神式の葬儀に参列する機会は、仏式に比べるとそう多くありません。
だからこそ、いざ案内が届いた時に次のような不安を抱える方が非常に多いのです。
「神式 服装って仏式と同じで大丈夫?」
「玉串奉奠 作法は知っているけど、ふさわしい服装って何?」
「喪服 マナーの細かい部分に自信がない……」
「髪型 アクセはどこまで控えめにすれば良いの?」
「靴 バッグの選び方で失礼にならないか不安」
そして、この“不安”の根底には、
「大切な人を丁寧に弔いたい」という誠実な気持ちがあります。
誠実な人ほど迷い、慎重になるものです。
その姿勢こそが、神式葬儀で最も大切にされる『慎みと清らかさ』そのものです。
この記事では、神式葬儀における
服装/身だしなみ/玉串奉奠にふさわしい所作
を、初めての方でも迷わず準備できるよう、安心のガイドとしてまとめました。
読み終えるころには「これで大丈夫」と胸を張って式に臨めるようになります。
INDEX
【1】神式葬儀における服装の基本理念:清浄×慎み
神式は仏式と違い、
「故人を神として祀る(みたままつり)」という考えが根本にあります。
そのため服装マナーにも、独自の意味が込められています。
■ キーワードは「清浄・簡素・控えめ」
神前にふさわしいのは、
“清らかで、過剰でなく、慎み深い装い” です。
◎ 色は黒が基本
◎ 光り物は控える
◎ 装飾よりも質素を優先
◎ 素材は上品・落ち着き重視
これらを意識すれば、すでに服装マナーの7割はクリアできます。
【2】男性の神式 服装マナー(喪服の選び方)
男性はシンプルだからこそ「どのレベルが正解?」と迷いがち。
神式では以下のラインがもっとも自然です。
● スーツ(喪服)
黒無地の礼服
ダークスーツはギリギリ可だが、できれば略礼服以上
ワイシャツは白のみ
ボタンダウンは避け、レギュラーカラーが必須
● ネクタイ
黒無地
光沢の強いものはNG
ネクタイピンは付けない
● 靴と靴下
内羽根ストレートチップ
靴下は黒無地(短いものは絶対NG)
● バッグ
革の黒ビジネスバッグ or 何も持たなくてもよい
派手なブランドロゴのあるバッグは避ける
男性の場合は、
“黒の統一感”がもっとも重要なマナーです。
【3】女性の神式 服装マナー(フォーマルの基本)
女性は選択肢が多いため、迷いやすいポイントも多いですが、
神式は“仏式よりわずかに控えめ”を意識すれば安心です。
● 喪服(ブラックフォーマル)
黒のワンピース・アンサンブル
露出は控え、胸元や肩の開きを避ける
フリルやリボンなど装飾は最小限
スカート丈は膝が隠れる長さ
● ストッキング
黒無地
30デニール以上はタイツに見えるため避けるのが無難
● メイク
“清浄”がテーマ
ナチュラルメイク
ラメ・艶出しは避ける
● ネイル
クリア or ベージュ
派手なアートは必ず落とす
神式は特に、
派手さより “静けさ・落ち着き” が美しいとされます。
【4】髪型・アクセサリーのマナー(男女共通:失敗しやすい部分)
玉串奉奠では、前かがみになる場面があるため、
髪型 アクセの配慮は欠かせません。
● 髪型
髪はまとめる(肩下なら必須)
顔にかかる前髪は避ける
明るすぎる髪色は、可能であれば暗めに整える
「乱れない」「静かに動ける」髪型が理想です。
● アクセサリー
神式では、特に慎みを重んじるため、アクセサリーはかなり控えめにします。
使用可:真珠一連(白/黒どちらも可)
使用NG:キラキラした金属・大ぶりピアス・指輪(結婚指輪以外)
アクセサリーは“静かに寄り添う存在”でなければなりません。
【5】靴・バッグの選び方(周囲の視線が集中しやすい)
靴 バッグは、意外にも式場で“最も見られやすい部分”。
神式 服装では以下のポイントだけ押さえれば安心です。
● 靴(男女共通)
黒の無地
音が鳴りにくいもの
エナメル・金具装飾は避ける
■ 女性の靴
3〜5cmヒールのプレーンパンプス
オープントゥ・ミュールは絶対NG
■ 男性の靴
革靴(内羽根)
メダリオンなど装飾のあるデザインは避ける
● バッグ
黒無地のフォーマルバッグ
金具はできるだけ小さく
ブランドロゴが大きいものはNG
【6】玉串奉奠 作法にふさわしい身だしなみ
神式の中心儀礼である玉串奉奠(たまぐしほうてん)は、
「心を込めて故人へ祈る」非常に重要な場面です。
そのため、以下のような“静かに美しく動くための服装”が求められます。
■ 袖口が広すぎない服
玉串を捧げる際、袖が大きく翻ると所作が乱れて見えます。
■ 靴音が出ない靴
神式では静寂を重んじるため、
カツカツと音が響く靴はふさわしくありません。
■ しゃがみやすいスカート丈
玉串を供える際、軽く膝を曲げる動作があります。
動きやすさも大切です。
【7】玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法と、ふさわしい服装の関係
玉串奉奠は、神式葬儀で最も重要な儀礼です。
“榊の枝に紙垂をつけた玉串を神前に捧げる”この行為には、
「心を静め、故人と向き合う」
という深い意味が込められています。
そして、玉串奉奠を丁寧に行うためには、
服装の配慮が直接 作法の美しさにつながるのです。
■ 玉串奉奠 作法の流れ(覚えておけば安心)
① 神前に進み出る
② 玉串を受け取る(必ず両手)
③ 玉串の根元を自分側に向けて持つ
④ 根元を時計まわりに回し、神前へ向ける
⑤ 玉串を神前に静かに置く
⑥ 二礼
⑦ 二拍手(※葬儀では「しのび手」=音を立てない)
⑧ 一礼
これは非常に落ち着いた、静粛な所作です。
■ この作法が服装とどう関係するのか?
