神式葬儀の流れ|通夜祭・葬場祭・遷霊祭それぞれの意味
——読むほど不安が消え、静かに“理解と安心”が深まる完全ガイド
神式の葬儀は、仏式と比べて参列経験が少ない人が多く、案内状が届いた瞬間に次のような不安がよぎります。
「神式 流れがよくわからない……」
「通夜祭 意味って何?」
「葬場祭 意味を知らないまま行っても大丈夫?」
「遷霊祭 意味を知らないと失礼になりそう」
「次第 進行を知らないと不安……」
結論から言えば、これらの不安は あなたが誠実だからこそ生まれたもの です。
神式葬儀では、細かい作法よりも“故人を想う気持ち”が何より大切にされます。
この記事では、
■ 神式葬儀全体の流れ
■ 通夜祭の意味
■ 葬場祭の意味
■ 遷霊祭の意味
■ 各儀式の特徴・心構え
■ 参列者が不安になりやすい部分の丁寧な解説
■ 心が軽くなる“神式の考え方”
までを、初めてでも安心して参列できるよう、優しい言葉で丁寧にまとめました。
読み終えるころには、
「神式って難しそう」 → 「静かで優しい儀式なんだ」
と自然に心が軽くなります。
INDEX
神式葬儀とは?
——「故人が神となり、見守り神になる」という考え方
仏式では「成仏」がテーマですが、神式では故人は死後 “御霊(みたま)となり、やがて家を守る神になる” と考えられます。
そのため、神式葬儀には次の特徴があります。
● 静けさを重んじる
● 清浄さを大切にする
● 華美な装飾を避ける
● 儀式のひとつひとつに意味がある
● 拍手は音を立てない「しのび手」
● 香り・音・動きが控えめ
仏式よりも全体的に落ち着いた雰囲気で進行されます。
あなたが“静かに寄り添いたい”と思えば、
それだけで十分にふさわしい参列意識になります。
神式葬儀の全体の流れ(次第 進行)
——流れを知れば不安はほぼ消える
まず、神式葬儀の大まかな流れを整理します。
■ 神式葬儀の基本的な次第
通夜祭(つやさい)
遷霊祭(せんれいさい)
葬場祭(そうじょうさい)
火葬祭(かそうさい)
霊前祭(れいぜんさい)
埋葬祭(まいそうさい)
直会(なおらい)
このように、神式の葬儀は複数の儀式が連続して行われます。
しかし、それぞれの儀式は驚くほど “静かで落ち着いた動き” です。
ひとつひとつの意味を知ると、一連の流れが自然につながり、不安がすうっと薄れていきます。
通夜祭(つやさい)の意味
——故人の御霊を静かに慰める「祈りのはじまり」
神式の通夜にあたるのが 通夜祭 です。
意味:故人の御霊が安らかであるよう祈りを捧げる儀式。
仏式のように線香を絶やさず見守る習慣はありません。
通夜祭の主な流れ
● 修祓(しゅばつ)……祓い
● 献饌(けんせん)……供物を捧げる
● 祝詞奏上
● 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
● 撤饌(てっせん)
この「祓い → 祈り → 玉串」の構成は、神式に共通する基本形です。
通夜祭の雰囲気
・静か
・動きが少ない
・言葉がやわらかい
・しめやかで温かい空気
係の方が必ず誘導してくれるため、作法を知らなくてもまったく問題ありません。
遷霊祭(せんれいさい)の意味
——御霊を霊璽へ移す、もっとも神聖な時間
遷霊祭とは、故人の御霊を肉体から 霊璽(みたましろ) へ移す儀式。
霊璽は仏式でいう位牌に相当します。
遷霊祭で明かりが落ちる理由
・心を静かに整えるため
・御霊の移動を象徴するため
・故人と向き合う時間を作るため
暗くなるのは“怖さ”のためではなく、
“心を落ち着かせる優しい暗さ” です。
参列者は静かに見守るだけで十分です。
葬場祭(そうじょうさい)の意味
——故人が「家を守る神になる」旅立ちの儀式
神式葬儀の中心儀式が 葬場祭 です。
意味:故人が神の御許へ旅立つことを祈る儀式。
葬場祭の主な流れ
● 修祓
● 献饌
● 祝詞奏上
● 玉串奉奠
● 撤饌
祝詞(のりと)について
祝詞は古語で読まれるため、意味がわからなくても大丈夫です。
祝詞に込められる想い:
・故人への感謝
・家族への労い
・今後の安寧
理解しようとしなくて構いません。
