親族が亡くなってしまって葬儀の準備を整えなければならないというときに家族葬にするのが良いのではないかと思うケースもあるでしょう。
家族葬とは一体どのようなお葬式なのでしょうか。家族葬の一般的な内容やお葬式の流れ、家族葬にするメリットやデメリットにつて紹介します。また、費用の内訳についても理解して家族葬にすべきかどうかを判断できるようになりましょう。
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家族葬とは?
家族葬とは従来のように故人と付き合いが深かった人たちを大勢集めて行うお葬式とは異なり、同居家族や親族あるいは本当に親しかった友人程度の少ない人数で行う葬式です。
一般的には近親者だけ、あるいはそれに親友を加える形で執り行われています。家族葬は家庭葬とも言われることが多く、もともとは小規模で家族程度の範囲で行うお葬式のことを示していました。
ただ、明確な定義があるわけではないので家族よりも多くの友人を集めて行うことも少なくありません。家族葬はあくまでも参列する人を小規模にするものであって、葬儀の形式や宗教の規定などを表すものではありません。そのため、比較的気軽に家族葬にしようと決めることができます。
家族葬の流れ
家族葬をしようと決めた場合には故人の臨終のときから葬儀が終わるまではどのような流れになるのでしょうか。従来型のお葬式をする場合との違いを意識しながら確認してみましょう。ここでは家族葬を執り行う場合に一般的な流れを紹介します。
死亡の確認
病気や老衰、事故などの様々な理由で人が亡くなることがありますが、いずれの場合にもまず行う必要があるのが医師による死亡確認です。
死亡しているかどうかを判断は一般人ができるものではないので注意しましょう。病院で亡くなった場合には、すぐにその場で死亡確認が行われますが、それ以外の場合には医師を呼べば良いというわけではありません。
殺人事件や事故などの可能性も否定できないことから警察に連絡して状況も確認してもらいつつ死亡を確認してもらう必要があります。
病院で亡くなった場合には死亡宣告を受けて死亡診断書、病院以外で亡くなった時には死体検案書が交付されます。死亡届を出すのに必要な書類なのでなくさないように注意しましょう。
この時点で近親者に亡くなった事実を伝えたり、葬儀社や寺院に連絡をしてお葬式の準備を始めるのが一般的です。病院で亡くなった場合にはエンゼルケアと呼ばれる清拭が施され、次の段階に進めることが可能です。
病院に故人を置いておくことはできないので速やかに退院手続きをして遺体を引き取ることになります。もし病院外で亡くなったなら葬儀社にエンゼルケアをしてもらいましょう。
遺体の安置
次に必要になるのが遺体の安置です。亡くなってすぐにお葬式を行えることはまずないので、どこに安置するのかを考えなければなりません。
一般的には自宅安置が選ばれていますが、難しい場合には他の選択肢もあります。典型的なのが葬儀場に安置させてもらう方法です。葬儀社に連絡をしたときに申し出ておくと場所や必要なものを確保しておいてもらうことが可能です。
遺体を自宅で安置することに決めた場合には特に弔問客が訪れることがよくあるので対応の準備も整えておきましょう。香典や供花を持参する人も多いですが、家族葬の場合には辞退するのが通例です。
故人が亡くなったことを伝える際に辞退する旨を伝えておくようにしましょう。
葬儀・通夜の準備
遺体の安置ができたら葬儀と通夜の準備を始めることになります。葬儀も通夜も葬儀社と相談しながらどのような段取りで進めていくかを決めるのが一般的です。
まず最初に必要なのが喪主を決めることで、通常は配偶者が筆頭候補になります。配偶者がいない場合には親か子、あるいは兄弟姉妹が喪主になるのが通例です。明確な決まりがあるわけではないので叔父叔母や孫が喪主となっても問題はありません。
次に葬儀の形式を決定します。日本では一般的には仏式ですが、仏式であっても細かな形式には違いがあるので注意が必要です。
必要に応じてお寺に確認を取って形式を決めるようにしましょう。形式が決まったら通夜と葬儀の場所と日程についての打ち合わせをします。
葬儀場が空いていないとできないことから、臨終からかなり長い期間が空いてしまうこともあるでしょう。できるだけ早く日取りを決めるのが大切です。
一般的には臨終の翌日に通夜、その次の日に葬儀としますが、場所が用意できない場合や参列者が集まりにくいときには週末や翌週に延ばすことも少なくありません。
日程が決まったら家族葬に参列してもらう人たちに連絡をして集まってもらえるようにしましょう。また、葬儀社と詳しく相談して葬儀や通夜の当日の段取りを説明してもらったり、食事などの手配をしてもらったりすることが必要です。
プランが決まっている葬儀社も多く、希望する内容のものを選ぶだけで葬儀社側が一通りの手配をしてくれるでしょう。
死亡届の提出
葬儀社との打ち合わせを並行して行う必要があるのが死亡届の提出です。
死亡を知った日から7日以内に市区町村役場の戸籍・住民登録窓口に提出することになります。死亡地、本籍地、住所地のどれであっても構いません。
死亡届を提出するときには死亡を確認したときに受け取った死亡診断書または死亡検案書を提出することが必要なので持参を忘れないようにしましょう。死亡届が受理されると火葬許可書が発行されます。
葬儀の当日に必要になるものなので大切に保管しておきましょう。
なお、この時点で葬儀社が決まっている場合は死亡届の手続きを代行してもらえることもあります。
代行料がかかるかどうかは葬儀社によって異なるので確認した上で依頼するかどうかを判断するのが大切です。
通夜の当日
このような準備を経てついに通夜の当日になります。細かな段取りは葬儀社と予め打ち合わせをしていて理解できている場合が多いでしょう。
一般的には通夜は18時または19時から開始されています。受付で香典の受け渡しと弔問を行う仕組みになっているのが通例です。通夜のときには祭壇を設けて、親族がその近くに着席します。
そして、定刻になったら僧侶による読経を行い、その流れに合わせて焼香をするというのが一般的な流れです。僧侶の読経と焼香が一通り終わったら会食をして解散になります。
この会食は通夜ぶるまいとも呼ばれるもので、親族が参列者の接待をするのが基本です。
通夜にかかる時間は1時間から2時間程度というのが一般的で、それに会食を加えると3時間前後で終わります。
宗派や僧侶の違いによって時間にも差が生じるものの、翌日に葬儀もあるので極端に長くなることはありません。会食についてはお開きにするタイミングを見計らう必要もあるということは念頭に置いておきましょう。
葬儀の当日
通夜の翌日には葬儀が執り行われます。葬儀の当日は喪主と親族は葬儀場に1時間くらい前に来るように葬儀社から言われるのが通例で、当日の流れについてその場で説明を受けることになります。
葬儀当日にどんな作業をするのかを説明してもらえるので、不明点があるならこのときに全て確認しておきましょう。打ち合わせが終わった後は通夜と同じような流れになります。
受付では香典の受け渡しと弔問をするのが基本で、その後に葬儀場に集まって僧侶による読経が行われます。僧侶による読経の間、あるいは読経が終わった後に弔辞・弔電の読み上げもするのが通夜とは異なる点です。
そして、焼香も通夜のときと同じようにして行われます。
このような儀式を終えた後で故人を本当に弔うことになります。出棺をして火葬場に遺体を運び、火葬をするというのが通常の流れです。
火葬をしている間に参列者と一緒に食事をして清めのお酒を飲みます。また、死亡届を提出したときに手に入れた火葬許可書を渡し、埋葬許可書を受け取るのがこのタイミングです。
埋葬許可書を持っていることで故人の骨をお墓に埋められるようになります。火葬が終わったら拾骨室で骨上げをして骨壷に遺骨を収め、葬儀は終わりです。同じ日、あるいは後日に骨をお墓に埋める納骨の手続きをすることになります。
家族葬の分かりやすい流れは下記もご参考ください。
→ やさしいお葬式の家族葬
家族葬のメリット・デメリット
このような流れで執り行われる家族葬にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。お葬式を家族葬にするかどうかを考える上で重要なポイントなので、それぞれについて詳しく紹介します。
メリット
家族葬にするメリットとしてまず挙げられるのが予算がわかりやすいことです。
人数がきっちりと確定するのでどのくらいの参列者が来るかわからないといった不安を抱く必要がありません。
また、人数が少なめなので日程の調整をしやすいのもメリットでしょう。大勢の参列者がいるとなかなか日程が合わず、葬儀場の確保との兼ね合いもあっていつにすべきかを判断するのが難しくなりがちです。
一方、気の知れた人だけでお葬式を行えるのも家族葬のメリットです。弔問客に気を遣う労力を最小限にすることができ、家族だけにしてしまえば気苦労もなくなるでしょう。
他人がいないと落ち着いて故人との別れができるという魅力もあります。
特に交通事故などの不幸な理由で亡くなってしまったときや、強盗事件に巻き込まれたときなどのように不遇の結末だった場合、自殺だった場合などには遺族の心の整理が難しいこともあります。
遺族が抱えている複雑な感情を整理しつつ葬儀を行いやすいという点でも家族葬にはメリットがあるでしょう。
デメリット
家族葬のデメリットとしてまず挙げられるのは自宅や近隣の集会場などを使いにくく、葬儀場をどこにするかで困ってしまう場合が多いことです。
近隣の人に極力知られないように行わないとなぜ葬儀に呼ばなかったのかと指摘されてしまうこともあります。また、死因によっては知られたくないという理由で家族葬を選ぶことも多いのです。
自宅安置も難しいので葬儀社の霊安室や式場を使うことが多く、通夜まで故人の遺体と会えないこともあるということは念頭に置いておきましょう。
一方、葬儀後に弔問客の訪問に追われることが多いのもデメリットです。バラバラにやってくるのでその都度対応しなければならないのが大変な点です。
また、葬儀に呼ばれなかったことについて苦言を呈されてしまうことも多く、近所付き合いが悪くなってしまうリスクがあります。
家族葬の費用相場
家族葬にするとお葬式にかかる費用はどのくらいになるのでしょうか。内訳も含めて詳しく紹介するので、相場観を養っておきましょう。
家族葬の相場価格
家族葬は小規模なお葬式になるので費用は比較的少なくて済むのが一般的です。
宗派による方式の違いや、家族葬に呼ぶ人をどのくらいにするかによってもかかる費用には違いがありますが、通常は約40万円から100万円が相場です。
インターネットなどで掲載されている一般的な葬儀の平均的な費用は約189万円とされているので、半分から5分の1くらいの費用で済むことになります。
このうちで葬儀本体の費用については家族葬の場合には約40万円から60万円、一般的な葬儀の場合には約122万円とされています。
しかしあくまで平均という軸のデータとなります。やはり個々で事前に検討をすることが大事です。
飲食接待費の相場価格
お葬式では通夜や告別式の後などに会食をするのが通例です。お葬式でかかる飲食接待費は内容の選び方によってかなり違いがあります。
通夜ぶるまいや精進落としについては一食あたり約2000円から6000円が相場です。料理のグレードを高くすればそれだけ費用がかかり、人数が多くなると比例する形で費用負担が大きくなります。
この点は家族葬でも一般的な葬式でも同じですが、家族葬では参列者の数が少ないので飲食接待費は少なくて済むでしょう。また、接待のために大量のお酒を準備する必要もなくなる場合が多く、全体として費用を抑えることが可能です。
会葬返礼品の相場価格
お葬式に参列した方には会葬返礼品を渡すのが通例です。これは通夜や葬儀に参列してくれた方への感謝の気持ちを込めて贈るもので、ハンカチや塩などのように日常的に使えてもらっても困らないような物を贈るのが一般的です。
一人ずつあるいは一家庭ずつ渡すのが普通で、一つあたりの金額は約500円から1000円になっています。この相場も家族葬と一般的な葬式とで違いはありませんが、飲食接待費と同様に家族葬では参列者の数が少ないことから費用を削減することが可能です。
寺院費用の相場価格
仏教形式の葬儀をするときには僧侶を読んで読経してもらうことから寺院費用が発生します。この金額は家族葬でも一般的な葬式でも違いはありません。
読経料が約20万円から30万円、戒名をいただく場合の戒名料が約10万円から20万円、僧侶に忌中払いに同席してもらわない場合に渡す御膳料は約5000円から1万円が相場です。
また、僧侶に渡すお車代は市町村内なら約5000円、隣接した市町村なら約1万円が相場になっています。合わせると40万円から50万円程度になるのが一般的です。
こちらも個々の宗教者様でお考えが異なるため、事前に相談を行うことが大事です。
家族葬では費用負担が多くなる場合も
家族葬では一般的な葬式よりも費用負担が多くなるケースもあるので注意しましょう。確かに参列者が少ないことで食事代や返礼品代が安上がりになりますが、寺院費用などには違いがありません。
家族葬では香典を辞退することが多く、全額自己負担になるのが通例です。香典を受け取るのが普通の一般的な葬式の方がかえって費用負担が軽減されることもあるということは覚えておきましょう。
業界最安値水準の「やさしいお葬式」での家族葬費用の内訳は下記にもご案内しています。
故人を偲ぶ最善の葬儀を検討しよう
家族葬は親族や親しい友人だけで行うお葬式です。故人を偲ぶ上でメリットもデメリットもあるため、一概に良いと言うことはできません。
費用的にも家族葬と一般葬ではあまり変わらないのが通例で、場合によっては家族葬の方が負担が大きくなるので注意しましょう。故人の人間関係を考慮し、家族葬と一般葬のどちらがより故人のためになるかを考えて決めるのが大切です。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール