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前もって理解しておこう!葬儀の種類や宗教ごとの違いを解説

Jan 18 2020

葬儀は故人の冥福を祈るとともに、残された者が死をきちんと理解するために必要な儀式でもあります。しかし、葬儀と一口にいってもその種類は様々で、故人の意向や宗教などに配慮しながら葬儀を選ぶことが大切です。そこで、万が一のことがあっても落ち着いて準備ができるように、葬儀の種類や宗教ごとの葬儀様式、葬儀場所について詳しくご説明しましょう。

葬儀とお葬式

葬儀とお葬式はしばしば混同して使用され、違いをはっきり認識していない人も多いようです。では、葬儀とお葬式はどのように違うのかそれぞれの内容についてご紹介しましょう。

葬儀とは?

葬儀とは、故人を偲び成仏するように祈る儀式のことです。故人を送り出すために通夜の翌日に執り行われる儀式の中でも、特に宗教的な意味合いが強いものです。具体的には僧侶による読経を指し、遺族や親族が故人を見送るとともに、故人の死を認識する儀式となります。本来、葬儀の担い手は故人の遺族と親族となりますが、一般的には葬儀の最中に友人や知人が参列して焼香をあげ、告別式も同時に行うのが慣例となっています。

お葬式とは

お葬式とは、通夜・告別式・火葬までを含めた儀式の総称です。通夜では線香の火を絶やさぬように夜通し遺族が故人の側で過ごし、告別式は出棺の前に参列者が故人に別れを告げ、火葬は遺体を火葬炉で焼いた後骨壺に納める儀式です。お葬式には告別式も含まれるため、遺族や親族だけでなく参列者も故人を見送る儀式という意味合いがあります。もともとお葬式は葬儀の後、故人の遺体を埋葬する前に行われていた儀式ですが、葬式と告別式を同時に行うことが一般化したため、葬儀・告別式の俗称としてお葬式と呼ばれるようになりました。

葬儀の種類

葬儀にはいくつもの種類があるので、故人や遺族、親族の意向をくみ取り、最も適した葬儀を行うのが大切です。では、葬儀の種類やそれぞれの特徴についてご説明しましょう。

一般葬

一般葬は遺族や親族はもちろんのこと、友人や職場の関係者、近隣住民など、故人と関わりのあった人に広く周知し、参列してもらう形式の葬儀となります。最も一般的な葬儀で、縁や絆を重視する伝統的な形式です。しきたりや慣習に倣ったお別れができるほか、縁のあった人が一堂に故人を偲べるのが特徴です。多くの人が参列するため、喪主や遺族は対応が大変ではあるものの、後日会葬できなかった多くの人が焼香に訪れたり、会葬できなかったことを非難されたりなど、人間関係にしこりを残す心配もありません。葬儀の規模によっても異なりますが、一般葬の葬儀費用の相場は、70万円から200万円となります。

社葬・合同葬

社葬・合同葬は、故人が会社でステイタスのある役職に就いていた場合に会社全体で行われる葬儀のことです。また、会社だけでなく遺族と合同で行ったり、複数の会社が喪主になったりした場合は合同葬となります。会社の規模や取引先の数により葬儀の規模も異なりますが、準備には時間がかかるため、先に遺族や親族、親しい友人や知人で家族葬や密葬を行い、その後本葬として社葬や合同葬を行うのが一般的です。社葬や合同葬の費用は会社の判断によって決まるため、一般的な相場はありません。

家族葬

家族葬は本来遺族のみで行う葬儀を指しますが、親戚や親しい友人が参列することもあります。一般葬では故人に縁があった全ての人を参列者としているのに対し、家族葬は参列者を限定しています。葬儀内容は一般葬と同じであるため、参列者の少ない小規模な一般葬と呼ぶこともできるでしょう。家族葬の特徴は、家族のみが参列するため遺族が故人とのお別れにゆっくり時間を使うことができ、温かな気持ちで見送れることです。家族葬の一般的な葬儀費用の相場は、60万円から150万円となります。

密葬

密葬とは故人が死去したことを伏せ、ひっそりと行う葬儀のことです。遺族や親族のみで行うのが一般的ですが、参列者に制限はないため親しい友人や知人が参列するのも問題ありません。多くの場合遺族や親族のみで行うので、家族葬と同様に故人とゆっくり別れを惜しめるのが特徴です。また、後日正式に本葬が行われることが前提のものを密葬と呼びます。密葬の一般的な葬儀費用の相場は、60万円から150万円です。

一日葬

一日葬は通夜を省略もしくは簡略化し、葬儀・告別式・火葬を1日で行う葬儀を指します。一日葬という名前から、1日で終わる略式的な葬儀の印象がありますが、準備なども含めると複数日が必要です。平日に休みが取れない、参列者の都合がつかない、経済的に余裕がないなどの理由で選択される葬儀方法です。通夜と葬儀および告別式で読まれるお経が異なるため、菩提寺がある場合はあらかじめ一日葬ができるか確認する必要があります。一日葬の一般的な葬儀費用の相場は、50万円から140万円です。2日で行う葬儀を1日で行うものの、葬儀はきちんと行うため極端に費用が低くなるわけではありません。

直葬

直葬とは通夜や葬儀、告別式は行わず、火葬だけの葬儀方法です。厳密には葬儀とは呼べず、葬送法の1つといえます。遺体を安置所から火葬場まで直接運び、火葬、収骨して儀式は終了するため、火葬式と呼ばれることもあります。ほとんどの儀式を省略するため、遺族や親族の間で批判が出ないように事前に直葬することについてしっかり話し合う必要があるでしょう。後々後悔することがないように、故人とお別れをする時間を設けることも大切です。直葬の一般的な費用の相場は12万円から40万円です。

