七日の香典の表書きなどを中心に解説していきます。
INDEX
初七日の香典の表書きについて
故人が亡くなられた後、ご遺族は悲しむ時間もなく葬儀の準備に追われます。
葬儀が終わった後もさまざまな法要を行って故人の供養をするなど、やることはたくさんあります。
参列する側もご遺族ほどではないものの、日程を合わせたり、場に合わせた服装にするなどの準備をしなければなりません。
その中でも、初七日に参列する際に持参する香典の表書きは何を書けばいいのかわからなくて戸惑うという人も多いのではないでしょうか。
例えば「宗教によって表書きの内容は違うのか」「香典の表書きは薄墨でいいのか」など、疑問は尽きないこととおもいます。
この記事では、初七日の香典の表書きについて、
-
- ・初七日の意味
- ・初七日香典の表書きの宗教別書き方
- ・初七日の香典の名前はどう書くのか
- ・初七日の香典に使うのは薄墨?
- ・初七日の香典袋を選ぶ際に見るところ
- ・初七日の香典はいくら必要か
以上のことを順に解説していきます。
初七日の香典袋を選ぶ際に気を付けておくべき点についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
初七日とは
初七日とは、故人が亡くなられてから初めて行う法要のことです。
仏教では死後、四十九日まで故人が幽霊から仏様になるための修業期間があるとされています。
故人は七日ごとに試練を受けることとなるのですが、その負担を減らすためにご遺族側も合わせて法要を行って供養するのです。
そのため、初七日は故人の逝去した日から数えて七日目に行われます。
しかし、近年では日程を合わせづらいなどの理由から葬儀と初七日を同時に行うところも多いです。
初七日香典の表書きは何と書く?
ここでは初七日の香典の表書きについてご紹介します。
宗教や宗派によって、表書きに記入する内容は変わってきますので、香典を持っていく相手の宗教を確認してからご覧ください。
仏式
仏式の場合、初七日の香典の表書きに書くのは「ご霊前」または「御霊前」です。
たまに香典の表書きに「御仏前」と記入している人がいますが、これを初七日の香典で書くのは間違っています。
どちらも似たような名前ですが御霊前は四十九日前、御仏前は四十九日後に記入すると言われています。
四十九日前に位置する初七日に持っていく香典の表書きには、霊に供えるという意味で御霊前と書くのです。
そして四十九日後に行われる法要で持って行く香典の表書きには、もう仏様となっている故人に供えるという意味で御仏前と記入します。
浄土真宗
仏式では初七日で持参する香典の表書きは御霊前であり、御仏前と記入することは誤りだと先述しました。
しかし、宗派が浄土真宗である場合は、四十九日より前でも御仏前と記入するのが正しい書き方です。
浄土真宗では四十九日まで故人の霊がこの世に留まるという考えはありません。
亡くなったら故人はすぐに浄土へ向かい、仏様になるという「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」の考えを持っています。
つまり、すでに故人は仏様になっているとされているため、浄土真宗では御仏前と書くのです。
しかし、肝心の故人の宗派がわからないという人は「御香料」もしくは「御香典」と記入しておけば良いでしょう。
神式
神式の場合、初七日の香典の表書きに書くのは「御榊料」や「御玉串料」、もしくは「御神前」です。
香典は仏式で使われている呼び方なので、言葉にする際も御榊料や御玉串料と言うようにしましょう。
仏式で初七日と呼ばれている法要は、神式でいうなら「十日祭」にあたります。
仏式では故人が亡くなった日から四十九日まで七日ごとに法要がありますが、神式では霊祭と呼ばれる行事を十日ごとに行います。
これを霊前祭といって十日祭・二十日祭・三十日祭・四十日祭・五十日祭と続くのです。
最後の五十日祭が仏式でいうところの四十九日にあたります。
仏式とは似通っているようで違う点もあることに注意しましょう。
キリスト教式
キリスト教の場合、初七日の香典の表書きに書くのは「御霊前」や「御花料」、または「御ミサ料」です。
ここで注意すべきことは、参列予定の故人の宗派はどこかという点です。
キリスト教の宗派は大きくわけてカトリックとプロテスタントがあり、香典の表書きで書く内容はそれぞれ違います。
カトリックの場合は御ミサ料や御霊前、プロテスタントの場合は「忌慰料(きいりょう)」と記入しましょう。
プロテスタントは御霊前が使えませんのでご注意ください。
どちらにも問題なく表書きとして使える言葉は御花料です。
宗派を事前に知ることができなかったという人は、御花料と記入しておけばどちらの宗派に対しても失礼になりません。
初七日の香典の名前の書き方
香典には他にも会葬者の名前を記入する必要があります。
しかし、香典を出す人によって名前の書き方に違いがあることをご存知でしょうか。
この項目では、初七日の香典の名前の書き方をご紹介します。
基本的な書き方
香典の表書きの基本的な書き方は、下段の真ん中にご自分の名前をフルネームで記入します。
名字と名前はひとつながりに書いても問題ありませんが、少し離して記入した方が見栄えがいいです。
夫婦など連名の場合
ご夫婦で香典を出すなら、基本的には旦那さんがフルネームで名前を記入します。
ご夫婦が連名で出す時は、2人そろって故人と親しかった場合です。
この場合はまず下段の真ん中に旦那さんのフルネームを書き、名前部分の左側に奥さんの名前だけを並べる形で書きます。
故人を知っているのが旦那さんだけ、もしくは奥さんだけの場合はその人のフルネームのみを記入してください。
団体の場合
団体で香典を出す場合、2人なら中央に並べてフルネームを記入します。
ご夫婦と違い、どちらもフルネームで書くことに注意しましょう。
3人の場合は、目上の人を右側から順にフルネームで書いていきます。
人数が4名以上になると流石に表書きに収まりきらないため、代表者のフルネームを記入して「他一同」または「他〇名」と書き添えてください。
全員の名前を記入したい場合は、別紙に全て書いて香典袋に同封すると良いでしょう。
会社の部署で連名する際は、代表者のフルネームの右側に部署名を書きます。
名前の代わりに会社名で香典を出したい場合、部署名と合わせて中央に書いた後、下に「一同」と記入します。
初七日の香典には薄墨を使う?