耳を澄ませるだけで心が自然に整います。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
——最も大切な“心の動作”を美しく行うコツ
玉串奉奠は「心を玉串にのせて故人へ捧げる儀式」です。
玉串奉奠の流れ
① 神職の前に進む
② 玉串を両手で受け取る
③ 根元を自分に向ける
④ 時計回りに回し、葉先を神前へ向ける
⑤ 静かに置く
⑥ 二礼
⑦ 二拍手(音を立てない「しのび手」)
⑧ 一礼
服装と所作の関係
・袖が広すぎない服
・靴音が響かない靴
・しゃがんでも乱れないスカート丈
これは“美しく見せるため”ではなく、
儀式の静けさを保つための配慮 です。
火葬祭(かそうさい)
——火葬前に故人の御霊へ祈りを捧げる儀式
葬場祭終了後、火葬場で行われるのが火葬祭です。
意味:御霊が安らかに天へ昇るよう祈る儀式。
火葬祭の流れ
・修祓
・祝詞奏上
・玉串奉奠
・閉扉
・火葬開始
参列者が意識したいこと
・動作はゆっくりと
・私語は控えめに
・涙をこらえる必要はない
・立ち位置は案内に従うだけでOK
霊前祭(れいぜんさい)
——火葬後、御霊に感謝を伝える時間
収骨後に行われるのが 霊前祭。
意味:故人の御霊の安らぎと、これからの加護への感謝を捧げる儀式。
霊前祭の流れ
・献饌
・祝詞奏上
・玉串奉奠
儀式は落ち着いており、参列者は静かに見守るだけで十分です。
埋葬祭(まいそうさい)
——故人が眠る場所へ御霊を導く儀式
埋葬祭は、墓地または納骨堂で行われます。
意味:故人の御霊が安心して鎮まる場所へ導く儀式。
埋葬祭の流れ
・修祓
・祝詞奏上
・玉串奉奠
・御霊の安置
・閉式
参列者は案内に従うだけで問題ありません。
直会(なおらい)
——悲しみを“日常へ戻す”儀式
直会とは、祀りの時間から日常へ戻るための儀礼です。
軽食や会食が伴うこともあり、
「悲しみを抱え込まず支え合う」というメッセージが込められています。
直会での心構え
・故人の思い出を語ってよい
・涙があってもよい
・笑顔になるのも自然で無礼ではない
ここまでのまとめ
——神式は“難しい儀式”ではなく、“静かに寄り添う祈り”
神式葬儀に共通するポイントは次の3つです。
● 御霊を清める
● 心を捧げる
● 感謝する
つまり、知識よりも「気持ち」が大切。
あなたが丁寧に参列しようとする姿勢が、すでに正しい心構えなのです。
参列者が不安になりやすいポイントを解消
——“この理解だけで十分”という安心セット
Q1:通夜祭・遷霊祭・葬場祭の違いは?
通夜祭:御霊の安らぎを祈る
遷霊祭:御霊を霊璽へ移す
葬場祭:旅立ちを祈る中心儀礼
Q2:拍手は音を立てないの?
→ はい。「しのび手」と呼ばれ、音を出さず祈りを捧げます。
Q3:玉串奉奠は間違えたら失礼?
→ 間違えても大丈夫。必ず神職がフォローします。
Q4:流れについていけるか不安
→ 後ろの人についていくだけで完璧です。
Q5:服装は喪服でいい?
→ 黒喪服で統一すれば100点。仏式と同一で問題ありません。
神式葬儀が“心に優しい”と言われる理由
——読み進めるほど、安心が深まる考え方
神式には、参列者を追い詰めない“優しさ”があります。
● 正しい作法より「心」を重視
● 動きが少なく負担が少ない
● 祈りがシンプル
● 故人が「守り神」になるという前向きな思想
● 直会で心を日常へ戻す文化
神式の静けさと柔らかい優しさは、参列者の心をそっと支えてくれます。
最終まとめ
——神式葬儀は「難しい儀式」ではなく「心を寄せる時間」
■ 神式葬儀の本質
・御霊を清める
・静かに祀る
・守護の神として迎える
■ 流れのポイント
通夜祭 → 遷霊祭 → 葬場祭 → 火葬祭 → 霊前祭 → 埋葬祭 → 直会
■ 参列者の心得
・完璧な作法は不要
・案内に従うだけで正解
・動作はゆっくり
・大切なのは“心”
服装を調べ、玉串奉奠を学び、流れを理解しようとしてくれたあなた。
その姿勢こそ、神式がもっとも尊ぶ 「清らかな心」 です。
どうか安心してその日を迎えてください。
あなたの参列は、きっと故人とご遺族に優しく届きます。