宗教別にみる葬儀

葬儀の方法は宗教によって異なります。また、同じ宗教でも異なる宗旨、宗派の葬儀を行うと菩提寺のお墓に入れず、葬儀をやり直さなければならないこともあります。そのため、故人の信仰や喪家の属している宗教や宗派に則り行うことが重要です。ここでは、主な宗教の葬儀の特徴をご説明しましょう。

仏式

仏式は日本で行われる葬儀の最も一般的な形式ですが、宗派は13宗56派とされそれぞれの宗派によって少しずつ葬儀のスタイルも異なります。特に、宗派によって死生観や世界観は大きく異なるため、通夜や葬儀の内容やお経の内容も違ってきます。宗派や地域によって多少の違いはあるものの、流れとしては通夜、葬儀、告別式、火葬、埋葬の順で共通しています。この流れは、仏式葬儀の典型的なスタイルといえるでしょう。

神式

仏式は日本で行われる葬儀の9割を占めますが、その次に多いのが神式となります。神式での葬儀は神葬祭と呼ばれ、日本古来の神道に基づいた儀式が執り行われます。神葬祭の流れは帰霊奉告の儀から始まり、枕直しの儀、納棺の儀、通夜祭、遷霊の儀、祭場祭、出棺祭、火葬場祭の順で進みます。通夜祭は仏式における通夜、祭場祭は仏式における葬儀・告別式です。また、神式では神葬祭の後にも様々な霊祭を頼まねばならないため、葬儀社任せにするのではなく宮司と直接やり取りをするのが好ましいでしょう。

キリスト教式

キリスト教式においては、一般の参列者も葬儀の初めから参列するのが通例です。葬儀の流れは、仏式の通夜に当たる前夜式の後、葬儀ミサ、告別式、火葬、納骨の順で執り行われます。葬儀ミサや葬儀式においては、参列者が聖歌や賛美歌を歌うなど、仏式とは全く異なるスタイルの葬儀となります。また、宗派によって葬儀様式が異なり、カトリックでは葬儀と告別式を別々に行いますが、プロテスタントは一緒に行うのが一般的です。

イスラム教式

イスラム教式の葬儀は、復活思想が根底にあるため土葬が基本となります。日本の葬儀では99.9%が火葬となり土葬は一般的ではありませんがが、国内で土葬できる墓地もあるので事前に調べておく必要があるでしょう。また、イスラム教式の葬儀ではできるだけ早く埋葬するのが良いとされているため、遺体の搬出から葬儀、埋葬に至るまで24時間以内に行われるのが一般的です。ただし、日本の法律において支障があるため、埋葬は死後24時間が経過してから行われます。そして、イスラム教式の葬儀の特徴としては、非ムスリムは基本的に参列しない、遺影を飾らないなどがあります。

葬儀の場所

葬儀の様式だけでなく、葬儀が執り行われる場所にも種類があります。そのため、それぞれの場所の特徴を理解し、故人を送り出すのにぴったりの葬儀場所を選ぶことも大切です。では、主な葬儀の場所を3つご説明しましょう。

葬儀会館・セレモニーホール

葬儀会館・セレモニーホールは、葬儀や法事を執り行うために作られた施設なので、設備が整い機能的に充実しているのがメリットです。費用はかかるものの、葬儀だけでなく食事の場所や宿泊施設などが用意されているものもあり、規模が大きい葬儀を行うのにも適しています。ただし、建物を所有する業者に葬儀を依頼することが使用の条件となるのがほとんどです。貸し祭場の場合は、業者の括り無く利用することが可能です。

自宅

かつては、葬儀は自宅で行うのが一般的でしたが、生活環境の変化により自宅で葬儀を行う人は減少しています。しかし、故人が親しんでいた自宅から送り出したかったり、祭場を借りる費用を工面するのが難しかったりなどの理由で、自宅が葬儀場所に選ばれるケースもあります。また、家族葬や密葬など少人数で行われる葬儀の場合は、自宅が選ばれることも多いようです。

宗教施設

仏教徒において特定のお寺に所属している檀家や、キリスト教の葬儀においては、菩提寺の本堂や教会などの宗教施設が葬儀場所に選ばれることもあります。寺院においては境内に葬祭用の祭場を作っているところもあり、檀家だけでなく他の宗派でも利用できるのがほとんどです。ただし、お寺によっては本堂での葬儀には特定の葬儀会社を利用することが決められていることもあります。

それぞれの特徴を理解して葬儀の準備を進めよう

葬儀は参列者の範囲や日程、宗教や宗派、場所などによって様々な形に分けられます。故人を気持ちよく送り出し、遺族や親族が納得のいく形で葬儀を行うためには、事前の確認が大切になります。万が一の時に葬儀方法に悩みオロオロしなくてもいいように、ここでご紹介したことを参考にして時間のあるうちに葬儀の準備を進めておくとよいでしょう。

【監修】栗本喬一(くりもと きょういち)

略歴
栗本喬一(くりもと きょういち)
1977年生まれ
出生地:東京都(愛知県名古屋市育ち)

株式会社東京セレモニー 取締役

ディパーチャーズ・ジャパン株式会社
「おくりびとのお葬式」副社長として、葬儀会社の立ち上げ。「おくりびとアカデミー」葬儀専門学校 葬祭・宗教学 講師。
株式会社おぼうさんどっとこむ 
常務取締役として、僧侶派遣会社を運営。
株式会社ティア 
葬祭ディレクター、支配人、関東進出責任者として一部上場葬儀 社の葬儀会館出店、採用、運営を経験。

著書:初めての喪主マニュアル(Amazonランキング2位獲得)

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