初七日の香典の表書きに使うのは薄墨か、それとも濃墨か、迷う人は多いことでしょう。
結論から申し上げますと、使用するのは薄墨の方です。
薄墨を使う理由は「いきなりの訃報に墨をする時間をとれなかった」「突然の悲しい知らせに涙がすずりに落ちてしまった」などの意味があります。
先述したように、初七日は葬儀と同時に行うことが多いため、薄墨を使用するのが自然と言えるでしょう。
また、葬儀と別に法要を行う場合でも、故人が亡くなられてから七日後なのでやはり薄墨を使うのが適切です。
ちなみに、同じ弔事でもお布施の場合はお坊さんに対する謝礼になるため、お布施の表書きには濃墨を使います。
初七日の香典袋の選び方
香典は表書きやいくら包むかなどを優先的に考えがちですが、香典袋にもさまざまな種類があります。
香典袋を選ぶ際はどこを見ればいいのか、どこに気をつければいいのかを一緒に見ていきましょう。
水引の種類・結い方
水引の色には位があり、金・銀・紫・赤・藍・緑・黄・黒という順番になっています。
金色寄りであればあるほど慶事、黒色寄りであればあるほど弔事という風に決められているのです。
初七日は弔事にあたるため、黒白の水引を使います。
水引の結い方は結び切り、もしくはあわじ結びのものを選びましょう。
いずれも一度結んだらなかなかほどけにくい結い方です。
そこから連想して、二度と繰り返したくないという意味合いを込め、弔事でも慶事でも使われています。
宗教特有の絵柄に注意
香典袋には絵柄があしらわれているものもあります。
絵柄はそれぞれの宗教に応じた専用の香典袋となっているので、好みで選ぶことのないようにしましょう。
ユリの花や十字架があしらわれた香典袋はキリスト教専用、蓮の花が描かれた香典袋は仏教専用です。
どちらも該当の宗教以外で用いるのは、故人やご遺族に対して失礼となるので気を付けてください。
香典袋はコンビニや文房具店などさまざまな場所で販売されていますが、キリスト教専用の香典袋の場合、コンビニではあまり置いていません。
そのため、香典袋を探すなら文房具店や大きなデパートなどに行きましょう。
初七日の香典の金額相場
初七日の香典の金額相場は、葬儀と同じ日に行うのか、別の日に行うのかで変わってきます。
同じ日に行う場合は葬儀で持参する香典の半額くらいで、別の日に行う場合は法要後に行われる会食を含めた金額になります。
基本的には故人と関係性が近ければ近いほど、普段からの交流が深ければ深いほど多く包みます。
また、香典を贈る側の人の年齢が高くなるにつれて、香典の金額も比例して高くなる傾向が強いです。
法事には様々な種類があり、包むご香典の金額に毎回迷ってしまうものです。施主側もご香典の総額によって負担が大きく変わるので、失礼のないように準備したいところです。
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初七日の香典の表書きについてまとめ
いかがでしょうか。
今回の「やさしいお葬式」の記事では、初七日の香典の表書きに関することを中心に以下のことを解説しました。
-
- ・初七日は故人が亡くなった日から七日後に行われる法要
- ・香典の表書きの書き方は仏式の場合「御霊前」、「御仏前」は四十九日後に記入するものだから注意
しかし、浄土真宗の場合は亡くなってすぐに仏様になるという「往生即成仏」の考えから初七日でも御仏前と書く、宗派がわからなければ「御香料」「御香典」 - ・神式の場合は「御榊料」「御玉串料」「御神前」
キリスト教式の場合は宗派によって違い、カトリックは「御ミサ料」「御霊前」プロテスタントは「忌慰料」、宗派がわからなければ「御花料」 - ・名前の書き方は基本的に下部の中央にフルネーム、ご夫婦の連名の場合は旦那さんのフルネームの左側に奥さんの名前だけ書く
- ・団体の場合は3人までなら目上の人の名前を右から順に記入、4名以上なら代表者の名前に「他一同」と書き添え、別紙に名前を書いて香典袋に同封
- ・香典は薄墨で水引は黒白の結び切り、香典袋の絵柄はユリの花や十字架がキリスト教専用、蓮の花が仏教専用
金額相場は葬儀と同日なら葬儀の香典の半額、別日なら会食を考慮した金額
宗教や宗派によって表書きは変わるということがわかりました。
初七日も葬儀と同様に大切な儀式なので、表書きは相手に失礼のないように記入しましょう。
「やさしいお葬式」では他にも法事や香典について、具体的に解説している記事を数多く掲載しております。
そちらの方もご興味があれば、合わせてご覧ください。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール