一周忌 お返しの相場と選び方｜定番ギフトとメッセージ文例

一周忌は、故人をしのぶ大切な節目です。家族が少しずつ前を向き始めるタイミングでもあり、「あたたかく見送れた」「ようやく一区切りついた」と心が整うことも多い時期です。

一周忌を行う上で欠かせないのが「お返し（香典返し）」です。
けれど、こんな不安を抱く方も少なくありません。

・一周忌 お返しはどれくらいの相場が正しい？
・返礼品 相場は法要の規模で変わるの？
・定番 ギフトってどんなもの？
・メッセージ 文例はどう書けばよい？
・熨斗 書き方は一周忌と四十九日で違うの？

──こうした疑問はごく自然なものです。

この記事では、一周忌 お返しの相場から、ギフトの選び方、熨斗や文例まで、初めてでも迷わないよう“やさしく丁寧に”解説します。

読み終える頃には「これなら準備できそう」「なんだか安心した」と感じられるよう、葬祭の専門家として心を込めてまとめました。

【1】一周忌 お返しはなぜ必要？──「感謝」と「ご報告」の意味が中心

まず最初にお伝えしたいのは、一周忌のお返しは“義務ではなく気持ち”だということです。

たしかに多くの家庭で返礼品を用意しますが、そこには厳密な決まりがあるわけではありません。
一周忌のお返しが持っている意味は、次の2つです。

● ① 香典をいただいたことへの感謝

お世話になった方々からの香典に対し、「ありがとうございました」という感謝を伝える役割があります。

● ② 一周忌を無事に迎えたというご報告

「無事に一年が経ち、区切りを迎えました」という、前向きなご報告の意味合いもあります。

つまり、一周忌 お返しは「形式」よりも“人と人のつながりを丁寧にたどる行為”なのです。

【2】一周忌 お返しの返礼品 相場──もっとも多いのは「半返し」

もっとも多く選ばれている相場は、香典額の「半返し（1/2）」です。

香典が5,000円なら2,000〜3,000円程度。
10,000円なら3,000〜5,000円というイメージです。

ただし、必ずしも半返しにこだわる必要はありません。

● 一周忌は四十九日よりも“気持ち重視”でOK

四十九日は仏教的に重要な節目で、お返しも比較的きっちり行う家庭が多いです。
しかし、一周忌は一年という長い時間が経ち、家族も落ち着いてくるため、返礼品 相場はゆるやかになっています。

・3,000円前後のギフトを一律
・香典額にかかわらず同じ品を贈る
・簡易ギフトで感謝を伝える

こうした柔軟な選び方も一般的です。

【3】一周忌 お返しにふさわしい「定番 ギフト」一覧

一周忌は法要の中でも「落ち着いた雰囲気」で行われるため、返礼品も上品で実用的なものが好まれます。

ここでは、専門家としておすすめできる「失敗しない定番ギフト」を紹介します。

① お茶・コーヒー・飲料ギフト

もっとも選ばれている万能ギフトです。
日持ちするうえ、年齢を問わず使ってもらいやすいため安心です。

② 洗剤・タオルなどの日用品

「消えもの」で相手の負担にならず、近年はおしゃれなブランドタオルも人気です。

③ カタログギフト

好みを選ばないため、香典額がバラバラな場合でも統一感を出しやすいのが強みです。

④ お菓子・食品ギフト

焼き菓子・ゼリー・佃煮など、幅広い年齢層に喜ばれる定番ギフト。

一周忌のお返しは、“派手すぎず、でも質の良いもの”が喜ばれます。

【4】熨斗（のし）の書き方──一周忌は「志（こころざし）」が最も一般的

返礼品で迷いやすいポイントが「熨斗（のし）」です。
表書きの文字や名前の書き方には決まりがあり、ここが整っているだけで印象が大きく変わります。

● 表書きは「志」または「粗供養」が一般的

地域によって使う言葉が異なりますが、全国的に多いのは次の2つ。

・志（こころざし）
・粗供養（そくよう）

迷った場合は「志」を選べば間違いありません。
宗教・宗派を問わず使える万能の表書きです。

● 名入れは「喪主の姓（またはフルネーム）」

下段には、

・喪主の姓名
・または家族の連名（必要であれば）

を記載します。

のし紙は“控えめな弔事用（黒白・双銀）”を選びます。

【5】メッセージ 文例──相手に負担をかけない“やさしい文章”が好印象

一周忌で添える挨拶状やカードは、「長文すぎず、上品に」が基本です。
ここでは、誰に送っても失礼にならない文例を紹介します。

● 定番 文例（もっとも無難で使いやすい）

「このたびは ご丁寧なご香典を賜り 誠にありがとうございました。
おかげさまで 無事に一周忌を迎えることができました。
ささやかではございますが 心ばかりの品をお届けいたします。
今後とも変わらぬご厚誼をお願い申し上げます。」

● シンプルで柔らかい 文例

「お心づかいをいただき ありがとうございました。
おかげさまで一周忌を無事に執り行いましたので 心ばかりの品をお送りします。」

● 親しい方への文例

「先日は温かいお気持ちをありがとうございました。
無事に一周忌を迎えましたので ささやかながらお礼の品を贈らせていただきます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。」

文章のポイントは、「感謝」「報告」「過度な謙遜をしない」の3つだけで十分です。

【6】一周忌 お返しはいつ渡す？──タイミングは“法要のあと”が基本

一周忌 お返しのタイミングは、「一周忌の法要を終えたあと」がもっとも一般的です。

実際には次の3つの方法があります。

① 法要当日に手渡しする

参列者全員にその場で渡せるため、最もスムーズな方法です。
遠方から来られる方にも配慮できるメリットがあります。

② 法要後に郵送する

参列できなかった方、香典だけいただいた方へのフォローとして最適です。
品物が重い場合や、タイミングを丁寧に整えたいときにも向いています。

③ 時期をずらして郵送する（1〜2週間以内）

法要当日は慌ただしいため、少し落ち着いてから発送するご家庭も増えています。
送付が遅くなりすぎないよう、遅くとも2週間以内を目安にしましょう。

一周忌のお返しは「忘れず、焦らず」が基本。
丁寧さを大切にすれば、多少タイミングが前後しても失礼にはなりません。

【7】誰に渡すべき？──“もらった香典”を基準に考えれば迷わない

一周忌 お返しは、「出席者全員に配る必要がある」と誤解しやすいですが、実際には次の基準で十分です。

● 基本的に「香典をいただいた方」が対象

香典の有無で判断すればほとんど迷いません。

・四十九日でいただいた方
・一周忌までに香典を送ってくださった方
・当日参列して香典をくださった方

これらの方に、返礼品を贈ります。

● 参列しても香典を辞退された場合

この場合、お返しは不要です。
ただし、特にお世話になった方であれば、「簡易ギフト＋短い挨拶状」を送るのも丁寧な対応です。

● 家族葬の場合は“柔軟”でOK

家族葬の場合、参列＝香典辞退というケースが増えています。
そのため、お返しを用意しないご家庭も多く、全く問題ありません。

ポイントは、「無理をしない」「お互いに負担をかけない」という姿勢です。

【8】一周忌 お返しを郵送するときの注意点

一周忌のお返しを郵送する場合、気をつけたいのは「失礼にならない送り方」です。

以下の3点さえ意識すれば、どの家庭でも丁寧な印象を保てます。

① 挨拶状（カード）を必ず同封する

挨拶状の有無で印象が大きく変わります。
長文は不要ですが、「感謝」「一周忌を終えたご報告」の2点は入れましょう。

② 配送事故を避けるため“緩衝材”を使う

お菓子・食器・飲み物などは多少の衝撃で壊れることがあります。
ギフト専門店で購入する場合は、配送用に整えられているため安心です。

③ 「差出人」は喪主名＋住所で統一

一周忌では、喪主の名前で統一するのが基本です。
送り状・のし紙・挨拶状で名前がバラバラになると失礼に見えてしまうことがあります。

【9】返礼品を選ぶときに“後悔しない”5つのポイント

一周忌の返礼品は、絶対的な正解があるわけではありません。
しかし、多くのご家庭が「選んでよかった」と感じる品には共通点があります。

① 「消えもの」を優先する

食品・飲み物・日用品など“消えてなくなるもの”が安心です。
相手の家に残らず、負担にもなりません。

② 重すぎない・扱いやすいもの

高齢の方がいる場合、重たいギフトはかえって負担となることがあります。
コンパクトで軽い品物は、誰に贈っても安心です。

③ 高級品“すぎない”もの

一周忌は、派手さよりも“控えめな上品さ”が求められます。
高額すぎるギフトは相手が気を使ってしまうため避けましょう。

④ 香典額の違いがあっても“統一感”を大事に

全員に同じ品物を贈るご家庭が増えています。
「平等にしたい」「金額差を気にさせたくない」という優しい配慮です。

⑤ 自分たち家族も“気持ちよく贈れるかどうか”

返礼品選びで最も大切なのは、贈る側の気持ちが落ち着くこと。
「これなら喜んでもらえそう」と感じるギフトを選ぶのが一番です。

【10】一周忌のお返しでよくある質問（FAQ）

Q1. 一周忌にお返しは必ず必要ですか？

必須ではありません。
家族葬・香典辞退の場合は返礼品なしで問題ありません。

Q2. 四十九日と同じものを贈っても大丈夫？

問題ありません。
ただし四十九日よりも「控えめな品」が選ばれる傾向があります。

Q3. のし紙は宗教によって違いますか？

仏式・神式・キリスト教…いずれの場合でも、「志」ならどれにも使えます。

Q4. 友人に送る場合も必要？

香典をいただいた場合は必要です。
ただし簡易ギフトで十分で、形式にとらわれなくても構いません。

【11】まとめ──「一周忌のお返し」は形式より気持ちが大切

一周忌のお返しは、決して“やらなければならない儀式”ではありません。
目指すのは、「ありがとう」と「無事一区切り迎えました」のやさしい気持ちを届けること。

この記事で紹介した通り、一周忌のお返しは次のように考えれば迷いません。

あなたや家族が「これなら心地よい」と思える方法こそが、
故人にとっても、きっと最良のお返しになります。