家族葬という言葉を聞いて、皆さまはどのような印象を受けるでしょうか?身内だけのひっそりとしたお葬式の意味でしょうか?
それともできるだけお金を掛けないシンプルなお葬式を想像しますか?
今回は本来の家族葬の意味について、お伝えさせて頂きます。
INDEX
家族葬=料金が安価なお葬式という意味ではない
皆さまのイメージでは身内・親族のみで行うお葬式という印象が強く、従来のお葬式より大きくお金を描けなくても済むという印象が強いのではないでしょうか?確かに参列される人数は限定されるため、飲食接待費・返礼品の費用などは必要最小限で済むことになります。
しかし、祭壇・御棺・霊柩車・御供物・葬儀スタッフ・会場費用・安置室費用・火葬費用など、お葬式を行うために必要な「項目」は通常のお葬式と基本的には変わりません。そして祭壇に少し生花を追加希望する方、御棺や霊柩車などの種類を変更される方など、人にはそれぞれの考えや個性があります。
家族葬という表現が単純に安価なお葬式を意味するわけではないのです。
「遺族」がゆっくりと故人を偲ぶことができるかどうか
一般の会葬者が多く参列するお葬式の場合、喪主をはじめ遺族が参列者に挨拶を行います。お参りにお越し頂いていた方へ挨拶を行うのはお葬式のマナーとなります。
しかしお通夜の場合、式が行われている時間に参列者が間に合わない場合も多く、特に夜遅くお仕事帰りに参列する人も多くいるため、遺族が休まる時間や故人と過ごす時間が取りにくいという現状があります。
この現状がある中で故人をしっかり偲ぶために「家族の時間を取りたい」という思いから「家族葬」という言葉が生まれたのではないかと言われております(諸説あり)
昔は「家族葬」を行うことが難しかった
現在より近所付き合いや親子2世代・3世代住まいの世帯が多い時代であり、住まいの周辺で関わる人が多かった時代だったからこそ、参列者が多かった背景があります。また平均寿命も現在よりは短く、お亡くなりになった方の喪主が「現役で勤めている」ことも多く、喪主の繋がりでお葬式に参列される方が多くいらっしゃいました。せっかくお越し頂いた参列者には挨拶、対応を行う必要があるために遺族がゆっくりと故人を偲ぶ時間がなかったと考えられます。
家族葬を行いやすい「環境」になった
現在は核家族の世帯が増え、近所の交流も昔ほど活発ではなくなりました。またお亡くなりになった方の「喪主」も現役を引退されている場合も多くなり、故人の繋がりもそうですが、喪主自身の現役時代から比べて交流関係の減少も参列者が少なくなった理由の一つです。
参列者が少なくなるということは、対応する遺族の自由時間がある程度確保されることになります。
つまり「家族葬」を行いやすい環境が整ったとも言えます。
無理にお葬式に見栄を出す必要がなくなった
従来は近所の方、喪主の会社関係を中心に多くの参列者がいらっしゃったので、お葬式の装飾やお料理・返礼品などに多くの費用を費用を掛けておりました。
日本人特有の「人をもてなす文化」と参列者も一定数いらっしゃるために、「多くの人に身内のお葬式の様子を見てもらうことになるため、少し見栄を張る」という気持ちがありました。
しかし家族中心でのお葬式になると、これらのことを大きく気にする必要がなくなり、葬儀費用として従来よりお金を掛けない傾向となります。
家族葬の本当の意味は「家族・親族・縁のある方を中心に行う葬儀」
身内数名のお葬式は近年徐々に増えてきておりますが、一方で亡くなったからの友人・知人が本人が亡くなったことを知らされずに、いつのまにか葬儀が終わっていたという事例も増えております。もちろん友人・知人の方としては故人にお別れを告げたかったのですが、ご遺族が誰もに知らせずに身内のみで行ってしまうケースが多くあります。
本当の家族葬は純粋に故人と縁のあった方や、ご遺族としっかりとした交流がある方が参加をするお葬式です。従来のように見栄を張る必要性は一切ありません。しかし誰にも知らせずにひっそりと行う、お金を掛けないお葬式が家族葬というわけではありません。
お葬式に従来のように多くの費用を準備する必要はありませんが、単純に安く簡単に済ませるという考えも違うと私たちは考えております。
家族葬はゆかりのある方々に声を掛け、故人を偲ぶお葬式なのです。
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【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)
- 略歴
- 栗本喬一(くりもと きょういち)
- 1977年生まれ
- 出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)
- 株式会社東京セレモニー 取締役
- ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
- 「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
- 株式会社おぼうさんどっとこむ
- 常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
- 株式会社ティア
- 葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。
- 著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)
プロフィール