● しゃがむ/前に傾く → スカート丈・ヒール高さが問われる
● 神前で身をかがめる → 胸元の開きが厳禁
● 玉串を持ち替える → 袖が翻らないトップスが安心
● 一連の所作 → アクセサリーが揺れないことが必須
つまり、神式の服装ルールは
玉串奉奠の所作の美しさを守るために存在しているとも言えます。
【8】やってしまいがちな“NG服装”を徹底解説
正しいマナーを学ぶだけでなく、
“避けるべき NG を知る”ことで失敗を完全に防げます。
以下は、神式葬儀で特に避けるべき服装例です。
■ ① 光沢のある素材・ラメ入り生地
→ 神前の清浄感を乱す
→ 写真に強く反射し、厳粛さを損なう
ブラックフォーマルでも、光沢が強いものは避けましょう。
■ ② アクセサリーのつけすぎ
可:真珠の一連
不可:二連ネックレス/ゴールド・シルバーアクセ/揺れるピアス
理由:揺れたり光るものは、神式では「華美」と捉えられるため。
■ ③ ヒールの高すぎる靴
玉串奉奠では前進・停止・軽く屈む動作があるため、
8cm以上のヒールは確実に不向き。
理想は3〜5cm。
■ ④ 肩が出る・膝が出る服
清浄さよりも「露出の少なさ」が優先されるのが神式。
ノースリーブ/短いスカートは厳禁です。
■ ⑤ ブランドロゴのあるバッグ
神式では「控えめ」が絶対。
ロゴが目立つのはふさわしくありません。
■ ⑥ カジュアル素材(ニット・デニム・スウェット)
“喪服もどきの黒服”が増えていますが
「黒ならOK」ではありません。
ニットワンピースなどは厳粛な場とミスマッチとなります。
【9】立場別:どこまで気をつければいい?「正解ライン」
参列者の立場によって、求められる服装のレベルがわずかに変わります。
ここでは、あなたが迷わないよう明確なラインを示します。
■ 親族の場合(一番フォーマルが必要)
● 必ずブラックフォーマル
● 女性はアンサンブル or ジャケット必須
● アクセサリーは最低限
● ヘアセットは清潔・控えめ
“家を代表して参列する”という意識が大切です。
■ 親しい友人・知人
● 略礼服でも可
● 男性はダークスーツ可だが黒無地推奨
● 女性はワンピースフォーマルでOK
● バッグ・靴は必ず黒
「喪家への敬意を優先する」というスタンスを守れば大丈夫です。
■ 会社関係(職場代表・一般参列)
● 男性は黒スーツ+黒ネクタイ
● 女性は控えめな喪服
● 華美でなければ略礼装で可
過度に重い喪服よりも、
“清潔・控えめ・黒の統一感” があれば十分です。
【10】神式 服装マナー Q&A(不安をゼロにする回答集)
神式葬儀でよく聞かれる質問をわかりやすくまとめました。
■ Q1:黒のパンツスーツは神式でもOK?
→ 完全にOK。
清楚・動きやすい・控えめという意味でむしろ推奨されます。
■ Q2:黒いワンピースでも喪服じゃないとダメ?
→ 素材・デザインが派手でなければ問題なし。
ただしレース・透け感の強い生地は避けて。
■ Q3:髪色が明るい(茶色)。参列して大丈夫?
→ 可能であれば当日だけ暗く見えるセットを。
無理な場合はまとめ髪で露出を最小限に。
■ Q4:女性はアクセサリーを完全に外すべき?
→ 基本は真珠一連でOK。
何も付けないのも丁寧な選択です。
■ Q5:黒のエナメル靴は?
→ NG。
神式では光沢アイテムは華美とされやすいです。
■ Q6:バッグは布製のほうが良い?
→ 布製が最良ですが、
革でも金具が目立たなければ問題ありません。
【11】当日までに整えておくべき“身だしなみチェックリスト”
この10項目をクリアすれば、神式葬儀の服装マナーは完璧です。
■ 着用編
✓ 喪服は黒無地・控えめなデザイン
✓ 靴・バッグは黒無地で光沢控えめ
✓ アクセサリーは最小限(真珠一連まで)
✓ 髪はまとめ、落ち着いた色・形に
✓ ストッキングは黒(女性)/靴下は黒(男性)
■ 所作・準備編
✓ 玉串奉奠の流れを把握している
✓ 袖・裾は動いても乱れない
✓ 香水はつけていない
✓ 派手なネイル・メイクは避けた
✓ 携帯電話はマナーモード+通知オフ
ここまで整えておけば、自信を持って式に臨めます。
【12】神式葬儀は“心を静かに寄せる場” ——服装はその入口
神式葬儀に参列するあなたは、
すでに 十分に誠実で、十分に丁寧 です。
服装に迷い、玉串奉奠 作法を調べ、
喪服 マナーを守ろうとするその姿勢こそが、
ご遺族にとっても大きな支えになります。
神式葬儀は、
華やかさを排し、
静かに故人を偲び、
心を寄せる時間。
あなたが整えた服装は、
その静けさにもっともふさわしい “祈りの形” となります。
どうか安心してその日を迎えてください。
あなたの心遣いは、必ず故人とご遺族に届きます。
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